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穢れた風
風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が発見された。一見、階段を踏み外したための事故死に思われたが、監視カメラに侵入者が写っていたことで、にわかに殺人の様相を呈する。奇妙なことに、社長室のデスクの上になぜかハムスターの死骸が残されていた。これは一体何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに第二の殺人が。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか? 人々の欲望と、巨大な陰謀に呑み込まれる刑事オリヴァーとピア。〈ドイツミステリの女王〉による新たな傑作が誕生!/解説=大矢博子 -
スチーム・ガール
飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。天涯孤独の身であるカレンは、ゴールドラッシュに沸くこの町の高級娼館で“縫い子”として働いている。そんなある晩、町の有力者バントルに追われる少女プリヤが、モンシェリに飛びこんでくる。カレンはプリヤに強く惹かれ、彼女を守ろうとするが、バントルは怪しい機械を操ってプリヤを狙う。さらに、町には娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとい、娼館の女たちと共に立ち上がる! ヒューゴー賞作家が放つ傑作スチームパンクSF。 -
白い久遠
香芝涼子は今日も、閑古鳥の鳴く店でひとり店番をしている。二年前、店主の祖父が病で倒れた際、美術館の学芸員という職と恋人を捨て、実家の『藤屋質店』に戻ってきた。将来に漠然とした不安を感じつつ、看板猫を撫でていると、外国製の陶製人形を男子大学生が持ち込んでくる。男性二人組という質屋には珍しい客に当惑しつつも、品物を預かって貸し付けしたところ、後にそれが盗品だったと分かり……。人間国宝作の萩焼の写し、いわくありげな櫛とかんざし、未発表の藤田嗣治の絵画など、不思議な縁で質屋に持ち込まれた品々を巡る謎、揺れ動く涼子の思いを優美に描く連作ミステリ。 -
女王のジレンマ
公園で見つかった奇妙な死体。70年代のディスコ全盛期の服装で、外傷はないが、怯えた表情をしている。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。死体の男も、妖精界から追放された人間だった。だが、新たな女王になったソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか? マイケルは新米女王のソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈(株)魔法製作所〉の著者の新シリーズ第2弾。 -
初段の壁を打ち破れ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 定石を打って、それで終われば、事は簡単である。盤石と見られる地中に、一手打ち込まれると、状況が一変することがある。周囲の石の配石によって、形勢は動いていく。定石後の形の弱点や手段をあらかじめ研究しておけば、実戦で対処するのは容易いものだ。本書は、「星」、「小目」、「その他」の3部構成で、22の型について説明。読みの幅を広げ、実戦で優位に立ち、成果を上げるのには最適の書である。上達への必携の書である。 -
主に、中国流布石の攻防
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 プロ棋士には、定石と言う概念はないと言われている。当為の局面で最善の手を絞り出して打つのが、プロである。しかしながら、その手は研究され、固定化されて定石となる。新定石と言われるものである。その新定石と布石を簡明に説明し、近年大流行の中国流布石の解説も加えて、現代囲碁の妙味に迫るものである。一読すれば、意外な石の働きに驚かされ、奥深い囲碁の世界を体験できる本書は、益々の上達の拠り所となるはずである。 -
勝負の8割は布石で決まる
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 布石が良ければ、あとの戦いが楽になるのは自明のことである。その為には隅と辺の理解が欠かせない。本書は、三連星や中国流などのシステム布石の基本変化から、小林流等にも言及し、星と小目が関わった布石を重点的に解説した。主に簡明な定石で展開される布石についての解説なので、中級者には強力な武器になり、上級者には改めて布石を見直す契機となるはずである。特に中級者には、理解すれば優れた指針となるであろう。 -
ニューヨークの魔法使い
ニューヨークは変わった街だと聞いてはいたが、これほどとは思わなかった。テキサスの田舎から出てきて一年、いまだに毎日驚いてばかりいる。宙に浮いている妖精や耳のとがったエルフ、教会の屋根にいたりいなかったりするガーゴイル……。こんなの想定外だ。でも、ニューヨーカーたちは振り返りもしない。変なのはこの街? それともわたし? ボーイフレンドはできないし、会社の女上司はヒステリーの二重人格。いい加減にうんざりしていたある日、思いもかけない転職の話が舞い込んできた。でもちょっと待って、うまい話には必ず裏がある。現代のニューヨークを舞台にした、魔法版『ブリジット・ジョーンズの日記』。(株)魔法製作所シリーズ第1弾。 -
死のオブジェ
画廊で殺されたアーティスト。胸の上には一枚のカードがタイトルのように「死」と告げていた。NY市警には、同じオーナーの画廊で12年前に起きた猟奇殺人事件との関連を示唆する手紙が届く。切り刻まれ、オブジェとして展示されたアーティストとダンサーの死体。捜査を担当したマーコヴィッツは、容疑者の自白を信じていなかった。マロリーの再捜査は関係者たちの秘密を容赦なく暴き、閉ざされた過去をこじ開ける。娘の死と同時に失踪した画家の行方は? 膨大に遺されたマーコヴィッツのメモが指し示す真犯人は? 伏魔殿のようなアート業界に踏み込んだマロリーに、市警を牛耳る何者かの捜査妨害が……シリーズ第3弾!/解説=穂井田直美 -
腹中の一手 シマリの周辺から
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一に空隅、二にカカリ或いはシマリ、そして辺への展開、中央への伸長というのが囲碁のセオリーである。序盤にシマリやヒラキを打ち、一応地が確定する。ただそれは一応であって、最終的なものではない。一局の碁は一手毎に形勢が変化する。中盤・終盤にはいろいろなことが起きる。シマリやヒラキに対する狙いや後続手段などを詳細に述べた本書は、直ちに実戦に活かせる内容になっていて、精読・研究して、マスターすれば棋力の向上は間違いない。 -
布石のなかの定石
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 最近のプロの対局は、コミが6目半とかで、白番がやや有利との世評がある。序盤から目いっぱい打たなければ、勝利はない。そこで布石や定石の研究が以前よりも盛んになってきている。従って、対局ではよりシビアな定石が選ばれるようになっている。プロは、常に従来の定石より半目でも1目でも働いた手を考えている。本書は176局の棋譜を使って、その周辺の事情を研究した。高段者には、垂涎の書と言えよう。 -
怪盗の伴走者
帝都を騒がす大怪盗ロータスが盗みに失敗した! 東京は浅草の高層建築「凌雲閣」。その一角に飾られた油絵を盗もうとした怪盗は、番人に見つかり絵を置いて逃げたというのだ。この椿事は記者の高広の耳にも届く。ロータスは高広とも天才絵師・礼とも因縁浅からぬ相手、ただ失敗したとは思えない。さらに凌雲閣を再訪すると予告状が出されたとの情報が入り、高広と礼が調査を始める。同じ頃、彼らが再会した安西はロータス一連の窃盗事件の主任検事となっていた。怪盗と検事、今は敵対関係にあるが、かつては友人であり並んで駆けた時代があった。決別した二人がついに相まみえる! 大好評〈帝都探偵絵図〉シリーズ第4弾。 -
アマンダの影
マロリーが殺された? 部下の報告で検視局に駆けつけたライカーが見たのは、彼女の名前の入ったブレザーを着た別人の死体だった。身元を突き止めたマロリーとライカーは、被害者アマンダ・ボッシュの住居を調査する。くまなく掃除された部屋。消去された名簿ファイル。彼女自身のことを書いたと思われる小説原稿。そして猫――唯一の目撃者? マロリーは復元した名簿を手がかりに高級コンドミニアムに潜入し、容疑者たちに仮借ない捜査の手を伸ばす。上流階級の虚飾の下に澱む策謀と欲望。ひとりの女を死に追いこんだ「嘘つき」は誰なのか? 善悪の彼岸に立つ、非情にして無垢なヒロインの活躍を描く、シリーズ第2弾!/解説=川出正樹 -
哲学者の密室
三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博 -
薔薇の女
フィリップ・モリスをひとつ――紙幣と共に差し出された名刺が、映画女優を夢みるシルヴィーに運命の訪れを告げていた。ささやかな贅沢で祝したその夜更け、自室の扉を叩く音に応じた彼女に賦与された未来は、あろうことか首なし屍体となって薔薇の散り敷く血の海に横たわることだった……。そして翌週には両腕を失った第二の、翌々週には両脚を奪われた第三の犠牲者が。明らかに同一犯人と見做される状況にも拘らず、生前の被害者たちに殺害されるに足る共通項を探しあぐね混乱するパリ警視庁。事件を統べる糸〈ドミニク・フランス〉を紡ぎ出してみせる矢吹駆の、鮮やぐ現象学的推理が織り成す、真相という名の意匠とは?/解説=山路龍天 -
ぬばたまおろち、しらたまおろち
両親を失い、田舎にある伯父の家に引き取られた綾乃には秘密の親友がいた。幼いころ洞穴で見つけた小さな白蛇アロウ。アロウはみるみる成長し、今では立派な大蛇だ。十四の夏、綾乃は村祭の舞い手に選ばれた。だが、祭の当日、サーカスから逃げ出したアナコンダが現れ村は大混乱に。そんななか、綾乃は謎の男に襲われるが、そこに疾風のように箒で現れ、間一髪彼女を救ったのは、村に滞在していた民俗学者の大原先生だった。綾乃はそのまま先生の母校ディアーヌ学院に連れていかれ、そこで学ぶことになるが、そこはとても変わった学校で……。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。/第2回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣 -
007/カジノ・ロワイヤル【井上一夫訳】
英国が誇る秘密情報部。そのなかでもダブル零(ゼロ)のコードをもつものはどんな状況でも冷静に切り抜ける腕ききばかり。ソ連の工作員で、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルが、党の資金を使い込み、カジノの勝負で一挙に挽回をはかろうとしているらしい。それを阻止すべく英米仏三国の共同戦線のもと、カジノ・ロワイヤルに送り込まれたのはジェームズ・ボンド。007のコードをもつ男。華麗なカジノを舞台に、巨額の賭け金をめぐる息づまる勝負の裏で密かにめぐらされる陰謀。007ジェームズ・ボンド登場。映画『007/カジノ・ロワイヤル』原作。/解説=杉江松恋 -
お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険
授業が終われば速やかに帰宅し、成績は平均以上、通学区域で社会奉仕をすべし――帰宅部といっても佐々木幸弘が入学した御出学園の場合、正式な部活動としての規定がある。ベニヤ製の人形が夜な夜な徘徊していると聞いて調査に乗り出したのは、地域の皆さんのためにと燃えたわけではなく単なる成り行きだったが、結果的に帰宅部メンバーの認知度は上がり、相談と称してささやかな事件が持ち込まれるようになる。それなりに、または懸命に、使命を果たすべく奮闘する生徒たち。笑いのち友情ときどき謎の高校生活を描く、軽やかなデビュー連作集。/解説=佳多山大地 -
007/ロシアから愛をこめて【井上一夫訳】
ソ連情報部は、このところの失策続きを、なんとか挽回しようとしていた。そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部。なかでも腕利きのスパイとして知られる、007ことジェームズ・ボンドだった。こうしてソ連の公式殺人機関スメルシュの、ジェームズ・ボンドに対する死刑執行計画が動き始める。舞台はイスタンブール。ヨーロッパとアジアが交わる混沌とした街。ボンドに恋するソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。二重三重に仕かけられた巧妙な罠に、さしものジェームズ・ボンドも、次第に搦めとられていく。シリーズ最高峰の傑作。/解説=戸川安宣 -
わたしの本当の子どもたち
もしあのとき、別の選択をしていたら? パトリシアの人生は、若き日の決断を境にふたつに分岐した。並行して語られるふたつの世界で、彼女はまったく異なる道を歩んでゆく。歴史の歩みも違うそれぞれの世界で出逢う、まったく別の喜び、悲しみ、そして彼女の子どもたち。老境に至り人生をふり返る彼女は、ふたとおりの記憶の狭間で、自分に問いかける――はたして、どちらが“真実”なのだろうか? 『図書室の魔法』と《ファージング》三部作の著者が贈る、感動の幻想小説。全米図書館協会RUSA賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞受賞作。/解説=渡邊利道 -
宝石鳥
神の遣いである宝石鳥の子孫が治めるシリーシャ島。島を訪れた植物学者と恋に落ちた女王は、その身を二つに分け、半身を島に残し、自らは恋人と海を渡った。だが身を二つに分けるなど所詮無理なこと、女王は一枚の肖像画を遺して消えてしまう。そして百年後、島では新たな女王即位の儀式が迫っていた……。不思議な力を持つ仮面の女、女王の魂を引き継ぐ儀式、喪われた半身。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞、死と再生の傑作ファンタジイ。/第2回創元ファンタジイ新人賞選考経過、選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣 -
名探偵・森江春策
名探偵や怪人が登場する推理小説に夢中の小学生・森江春策。彼はある日黄昏の車窓から見つけた《電氣世界館》の看板に惹かれたのをきっかけに、謎の館と老紳士を巡る一夜の大冒険を体験した。やがて中学生となった彼は『黒死館殺人事件』に心酔する作家志望の青年と“存在しない13号室”の謎に挑む。その後も大学の級友の依頼で安楽椅子探偵となって下宿館の密室殺人の真相を見抜き、新聞記事の取材で訪れた廃ホテルの生首の謎を解く――心優しい少年が大人になる間に遭遇し解決してきた数々の不可能犯罪を年代順に収めた、ある名探偵のクロニクル。多彩なシチュエーションとトリックの限りを尽くしたマニア必読の一冊!/解説=太田忠司 -
氷の天使
キャシー・マロリー。ニューヨーク市警巡査部長。主にコンピュータ・ハッキングで発揮される天才的な頭脳と、張り込みや尾行ができないほどの鮮烈な美貌の持ち主。盗みと逃走に明け暮れ、孤独を友とした幼年時代ゆえに心に深い傷を持ち、感情を他人に見せることはない。彼女には善も悪もない。あるのは目的の遂行だけ。里親である刑事マーコヴィッツが捜査中に殺され、勝手に捜査を引き継いだ彼女は、裕福な老婦人ばかりを狙う連続殺人鬼を追いはじめる。怪しい霊媒、大魔術師の未亡人、自閉的なチェスの天才児……奇矯な人物の絡み合いに隠された真実は? ミステリ史上最もクールなヒロインの活躍を描くシリーズ第1弾!/解説=豊崎由美 -
花野に眠る
れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館。ゆったりした時間が流れるのどかなこの図書館でも、季節はうつろい、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。そんななか、図書館のお隣の日向山から驚くようなものが発見され、大騒ぎになる。なんでここに埋められていたの? 気になって仕方ない文子は、真相究明に乗り出す。だけど、謎はそればかりではない。図書館の利用者が持ち込むちょっとした謎は、絵本にお菓子に料理に……と実にさまざま。本の力、そして頼もしい先輩司書たちの力を借りて、文子はすっきり解決! となるのやら。すべての本好き、図書館好きに捧げるやさしいミステリ。/解説=青井夏海 -
忘却のパズル
かつて整形外科医だったジェニファーは、現在アルツハイマー病を患っている。そんな彼女に殺人容疑がかけられてしまう。殺されたのはジェニファーの親友である女性で、なぜか死体の右手は4本の指が切断されていた。手を専門としていたジェニファーは重要参考人として事情聴取を受けるが、病気のせいで記憶が曖昧になっており、体調次第では親友のことさえ思い出せない。彼女の記憶や独白、ノートの文章、介護人や子供たちの伝言など、パズルのピースのように断片的な記述が描き出す驚愕の真相とは。記憶を失っていく語り手が紡ぐ衝撃のミステリ!/解説=吉野仁 -
幻夢の聖域
「あたしの一族は死神に狙われているの。だからそいつを追い払うために、幻魔法師を探している」峠の宿屋で手伝いをしていたハーブラギスに、旅の薬師見習いミリナはそう告げた。だが、ハーブラギスがミリナの旅に同行することを決めたのは、彼女が持っていた金貨のせいだった。遠い昔に消えた王国エディムーンの金貨。ハーブラギスが子供の頃暮らしていた施設で、面倒を見てくれた不思議な女性が持っていた本に描かれていた紋章と同じだったのだ。エディムーンとは何なのか? 第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞後第1作! -
七十四秒の旋律と孤独-Sogen SF Short Story Prize Edition-
〈空間めくり(リーフ・スルー)〉と呼ばれる時空転移技術が開発され、宇宙交易が活発になった未来。紅葉は宇宙貨物船グルトップ号に搭載された人型戦闘兵器。〈空間めくり〉の際に生まれる、人間が認識できない七十四秒の“閉じられた時間”、貨物船を襲撃から守っている。しかし、運行開始から一度も襲撃を受けたことのないグルトップ号の乗組員たちは、紅葉のことを“空焚きのポット”と揶揄し、その存在をほとんど無視していた。自らの存在意義に疑問を持つ紅葉だったが、あるときグルトップ号が〈空間めくり〉中に海賊に襲われ……。応募総数417編から大森望・日下三蔵・長谷敏司が全員一致で選出した、リリカルな宇宙SF。第8回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=加藤直之 -
サマー・アポカリプス
ラルース家事件の傷心を癒しきれないナディアは、炎暑のパリで見えざる敵の銃弾を受けたカケルに同行し南仏地方を訪れる。風光を愛でる暇もなく、心惹かれる青年と過ごす夏期休暇は、ヨハネ黙示録を主題とした連続殺人の真相究明行へと一変する。二度殺された死体、見立て、古城の密室殺人、秘宝伝説、いわくある過去……絢爛に鏤められたモチーフの数々が異端カタリ派の聖地というカンヴァスに描き出されるとき、本格探偵小説の饗応は、時空を超えて読む者を陶酔の彼岸へ誘わずにはいない。口笛が〈大地の歌〉を奏で、二重底に隠された最後のからくりを闡明する瞬間まで、探偵の座を明け渡す矢吹駆。その真意はいずこに?/解説=奥泉 光 -
墓標都市
旧文明を滅ぼした〈大惨事〉から数百年。多くの人々は地上を嫌い、各地に巨大な地下都市国家を築いて暮らしていた。その一つ、ヴィクトリア朝風の階級社会が栄えるリコレッタでは、失われた過去の知識は重大なタブーとされ、政府に厳しく管理されている。そんな中、〈プロメテウス〉なる謎の計画に携わる歴史学者が何者かに殺された。女性捜査官マローンは新米の相棒とともに捜査を始めるが、上層部から妨害が入る。一方、貴族社会の裏側に出入りする洗濯娘ジェーンは殺人現場に遭遇し、謎めいた男アルノーと出会って事件に巻き込まれてゆく……。 -
ブラウン神父の秘密
第四作品集に至っても、未だに驚異的なクオリティーを保つ〈ブラウン神父〉シリーズ。容疑者の詩人の不可解きわまりない行動の謎「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、強烈な真相が忘れがたい「俳優とアリバイ」、常識をはるかに超えたユーモアと恐怖の底に必然的な動機がひそんだ「ヴォードリーの失踪」など全10編を収録する。〈ブラウン神父〉シリーズの精髄ともいうべき逆説とトリックの凄みが横溢する、巨匠チェスタトンにしか書きえない名短編集。【収録作】「ブラウン神父の秘密」「大法律家の鏡」「顎鬚の二つある男」「飛び魚の歌」「俳優とアリバイ」「ヴォードリーの失踪」「世の中で一番重い罪」「メルーの赤い月」「マーン城の喪主」「フランボウの秘密」/解説=高山 宏 -
風ヶ丘五十円玉祭りの謎
夏祭りにやって来た、裏染天馬と柚乃たち風ヶ丘高校の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物してもお釣りに五十円玉が含まれるのはなぜ? 名作『競作 五十円玉二十枚の謎』をモチーフに挑んだ表題作ほか、“若き平成のエラリー・クイーン”が日常の謎に挑戦。学食のすぐ外に放置されていたどんぶりの謎を鮮やかに解く「もう一色選べる丼」、吹奏楽部内でのトラブルを描く「針宮理恵子のサードインパクト」、さらに天馬の妹・鏡華の華麗な謎解きを加えた全5編。『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続くシリーズ第3弾は、痛快推理連作集。/解説=村上貴史 -
エクソダス症候群
すべての精神疾患がコントロール下に置かれた近未来。10棟からなるその病院は、火星の丘の斜面にカバラの“生命の樹”を模した配置で建てられていた。ゾネンシュタイン病院――亡くなった父親がかつて勤務した、火星で唯一の精神病院。地球の大学病院を追われ、生まれ故郷へ帰ってきた青年医師カズキは、この過酷な土地の、薬もベッドもスタッフも不足した病院へ着任する。そして彼の帰郷と同時に、隠されていた歯車が動き始めた。25年前にこの場所で一体何があったのか。舞台は火星開拓地、テーマは精神医療史。俊英による初長編。/解説=牧眞司 -
沈黙の書
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦がはじまる。穏やかな日々は吹きはらわれ、人々は踏み潰され、善き者は物陰に縮こまる。神々は穢され、理は顧みられることもない。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ傷つかず無垢である〈風森村〉に、一人の赤子が生をうけた。〈風の息子〉と名づけられたその赤子が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが、〈長い影の男〉がやってきたとき、すべてが変わった……。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ始まりの物語。 -
ダークホルムの闇の君
魔術師大学総長ケリーダのもとに、山のように寄せられる手紙。魔術師、吟遊詩人、傭兵隊長、はてはエルフや龍まで、誰もが資本家チェズニー氏と彼の巡礼観光団の横暴ぶりを訴えている。彼が40年前に別の世界からやってきて、この魔法世界を観光地にして以来、今や町も畑も荒れ果て、諸国の財政も危機に瀕している。風前の灯の魔法世界をチェズニー氏の手から救うのは一体誰か。ケリーダたちが神殿から授かったお告げは魔術師ダークを名指しした。巡礼観光団の到着を控え、ダーク夫妻と一男一女五グリフィンの子供たちが巻き起こす騒動の顛末は? 現代英国ファンタジイの第一人者が辛口のユーモアをたっぷり盛り込んで語る〈ダークホルム二部作〉第1弾!/解説=妹尾ゆふ子 -
愛おしい骨
【第1位『このミステリーがすごい!2011年版』海外編】十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。家政婦ハンナに乞われ二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、過去を再現するかのように、偏執的に保たれた家だった。夜明けに何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は、眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。これだけの年月を経て、いったい何が起きているのか? 半ば強制的に保安官の捜査に協力させられたオーレンの前に、町の人々の秘められた顔が、次第に明らかになってゆく。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。/解説=川出正樹 -
凍った夏
12月、イーリーの公営アパートで、デクランという男が肘掛け椅子に座ったまま死んだ。閉所恐怖症の彼は扉を外し、窓を開け放したまま寝たために凍死したらしい。自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者のドライデンは疑問をおぼえる。デクランは金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨がたっぷり補充されていた。自殺する人間がそんな行動をとるだろうか? 小さな謎は思いもかけない真相の手がかりだった。ドライデンの丹念な調査と明晰な推理によって少しずつ解かれていく人々の秘密。端正な英国本格ミステリ。/解説=若林踏 -
ミツハの一族
未練を残して死んだ者は鬼となり、村の井戸の水を赤く濁す、そう言い伝えられている北海道・白石村小安辺。このままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。未練の原因を解消し、鬼を常世に送れるのは、“ミツハ”と呼ばれる八尾一族の「烏目役」と「水守」の二人のみ――。大正12年、烏のように黒々とした瞳を持つ、帝国大学医学部に通う八尾清次郎に報せが届く。烏目役の従兄が死んだと。墓参りのため小安辺に赴き、初めて水守の屋敷を訪ねた清次郎は、そこで美しい少女と出会う。過酷な運命を背負わされた二人の姿を鮮烈に描いた連作ミステリ。/解説=太田忠司 -
半妖の子
しとしとと雨降る梅雨の夜、太鼓長屋で養い親の千弥と暮らす弥助のもとに、一人の客が訪ねてきた。化けいたちの宗鉄と名乗る男は、妖怪の子預かり屋の弥助に、八歳になる娘を預けたいという。山奥で、他人と接することなく暮らしていたのだが、母親が亡くなり男手ひとつではどうにもならなくなったのだ。女の子の名はみお。母親が亡くなる少し前から、父に対して心を閉ざしていた。白いお面をつけ、ひたすら周囲を拒絶するみお。だが、弥助のもとに預けられる子妖怪達と接するうちに、みおに変化が……。大人気のお江戸妖怪ファンタジー第4弾。 -
犯罪心理捜査官セバスチャン 白骨
道に迷ったトレッキング中の女性が偶然見つけたのは、泥に埋まった人骨だった。山中に埋められた六人の遺体。大人が四人、子どもが二人。ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕があり、殺されたものと思われる。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。トルケルは迷ったあげく、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場のイェムトランド県に同行する。史上最強の迷惑男セバスチャン再び登場。 -
静寂 ある殺人者の記録
蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作! -
トレント最後の事件
アメリカ実業界の巨人マンダースンが、イギリスにある別邸で頭を撃たれ殺害された。突然の死を受け、ウォール街はじめ世界の投機市場は大混乱に陥る。画家にして名探偵のトレントは懇意の新聞社主に依頼され、この事件を解決して記事にするべく、特派員として現地に赴いた。そこで彼は最重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会うのだった。盟友チェスタトンに捧げられた本書は、独創的な大トリックを有し、恋愛の要素をミステリに持ちこみ成功している。推理小説を旧来の型より大きく前進させ、黄金時代の黎明を告げた記念碑的名作。/解説=杉江松恋 -
穢れの町
月桂樹の館で暮らす男の子ジェームズ。ある日館を逃げ出したジェームズは、フィルチングの町で、決して使うなと言われていた金貨でパンを買ってしまう。それがとんでもない事態を招くとも知らず……。物の声を聞く能力をもつクロッド・アイアマンガーと、勇敢な召使いのルーシー。世にも奇妙で怖ろしい運命に見舞われた二人の未来に待つのは? 堆塵館に何が起きているのか。著者本人によるイラスト満載。『堆塵館』で読書界に衝撃を与えた三部作第二部。/解説=深緑野分 -
ブラウン神父の不信
名作揃いの〈ブラウン神父〉シリーズでも、とりわけ傑作が集まっている第三集が、読みやすくなって、新しいカバーでリニューアル! これを読まずして〈ブラウン神父〉シリーズは語れない傑作「犬のお告げ」、チェスタトンならではの大胆で奇想天外な密室トリックが炸裂する「ムーン・クレサントの奇跡」、濃厚なオカルティズムで後世に多大な影響を及ぼした必読作「金の十字架の呪い」、真相の意外さが光る逸品「翼ある剣」など、珠玉の8編を収録する。ブラウン神父の魅力あふれる名推理をご堪能あれ!【収録作】「ブラウン神父の復活」「天の矢」「犬のお告げ」「ムーン・クレサントの奇跡」「金の十字架の呪い」「翼ある剣」「ダーナウェイ家の呪い」「ギデオン・ワイズの亡霊」/解説=法月綸太郎 -
パンドラの少女
【2017年7月公開・映画『ディストピア パンドラの少女』原作】その少女の名はメラニー。大好きなジャスティノー先生と教室で会えるのを心待ちにして、独房で過ごしている。移動はいつだって車椅子だ。兵士に、手足と首をストラップで厳重に固定されて――。人間の精神を失い、捕食本能だけで行動する〈餓えた奴ら(ハングリーズ)〉によって、滅亡の淵にある世界。だが、メラニーのような奇跡の子供たちが、荒廃した街で発見される。世界を救う鍵を求めて、ロンドン北の軍事基地で子供たちの研究プロジェクトが進められていた――その日までは。一気読み必至のエンターテインメント! -
巨神計画
アメリカの片田舎で少女ローズが発見した、イリジウム合金製の巨大な“手”と、謎の記号群が刻まれたパネル。それらは明らかに人類の遺物ではなかった。長じて物理学者となったローズの分析の結果、その手は6000年前に地球を訪れた何者かが残した、体高60メートル超の人型巨大ロボットの一部分であると判明。そして、謎の人物“インタビュアー”の指揮のもと、地球全土に散らばっているはずのすべてのパーツの回収・調査という、空前の極秘作戦がはじまった。原稿段階で刊行よりも早く即映画化が決定した、巨大ロボット・プロジェクトSF開幕! -
盗賊と星の雫
富める者から奪い、貧しい者に分け与える義賊、黒のジョー。伝説の宝石〈エステラの瞳〉を盗もうとして、彼はギルデアの灰色の騎士に捕らえられてしまう。密偵容疑で激しい拷問を受け、地下牢に幽閉された彼を救ったのは、同じ牢に囚われている謎めいた老人だった……。ギルデアと連合国の戦いは激化し、最果ての国に逃げたリーヴたちにも戦の足音が迫るなか、世界中で次々と未曾有の嵐が起こる。ギルデアに対抗すべくアトーリスが開発した兵器〈氷河〉の影響だった。王子ランドリアは母国の暴走を止めようと奔走するが……。好評シリーズ第3弾。/解説=辺見葉子 -
約束
ロス市警警察犬隊スコット・ジェイムズ巡査と相棒の雌のシェパード、マギーは、とある住宅街で逃亡中の殺人犯を捜索していた。匂いを頼りにマギーがたどり着いた家のなかには、容疑者らしい男が倒れており、さらに大量の爆発物が。同日、同時刻、同じ住宅街。私立探偵のエルヴィス・コールは失踪した会社の同僚を探しているという女性の依頼を受けて調査をしていた。単なる偶然か、それとも? 嘘をついているのは誰か。幾重にも重なる偽りの下に真実はあるのか。警察と探偵、スコット&マギーとコール&パイク、固い絆で結ばれたふた組の相棒の物語。 -
有段者のための囲碁学
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 序盤は、一局の枠組みを決める大事な分野です。実利型から模様型に途中から変えようとしても、それまでに打った石が無駄になってしまいます。アマチュアにはとかく序盤を軽視する傾向がありますが、それでは棋力が上がるにつれ、勝てなくなるときが必ずやってきます。本書は、序盤の常識といえる理論を解説し、プロとアマチュアの実戦を比較することで、悪い点がはっきりとわかるように構成しています。また各テーマごとに練習問題を収録しました。 -
中盤の構想力
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 囲碁に3楽ありと言います。対局の楽しみ、感想戦の楽しみ、他の人の打ち碁を観る楽しみです。特に一流棋士の棋譜鑑賞は、上達には欠かせないものです。本書は、戦闘の起こった中盤で、戦略をどのように立てているのかにスポットを当て、プロの感覚に触れられるようになっています。素材となった対局は、主に2014年から2015年の世界大会です。手順図を載せ、碁盤に並べながら研究できるように構成しています。 -
製鉄天使
辺境の地、東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。荒ぶる魂に突き動かされるように、彼女はやがてレディース〈製鉄天使〉の初代総長として中国地方全土の制圧に乗り出す――あたしら暴走女愚連隊は、走ることでしか命の花、燃やせねぇ! 中国地方にその名を轟かせた伝説の少女の、唖然呆然の一代記。『赤朽葉家の伝説』から三年、遂に全貌を現した仰天の快作――一九八×年、灼熱の魂が駆け抜ける。/解説=大森望 -
魔都
『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』──昭和九年の大晦日、銀座のバーで新聞記者・古市加十に話し掛けてきたのは、来遊中の安南国皇帝だった。奇妙な邂逅をきっかけに古市が皇帝の妾宅へ招かれた直後、彼の眼前で愛妾が墜死、皇帝は忽然と行方を晦ましてしまう。この大事件を記事にしようと古市が目論む一方、調査を担当する眞名古明警視は背後に潜む陰謀に気付き、単身事件に挑む──。絢爛と狂騒に彩られた帝都・東京の三十時間を活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌〈新青年〉の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る。/解説=新保博久 -
青の王
砂漠に咲く奇跡の都ナルマーン。王宮の上空では翼をもつ魔族が飛び交い、豊かな水をたたえた池の中には魚や竜の姿をした魔族が泳ぐ。ナルマーンの王は神に選ばれ、魔族を操る力を授けられたのだ……。そんなナルマーンに住む孤児の少年ハルーンが出会ったのは、不思議な塔に閉じ込められたひとりの少女だった。ハルーンは、自分の名前も知らないというその謎めいた少女を助けて塔を脱出する。だが彼らのあとを、魔族が、そしてナルマーン軍が追いかけてきたのだ! 〈妖怪の子預かります〉シリーズで大人気、気鋭の著者が贈る傑作異世界ファンタジー。 -
シャーロック・ホームズの事件簿(新版)【深町眞理子訳】
「高名の依頼人」をはじめ、「サセックスの吸血鬼」「這う男」など、おなじみベイカー街221Bを訪れる依頼人が持ち込む難事件。あるいは、サセックスのささやかな家に隠遁したホームズを待ち受ける事件……。1887年、『緋色の研究』で颯爽と登場し、たちまちのうちに名探偵の代名詞となるほどの人気を博したシャーロック・ホームズは、4長編56短編で全世界のファンを魅了し、いま鮮やかに退場する。「読者諸君、今度こそほんとうにシャーロック・ホームズともお別れだ!」深町版ホームズ全集、ここに完結。/解説=有栖川有栖※本書は、2017年4月14日新版初版発行の書籍を底本としております。 -
今だけのあの子
結婚おめでとう、メッセージカードを書く手が震える。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった6人しかいない同じグループの女子の中で、どうして私だけ線引きされたのか。呼ばれてもいない結婚式に出席しようとする恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることでつき合う相手も変わる。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり友情は不信感へと形を変えた。めんどうで愛すべき女の友情に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かび上がる傑作ミステリ短篇集全5篇。/解説=大矢博子 -
ニューヨークの妖精物語
俳優を夢見てNYにやってきたエミリーは、念願かなって舞台で主役を獲得し脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を訪れ、踊りを教えてもらったから。今頃になってあのときの対価を支払えというのか? とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。ソフィーは、エミリーの友人の親切な刑事マイケルの追及をかわしつつ、妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。 -
ブラウン神父の知恵
逆説の論理の魔術師チェスタトンを代表する、名シリーズの第2集。トリックの凄みでは、名作揃いの巨匠チェスタトン作品のなかでもトップクラスに位置する「通路の人影」、ポオの「盗まれた手紙」にも比肩する「銅鑼の神」、仮装舞踏会を舞台に神父の心理試験反対論を織りまぜた「機械のあやまち」など、いずれ劣らぬ名作12編を収録する。小柄で不恰好、手にした帽子と蝙蝠傘をまるで大荷物のように扱いかねている――とても名探偵とは思えない外見のブラウン神父が明かす事件の真相は、読む者の度肝を抜く!【収録作】「グラス氏の失踪」「泥棒天国」「イルシュ博士の決闘」「通路の人影」「機械のあやまち」「シーザーの頭」「紫の鬘」「ペンドラゴン一族の滅亡」「銅鑼の神」「クレイ大佐のサラダ」「ジョン・ブルノワの珍犯罪」「ブラウン神父のお伽噺」/解説=巽昌章 -
旧神郷エリシア 邪神王クトゥルー煌臨!
風の邪神イタカを退けたのち、ふたたび時空往還機に乗り探索の旅へと出立したド・マリニーとモリーンがボレアに帰還した。シルバーハットらとの再会を喜ぶも束の間、タイタス・クロウより突然の知らせが入る。最も恐るべき脅威、あのクトゥルーとその邪神どもがついに蠢きはじめた不吉な兆しが見られるという。やつらが決起したら、地球のみならず、全宇宙さえ危うい! クロウがいる善なる旧神たちの地〈エリシア〉へ、なんとしても行かねばならぬ――そう決心したド・マリニーはわずかな手がかりをもとに、エリシアへと急遽旅立つのだが……。〈タイタス・クロウ・サーガ〉最終巻!/解説=鵺沼滑奴 -
花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選
ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。寝室で花嫁の首が刎ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。偶然助太刀した武士の妻の仇討ちに隠された、意外な真相が明かされる「悪女仇討」。時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。【収録作】「雛の首」「禁苑の怪」「悪魔祭」「千両箱異聞」「切腹心中」「皇后悪夢像」「湯殿の謎」「疑惑の棺」「妖異碓氷峠」「家康騒動」「毒と虚無僧」「謎の春雪」「からくり門」「芳香異変」「髑髏屋敷」「狂い部屋」「恋慕幽霊」「美女放心」「消えた兇器」「花嫁首」「悪女仇討」/編者解説=末國善己 -
回想のぬいぐるみ警部
殺人現場に遺されていた、パンダの特大ぬいぐるみ入りの段ボール箱。被害者とは別人の名前で伝票も用意されており、集荷直前に何者かに襲われたらしい。音無美紀警部が、なぜぬいぐるみの購入店で直接配送を頼まなかったのか、をヒントに捜査を進めると、被害者の意外な人間関係と真相が明らかになる――。ますます冴える推理と美貌で周囲や事件関係者を驚かせる音無警部と、その部下たちの活躍を描く全5編。だが、少しずつぬいぐるみへの偏愛ぶりが周囲にも知られ始めて……。新たに強烈キャラクターも加わりパワーアップした、ユーモア本格推理〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ第2弾。/解説=松尾由美 -
魔導の福音
エルミーヌの王都リムリアの王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け、急ぎ故郷に帰った。五年前、妹リーンベルが魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に行ったカレンスにとって、久しぶりの故郷。だが、死を前にした父に託されたのは、余りにも重い“秘密”だった。一方リムリアには隣国ラバルタの魔導士派遣団が滞在、魔導技術の受け入れを巡り、政治的対立が起こっていた。魔導が禁忌とされてきた国エルミーヌで、新たな道を切り開こうとする青年の戦いを描く『魔導の系譜』続編。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作シリーズ第2弾!/解説=大森望 -
ルート66
完璧な美貌の天才ハッカー、ニューヨーク市警刑事キャシー・マロリー。彼女の家の居間に女の死体が一体。それなのに部屋の主は行方不明。自殺ととれないことはないが、マロリーが殺していないとも言いきれない。マロリーはいったいどこに行ったのか? 相棒のライカーはクレジットカードの利用記録から、彼女のあとを追う。マロリーが改造したフォルクスワーゲンを飛ばしているのはルート66、別名マザー・ロードとも呼ばれる道だ。自分が生まれる前に書かれた古い手紙をたよりに辿る彼女の旅が、ルート66上で起きた奇怪な殺人事件と交差する。 -
最良の嘘の最後のひと言
検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望 -
ようこそ授賞式の夕べに
書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。その授賞式の当日、成風堂書店に勤める杏子と多絵が会場に向かおうとした矢先、福岡の書店員・花乃が訪ねてくる。「書店の謎を解く名探偵」多絵に、書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしいという。同じ頃、出版社・明林書房の新人営業マンである智紀にも、同業の真柴を介して事務局長直々に同様の相談が持ち込まれる。華やかな一日に不穏な空気が立ちこめて……。授賞式まであと数時間。無事に幕は上がるのか?! 〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉両シリーズのキャラクター勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。/解説=宇田川拓也 -
玉妖綺譚2 異界の庭
ずっと傍らにいた玉妖くろがねが妖力を失い眠りについて以来、ただでさえ半人前の驅妖師・彩音は、十分な仕事をこなせずにいた。そんなとき、難波コレクションの創り主難波俊之の甥彬良から、コレクションの玉妖で唯一まだ会ったことのなかった蒼秀に会える、との知らせを受ける。異界の知識をため込んでいる蒼秀ならば、くろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれない。彩音は期待を胸に、蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねるが……。心の傷を隠して玉妖がらみの事件に挑む少女驅妖師・彩音。彼女は過去を清算し相棒を取り戻すことができるのか。/解説=卯月鮎 -
ペナンブラ氏の24時間書店
失業中だったぼくが、ふとしたきっかけで働くことになった〈ミスター・ペナンブラの二十四時間書店〉は変わった店だった。まったく繁盛していないのに店名どおり24時間営業で、梯子つきの高い高い棚には、Google検索でもヒットしない謎の本がぎっしり詰まっているのだ。どうやら暗号で書かれているらしいそれらの本の解読に、ぼくは友人たちの力を借りてこっそり挑むが、それは五百年越しの謎を解き明かす旅の始まりだった──すべての本好き、読書好きに贈る冒険と友情、その他もろもろ盛りだくさんの物語。全米図書館協会アレックス賞受賞作。/解説=米光一成 -
バイバイ、エンジェル
ピレネーの旧家デュ・ラブナン家のイヴォンは、スペイン戦争の際レジスタンスに参加し、失踪する。同家の小作人、ジョゼフ・ラルースはイヴォンと行動を共にするが、単独で帰国後、イヴォンから山を贈与されたと主張し、そこに鉱脈が発見されたため裕福となった。二十年後、死んだはずのイヴォンから手紙が届き、裁きが行なわれるだろうと無気味な予告をしてくる。それが現実となって、ジョゼフの次女オデットの首を切り取られた惨殺死体が発見される……。司法警察のモガール警視の娘ナディアと不思議な日本人青年矢吹駆は真相究明を競い合う。日本の推理文壇に新しい一ページを書き加えた笠井潔の華麗なるデビュー長編。 -
失踪者
イングランド南西部の田舎町に住むエレイン・ドーソンは幼馴染みのロザンナの結婚式に招待され、ジブラルタルに向かって出発したが、霧のためロンドンのヒースロー空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪する。何があったのか? 五年の時が流れ、雑誌の元記者だったロザンナはこの事件をはじめとする失踪事件について、調べることになる。当時疑われた弁護士は何か知っているのか? 障害のある兄の世話に疲れたエレインは自発的に姿を消したのか? ロザンナは友人の不可解な失踪事件の調査に次第に深入りしていく……。最後にあなたを待つ震えるほどの衝撃。作品すべてがベストセラーとなる、ドイツ一の人気作家による最高傑作!