ユーザーレビュー 平和憲法の深層 古関彰一 本書の著者はこれまで『新憲法の誕生』(後に増補改題して『日本国憲法の誕生』)、『「平和国家」日本の再検討』などの著作を通じて、日本国憲法制定過程を実証的に明らかにし、特に「9条」が天皇制の存続、昭和天皇の訴追回避、沖縄の分離をセットとするマッカーサーの(アメリカ本国ではない)戦略の帰結であったこと...続きを読む、「押し付け」論によって必ず引き合いに出されるGHQ草案が在野の「憲法研究会」の憲法草案の強い影響下に作成されたことなどを論証したが、本書ではGHQ草案にも政府案にも存在しなかった「平和を誠実に希求」の文言がいつどのようにして「9条」に盛り込まれたか?という問題を、従来の研究では全く顧みられなかった東京帝国大学憲法研究委員会の動向の分析等を通して、一定の回答を与えている。著者の旧説をかなり修正している部分もあり、ある程度の史実と研究史を知らないと理解しにくい箇所も多いが、これまで憲法学や歴史学において見逃されていた論点・課題をいくつも提起しており、憲法制定過程に関心のある者ならば必読の書であろう。 Posted by ブクログ 集団的自衛権と安全保障 豊下楢彦 / 古関彰一 集団的自衛権は本当に安全保障に寄与するのか、憲法との関わりはどうなのか、そしてそもそも安全保障とは何なのか、ということ。安倍首相や自民党が提示しているものの何処に問題があるのか、考える一助となった。それは本当にそうだろうか、と立ち止まらされる部分も若干あったのだけれど、それも含めて有益であった。 た...続きを読むだ、豊下氏と古関氏の共著であるためと、私が今までこういった方面に無知であったため、少しばかりの物足りなさがあった。各氏単独の著作を読まなければという、動機付けになったけれど。 Posted by ブクログ 集団的自衛権と安全保障 豊下楢彦 / 古関彰一 本書では、中国脅威論や韓国との領土問題をもって危機を煽る人々は、アメリカの存在を忘れていることを指摘している。 韓国は日本と同じくアメリカの同盟国であり、またアメリカと中国についても単純な対立関係ではない。 日韓関係が悪化することは中国・韓国の関係が強化されることでもあり、本当に中国が脅威なのであ...続きを読むれば、日本にとって優先すべきは韓国との良好な関係構築が必要に思える。 また大きな矛盾として、北朝鮮脅威論と原発再稼働を挙げている。北朝鮮は原発にミサイル攻撃を行えば核武装の必要すらないが、それでも原発再稼働を進めるということは、自民党政府は「北朝鮮が実際には武力行使を行わないことを想定している」としか考えられない。 本書では他にも安全保障と憲法の両面から、保守派の主張を批判している。 Posted by ブクログ 集団的自衛権と安全保障 豊下楢彦 / 古関彰一 安倍政権による集団的自衛権の行使のための憲法解釈の変更や安全保障法案群の問題点を抜本的なところから批判する書。過去の政府のスタンスや各種資料などを丁寧に積み上げて、明確に論理的に語っている。 集団的自衛権行使が従来の政府見解などから照らして、現行憲法上不可能であるという立場の主張を理解するために役立...続きを読むつ一冊。 反対ありきという執筆動機ゆえなのか、北朝鮮ミサイルの標的としての原発の話や元寇以来他国から侵略を受けていないなどと一部感情的な強引なくだりはあるが、単なる勇み足で全体の論理を乱すようなものではない。 安全保障の概念についても、環境問題や感染症の問題などやや蛇足的な問題を持ち出し、焦点がブレ気味ではあるが、主張の本体については何らの傷はついていないと思われる。軍事オタクという表現を度々用いて、戦略的優先度が低いと筆者が見做す軍事的対応を批判しているが、そこは解釈が分かれる領域であり、本書の目的からすれば、無駄に隙を作ってしまっている印象を受けた。 あくまでも、冷静に客観的に論理的に組み立てられた部分にフォーカスして読む限り、最新の動向から歴史的資料までバランス良く語られ、基本的な知識が得られる良書。双方の意見を比較して読みたいタイプの読者なら安心して読める反対派の書かと思う。 Posted by ブクログ 集団的自衛権と安全保障 豊下楢彦 / 古関彰一 読んでいてだんだん不安になってきました。このまま今回の衆院選で自民党が圧勝して、安倍総理の思うが儘の政策が着々と進んでいくと、この日本はとんでもなく酷い国になってしまうのではないでしょうか。民主主義国家の終焉を迎えそうな、そんな気持ちになりました。悲観的すぎるのでしょうか、著者の豊下氏と古関氏が私の...続きを読む不安を煽っているのでしょうか。有権者のみなさんには、この本を読まれてから選挙に行っていただきたいと思いました。 Posted by ブクログ 古関彰一のレビューをもっと見る