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より生産的な議論をするために必要なもの、それは問いを明確に意識して、使いこなし、メタレベルで捉える力である。大学生が論文やレポートを書くときはもちろん、社会に出て様々な課題に直面した時、それを「問い」としてとらえ返すことで、解決策に導くことも可能となる。オックスフォード大学では、教授と学生が直接議論し、指導することでその技術を教えている。本書ではその議論を再現し、いかに教え、いかに学ぶかを実例を通して伝えていく。
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Posted by ブクログ
教えるとは、学ぶとはどういう営みなのか。教師が生徒に教えるという上から下へに知識を授けるというような方法をイメージしがちな気がするのだが、果たして本当にそのようなことが可能なのだろうか。自身の経験を思い起こしてみると、教師に教えてもらうことがなかったとは言わないが、本当に学ぶということは自分で本を読...続きを読むみ、話を聞き、調べ、自分の頭で考え、書き記し、まとめ、テストへの回答や文章にするなど何らかの仕方で出力する過程を経ることで学びとしてきたように思う。それゆえ、教師とは教える存在というよりも、生徒が学ぶ方向づけをし、学習のペースを崩さないように見守り、時に調整をしてくれるコーチのような存在なのではないかと考えていた。 本書はオックスフォード大学で実施されているチュートリアルという教師と学生が一対一、あるいは教師一人に対して学生が二、三人で構成する個人指導を文章で再現している。チュートリアルとは、「毎週、小論文を書くための問い(エッセイ・クエスチョンと呼ばれる)と、それに回答するために読むべき課題文献リストが渡される。毎週10冊ほどの著書や論文である。それらを読んだ上で、小論文を執筆する。エッセイでは、教員が出したエッセイ・クエスチョンに、文献リストに示された文献を使って、学生が自分なりの議論を展開し、回答を与える。そして、実際のチュートリアルの時間には、学生が事前に提出したエッセイをもとに、教員との間で質疑応答や議論が行われる」というものだそうだ。 この概要の説明を読んだだけでも、何と贅沢な時間だろうと感じた。そして、そのチュートリアルの再現である本書を読んで、その嫉妬にも似た憧れの感覚はますます強くなった。羨ましい。教員と学生とのやりとりにより、当初学生が発した問いが様々な手法、見方で分解され、より深い問いへと導かれていく様は、学生本人にしてみたら手に汗握る緊張の連続かもしれないが、しかしそれは視野を拡げてくれるとても貴重な経験になる。日常感じ、発された素朴な問いをメタ化し、5w1hで分解し、whyを重ねるなどし、発展させることで、深化させるのだ。教員はそれを導くだけで、実際に深化させるのは学生本人であるところが魅力的である。
楽しいのは、第Ⅱ部のやりとり。 一番印象に残ったのは、“クェスチョンはあってもパズルが無い”というオックスフォードの言い方。確かにそうだ。 学びが深まるためには、そういう知的な面白さが必要だ。 それから、問をブレイクダウンしていくうちに、抽象化したキーワードが浮かび上がってくるプロセス。
何かの書評から手に取ったが、とても興味深い本に巡り会えて感謝。この本のテーマは表紙の言葉で、「学校や大学での学習や研究の場面だけでなく、仕事の場や社会生活の上でも、一面的な見方にとらわれていたり、安直にわかったつもりで終わってしまう議論にならないためにも、問の立て方と展開の仕方を身につけることは役立...続きを読むつ思考力の要なのだ。」とある。オックスフォード大学で行われているチュートリアルという形式の、先生と生徒の一対一の学びを実際に行い、テーマにある問の立て方と展開の仕方を詳細している。先生はもちろん、生徒もレベルが高く、対話形式のまま記載されているので分かりやすい。最後に、少し時間をおいて生徒が振り返った内容もあり、こちらもポイントの理解を深めるのに効果的。
オックスフォード大学での学部生向けの個別指導(チュートリアル)と大学院生向けの研究指導(スーパービジョン)を日本人向けに再現したもの。論理展開の方法や問いの立て方など、具体的に応用できる技術が散りばめられている。受講者による学習レポートも、指導中に感じた違和感なども率直に綴られていて、読み応えがあっ...続きを読むた。 なお、指導の内容が身に付くかどうかは、学生自身の訓練が欠かせないし、「先生は教えることはできますが、後はモチベーションを出してもらうしかない」と言い切っていることは見逃せない。教員が教える技術を磨くことが必要なのは言うまでもないが、学生を良い意味で突き放すことも必要なのだろう(もっとも、突き放された大学生がモチベーションを出すような制度設計が、日本の大学や就職市場に備わっていないのが、大問題なのでしょうが…)。
私の所感では、「ロジカルシンキングをどう実践するか」をテーマにした本だと受け取った。「問いを立て、問いを解く技術」の方がふさわしいように思う。 著者のオックスフォード大学での「チュートリアル」の経験をそのまま日本に持ち込んだ。「チュートリアル」とは、欧米の大学の厳しさの代表格で、ある課題について大...続きを読む量の図書を読んで小論文を執筆し自分なりの答えを出すというもの。例として、「日本の教育は社会の平等・不平等にどのように貢献したのか」を取り上げている。少人数の学生に大学講師が張り付いて手厚い指導や深い議論を行う。 本書の大半は学生と著者の指導・議論で構成される。
<目次> 序章 「問いを編集する」とはどういうことか 第1部 いかに論理を組み立てるか 1日目 抽象と具体によって課題を明確化する 2日目 分析枠組みはこう使う 第2部 自分で解くべき問いを見つける 1日目 問題意識を俯瞰する 2日目 関心をコンテクストにのせる 3日目 キ...続きを読むーワードを探すために 4日目 問からリサーチ・クエスチョンへ 学習レポート~チュートリアルを振りかえって <内容> オックスフォード大学で教鞭をとる苅谷剛彦が、オックスフォード大学留学経験のあるライターを相手に、英国流の課題解決の流れを公開したもの。話は硬いが、子弟の会話で進んでいくので、ポイントは見つけやすい。このような会話をしながら、生徒(学生)を鍛えることができたら理想である。 ①与えられた「テーマ」に対し、自分の賛否を考える。具体例を考える(具体化や例証)。言い換える(概念化)。例える(比喩)などの問いにかたちを示唆する ②キーワードを時間軸で考える。因果関係で考える。 ③課題の大量の文献から、全体のパターンを拾い上げる(全体の構成の形・論理の展開の仕方など)。 高校生にも応用可能なところはあるだろう。
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教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか
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