序文
本書には真実はいっさいない。
「〈フォーマ(無害な非真実)〉を生きるよるべとしなさい。それはあなたを、勇敢で、親切で、健康で、幸福な人間にする」
ー『ボコノンの書』第一の書第五節
p32
"実験だよ"
p34
人間は父の専門ではなかったからです。
"今や科学は罪を知った"
"罪とは何だ?"
p37
「これは私事です。たんなる恋愛事件です。ぼくは後悔してはいません。何が起ころうと、それはぼくとズィンカとのことで、みなさんには関係ありません」
p88
「おかしな旅の誘いは、神の授けるダンス・レッスンである」
p157
自分の本に索引をつけるのは素人作家のすることだ、とも言った。
p219
真実は民衆の敵だ。
p233
「わたしが何かしたのですか?」
「これからするんだ」
p251
「成熟とは苦い失望だ。治す薬はない。治せるものは強いてあげるとすれば、笑いだろう」
p300
「過去の正確な記録がなかったら、人間はどうやって将来起こすかもしれない重大な過失を避けるというのか?」
p301
"よし、世界を滅ぼしてやる"
初ヴォネガット。超好き。
村上春樹やたくさんの作家に多大な影響を与えたヴォネガット。敷居が異様に高くなっていたことを反省せざるを得ないくらい軽やかで面白い。
うまくは言えないけれど、この作品の持つどこか荒廃とした雰囲気がこれまで読んだいくつかの作家作品、映画などにあったような錯覚を覚える。不思議な体験。この本に全部詰まってるのでは、とも。
ここ最近、宗教についてよく考えるので、本作にある角度で読むと逆に新鮮にも感じる。パワーワードの連発は好みが分かれるところもあるかもだけど、端的に詩的に読み取れるそれらの言葉は皮肉と風刺に満ちていて、それが読んでいるときの爽快感にもなっている、と私は感じました。
他の作品もちびちび読み進めたいと思った次第。