行政学講義 ──日本官僚制を解剖する

行政学講義 ──日本官僚制を解剖する

ビジネス・実用
1,177円 (税込)

5pt

4.0

1990年代に政治主導に向けたさまざまな政治・行政改革がなされたのに、かえって今や為政者の恣意と統治者への忖度が蔓延してしまっている。我々は悪しき支配から抜け出せないのか。支配・外界・身内・権力の4つの切り口で行政の作動様式を活写。その実相を解明したうえで、現在の官僚制とのつきあい方の心得を提示する。行政に携わる為政者にとっての「行政学の教科書」ではなく、支配と権力にさらされる被治者を読者として想定した、公務員対策たる「行政学の基本書」。

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行政学講義 ──日本官僚制を解剖する のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    直截的というか、身も蓋もない表現で「行政」という複雑怪奇な存在の本質に迫ろうとする好著。以下は特になるほどと思った箇所(引用ではなく要約)

    ・与党政治家も野党政治家も、党派的選好を持った「一部の奉仕者」にすぎない。政権党に忖度する日本の官僚は著しく政治的中立性を欠いているが、万年与党の価値判断以外が政権・与党政治家によって示されることはないため、そのことが自覚されることはない。 pp.41-42

    ・国会と内閣が立法した内容を自治体が執行することで、国政では形骸化している立法権と行政権の分立が国・自治体をまたいで成立する。 p.59

    ・日本国憲法の世界観は、平和的生存権・自由権>民主主義>国民主権>憲法>法律 p.95
     情報公開法は「情報自由権」を国民主権と民主的行政の手段として、それらより下に位置付けられており、憲法の世界観とフィットしていない。 p.97
     外国人参政権を認めないことは、国民主権という下位価値が民主主義の原理(統治者と被治者の一致)という上位価値を毀損することになる。 pp.150-151

    ・ポツダム宣言により「国家の主権」は消滅しており、実質的には日本は「本国」である米国の「植民地」または「自治領土」となった。 p.163

    ・日本の対外主権は二面相的。合衆国が外国としてのアメリカと「本国」としての米国という二つの顔を持っているから。 pp.165-166

    ・通常「民主的」とは公選職政治家による行政職員の指揮監督の強化として理解されるが、戦後改革では、特権官僚による身分制を打破することを意味した。 p.209

    ・文民統制の補完メカニズム(防衛参事官制度など)は1990年度から弱体化し、現在では「本国」=米国の文民統制(誰が大統領になるか)だけが日本の文民統制を補完するメカニズムとして機能している。 p.290

    ・転職の口があって免職を恐れない職員は組織の統制が効かないので、行政職員が民間でも通用する専門職資格を持っているのは避けるべき、となる。 pp.297-298

    0
    2022年11月19日

    Posted by ブクログ

     まず、本書のページ数は378ページと、一般の新書の2倍近いボリュームである。
     情報量もそれに負けておらず、専門書と同様のレベルと考えて差し支えない。入門書と思い購入して面食らった衝撃は忘れられない。
     とかく外から見えにくい「行政」を、行政を受ける側の目線から丁寧に詳述しているため、分量の多さの割には頭の中で具体的にイメージしながら読み進めることができる。
     内容は申し分ないのだが、やはり新書の手軽さは捨てがたく、もう少しスリムなものがほしいという願望はどうしてもまとわりつく。
     行政の内部事情について、深く腰を据えて学びたいという方におすすめする重厚な一冊だ。

    0
    2025年06月04日

    Posted by ブクログ

    日本の行政を支配、外界、身内、権力の4つの視点から概観。理論的、学術的に語っている部分もあれば、明治以降の行政の歴史、高級官僚の生態、日米関係などリアルなパワーバランスに迫った項目もあり、ボリュームの割に飽きさせない。

    特に面白かったのは、①日本の戦後行政をアメリカ『本国』による代行支配として捉えていること。政府には異論もあろうが、ある意味スッキリした理解。②地方公共団体や警察に関する中央と地方の明治以来の関係と歴史。地方は地方自治が基本かと思ったら、明治には町村に限られ県や市には官選知事や市長がおり、郡も国による支配の名残だった。③官僚制の戦前と戦後の異同、特に継続性(軍だけが異なる)、④大蔵省の支配は国全体を見るという視点から政権と結びやすく制度の必然であったこと。

    読み物としても、辞書としてもまあまあ面白い。

    0
    2021年03月08日

    Posted by ブクログ

    多少ボリュームはあるが、日本の行政に関する概観を述べており、読みやすい。

    特に印象に残った点を述べるとするなら
    ・民主主義における行政の役割:民衆→政府→行政→民衆…というループがあるということ。そして、身内からの支配によって民衆が納得するのだから、行政が時折反発を受けるのは、このループがうまくいっていないということ。
    ・省庁共同体によって行政の内部が動いているということ。
    の2点である。

    またこの本の中で筆者は度々「主権」という言葉に疑問を呈している。それに関しては詳しくは述べられていないが、この本の中で読み取れる範囲では、支配・被支配という強い関係性が現れてしまうからという理由で筆者が「主権」という言葉に反発していると考える。

    民主主義と主権という言葉は不可分かと思っていたが、そうではないのかもしれない。

    0
    2018年06月23日

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