陳思宏の作品一覧
「陳思宏」の「亡霊の地」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「陳思宏」の「亡霊の地」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
全体的に暗い雰囲気があり登場人物も多めなので、最初は読むのにパワーがいるなぁと感じていたのですが、陳家と永靖の人々の秘密やドイツでの出来事などが徐々に明かされていく構成が非常に上手で、一度読むと中々止められませんでした。
多かれ少なかれ日本にも共通点はあるかと思いますが、戒厳令が敷かれていた頃の台湾の田舎町、強烈な男尊女卑思想と厳しい教育、そしてそれに伴う容赦ない暴力など、見ていて「これ流石にひどすぎない?」と、フィクションとはいえ見てて辛くなる描写がたくさんありました。ただ、そういった冷酷に思えるキャラも、当時の台湾社会におけるスタンダードや、更に上の世代からの重圧を受けてきた結果の行動で
Posted by ブクログ
またひとつすさまじく、すばらしく力強い物語に出会えた…。
台湾ではおととい鬼月がおわり、門が閉じたという。中元節の時分に出版社の方が紹介されていたこの本の装丁にひとめぼれし、『亡霊の地』(原題『鬼地方』)というタイトルに震えながら(ホラーが大好きだけど苦手なので)手に取った。
あとがきで知ったが、『台湾文学ブックカフェ プールサイド』の、「ぺちゃんこな いびつな まっすぐな」と同著者の著作であるとのこと。もう治っているけどたまにしくしくと痛むような、そんなたまらない小説。
何度もなんども、涙を流した。つらく苦しい思い出、いや思い出ではなく 記憶、忘れ去りたい過去、しかし自分を確かに形作った
Posted by ブクログ
どこから感想を書けばいいかわからないくらい強烈な一作だった。アジアを舞台にしたマルケス的マジックリアリズム小説であり、主人公が一度は捨てた故郷に戻る帰郷小説であり、台湾の政治と社会の暗部を描いた社会派小説でもある。今までの人生で、こんな小説は読んだことがない。
この小説では、人間も亡霊も一緒になって自分の人生を語りだす。すると家族の秘密、辺境の村の閉塞性、そして政治のむごさが一つ一つ明かされていく。そんな展開をすんなりと受け入れてしまえるのは、台湾の鬼月、中元節という時期の魔力だろうと思う。
唯一難点を挙げるとすれば、主人公の恋人に関する言及はやや表層的というか、もう少し掘り下げてほしいと思っ
Posted by ブクログ
ちょっとこれはヤバいやつを読んでしまったのかもしれない。台湾出身の作者の描く、日本で言えば恐らく昭和後半から現代に至る(と思われる)台湾のとある地方における五女二男の子供とその父親、母親の“家族”とその周囲の人々による数十頁のモノローグが積み重なっていく形式で物語は進んでいく。
まずとにかく誰一人として幸せな人間がいない。そして、家族というどうにもならない存在がそれぞれに秘密を抱えて、積み重なり、次第にその重みに底が抜けて、様々な真実が明らかになっていく。
その余りの重苦しさに、最初の50ページでもう読むのやめようと思ったが、いつの間にかやめられなくなってしまっていた。濃厚すぎる台湾の情景描写