魔都

魔都

小説・文芸
1,222円 (税込)

6pt

開催中のキャンペーン

『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』──昭和九年の大晦日、銀座のバーで新聞記者・古市加十に話し掛けてきたのは、来遊中の安南国皇帝だった。奇妙な邂逅をきっかけに古市が皇帝の妾宅へ招かれた直後、彼の眼前で愛妾が墜死、皇帝は忽然と行方を晦ましてしまう。この大事件を記事にしようと古市が目論む一方、調査を担当する眞名古明警視は背後に潜む陰謀に気付き、単身事件に挑む──。絢爛と狂騒に彩られた帝都・東京の三十時間を活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌〈新青年〉の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る。/解説=新保博久

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

魔都 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    体言止めや四字熟語による独特な文章のリズム感がまず印象に残る。読みやすいとは思えないが、講談師の噺を聞いているような気分になってきて、癖になりそう。
    文集は濃く、やたらと多い登場人物は残らず胡散臭く、次から次へと事件がおこり、新事実が後出しされ、筆者自らネタバレする。
    連載物で読者を飽きさせないような仕掛けいうことなんだろうけど、まるで大音響のお祭りを至近距離で見させられているような感じでした。読み終えてなんだかヘトヘト。
    この作品をどう捉えたらよいのか分かりませんが、おかしなエネルギーに満ちあふれた一冊でした。ここは確かに魔都でした。

    0
    2022年11月06日

    Posted by ブクログ

    津原奏水『玻璃玉の耳輪』のようなミステリ仕立ての冒険小説
    のようなが逆でこちらが先だろうけれど
    ミステリとしても警察ものとしても中途半端だが
    昭和9年の時代ものとして充分な筆力
    登場人物たちにも十二分の説得力があり良い意味で辟易させてくれる佳品

    0
    2018年10月17日

    Posted by ブクログ

    探偵小説であり、幻想小説であり、怪奇小説であり、冒険小説であり…ミステリでもある。

    ルポタージュ風の語り口が独特。物語と世界観の妙を引き立てている。毎度、章のはじめに前回の説明があるのだが、作者の言い訳がましい解説やら補足は微笑ましい。

    不可思議な謎はどこへ行く?事件の謎は、大きな拡がりをみせて、あらゆる方向へ…畳みきれないのね。この熱量はどこへ発散しようか笑

    世界にどっぷり浸かり、味わう。に尽きる作品。そこには、ミステリの概念だけでは言い尽くせない、小説の楽しみと感動が詰まっている。

    文体の読みにくさもあり、とても時間がかかってしまった。それだけ長くこの世界を堪能できたことは幸せという他ない。

    奇書の定義はわからない。が、ミステリ好きに勧めるべき作品ではないと思う。

    0
    2017年07月15日

    Posted by ブクログ

    ケレン味たっぷりのB級映画のような味わい。耽美な文体や世界観も相まって唯一無二の作品になっていると思う。私は好き、こういうの。

    0
    2026年05月09日

    Posted by ブクログ

     1937(昭和12)年—1938(昭和13)年の作。
     久生十蘭の比較的初期の頃の、長編小説である。殺人事件の謎を追いかける点でミステリと言えるが、いわゆる本格推理小説の類とは全く違う。
     何しろ、一作ごとに文体も手法もがらっと変えてしまう十蘭は、ピカソもストラヴィンスキーも目じゃないほどの「カメレオン」作家だ。本作では江戸の落語家のような、諧謔を交えた非常に闊達な口調で地の文が語られ、エンタメ小説としてぴちぴちとした生きの良い全体を形作っている。短時間の内に目まぐるしく事件は発展し、二転三転四転五転とどんでん返しが畳みかけられる。ドタバタコメディのようで、ふつうに面白いエンタメ小説だ。さすが十蘭という感じがする。行き当たりばったりに展開しているようにも見えるが、実はかなり緻密な計算に沿って書いているのではないかと思う。
     本作で描き出される大きなゲシュタルトでは、東京という「魔都」においては平凡でちっぽけな一人の「死」の原因を追いかけていくと、それが実は国際上の大問題に関係していたり、思いがけない「裏側の作用」が明らかになっていく。些事と思われたものが全世界に作用していく巨大な作用因でありうるというこの知見は、現在における、経済のグローバル化や移動・情報交換の速度の圧倒的進化、あらゆるものが複雑に絡み合うこの見通しのきかない社会全体の複雑性そのものと、合致しているように思える。そう思ってみると、当時(戦争の機運がいよいよ高まっていた)の東京という都市をテーマとした本作の内容も、今日的になかなか興味深いものである。

    0
    2022年07月13日

    Posted by ブクログ

    この作品は、フォローしている方のレビューから、知ることができました。ありがとうございます。

    一時期、「新本格もの」ばかり、読み耽っていた頃がありまして、私の中で探偵推理小説といえば、それらのようなものだとイメージしてしまう傾向があります。ただ、あまりに読み過ぎて食傷気味になって、今では海外ものや、少々毛色の違うものを読んだりしています。

    いくつか挙げると、島田荘司なら、「御手洗潔シリーズ(ある意味、すごいのは石岡君だと思うが)」、綾辻行人なら、「館シリーズの鹿谷門実」、有栖川有栖なら「火村英生の国名シリーズ」、他にも、二階堂黎人、麻耶雄嵩、等々、細かい差異はあるにしても、個性あふれる探偵がいて、事件に臨み、数々のトリックを見抜き、犯人と対峙して、何かしらの形を残すというスタイルに、安心感のようなものを感じていました。もちろん、どんでん返しも含めて。

    そして、戦前の日本ミステリの三代奇書。
    小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」は、昔、読んだが、難しく感じて、途中で挫折。
    夢野久作の「ドグラ・マグラ」は、現実世界に帰れるか不安なので未読。
    中井英夫の「虚無への供物」は、登場人物たちの推理合戦が面白かった記憶がある。

    一応、上記の三つだと、私は思っていたのですが、中井英夫は戦後の作品なので、代わりに、挙げられるのが、今回の作品、久生十蘭の「魔都」とのこと。

    随分、前置きが長くなりましたが、要するに、読み始めて、この作品も今まで読んできたような探偵小説だと思ったのですよ、途中までは。

    レトロな文体や表現は、最初こそ読み辛かったが、次第に味があるように感じられ、連載当時の作品なので、毎回毎回、前回のあらすじが若干くどいのもご愛嬌。探偵役の「眞名古明」の陰気な雰囲気とは裏腹に、不正に対しては誰よりも厳しい冷徹さと、しつこさを見せる性格と、確かな知識に基づいて手がかりを見つけていく有能さは、魅力十分。更にもう一人、夕陽新聞記者の「古市加十」の冒険にも目が離せない、のだが。

    解説を読んでいくと、ああ、とは思った。そうだよね、と。探偵小説というよりは物語を堪能するものなのかもしれない。しかし、裏切られたというよりは、何が起こったの? といった、どうしていいかわからない空虚な感じと、それでも探偵小説としても成り立つという、意地にも近い、私の思いと。

    そういえば、序盤のページで作者自ら予告していたのを思い出したけど、それがまさか・・途中までは寧ろ、滑稽ささえ思わせる展開だったのに、終盤でいきなり凄惨な感じになったり、主要人物の末路があんなことになるとは・・ここまで書いて、やっと昭和十年の東京を「魔都」としている意味を実感した。どこで何が起こっているのか、殆どの人が知らないことの恐怖を。探偵ものや物語としては、どうかと思う方もいるかもしれませんが、ある意味、驚異、凄さを感じました。しばらく銀座はトラウマになりそう。

    0
    2021年10月05日

    Posted by ブクログ

    昭和9年の大晦日、東京。新聞記者の古市加十は顔なじみの女に誘われたバーで安南国の皇帝と知り合う。連れられるまま皇帝の愛人・松谷鶴子の住まう有明荘を訪ねたのが運の尽き、加十は思いもよらぬ大事件に巻き込まれ、皇帝の影武者をやることに。松谷鶴子の他殺疑惑、公園の噴水の鶴が歌う珍騒動、300カラットのダイヤモンド盗難、有明荘住人たちの痴情などがもつれにもつれて絡み合い、警視庁の切れ者・真名古の捜査は難航する。東京という〈魔都〉だからこそ24時間中に起こりうる出来事をこれでもかと詰め込んだ、豪華絢爛なエンターテイメント。


    十蘭は洒脱。十蘭はドライ。死体がゴロゴロ出てくるのに徹頭徹尾カラッとしている。十蘭の小説のスタイル自体が、この小説における皇帝のキャラクターのようにすっとぼけていると言えばいいのか。
    講談調のリズミカルな語り口と映像喚起力の高い描写でするすると読める。誇張された登場人物たちも、十蘭の手にかかれば類型的でお人形のようであること自体が魅力になる。インヴァネスを翻しながら孤高に捜査する真名古警視と、人をカマかけるのが群を抜いてうまいダンサーの川俣踏絵が好き。会話のうまさは一級品。女同士の啖呵の切り合いは痺れるカッコよさ。
    昭和初期の都市伝説などを知ることで、当時の東京の空気が知れるのも勿論楽しい。建築中のNHK東京放送会館の工事現場から江戸時代に掘られた大伏樋へ通じる暗道を見つけた加十の目に、皇帝が着ている服ボタンから落ちたカーネーションの赤が飛び込んでくるところなど、十蘭の「絵力」を感じる。かつて東京という都市がもっていた煌びやかなダンディズムと軽やかな喜劇の精神をパッケージした、説教も耽美趣味もない痛快な娯楽作。その軽さの裏には豊かさがある。

    0
    2020年08月05日

    Posted by ブクログ

    恩師が久生十蘭の研究をしていたことがきっかけで読む。大好きだった夢野久作と同じ退廃的な時代背景を感じさせる、矛盾だらけの人間臭いミステリ。推理よりも昭和初期の文化や価値観が面白かった。

    0
    2025年01月26日

    Posted by ブクログ

    もちろん私も実際に体験したわけでがないが、昭和初期のある種退廃的でそれでいて活力に溢れた濃密な雰囲気が、講談師の小気味いい調子が聞こえてくるような独特の文体で綴られている。
    肝心の筋は、登場人物が多く冗長で少しとっ散らかっている感もあり、あくまで空気を味わう類の作品か。

    0
    2017年10月05日

    Posted by ブクログ

    新青年での連載版を校訂して出版、ということで作品自体は既読ですが東京創元社版も購入(ありがとうございます)。
    昭和9年の帝都東京が持つエネルギー、群像劇に翻弄されながら物語の中を漂う楽しみ。良いですね。あと、講談調といいますか、作者がチラホラでてくる語り口調の物語(解説では「譚」とふれられてましたが、まさに)黒岩涙香の流れだなぁと思いました。

    表紙のイラストが作品の雰囲気に合ってて凄くステキです。

    0
    2017年05月31日

魔都 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

創元推理文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

久生十蘭 のこれもおすすめ

昆虫図

小説・文芸

昆虫図

無料あり
  • 試し読み

墓地展望亭

小説・文芸

墓地展望亭

無料あり
  • 試し読み

顎十郎捕物帳(上)

小説・文芸

顎十郎捕物帳(上)

顎十郎捕物帳 01 捨公方

小説・文芸

顎十郎捕物帳 01 捨公方

無料あり
  • 試し読み

顎十郎捕物帳(上)

小説・文芸

顎十郎捕物帳(上)

顎十郎捕物帳(上下合本)

小説・文芸

顎十郎捕物帳(上下合本)

海豹島

小説・文芸

海豹島

無料あり
  • 試し読み

あなたも私も

小説・文芸

あなたも私も

無料あり
  • 試し読み

同じジャンルの本を探す