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パリの路地裏でストリッパーの連続猟奇殺人が起こる。被害者は二人とも同じ方法で殺されており、また、ともに元服役囚の画家ソビエスキと恋人関係であった。パリ警視庁警視のコルソはソビエスキを追い詰めるが、捜査が進むにつれ、自分自身の抱える闇をのぞき込むことになる……フレンチ・サスペンスの巨匠による最新刊
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Posted by ブクログ
パリでストリッパーが連続して殺害される。被害者の下着で縛られ、唇の両端は耳まで切り裂かれていた。担当はコルソ警視。パリで最も優秀だが、強引な捜査を行う男。捜査が行き詰まったとき、昔同様の事件があったことを知る。その犯人はフィリップ・ソビエスキ。強盗殺人で刑務所にいたが、出所してから画家として成功して...続きを読むいた。ソビエスキにとって不利な証拠や有利な証拠が出て来て・・・ 長い。果てしなく長い。ポケミス上下二段組で700頁強、定価3千円。しかし、物凄く面白い。 コルソの無茶苦茶なキャラがいい。ムシャクシャしたから、自分の担当でない銃撃戦に参加したりする。 ゴヤの絵画が重要な場面で使われているのだけれど、その辺も物凄く巧い。 一番は、ソビエスキがやったのか、そうではないのか。凄腕の美人弁護士が頑張るのだが、とにかくどんでん返しに次ぐどんでん返しの行き先は、想像だにしないものだった。 あとそうそう。SMやら変態性交の話が出まくるのでその辺苦手な人には薦められないけれど、大丈夫な人ならぜひオススメしておきたい。 ※ネタバレ 弁護士のクローディア・ミュレールが全て仕組んでいた。レイプ魔ソビエスキが犯した女性が産んだのがクローディアや、他の被害者だった。彼に復讐するために、ソビエスキの仕業だと思われるように、彼が描いたゴヤの贋作のモチーフを使って死体に細工をした。ソビエスキに最大限の苦痛を与えるため、事件の担当弁護士になり、一度無罪にしてから後に有罪にしてやろうと計画。しかし彼は獄中で自殺。しかし、同様の事件がまた起こる。被害者はなんとクローディア。ソビエスキは無実だと見せかけての自殺。コルソが彼女の墓に行くと、告白の手紙と、コルソの名が書かれた棺が。実はコルソもソビエスキの子供だとあった。そして、自分のいる「死者の国」でコルソを待っていると。
作中のグロいシーンにはなかなか馴染めなかったが、大好きな街が舞台であるという事と、何より勢いのある文章が最後まで読ませてくれた。いつもは犯人を探し探し読むのだが、この作品は複雑な構成すぎて思わぬ黒幕にやられた感が凄かった。
グランジェ作品、最高です。『クリムゾン・リバー』は映画しかみてないけれど、『通過者』もめちゃくちゃ面白かったし。どの作品も主人公や出てくるひとが普通じゃなくてそういうのが、人間的。いや、変な人ばっかり出てくるんだけども、これも絶対絶対映画になったらみたいかもと思うくらいに人間関係が複雑で、第三部はじ...続きを読むまったら怒濤の展開でめちゃくちゃ読むスピードあがります。ちょっと長いし、本が持ちにくいのが難点ですが。アーナルデュル・インドリダソンとグランジェがワタシの好きなミステリー作家さんやなーとしみじみ思いました。
ポケミスの愛称で知られるハヤカワ・ポケット・ミステリだが、年々ポケットという名が似つかわしくない厚手の本が増えている。もともとポケミスは、海外のペーパーバックを真似た洒落たオトナのデザインを身に纏っている。ペーパーバックは、海外ではハードカバーよりは下に見られていて、安い原稿料でノワールやアクショ...続きを読むンを書いて糊口を凌いでいた三文作家のことはペーパーバック・ライターと呼ばれて一段下に置かれていた時代があったと言う。ところがペーパーバックから多くのエンターテインメントの巨匠や天才が生まれ育つにつれ、世界の読者はペーパーバックこそが、名作の卵であったり雛であったりすること、そして何よりも面白く読めること、大衆小説としてのエンターテインメント性の確立という意味で、文学史に大役を果たしてきたこと等々、評価される部分も今の評価に繋がっている。 現在でも、日本では、ハヤカワ・ポケミスは翻訳も早く、日本の読者への永くベストなトランスポーターとしてのその役割は、誰もが認めるところとなっている。無論、ポケミスは装丁を真似るだけではなく、ペーパーバックにこだわらぬ良質な作品選びをやって来て、これは現在も続いている。今や古書店で小説という商品価値が事実上ゼロと帰している中、ハヤカワのポケミスだけは値段が付くそうである。そのくらい希少な出版価値、作品への拘りを見せてくれているのがポケミスと言えよう。 しかし最近は、ポケットに入らないポケミスが増え、ポケット・ミステリではなく、バッグ・ミステリとでも愛称を変えるべきではないかと個人的には思ったりしていると、いうところで、さて話は本題に戻りましょう。そのバッグ・ミスと言いたくなるのが、二段組で760ページ強の、弁当箱のような厚みを誇る本書。ポケミス史上最厚ではないだろうか? そしてその厚みに値する壮大な仕掛けに満ちた大掛かりなミステリであることから、こいつは今年の翻訳ミステリ界の注目を集めるに違いないとも予感させる、いわゆる「大物」なのだ。作者も、フレンチ・ミステリの巨匠である。グランジェの名を聞いても実はピンと来ない人にはあの『クリムゾン・リバー』の原作者であると言うと、おわかりだろうか。 全盛期の少し忘れかけていた作家というイメージであろうが、邦訳作品が少ないだけで、実は今も世界では30ヶ国で翻訳され作品を世に出し続けている現役作家として活躍を続けているらしいのである。昨夏『通過者』(このミス17位)という実に13年ぶりの邦訳作品がTAC出版から出ているらしいが、ぼくは見逃している。機会があれば是非読んでみたい。 さて、本作。主人公は、出生不明の孤児から、数奇の運命を経て、現在の上司に拾い上げられ、今はパリ市警の最優秀捜査官として名を馳せているステファン・コルソ。彼の存在自体が、不幸とサバイバルと暴力に育てられた、いわゆるノワールな存在なのである。キャロル・オコンネルのキャシー・マロリーに類似した境遇だが、よりエキセントリックに、状況をぴりぴりに尖らせたようなダーティ・ヒーローと言えば、少し想像しやすいだろうか。 一歩間違えれば犯罪者の側に回っていたであろうこの警視コルソの超弩級の動物的勘に、圧倒的な行動力を加え、時間軸を揺さぶりつつ、ヨーロッパ中を走り回らせると、この単独捜査が、狂気に満ちたこの連続殺人事件を真相に近づけてゆくことが何とか叶いそうに見えてくる。それ以外のどんな捜査でも不可能だろうと言えるほど、二重三重の間違った皮相に覆われた、とにかく仕掛けだらけの難事件が相手である。そして複雑な主要人物たちの中に犯人像が浮かび上がるかと思えば、さらに想像を絶する仕掛けで裏をかかれる。あるいは裏をかかれたと思えばそれも怪しい。さらなる想像力を掻き立てられつつ、警視コルソとともに読者は暗闇の危険水域へとめくるめく旅を強いられる。 圧倒的なプロットに、幾重もの想像力と罠に満ちた執筆力との闘いが期待される本書。分厚さに納得のゆくだけの質感を与えられる超大型ミステリである。簡易な言葉で綴られるページターナーでもあるゆえに、冗長さはまず無いのでご安心を。 推理、アクション、リーガルサスペンス、コンゲーム、サイコ、画家ゴヤとその作品群に纏わる歴史ゴシック、宗教と科学のぶつかり合い。あまりに多くの面白要素で溢れかえるこの作品は、分厚いお弁当箱というには、おそらく煮え滾り過ぎている。ミステリ好きの少年が持つ探求心や冒険心を満足させてくれるおもちゃ箱のような存在と言った方が適切であろうか。 現在フレンチ・ミステリをリードするピエール・ルメートルに比肩するこのグランジェ。この作家の復活に、心臓がばくばくするほど興奮を覚えつつ、是非最後まで挑んで頂きたいと思うほどの大作登場なのである。
中盤にさしかかってからの二転三転によって大いに揺さぶられ、最後まで楽しく読みました。同じ作者の本で未読の物が少しあるので手を伸ばそうと思います。
好きな作品かと聞かれたらそうではないかもしれない。だけど間違いなく面白い。読ませる。とにかく読ませる。ちょう分厚いのに読ませる。まだこれだけページが残っている、というのがうれしくなる。リアルさや隙のなさを考えたら色々とあらはあるだろうけど、複雑な事件が起こってその謎がちゃんと紆余曲折を経てきちんと説...続きを読む明されて行くのは満足度が高まる。なんとなくディケンズを思わせるような物語の閉じ方。 ただ最後のメッセージの文章の時制には違和感を感じた。原文ではどうなんだろう?
ちょっと今までに感じた事のない読後感。品が無いとも思うし、好きでもあり嫌いでもあるんが率直な感想かな。
700ページ強! バッグの中で重かったぜ… パリにて、頰を耳まで切り裂かれ、喉に石を詰められ、下着で縛られたストリッパー連続殺人に始まる第1部。アウトロー刑事が暴力と強引な操作で追い詰めた「犯人」が、第2部で有罪判決を受けて収監されてから、怒濤の展開の第3部という…気の抜けない作り。 いやー...続きを読む、英米ミステリを読み慣れてると、ヨーロッパ大陸の捜査官たちの行動は破天荒だなあ。ネスボの「ハリー・ホーレ」もだけど、不法侵入から証拠破棄までなんでもあり。そのワイルドさにグイグイ惹きつけられて、ページを繰ってしまうけれども。 絵画・歴史から日本の緊縛まで、JCの豊富な知識と美学が、背景また道具立てとしてよく生きてる。バイオレンスに満ちていながら、殺伐としすぎないのは、そういった局面のおかげか。主人公の幼い息子への曇りなき愛情は、JCの末っ子へのそれと重なるしね。お人柄だな。 彼の作品は、最終的には「血」のつながりに行きつくことが多い。「それが目的だったなら、もうひとり、狙われるべき人物がいるじゃん!」と思いつつ、でもそのおかげでラストに希望があるんだよね。 質量ともに重いけど魅惑的読書体験でした
長かった…。信頼すべき複数の書評家が取り上げていたので、暑さにも怯まず辛抱強く読み進めたのだが…。パリ警視庁犯罪捜査課コルソ課長の犯罪者を憎み正義を追求する姿勢や個性豊かな部下たちを鼓舞し叱咤しながらチームで操作を進めるやり方もみりょくてきではあるのだが。捜査が右往左往する中でなかなか真実に近づくこ...続きを読むとができず、最後に死んだ犯人からの手紙ですべてがあきさなにされるなんて、二時間ドラマ的すぎるよ。
ポケットミステリーなのに非常に重いです。もはやポケットには入りません。。。 本編は765項もあります。ポケミス史上最長項と思います。果たして読み切れるのでしょうか… 事件はパリのゴミ処理場に全裸の死体で口が耳まで裂かれその開口部に大きな石が詰め込まれて居た。被害者はストリッパーのソフィー・セレ...続きを読む。パリ警視庁コルソ警視は捜査を命じられた。 コルソは目下妻エミリアとの離婚訴訟を抱えて居り一人息子のタデの親権が欲しいコルソは弁護士からの指示で裁判に有利になる様にメディアで話題になっているストリッパーの残虐な事件を解決する必要に迫られた。 暗い青年時代の過去と異常な性癖を持つコルソはその憂さを晴らすかの様に容疑者に冷徹な暴力を厭わない荒れた一面が有った。 次の事件は、殺されたソフィー・セレと同じ店のストリッパーエレーナ・デスモラで殺害方法はソフィーと同一手口だ。しかもソフィー同様にエレーナも偏執的性嗜好があり、またソフィーと同じ施設で育ち親友だった。 コルソはソフィー、エレーナの両方と付き合っていた殺人罪の前科がある画家ソビエスキを容疑者として徹底した捜査をチームの4人と共に行う。 今度はイギリスで麻薬密売人が同様の手口で殺された。殺害時にソビエスキはイギリスに居り、パリのアトリエでも物証が出て逮捕される事となったが、裁判でアリバイや第三者に陥れられたと辣腕弁護士が明らかにする。 長い物語でしたがテンポが良く、章の繋がりがスムーズでストーリーに引き込まれ難なく読み終えました。作中にはパリ市内の背景が思い浮かぶ様なシーンや主役のコルソをはじめチームや上司の個性も十二分に伝わり楽しめました。やはり流石ジャンクリストフ・グランジェと改めてファンになりました。
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