作品一覧 2021/05/21更新 オランダ・ベルギーの自治体改革 試し読み フォロー 行政学講義 ──日本官僚制を解剖する 試し読み フォロー コロナ対策禍の国と自治体 ――災害行政の迷走と閉塞 試し読み フォロー 縮減社会の合意形成―人口減少時代の空間制御と自治― 試し読み フォロー 自治体議会の取扱説明書―住民の代表として議会に向き合うために― 試し読み フォロー 実践自治体行政学-自治基本条例・総合計画・行政改革・行政評価 試し読み フォロー 地方創生の正体 ――なぜ地域政策は失敗するのか 試し読み フォロー 1~7件目 / 7件<<<1・・・・・・・・・>>> 金井利之の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 行政学講義 ──日本官僚制を解剖する 金井利之 直截的というか、身も蓋もない表現で「行政」という複雑怪奇な存在の本質に迫ろうとする好著。以下は特になるほどと思った箇所(引用ではなく要約) ・与党政治家も野党政治家も、党派的選好を持った「一部の奉仕者」にすぎない。政権党に忖度する日本の官僚は著しく政治的中立性を欠いているが、万年与党の価値判断以外...続きを読むが政権・与党政治家によって示されることはないため、そのことが自覚されることはない。 pp.41-42 ・国会と内閣が立法した内容を自治体が執行することで、国政では形骸化している立法権と行政権の分立が国・自治体をまたいで成立する。 p.59 ・日本国憲法の世界観は、平和的生存権・自由権>民主主義>国民主権>憲法>法律 p.95 情報公開法は「情報自由権」を国民主権と民主的行政の手段として、それらより下に位置付けられており、憲法の世界観とフィットしていない。 p.97 外国人参政権を認めないことは、国民主権という下位価値が民主主義の原理(統治者と被治者の一致)という上位価値を毀損することになる。 pp.150-151 ・ポツダム宣言により「国家の主権」は消滅しており、実質的には日本は「本国」である米国の「植民地」または「自治領土」となった。 p.163 ・日本の対外主権は二面相的。合衆国が外国としてのアメリカと「本国」としての米国という二つの顔を持っているから。 pp.165-166 ・通常「民主的」とは公選職政治家による行政職員の指揮監督の強化として理解されるが、戦後改革では、特権官僚による身分制を打破することを意味した。 p.209 ・文民統制の補完メカニズム(防衛参事官制度など)は1990年度から弱体化し、現在では「本国」=米国の文民統制(誰が大統領になるか)だけが日本の文民統制を補完するメカニズムとして機能している。 p.290 ・転職の口があって免職を恐れない職員は組織の統制が効かないので、行政職員が民間でも通用する専門職資格を持っているのは避けるべき、となる。 pp.297-298 Posted by ブクログ 地方創生の正体 ――なぜ地域政策は失敗するのか 山下祐介 / 金井利之 地方創生の流れと原発事故の問題を中心に行政のあり方について述べている。 国の言いなりに地方がなっている構造。 何もしないことが許されない構造になっている。 一定の科学技術が成り立つには政治権力が必要。 弱者保護の観点で行政が運営されてきた、あるべき意義だと思ってきたが、弱者が増えすぎたのかと思った。 Posted by ブクログ 実践自治体行政学-自治基本条例・総合計画・行政改革・行政評価 金井利之 本書は、先日北大公共のシンポジウムにも来て頂いた金井利之先生の『自治フォーラム』での連載を単行本化したものです。 内容としては、「民主主義体制のなかの非民主主義的主体」である自治体行政と住民との実践的な関わりに焦点を当てたものとなっており、取り上げられるトピックも近年住民が関わることの多い自治基本条...続きを読む例・総合計画・行政改革・行政評価に絞って論じられています。今回は後者の2つに興味を持って読み進めました。 第3章では、「行政改革」がテーマとして取り上げられています。 まず、著者は行革のスタイルを①人件費の削減等を内容とした減量型行政改革、②旧来型の行政システムにメスを入れる行政経営システム改革、③行政と民間部門の在り方を一体的に考える地域経営改革に分類することができるとしています。また、行革が性質上「総論賛成、各論反対」の立場を取る関係者を生みやすいため、自治体は国の「外圧」を利用する場合が多く、住民による民主的統制と行革の実行性というディレンマが存在していると著者は指摘しています。 そして、これらの分析を踏まえて詳細な事例研究を行っている点に本書の特徴があります。ここでは、横須賀市と八王子市の行革の取り組みが参照されています。例えば、横須賀市は当初自主的に上記①②③を含む行革を実行していましたが、00年代に入って国の「新行革指針」の方向性に影響を受けることで、②が薄まっていった経緯などが詳細に論じられています。 第4章では、行政自身がPDCAサイクルに基づいて諸政策を管理する仕組みである「行政評価」が取り上げられています。 まず著者は、この仕組みが90年代半ばから各自治体で急速に導入された理由について、議会や行政が何らかの形で取り組んできた従来の「評価」に対する住民の「評価の評価」が悪化したためであると説明しています。一方で、行政職員に評判の良くないこの仕組みが定着した理由については、「上から」の要求に追従する行政職員の「評価の評価無き継続」志向によって「慣れ」が生じたためであるとされ、そのため、何らかの「飽き」が来れば形骸化する危険性を孕んでいることが示唆されています。 続いて著者は、本来政治過程を経由して民主的統制下に服するべき評価が官僚制化していくメカニズムについて説明しています。この点、「評価」が専門分野として確立しづらいために、複数の専門性をまとめあげる機能が必要となり、その機能こそが行政職員の基本的な技能であるため、評価自体に官僚制化する契機が内在しているとする指摘などは、興味深かったです。 また、この章でも事例として立川市と世田谷区の取り組みが丁寧に参照されています。特に、「評価の評価」を担う制度監視型の第三者評価機関を設置した立川市の事例などは、興味深かったです。 以上が後半部分の主な内容になっていますが、前半のトピックに上がっていた総合計画などにも関心があるので、また機会があれば読んでみたいと思います。 自治体行政の実務者や関心のある学生におすすめできる内容です。 Posted by ブクログ コロナ対策禍の国と自治体 ――災害行政の迷走と閉塞 金井利之 コロナ禍だけでなくコロナ対策禍の影響がはっきりそしてより深刻になっている今だからこそ読むべき本である。 感染症対策を災害対策として扱い、集権型で対策を行うことの弊害が示されており、日々進行する現実と照らし合わせた時、かなりの説得力を持つ。 現実には前のめりに集権的に対策することが民衆やメディアから求...続きを読むめられている状況であり、コロナ対策禍からの脱却は政治・行政ではできないことが歯痒い。 Posted by ブクログ 行政学講義 ──日本官僚制を解剖する 金井利之 日本の行政を支配、外界、身内、権力の4つの視点から概観。理論的、学術的に語っている部分もあれば、明治以降の行政の歴史、高級官僚の生態、日米関係などリアルなパワーバランスに迫った項目もあり、ボリュームの割に飽きさせない。 特に面白かったのは、①日本の戦後行政をアメリカ『本国』による代行支配として捉え...続きを読むていること。政府には異論もあろうが、ある意味スッキリした理解。②地方公共団体や警察に関する中央と地方の明治以来の関係と歴史。地方は地方自治が基本かと思ったら、明治には町村に限られ県や市には官選知事や市長がおり、郡も国による支配の名残だった。③官僚制の戦前と戦後の異同、特に継続性(軍だけが異なる)、④大蔵省の支配は国全体を見るという視点から政権と結びやすく制度の必然であったこと。 読み物としても、辞書としてもまあまあ面白い。 Posted by ブクログ 金井利之のレビューをもっと見る