筑摩書房作品一覧
-
5.0
-
3.8近年、急速に広まったイヴェント「ハロウィン」。その起源は、ヨーロッパの古層、ケルト文明の祭「サウィン(万霊節)」にたどりつく。ケルト暦では、10月31日が一年の終わりで始まり。厳しい冬の訪れとともに、世界は闇に閉ざされ、死者がよみがえると信じられてきた……。四つの季節祭と神話伝説を手がかりに、ケルト文明の循環的な生命思想を解きあかす。古代・中世ヨーロッパの精霊を現代へよみがえらせる芸術人類学的な試み。
-
3.0ギリシア・ローマやキリスト教と並ぶもう一つのヨーロッパの源流とされ、 日本でも根強い人気を誇るケルト文化。だが、 近年ではケルト神話やケルト音楽からイメージされるような島のケルトと歴史上のケルト人との連続性にはさまざまな異論があり、なかにはその実在を疑う「ケルト否定論」すら展開されている。では、古代ケルト人とは何者だったのか。 著名な神話を入り口に、それを考古学的・歴史学的知見と照らし合わせることで、古代ケルトの生活世界へと分け入る入門書。
-
3.8「人間が見たり聞いたりしたものは生命の糸である」(イエイツ) 自然界に満ち満ちた目に見えない生き物、この世ならぬものたちと丁寧につきあってきたアイルランドの人たち。詩人であり、劇作家・思想家であるイエイツは、自ら見たり聞いたりしてケルト民族に伝わる妖精や超自然的な生き物たちのフォークロアを採集した。そこには、無限なものへの憧れ、ケルトの哀しみにあふれ、不思議な輝きを放ち続ける。カットにケルト美術を用い、イギリス・アイルランドフォークロア研究者による的確な翻訳で、ケルト民族の情感を生き生きと伝える。
-
4.5
-
3.5
-
4.0
-
3.7
-
3.0
-
4.0
-
4.2建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動――。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。その歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。第6回読売・吉野作造賞受賞作の完全版!
-
4.2
-
4.5“right”に「権利」という訳語があてられたとき、そこには特殊日本的な背景が作用し、それ自体が一つの独自な解釈を表すものとなった。「力と利益」の意味を含む日本の“権利”の思想は、「正しいこと」を意味する西洋の“ライト”の思想とどの程度異なり、また、どの点で共通しているのか。この問いを考察の糸口として、我々が「権利」と呼ぶ思考装置の問題点と限界を明かし、その核心に迫る。福沢諭吉、西周、加藤弘之ら日本の思想家をはじめ、ロック、ドゥオーキン、ロールズ、セン、ニーチェらを導き手とし、理念と力の錯綜した関係を解きほぐした著。
-
3.5なぜケータイ小説はウケたのか? ケータイ小説を文学として認め、その構造を徹底的に分析する刺激的な試み。リアルとリアリティー、二項対立の構造、作られた「本当」の気持ち、ホモソーシャル、セックスは軽いか……。小説の「読み」「書き」に起こる異変を解き明かし、現代文学の新しい境地を見出す。
-
4.0いま世界を席巻するK-POPは、いかにして生まれたのか? 植民地支配下における韓国大衆音楽の誕生から、隣国日本との歴史的葛藤、「韓国といえば演歌」の時代、社会に議論を巻き起こしたヒップホップ、民主化、経済危機、IT化、「戦後最悪の日韓関係」の中で花開いたK-POPブーム、そして力強いメッセージ性とアイドル性を兼ね備えたBTSの世界的成功まで、激動の100年の情勢を押さえつつ、今日に至るジャンルと国境を越えたダイナミックな発展を通史的に論じる。
-
-戦前社会が「ただまっ暗だったというのは間違いでなければうそである」(山本夏彦)。戦争が間近に迫っていても、庶民はその日その日をやりくりして生活する。サラリーマンの月給、家賃の相場、学歴と出世の関係、さらには女性の服装と社会的ステータスの関係まで──。豊富な資料と具体的なイメージを通して、戦前日本の「普通の人」の生活感覚を明らかにする。
-
3.8
-
4.01967年から6年間、著者は末端活動家として常に現場にいた。羽田闘争から東大安田講堂の攻防、三里塚闘争を経て連合赤軍のリンチ殺人事件。日本中が「熱く、激しく、燃えた」季節だった。飛び交うガス弾、絡み合うゲバ棒に囲まれる日常。そして革命幻想と現実の間で揺れる心理、疾風怒涛の時代の極私的ドキュメント。
-
4.0力強く簡潔な文体と精彩あふれる描写で知られるタキトゥスの2つの小品を収める。『ゲルマニア』は、当時ローマ帝国に北方から脅威を与えていたゲルマニアの諸部族に関する民族誌。風土、習俗、制度などについての概説と各部族の記述からなる。野性に満ちて強力なゲルマニア人と、文明化し過ぎ頽廃・衰亡への道を歩むローマ人を対比し、警告を発する。『アグリコラ』はタキトゥスの岳父を描いた伝記。暴君のもとでの貴族の生き方を示すとともに、ブリタンニア(古代イギリス)の地理や民族を詳しく記す。
-
3.5
-
4.3
-
4.2
-
4.4
-
4.4
-
4.1ヨハネ黙示録やマヤ暦に基づく終末予言、テレパシーや空中浮揚といった超能力、UFOに乗った宇宙人の来訪、レムリアやアトランティスをめぐる超古代史、爬虫類人陰謀論―。多様な奇想によって社会を驚かせる、現代のオカルティズム。その背景には、新たな人種の創出を目指す「霊性進化論」という思想体系が潜んでいた。ロシアの霊媒ブラヴァツキー夫人に始まる神智学の潮流から、米英のニューエイジを経て、オウム真理教と「幸福の科学」まで、現代オカルトの諸相を通覧する。
-
4.0
-
3.7徳川家の譜代として、主君を裏切ることなく代々奉公してきた大久保家。その家筋を誇り、子々孫々に至るまで忠勤にはげむことを説いた『三河物語』は、松平郷に興り家康に至るまでの徳川家九代の歴史を今に伝える重要古典である。著者の大久保忠教、通称彦左衛門は、歴史上名高い長篠の戦い(1575)や関ヶ原の戦い(1600)、そして自ら参戦した上田城攻め(1585)などの様子を生き生きと描写し、ときには「天下のご意見番」として、主君への憤懣をも隠さない。当時の俗語で書かれた難解な原文を、読みやすい現代語訳で送る。
-
-
-
3.9現在、私たちを取り巻く「知」の数々は、20世紀以降の世界がおかれた4つの状況から発生する。本書ではそれを、ポスト・グーテンベルク状況、ポスト・モダン状況、ポスト・ナショナル状況、ポスト・ヒューマン状況と名づける。そして、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」「情報とメディアの思想」「ナショナリズムと国家」など、15個のトピックスに切り分け、ソシュール、レヴィ=ストロース、フーコーという巨人たちの思想を読みなおしていく。ありきたりの哲学教科書では学ぶことのできない、現代思想における全ての最重要論点を、一から平明に解く15章の徹底講義。
-
3.5
-
-
-
4.3
-
4.3
-
3.9
-
4.0
-
4.7数学の理論の公理系にあらわれる基本的な用語は無定義なものであるべきだという公理主義の思想。この思想は、初等幾何学すなわちユークリッドの平面幾何学をめぐる考察のなかから生まれた。その意味で初等幾何学は現代数学の母であり、いまなお「生きた」数学の理論である。本書はヘルマン・ワイルの提唱した公理系にもとづいて、ユークリッドが展開した初等幾何学の再構成を試みる。平面を2次元の内積空間と捉えることで、数学の種々様々な理論と自然につながり合う「現代的な」幾何学が得られるのだ。幾何学が本来もつ証明の面白さを損なわないよう初学者への配慮も溢れる一冊。
-
3.9
-
4.1
-
3.9
-
4.0映画・ドラマから知る、韓国の食や、フェミニズム等社会状況、そして現代史まで。韓国在住映画ライターが案内。作品の見方が変わる。
-
4.2
-
3.6「菅首相の現地視察が東京電力の事故対応を遅らせた」「官邸が現場の注水作業を止めた」「政府はアメリカからの冷却剤提供を断った」――これらの批判は事実無根である。首相官邸で首相、官房長官に次ぐ3番目の危機管理担当であった事故当時の官房副長官が、自ら残したノートをもとに、官邸から見た原発危機の緊迫した状況を再現。知られざる危機の真相を明らかにするとともに、緊急時の国家体制が抱える問題の構図を浮き彫りにし、事故を教訓とした日本の進むべき道筋を提言する。
-
5.0福島第一原発事故当時、現地の役場で何が起きていたのか。途方もない危機が迫っているにもかかわらず情報は乏しく、国や県からの指示もなく、事故対応マニュアルは役に立たない。そして水素爆発の重い音が町中を揺らした。事故の瞬間から避難、さらに復興に向けて、原発災害の過酷な状況に直面した自治体の職員が何を考え、何をしてきたか。石田仁(大熊町前副町長)、宮口勝美(浪江町前副町長)へのインタビューをもとにした証言に、研究者による解説を加えた貴重なドキュメント。
-
4.0イタリア旅行で南欧の植物の多様性に目を見はったゲーテは、仔細に観察し、それらを統べるものへと想像をめぐらせた。メンデルの法則が世に知られる100年以上も前に圧倒的洞察力で、植物のメタモルフォーゼを確信している。「すべては葉である」「花は葉の変形したもの」「地面の下で湿潤だけを吸収する葉を根と呼ぶ」「すぐに拡張する葉は葉柄ないし茎である」。文豪にして偉大な自然科学者の樹立した形態学は、分析と還元を旨とする現代の先端研究者たちに思いがけぬ指針を残していた。「形態学」の真髄とその周辺をていねいに掬い上げた文庫版新訳オリジナル。本書姉妹篇に『動物篇』がある。
-
-生きて発展する刻印されたフォルム! それは動物の骨格に潜在的にそなわっている「比較の第三者」としての原型を意味するゲーテの革新的な生物学思想の言葉である。植物において「すべては葉である」としたゲーテ形態学は、さらに対象を動物にも広げていく。動物形態の多様性は骨学的原型から発するもの、またそれぞれの動物の骨格部分は同一の基本器官のメタモルフォーゼ(変態)と洞察した。それら哺乳類についての論考のほかに、チョウのメタモルフォーゼやヒトの観相学をも含むオリジナル編集になる新訳決定版論考集成。図版多数。哲学しはじめ20世紀後半の現代科学に贈られた、ゲーテの大いなる遺産。『植物篇』の姉妹篇。
-
-ゲーテにとって旅とは、またスイスとは何だったのか。あのイタリア旅行に先立つこと12年、26歳のゲーテは『若きヴェルテルの悩み』の恋愛体験から逃れるように、スイスに向かう。「力強いライン河の烈しく泡立つ瀑布、万年雪をいただく峰々の王冠の輝き……その中に作用する創造力が脈々と魂の中にめざめてくる」と、偉大な理念を感知し科学的自然把握に決定的な指針を得る。アルプスの多種多様な自然は、研究対象の無限の宝庫であった。作品としてはまとめられなかったこのスイス体験を一書に成した本邦初の編訳書。訳者注解では、形態学・地質学などのゲーテ自然科学へと連なる体験的背景があざやかにひもとかれる。
-
-
-
3.3
-
-「「原発ゼロ」の国づくりは必ず国民の支持を得られる。時代はいずれ変わる。人をあてにせず、焦ることなく、あきらめずに進めていく」――。首相退任後初のインタビューでこう語った小泉純一郎元首相。首相時代には原発政策を推進。それがなぜ、「原発ゼロ」へ転じたのか? 「全員が反対でも進めていく」との覚悟の下、各地で講演を続けるその原動力は何か? 朝日新聞政治部記者として密着取材を続けてきた著者だからこそ書き得た真実とは? 希代の政治家・小泉純一郎の闘いの軌跡を描く、第一級のドキュメント!
-
3.0明治時代、日本に魅せられ日本人となった西洋人がいた。「怪談」の作者にして西洋への日本文化の紹介者、ラフカディオ・ハーンの生涯を描く。帰るべき故郷のない男が、世界各地を転々とした末に遠く異国の地に見出した安らぎとは?
-
-
-
3.8監視社会化が進む日本。こうしたなかで、不当逮捕を繰り返し、統治機構の末端で暴力を行使しているのが公安警察である。いったいヴェールの向こう側では何が起きているのだろうか? かつて赤報隊事件で公安警察に濡れ衣を着せられた経験を持つ著者が、その捜査手法や権力構造を照射し、知られざる公安警察の"真実"を追究する。
-
3.7
-
-
-
4.4工学とは「ものつくりの科学」である。動力を効率よく伝達する歯車の歯型はどのような曲線なのか。蒸気機関が出せる動力と効率は何によって決まってしまうのか。オイラーは伸開線によるインボリュート歯車を、カルノーは熱の理論を樹立した。「ものつくり」は科学に問いを課し、また科学から方策を授かってきた。本書は、その工学の歴史を、おもに機械工学と力学の話題を中心に展開した。技術開発や研究が最先端に達し、もはや参考となる文献・資料がなくなったとき、その解決のヒントは歴史のなかにある。幕末維新や近代日本に関する研究成果も意欲的に取り入れた力作。資料・図版を多数収録。
-
4.0世の中には名だたる経済学の古典がいくつもある。しかしケインズは、経済学者であるからには学術専門書ではなく、パンフレットのようなものを書くべきだと述べた。経済学者は日々変化する経済情勢をつかみ取り、それに対処し続けなければならないと考えたからだ。本書では経済政策の表舞台に立った当のケインズをはじめ、スラッファ、シューマッハー、ミュルダール、セン、ハロッド、都留重人らによって書かれた様々な問題への、今こそ注目すべき処方箋を紹介。あわせて無数に枝分かれした各経済学派の特徴と、その目指すところも解説する。経済学に興味のあるすべての人へ。学芸文庫オリジナル。
-
5.0
-
-
-
-学校に行くのがなんとなくつらい人へ 人間関係、通学時間、授業や部活……進学後の環境の変化、馴染めていますか? 人間関係が大きく変わる。通学時間も長くなる。授業や部活についていくのが大変になる……。高校進学に伴う環境の変化が心に及ぼす影響は「高1クライシス」と呼ばれている。新生活で起こりうる「つまずき」をのりこえるための本。 *「高1クライシス」とは? 高校へ入学したばかりの生徒が学習や生活面での変化に適応できず、心の不調を起こしてしまう現象のこと。ただし、本書では「良い方向にも悪い方向にも心が変化するきっかけになる出来事」として、よりニュートラルな意味で捉えています。 【目次】第1章 高校進学は心の危機(クライシス)か?⇒卒業と入学を繰り返す青年時代は変化の連続/第2章 十人十色の高校進学⇒「高1クライシス」のかたちはさまざま/第3章 進学とともに変わること⇒求められる役割、学校の風土、周囲との関係…/第4章 気分の落ち込み、不安の高まり⇒心理学の調査があきらかにする「つまずき」の実態/第5章 高校進学でつまずいたあなたへ⇒「ふつう」から外れてしまったら人生終わり?
-
4.0
-
3.5社会科学を塗り替えつつあるゲーム理論は、「人と人のつながりに根ざした理論」である。環境問題、三国志、恋愛、いじめなど、多様なテーマからその本質に迫る入門書。
-
3.3
-
4.2
-
3.5
-
-
-
3.8
-
3.6
-
4.0考古学は物的証拠を手掛かりに、過去の人々の行為を再現する学問だ。したがって石器時代や縄文・弥生などの古い時代だけでなく、近現代までもが研究対象となる。もちろん物的証拠も幅広く、銃弾といったものさえ証拠になる。犯罪捜査さながらにスリリングな学問であり、時には一国の歴史を書き換えることすらある。アメリカで長く国民的英雄とあがめられていた将軍の遺跡が、実は先住民への暴力の跡だったことが分かった「リトルビッグホーン古戦場」などは代表的事例だ。歴史の生き証人を足元から掘り起こす考古学。その魅力を余すことなく伝える、読んで楽しい入門書!
-
3.5
-
-
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。