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二〇〇二年度の新学習指導要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」だが、本当に子どもたちのためになるものなのか? また、詰め込み教育は罪悪か? 教育と日本社会のゆくえを見据えて提言する。
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Posted by ブクログ
少々古くなってしまったが、今日の「ゆとり教育」の失敗を見事に予見している。苅谷氏の綿密な分析と明晰な論証には恐れ入る。教育行政に関してはこの一冊で足りる。
「ゆとり教育」に対して様々なデータを紹介しながら果たしてこのまま行っていって大丈夫なのか、「子ども中心主義」の問題点などを指摘している。2002年に出ているが、現在起きているコトをすでに予見しているので今読んでも十分参考になる一冊。
さまざまなデータをあげて、教育改革に伴う「ゆとり教育」の結果について論じている。「ゆとり」によって何をどう変化させたかったのか、という当初の目的と、「ゆとり」によって何がどのように変化したのか、という結果を対比させて問題点と効用について論じているのはとても興味深かった。教育者としてのハートも感じられ...続きを読むて、良い本だなとおもった。
ゆとり教育世代の私たち。 ゆとり教育がもたらした「学力低下」は、一体誰の学力を下げたのか。 学校で学ぶ時間と量は少なくなっても、受験のレベルは変わらない。 そこで起こる問題は、学校で学べなくなったことを、学校以外の場所で学ぶこと。 しかしそれは誰にでも出来ることではない。 経済資本の豊かさが、直接教...続きを読む育資本の豊かさへとつながってしまうのだ。 ゆとり教育にひそむ問題に、これからも注目していきたいと思う。
[ 内容 ] 二〇〇二年度より新学習指導要領が実施される。 この要領がめざす教育改革のねらいは「ゆとり」と「生きる力」の教育であり、それを実現するものが「総合的な学習の時間」である。 これらをつなぐ論理は「子ども中心主義」であるが、この教育方針は本当に子どもたちのためになり、学校を再生するに足るもの...続きを読むなのか? また、受験や詰め込み教育は本当に罪悪なのか? さまざまなデータを検証し、教育と日本社会のゆくえを見据えて緊急提言する。 [ 目次 ] 第1章 教育の制度疲労(政策担当者の問題把握 これまでの教育改革の成果 ほか) 第2章 「ゆとり」と「新しい学力観」「生きる力」の教育(「ゆとり」をめざす教育の問題認識 「新しい学力観」と「生きる力」の教育 ほか) 第3章 「ゆとり」のゆくえ―学習時間の戦後小史(子どもの「ゆとり」は奪われてきたのか 「勉強の時代」の復活―勉強のしすぎはゆとりを奪ったのか ほか) 第4章 「子ども中心主義」教育の幻惑(「ゆとり」と「生きる力」をつなぐ論理 「子ども中心主義」の教育 ほか) 第5章 教育改革の幻想を超えて(手段を欠いた理想のゆくえ 現実と理想のコントラスト ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
「生きる力」を目指す新教育課程(ゆとり教育)であるが、好ましいと私は思わない。「受験教育」や「詰め込み教育」からの解放を謳っているがそれは役所の偉い人が陥っていた状態でマスが感じている部分ではない。むしろ、上流階級の子どもは少子化といえどさらなる受験戦争に巻き込まれているように思われる。「ゆとり」な...続きを読むんて感じられない。勉強の不得意な子どもはさらに勉強しなくなり格差の温床になっている。子どもの主体性を重んじるのはいいことだが家庭や社会階層を考慮しないのは言語道断だと思った。「総合的な学習の時間」は自分が行った事を振り返ってみてもたいしたことはやっていなかった。現場の教師に内容を決めさせるのはいいが意味の無い学習だったなと個人的に感じる。私がそう感じるのだから世の中みんな感じているのだろう。早く元の教育課程に戻ってほしいの一言に尽きます。
現代の大人によくありがちな『子どもが主役』『子どもが中心』という考え方に真っ向から反論しています。 私見としては概ね賛成です。 子育てを経験していないのでえらそうなことはいえませんが、子どもにはダメなものはダメと大人が教える。 時にはしかることも必要だと思います。 子どもの頃はいたずらをするとよ...続きを読むく近所の親父に怒られました。 現代の希薄な人間関係に警鐘を鳴らしています。
「過度の受験戦争」、「詰め込み教育」、「画一教育」等の教育の暗いイメージに対し、「ゆとり教育」、「総合的学習の時間」、などの新しい学力観のもと次々と教育改革が行われていったが、それは浮き足立ったものだった。過去の暗いイメージにしてもその実状は正確なものではない。 今の日本の教育を捉え直すには改革を...続きを読む導いている教育の理念、(理想)に含まれる論理を取り出し、つぶさに検討していく必要がある。
「過度の受験戦争」、「詰め込み教育」、「画一教育」等の教育の暗いイメージに対し、「ゆとり教育」、「総合的学習の時間」、などの新しい学力観のもと次々と教育改革が行われていったが、それは浮き足立ったものだった。過去の暗いイメージにしてもその実状は正確なものではない。 今の日本の教育を捉え直すには改革を導...続きを読むいている教育の理念、(理想)に含まれる論理を取り出し、つぶさに検討していく必要がある。
さまざまなデータを検証して、「ゆとり教育」が推進されてきた背後にある考え方が、もはや通用しないものになっていることを論じた本です。 戦後、子どもたちの学習時間がどのように推移してきたのかを分析して、子どもたちが過度の受験競争に苦しんでいるという「ゆとり教育」の根拠になっている事実が存在しないことを...続きを読む、説得的に示しています。 また、「生きる力」を育てることをめざす「新しい学力観」とそれに基づく「子ども中心主義教育」が、具体的な手段を欠いているために実効性に乏しいという批判をおこなっています。 「ゆとり教育」の問題が喧しく論じられるようになり、その見なおしがおこなわれた今となっては、すでに広く知られるようになった議論ですが、それにしてもこれほど実際のデータを無視した教育論が推進されてきたことに驚いてしまいます。
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