エリック・マコーマックの作品一覧

「エリック・マコーマック」の「」「ミステリウム」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • ミステリウム
    5.0
    1巻1,400円 (税込)
    ある炭鉱町に、水の研究をする水文学者を名乗る男が現れる。以来、その町では墓地や図書館が荒らされ、住人たちは正体不明の奇怪な病に侵され次々と死んでいく。伝染病なのか、それとも飲料水に毒でも投げ込まれたのか? マコーマックらしさ全開の不気味な奇想小説。巻末に柴田元幸氏のエッセー「座りの悪さのよさ」を再録。
  • 雲

    4.4
    1巻3,799円 (税込)
    出張先のメキシコで、突然の雨を逃れて入った古書店。そこで見つけた一冊の書物には19世紀に、スコットランドのある町で起きた黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が書かれていた。驚いたことに、かつて、若かった私はその町を訪れたことがあり、そこで出会ったある女性との愛と、その後の彼女の裏切りが、重く苦しい記憶となっていたのだった。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であることか……。幻想小説、ミステリ、そしてゴシック小説の魅力を併せ持つ、マコーマック・ワールドの集大成とも言うべき一冊。

ユーザーレビュー

  • ミステリウム

    Posted by ブクログ

    まだ一作しか読んでいないけど、マコーマックは私のお気に入り作家になっていきそうな予感。端々に比喩と教訓が散りばめられている。読んでいると頭が居心地のいい場所に飛んでいくような感覚。場所というのは地理的な意味ではなく、「あー、こういうことを考えたり感じたりしているとき私はリラックスしているな」と思えるものがある場所のこと。

    小説でこんなに付箋を付けたことがないというくらい好きなフレーズに出会えた。一番のお気に入りは以下。
    「ことばはわれわれを自由にしてくれないのではないかと思う。ことばには大きな重量が付属しているのだ。だから、マックスウェル、あまり本をたくさん読みすぎないように気をつけたまえ。

    0
    2025年07月23日
  • ミステリウム

    Posted by ブクログ

    文体が美しくて読むのが楽しかった…。
    物語の筋は幾度となく塗り潰され、上書きされたと思えばやり直される。
    その煩雑さが気にならないほど文体が美しかった。
    真実とは物事をよく知らないからこそ見つかる。

    「彼は明かりのスイッチを入れて後ろ手にドアを閉め、宇宙の残りすべてを閉め出した。」

    この一文が本当に美しく思えた。というわけで『パラダイス・モーテル』を読むのが楽しみ。

    0
    2025年05月22日
  • ミステリウム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ブレア行政官から見習い記者ジェイムズの元に送られてきたのは、疫病のために封鎖され、情報規制が敷かれている村、キャリックに住む薬剤師が書いた手記だった。一人のよそ者の滞在と、エスカレートする破壊行為に関連はあるのか。村の秘密と言語中枢を狂わせる毒の謎は……。排他的な村で起こった奇妙な事件を描いたメタ・ミステリー。


    マコーマック作品は他に『隠し部屋を査察して』と『パラダイス・モーテル』の二作を読んでいるが、いつも〈演技と創作〉を主題にしている作家だと思う。特に本作は、死なせるためにキャラクターを創作し、無から真相を生みだすミステリーというジャンルの型を使って、「死を受け入れるために物語を必要と

    0
    2024年01月07日
  • 雲

    Posted by ブクログ

    序盤、黒曜石雲の描写から始まり、終始どんよりした空気を感じながら読み進めた。
    度々差し込まれた奇怪なエピソードが鋭く心に残る。
    決して明るい物語ではないが、読書体験としては新鮮に感じた。

    主人公ハリーとその息子フランクとの関係性が独特(互いを尊敬しつつ、なんでも話せる関係、ではない感じ)で、こんな親子も良いなと思った。

    通して、ハリーの内面に迫っていく感じが面白い。

    0
    2023年06月04日
  • 雲

    Posted by ブクログ

    出張で訪れたメキシコの古書店で、偶然手にした一冊の本「黒曜石雲」。そこにかつて暮らした街の名を見つけた事をきっかけに、物語が主人公の過去へと展開していく。スラムで生まれ、恋に破れ逃げるように世界を転々とし、各地で様々な人と出会い別れ、流されるように生きたハリー。時々「黒曜石雲」の調査の進展が挟み込まれ、アクセントとなる。数奇な彼の人生は、多くの偶然(必然?)に弄ばれ、幸福と過去の恋愛へのパラノイアの間で揺れ動く。物語の語り手であるハリーの、雲のように流れる人生を追体験でき、良い読書体験ができた。

    0
    2021年08月02日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!