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アパルトヘイト以前、以後──社会変革の渦中にある南アフリカ。プレトリアで農場を営む白人の家族とその黒人メイドとの間に交わされた土地の所有をめぐる約束が、四十年にわたり一家の運命を翻弄する。アフリカ文学の最先端にして英国最高峰ブッカー賞受賞作
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Posted by ブクログ
家族の歴史を壮大に綴る傑作だ。雷に打たれてドラマが始まる。読み終わって重厚なシンフォニーを聴き終えた気分。
南アフリカがどういう国の歴史と国民性なのかが物語の柱になってる。アモールのサロメと重なる無垢さとアントンとルーカスの落ちぶれ方と怒り、肥えた女弁護士が象徴なんだろう。これだけ背景が違うのにアントンのように志を立てるもののぐだぐだと何もせず歳だけとり、「小説を書く」といいながら書き上げられないと自責に...続きを読むかられるというのは世界共通なんだなと思うのと共に、ブッカー賞受賞作だから文学寄りにみられるけど登場人物同士が終始気まずかったり宗教ジョークが多かったり、原著だともっと悪趣味コメディなノリなんじゃないかという気がする。
南アフリカのある白人一族を主役に、アパルトヘイトが廃止される過渡期の時代の同国を描いているが、視点の置き方が面白い。俯瞰視点から見下ろすように、一人の内面から別の一人の内面へとシームレスに移りかわっていくため、注意深く読まないと現在誰の視点なのか見失ってしまう。そして「視点」には微かに妙な自我があり...続きを読む、クライマックスでは突如登場人物に呼びかけたりもする。あらすじにも「神の視点」とあるこの独特の視点の置き方が、誰か一人に肩入れするでもなく、バラバラで自己中心的な一族それぞれの言い分と滑稽さを公平に浮き彫りにしている。
なんだこれ。すぐには感想が整理出来ない。え?え?と思いながらぐいぐい読む。グルーヴがある。力がある。明るいわけじゃないが、決して陰鬱じゃない。 今年読むべき1冊であることは間違いない。
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