静寂 ある殺人者の記録

静寂 ある殺人者の記録

2,240円 (税込)

11pt

3.5

蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!

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静寂 ある殺人者の記録 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2019年09月22日

    トーマスラープ 「静寂」

    副題「ある殺人者の記録」とあるが、殺人者の告白や事件解決の物語ではない。殺人者を否定は していないことに 違和感はあるが、宗教的倫理感と切り離して 死を取り上げている。

    殺人犯 カールが「死とは何なのか」を 確信していく心理過程を経て、生への希望を描いている。タイトル「...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年10月15日

    連続殺人者の物語。
    惹句から、いわゆる犯罪譚めいたものを予想していたら、これがまったく違っていた。
    濃密な人間ドラマだった。
    カールの行いは決して赦されるものではない(大量かつ残酷)。それなのに彼の行いにはどこまでも静けさと厳かさが付きまとう。

    前半の彷徨えるカールの行為も、後半の聖職者となった彼...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年02月16日

    やっぱ学校に行くのは重要だな。好きでなくても仲間って必要だ。耳がとても良い少年が地下で1人で成長。近所の車椅子の老人が教えに来るが、温室のような環境で育ってしまった。人間関係で行き詰まりを見せると、すぐに生命を終わらす。しかも善意と思って。悩まない。考えない。本来子供が学校で教えらたり、衝突したり、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年11月28日

    一気に読んでしまったけれど余韻は今だ続き、
    ドイツの片田舎、主人公カールが佇む丘・沼・森が目の前に広がる。
    カールにとって静寂は魂の救済であり解放であり、
    殺すという行いに何も躊躇はなく、
    宗教の中にも慈愛と暴力の2面があることに疑問を持ちつつも、
    安寧は静寂の中にあると。
    自らの魂の救済は生まれく...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年09月22日

    どんなに小さな音でも聞こえてしまう聴覚を持って生まれたカール。その聴覚ゆえに少しも泣き止むことなく、母親を苦しめ続けた。その原因が分かった両親は、地下のサウナ室を改造しカールの部屋とし、音の聞こえない世界を作り上げた。そこで大きくなっていくカール。しかし、年齢とともに様々な不都合が生じ、カールには休...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2018年11月09日

    異能を持って生まれた人間の生涯を描く傑作が、また一つ誕生した。例えば料理の才で人を操るハリー・クレッシングの『料理人』。あるいは世にも稀なる嗅覚を活かした調香の術を使って、ある野望を果たすパトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』。いずれも寓話的な作品世界の中で、主人公の超人的な才能を描...続きを読む

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