作品一覧 2022/04/29更新 オトラント城/崇高と美の起源 試し読み フォロー ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 千葉康樹の作品をすべて見る
ユーザーレビュー オトラント城/崇高と美の起源 ホレス・ウォルポール / 千葉康樹 / エドマンド・バーク / 大河内昌 ヤン・シュヴァンクマイエルの短編映像で知ったオトラント城奇譚。 ゴシック小説の起源と言われるだけに、騎士道物語とゴシック小説が融合した物凄い異次元というか亜空間を作り出している。 登場人物たちの行動は騎士道物語のものであるのだが、所々で垣間見る怪奇現象や雷、息苦しさすら感じられる城の雰囲気、マンフレ...続きを読むッドの策略はまさにゴシック小説の特徴である。 Posted by ブクログ ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選 J・S・レ・ファニュ / 千葉康樹 素晴らしい。静かでいてひそやかにしっかりと怪奇、不思議が土地の伝承を交えて描かれる。5篇あり、最後の中篇のみ怪奇を利用した悪党が出現するミステリーの表題作。これも悪くないが、自分は短編がとても好き。書かれたのは1800年代でジャンル分けなどなく、いきいきと作者が物語を特別なものとしてではなく、友人の...続きを読むような、身近で親しみ安く、自分の心を癒す大切な物として捉えている雰囲気がはまるー。表紙の感じからして期待薄で読み始めたが、素直にファンだ、また読みたい、と思わせる貴重な作品。 Posted by ブクログ ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選 J・S・レ・ファニュ / 千葉康樹 ゴシックホラーだけでなく、トリッキーなミステリーっぽい作品もあって楽しめた。くどいくらいの背景描写がレファニュらしくていい。 Posted by ブクログ オトラント城/崇高と美の起源 ホレス・ウォルポール / 千葉康樹 / エドマンド・バーク / 大河内昌 「オトラント城」が良かった! 次々と明かされていく謎に、目が点になる。ゴシックロマンだけど、ゴシック要素はそんなに強くないような。 Posted by ブクログ ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選 J・S・レ・ファニュ / 千葉康樹 ・J・S・レ・ファニュ「ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選」(創元推理文庫)を 読んだ。久しぶりのレ・ファニュである。レ・ファニュは怪奇小説作家だと私は思つてゐるから、最後で少し驚いた。実際、訳者千葉康樹による「訳者あとがき」にも、「後年『レ・ファニュ=怪奇作家』という通念ができてしまった...続きを読む」(363頁)とある。私が読んだレ・ファニュはすべて怪奇小説であつたはずで、 私がさう思つてきたのは当然であらう。しかし、実はさうではなかつた。「レ・ファニュは怪奇と超自然だけの作家ではなく、同時代にはむしろ流行のセンセーション・ノベルの一派とも目されていた」(同前)らしい。このセンセーション・ノベル、世の中をあつといわせる事柄や事件を扱つた小説をいふのであらう。 表題作「ドラゴン・ヴォランの部屋」がこれである。これは確かに怪奇小説ではない。サスペンスなのであらうか。ナポレオン直後のフランスを旅行してゐる主人公の一種の冒険譚である。冒険譚といつても、そんなに立派なものではない。危機に陥つて絶体絶命の所で助けられた主人公の物語である。いかにもその時代を感じさせる物語で、私の知るレ・ファニュとはずいぶん趣が違ふが、それでもおもしろい。ただ、最後は急転直下に事件は解決しといふ感じで、いささかあつけない。それまでの伏線やら種明かしやらで、事件そのものは簡潔にといふことであらうか。本書のほぼ半分を占める190頁の作品ながら、事件の解決に当てられた頁は少ない。その過程がおもしろいのだと言へばそれまでで、実際、そこに至るまでの物語がこの作品の眼目かもしれない。かういふのが本来のレ・ファ ニュといふことであるとすれば、それゆゑにこそ忘れられたのではないかとも言へさうな気がする。かういふ作品は現代には合はないと思ふ。レ・ファニュ作としてたまに読むからおもしろいのであつて、かういふのがいくつも並んでしまへば、もしかしたら同工異曲、飽きられてしまひさうである。そんなわけで、怪奇でないレ・ファニュを初めて読んだのであつた。 ・本書は他に4編を収める。私の知るレ・ファニュらしい短篇である。怪奇作家の面目躍如といふところであらう。その中で最も短い「ローラ・シルヴァー・ベ ル」は民話風の佳品、妖精譚である。典拠等不明だが、こんな作品は何らかの民話、民間伝承によつてゐるはずである。ある時、妖精の王子に気に入られた少女が姿を消す。しばらくして、何物かから呼ばれた産婆の婆がその少女の産んだ子をみると「それはまったくの小鬼でした!」(169頁)。少女は妖精に、それもフェアリーではなく、コボルトとかゴブリンの類にさらはれてゐたのであつた。この作品はいかにも民話風、なかなか良い雰囲気である。怪奇小説ではないが、これもこの時代にふさはしい作品である。極端なことを言へば、この2作だけでも十分に本書を読む価値がある。私のあまり知らないレ・ファニュの世界を楽しむことができる。久しぶりに出たレ・ファニュの嬉しい作品集と言へる。ただし、残りがおもしろくないとは言はない。やはりレ・ファニュである。有名作 のやうな見事な怪奇趣味は持たぬまでも、謎に包まれた世界を見せてくれる。「ロバート・アーダ卿の運命」の悪魔に魂を売つた男、「ティローン州のある名家の物語」の妻のある男とそこに嫁いだ娘、これらも時代を感じさせる物語である。そして、それらしい題名である。ただ、個人的には、いささか冗漫な気がする。巻頭作「アーダ卿」にはそんな感じが強い。しかし、これが約半世紀ぶりのレ・ファニュの作品集である。これだけでも喜ぶべきであらう。 Posted by ブクログ 千葉康樹のレビューをもっと見る