今の時代、特に日本では考えられないほど、ドイツやイタリア、フランスでのポストカードが持つ存在は大きい。自分の今いる存在や空気、心理的精神的な呟きを伝える一枚のポストカード。
著者の曾祖母とその子供の名前だけが記された・・そこに込められた事実をすこーしずつ糸を手繰るかのように事実を探っていく。
ノンフ
...続きを読むィクションとは言いつつ、良くも悪くも筆者の類まれな才能がキラキラと随所で煌めいているのは読み手の好みによるだろう・・事実のみを読みたかったと。私も、ン申し訳ないがそう感じた一人。
まず装丁が好み、淡い色彩を載せたモノクロ調が20世紀のその時間を感じさせる。
ストレートな独逸支配下を俯瞰したドキュメントや史実の解明は読んできたが、露仏、そしてイタリア、スイスでの時間的なつぶさの解明は初めて、そして驚く。
作中、ずーっと流れるジューディッシュ、ユダヤ教の厳格な空気感と共に生きていくことの苦しさを糧に歴史を積み重ねてきた民族を垣間見た気がした。