講談社文庫作品一覧

非表示の作品があります

  • アラミスと呼ばれた女
    3.5
    安政3年、坂の町、長崎。「これからの世の中、おなごが通詞になったって、罰(バチ)はあたらねェ」攘夷運動、大政奉還、戊辰戦争……一人、この時代を駆け抜けた女性がいた。男装の通詞、その生涯――安政3年、肥前・長崎。出島で働く父から、英語や仏語を習う10歳のお柳。「うち、お父ちゃんのように通詞になりたかとよ」。女人禁制の職に憧れる幼いお柳の運命は、釜次郎、のちの榎本武揚との出会いによって大きく変わっていく。攘夷運動、大政奉還から戊辰戦争へ。激動の時代に消えた一人の「男装」の通詞。
  • 溝猫長屋 祠之怪
    3.5
    猫まみれ長屋の奥にある祠に、毎朝お参りすることになった溝猫長屋の年長組、十二歳の忠次たち四人。そのお多恵の祠の力なのか、忠次たちは幽霊を感じることができるようになる。桶職人の倅、忠次は「見る」ことが、提灯屋の倅、新七は「嗅ぐ」ことが、油屋の倅、留吉は「聞く」ことができるようになった。将棋盤の職人の倅、銀太だけは何も変わらない。お多恵の祠は、はたして長屋の子供たちの守り神なのか、それとも!?
  • 初めて彼を買った日
    3.6
    もうすぐ28歳の誕生日を迎える瑞穂は、親友の里香からプレゼント代わりにあるカードをもらう。それは「クラブ・パッション」というボーイズクラブのカード。若い男の子が、1時間1万円で何でもしてくれるらしい。瑞穂は女性にとっての最高の年齢を27歳だと思いこんでいた。ところがその1年間をセックスどころかキスさえ1度もせずにあと10日で終えようとしているのだった。瑞穂は迷った末にクラブ・パッションに連絡し、ビルの高層階のレストランで相手を待った。現れたのはリョウという、大学生くらいの清潔感のある男の子だった……。大人気「娼年」シリーズのプレストーリーとなる表題作を含む9編を収めた、セックスにまつわる愉悦の世界を美しく楽しむための魅惑の短編集!
  • 言葉を離れる
    4.3
    ワールドワイドに活躍する美術家が80歳を超えてなお創作する心の軌跡を、想定外の半生を振り返り綴ったエッセイ集。講談社エッセイ賞受賞作。 【目次】 1 宿命に気づく時 2 肉体が感得するもの 3 鍵の在処 4 観察の技法 5 波乱の始まり 6 想定外の連続 7 買書の心得 8 三島由紀夫の冷静 9 地獄と天国のジェットコースター 10 インドからの呼び声 11 小説と画家宣言 12 「ディオニソス」の饗宴 13 ラウシェンバーグの軽やかな芸術 14 滝のひらめき 15 運命を手なずける 16 映画の手がかり 17  少年文学の生と死 18 言葉を離れる 19 自分の中の革命
  • いのち
    3.3
    腰椎の圧迫骨折で入院し、さらに胆のうがんが見つかった。手術を即断し、秘書・モナに付き添われて寂庵に無事帰還したのは92歳のとき。頭に去来したのはなぜか98歳で亡くなった宇野千代さんや、岡本太郎氏とその秘書、そしてこれまで因縁の生じた男たちのことだった。分けても、日本を代表する女性作家となった河野多恵子氏と大庭みな子氏、二人との強固な結びつきは「作家の業」を浮かび上がらせ、死に際の別離はタイトルにふさわしい「生と死の様」を考えさせる。95歳にして最後の長編小説が結実。
  • 師弟
    5.0
    1990年代、常に巨人と優勝争いを続けたヤクルト。 戦力に恵まれないヤクルトを率い、見事、黄金時代を築いた「最強の師匠」野村克也。 その「最高の弟子」で、五輪では二度、日本代表キャプテンを務めた名選手・宮本慎也。 二人の“授業”が再び実現。 プロとして生きていくための心得とは? 弱者の戦法とは? 野球だけでなく、仕事や人生にも通じる、至高の対話。
  • 十津川警部 山手線の恋人
    3.5
    有楽町の出版社に勤める星野は、山手線で見かける美女に憧れ「山手線の恋人」と呼んでいた。星野は、物故作家の作品を再び刊行するために、その作家の娘を捜す過程で見た顔写真が「山手線の恋人」と似ていることに気づく。田町と品川間の山手線新駅工事現場近辺での脱線や、爆破予告などが続けざまに起き、そこにも彼女の影が。そして捜査にあたる十津川警部を嘲笑うかのように、新たな事件が発生する。 密かに想う女性が犯罪者なのか。「恋人」の正体は?十津川警部が 連続犯罪の真相に迫る!
  • 日本橋本石町やさぐれ長屋
    4.8
    日本橋本石町にある弥三郎店の住人は事情をかかえた人たちばかりだ。気になる相手ができたと思えば出戻りだったり、旦那が勤め先から帰ってこなかったり、あげくの果てには店立ての噂が持ち上がる! 日本橋本石町に弥三郎店と呼ばれる長屋があった。事情を抱えた住人ばかりが住んでいて――。 心温まる江戸人情を描いた連作集。 「時の鐘」 真面目一徹、そろそろ嫁をと周囲から勧められる鉄五郎。そんな鉄五郎に気になる相手が現れたのだが、若くして出戻ったおやすという莨屋の女だった。 「みそはぎ」 おすぎは、老いた母親の面倒をみている。ある日、勤め先の井筒屋に見慣れぬ男が来るようになった。 「青物茹でて、お魚焼いて」 おときの旦那は錺職人。次第に泊まり込みの日数が長くなり、しまいにはひと月にもなった。 「嫁が君」 おやすはずっと旦那が家にいるおひさのことが羨ましい。ある日、この旦那が寄せ場からきた人物だと噂になる。 「葺屋町の旦那」 おすがのかつての奉公先の倅が、弥三郎店にやってきた。どうやらこの倅、わけありのようで。 「店立て騒動」 弥三郎店が店立てに?! 住人は緊急事態にてんやわんやの大騒ぎ。どうにかこの事態をとめられないか。長屋の住人が一致団結して行ったことは。
  • 南部芸能事務所
    3.9
    1~5巻704~792円 (税込)
    大学2年生の新城は、親友に誘われて見た「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、その日のうちに芸人を志す。漫才の相方探しをするうちに、女芸人の津田ちゃんから、同じ大学に通う溝口を推薦されるが……。弱小お笑いプロダクションを巡る愛すべき人々を、誰にも書けない筆致で紡ぐシリーズ第1弾!
  • 繁あね 美しい女たちの物語
    -
    繁あねは女のエッセンスである。――山口瞳(作家)艶やかに、ときに凜とし、ときに意地悪く――。作家が見つめた女という生き方とは。木場の畔に暮らす作家の私。釣竿をおろす私に突然声をかけてきたのは、繁あねだった。年は十二、三、妹と二人両親に捨てられ、肌にはひどい腫れ物があり、その生い立ちのため人に対して好戦的であることから、町でもその娘を引き取る者はいなかった。少女から女に変わる途上の繁あねとの会話を通し浮かび上がる、その生の在り方や人間の美しさ。表題作「繁あね」のほか、「この女とは一緒にいてはいけない……」そう思い別れた女・おさんへの複雑な思いから、その消息をたずねる男。おさんは、移り住んだ家に次々に男を引き込んでいると聞くが……。女の生を通し、人の心、男女の想いのありようを艶やかに描き出した名作「おさん」など。女性の美しさ、その生の在り方を艶やかに描く名作七篇。
  • 産まなくても、産めなくても
    3.8
    妊娠と出産にまつわる、女性にとって切実な話題を切り取った七つの物語──「第一話 掌から時はこぼれて」39歳の女性弁護士が、ふとしたきっかけで知った卵子凍結の情報に、心が大きく揺さぶられて……。/「第二話 折り返し地点」妊娠よりもオリンピック出場を優先してきた女性アスリート。レース前、胸に去来したものは?/「第三話 ターコイズ」不妊治療中の女性たちが集うイベントで、子宮の劣化の話を聞いて愕然となり……。/「第四話 水のような、酒のような」バブル時代に独身生活を謳歌した男が、不妊治療のクリニックで思わぬ宣告を受け……。/「第五話 エバーフレッシュ」妊娠をめざすのか、仕事を優先するのか。女性の厳しい現実に対応する、新しい社内制度とは?/「第六話 五つめの季節」三度目の流産で子供をあきらめかけたとき、養子縁組のことを知り……。/「第七話 マタニティ・コントロール」近未来。不妊治療や子育て支援に大きな予算が投じられ、妊娠は政府によって制御されようとしていた。
  • 昭和探偵1
    3.0
    アイドルの水着、ディスコ・クィーン、汲み取り便所……昭和に置き忘れた謎を追え。西新宿の雑居ビルで開業22年のおっさん探偵・熱木地潮に、起死回生(?)の依頼が舞い込む。テレビ局の友人が特番「昭和探偵」に協力してくれというのだ。お題は絶世の人気を誇ったモデル、アグネス・○○が落とした水着を捜すこと! 懐かしい昭和の謎を、ユーモアたっぷりに解き明かす新シリーズ。
  • サンティアゴの東 渋谷の西
    3.4
    遠く離れた南米チリで。瀬戸内海に浮かぶ島で。雑踏の渋谷で。あの何気ない出会いは運命だった。静かな感動が降り積もる六編。
  • 幻想寝台車
    3.6
    家を出て行った恋人へのあてつけに、睡眠薬を大量に飲んだ篠原多聞。死ぬつもりはなかったのに、目を覚ますとそこは……死神の村。しかし多聞がここに来たこと自体が手違いだと言われ、現世に戻るための旅がはじまった。<文庫書下ろし>
  • 時代ミステリ傑作選 逃亡記
    4.0
    突如、命を狙われた武士とそれを助ける女。男が明かされた自らの素性と軍用金を巡る藩内の権力闘争。大きな渦に巻き込まれた武士は……。表題作にして名作「逃亡記」、南町奉行所を舞台に、左官職人を殺めた罪で投獄された女の取り調べを行うなかで浮かび上がる深川・しじみ河岸に生きる人々の姿を鮮烈に描く「しじみ河岸」など。市井に生きる人々の息づかい、生活、そして生き様を活写した名手の筆が光る江戸ミステリの傑作六篇。
  • やがて海へと届く
    3.8
    すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。
  • 新装版 はやぶさ新八御用帳(一) 大奥の恋人
    4.0
    如法暗夜――お鯉の家からの帰路、新八郎は辻斬りの現場に遭遇する。殺されたのは本石町鶴丸屋の当主・清兵衛。下手人を追う最中、今度は成子坂で首無し死体が見つかった。二つの殺人を探索する新八郎は、それらの死が大奥へと結びつくことに気づくが……。男子禁制の園に秘められたものとはなにか。
  • 小説 昭和元禄落語心中
    4.0
    昭和初期、落語の世界に入った八雲は、同期入門の落語の天才・助六と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏は、成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎とともに、両親の死の真相に迫る。
  • 小説 透明なゆりかご (上)
    3.5
    1~2巻704~726円 (税込)
    看護学科に通う高校3年生のアオイは、夏休みに産婦人科医院で看護助手のアルバイトを始めた。中絶の現場やその後処置を目の当たりにし、初めは戸惑いながらも、出産に立ち合い、次第に命の重みや輝きを感じ始める。
  • 珠玉の短編
    3.0
    恋愛、友情、自尊心――人間の欲望の行き着く先は、グロテスクでブラックで愛おしい!主人公の奈美は、孝一と虹子という夫婦と親しくしている。しかし、孝一が出張中の雨の日を境に、三人の関係は歪み始める。川端賞受賞作「生鮮てるてる坊主」や"珠玉"という惹句に取り憑かれてた作家・夏耳漱子。やがて頭の中で珠玉たちが地位向上と種の保存を騒ぎ出し……!? 表題作「珠玉の短編」など、短篇小説の名手が贈る11編の絶品。
  • 青嵐 見届け人秋月伊織事件帖
    3.7
    伊織、けじめの「見届け」を描く文庫書下ろし完結巻!「押し込みをやる悪い奴らの情報がある」見届け人志願でだるま屋を訪ねた男は、食い詰めた大店の息子・巳之助だった。生き別れの母との再会を願い、仕舞屋で下働きする巳之助は、伊織が探索する、世間を震撼させた悪党一味につながっていた。伊織、けじめの「見届け」と母子の悲縁を描く感涙のシリーズ完結巻。
  • 旅猫リポート
    4.8
    この絆は、恋愛を超える。カギしっぽのナナと心優しい青年サトルの、最後の旅の物語。※本作品は文藝春秋、講談社で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
  • カルマ真仙教事件(上)
    4.0
    1~3巻704~726円 (税込)
    平成最悪のテロ事件を描く、注目の全三巻。警視庁公安部OBの鷹田正一郎は絶句した。カルマ真仙教元信者の死刑囚が、秘かに五億円もの金を残していたらしい。その大金は、とある貸金庫に眠っているという。死刑囚とは誰なのか。それは教団の隠し財産なのか。二十年の時を経て、鷹田は孤独な捜査を開始する。
  • 影憑き 古道具屋 皆塵堂
    3.0
    紙問屋の大店でさんざん甘やかされて育った円九郎は、悪友の菊三郎、金吾にそそのかされて賽銭泥棒したり、悪さばかり。ついに実家を追い出され、皆塵堂に居候することになったが、気合いばかりで失敗ばかり。おまけに黒い影や生首を見たり、恐怖におののく。そして、菊三郎が溺死したと金吾が報せに来る。誰かに恨みは買っていても不思議ではない円九郎に危機迫る。皆塵堂の伊平次たちは、放蕩息子の円九郎を再生できるのか?
  • 御三家が斬る!
    3.0
    宝永地震に富士山の噴火。復興に苦しむお伊勢参りの要所・石部宿で、百姓衆の諍いを治めた旅の浪人徳田新之助は、圧政を敷く代官との交渉役を引き受けることになるが……。使い手の男前若侍と、色事好きのお節介な爺さん。ひょんな縁から行き会った三人の正体とは? 痛快世直し道中記開幕!<文庫書下ろし>
  • アフターダーク
    3.5
    「エリは今、眠っているのよ」とマリは打ち明けるように言う。「とても深く」「みんなもう眠ってるよ、今の時間は」「そうじゃなくて」とマリは言う。「あの人は目を覚まそうとしないの」真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。4人の男女はそれぞれの場所で、夜の闇のいちばん深い部分をくぐり抜ける。村上春樹の転換点を示す長編小説。
  • 祟り婿 古道具屋 皆塵堂
    3.0
    店主の伊平次が曰く品ばかり仕入れるため、古道具屋皆塵堂は怪異騒動が続き、評判になっていた。ところが幽霊や呪いの類をまったく信じないばかりか、幽霊が見える太一郎を敵視する男、連助が皆塵堂の新たな押しかけ奉公人に。連助はなぜそこまでかたくなに幽霊を拒むのか。怪異騒ぎのインチキを暴こうとする連助自身、大店の婿入りを控えていた。その店の婿はなぜか短命続き。連助が何かに祟られていることを心配する面々は!?
  • シモネッタのどこまでいっても男と女
    5.0
    「暑かったから、博徒の妻に」なって以来、"罵倒観音"と言われつつも、年齢を重ねた後の拠り所は、結局互いに耐え抜いた夫婦だけ。「どこまでいっても、あ~夫婦」。ついに、極秘にしていた夫のことをつまびらかに。加えて、子、嫁、父母、姑といった個性溢れる家族のこと、人生を悲喜こもごもに彩った忘れえぬイタリア男たちを語ったお蔵出しエッセイ。イタリア語会議通訳にして名エッセイストの著者による抱腹絶倒の人生劇場。
  • 一九戯作旅
    4.0
    物書きになろうと三十歳を目前に江戸に出た十返舎一九は、『東海道中膝栗毛』で人気戯作者となり、原稿料だけで生活する本邦初の作家となる。その旅路で蔦重に励まされ、写楽に嫉妬し、京伝を羨んだ。人は何を面白がり何を笑うのか。飄飄とした語り口の中に革命児の慧眼と心意気を見る、稀代の流行作家の人生絵巻。
  • 霊感検定
    3.8
    1~3巻704~748円 (税込)
    成仏できない女子高生の霊を救え。きっと泣ける、限りなく切ない、癒し系青春ホラー転校生の修司は風変わりな司書・馬渡に、図書室の奥で奇妙な試験「霊感検定」を無理矢理受けさせられる。霊検3級で霊に取り憑かれている、と診断された修司。脩司の肩に漂う霊気を優しく払うのは、クラスメイトの不思議少女、霊検準1級の空だった。「霊研」所属の生徒たちと、成仏ができない霊たちが織りなす癒し系青春ホラー。
  • チマチマ記
    3.5
    宝来家で飼われることになった迷いネコ兄弟のチマキ、ノリマキ。大きな洋館に住むこの大家族は、ちょっと複雑な関係ながら皆個性的で仲が良い。そしてこの家にはいつもいい匂いが漂っている。それは、専業料理人である息子のカガミさんが作る毎日の料理。春野菜のドライカレー、豆乳チキンスープ、里芋あんの桃まんじゅう……家族の健康を考え、美味しくて体にいい食事を作り続ける。そんな彼が気になるのは、居候の桜川くんだが。
  • 幻想温泉郷
    3.7
    登天郵便局は、亡くなった人が成仏する前に寄る郵便局。来た人は貯金窓口のオンライン端末で生前の善行を「功徳通帳」に記入し、地獄極楽門をくぐって次の世へと渡る――はずが、門の手前で突然消える人が続出。成仏できない人たちは、どうやら生前、罪を洗い流す温泉に入っているらしい。占い師によると、その温泉郷を探し当てるにはふたご座B型の女性が必要だという。それはまさに、探し物が得意なアズサのことだった。
  • バードドッグ
    4.2
    「謎解きはどうでもいい、犯人は俺が決める」容疑者は全員、アリバイなし、動機ありのヤクザたち。日本最大の暴力団、菱口組系の組長が姿を消した。殺されているのは確実だが警察には届けられない。調査を依頼された元ヤクザの探偵・矢能。容疑者は動機充分のヤクザ達。内部犯行か抗争か。だが同じ頃、失踪に関わる一人の主婦も行方不明になっていることが発覚する。最も危険な探偵の、物騒な推理が始まる。
  • 恋路ヶ島サービスエリアとその夜の獣たち
    3.0
    「静かな夜には口笛を吹きたくなる奴がいるものです。口笛が聴こえる夜は、もうすでにいつもの夜とは違いますからね」 四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉の売り子になると、一年以内にプロポーズされるという伝説がある。その伝説を信じるでもなく信じている理代子は、ある夜事件に巻き込まれていく。人生の小休止=サービスエリアに集まった"獣"たちが繰り広げるポップでちょっとシリアスな長編ミステリ。
  • スプートニクの恋人
    4.1
    「すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世につなぎ止めていたのだ」 「旅の連れ」という皮肉な名を持つ孤独な人工衛星のように、誰もが皆それぞれの軌道を描き続ける。 この広大な世界で、かわす言葉も結ぶ約束もなくすれ違い、別れ、そしてまたふとめぐりあうスプートニクの末裔たちの物語。
  • 踊る人形
    3.3
    身体を自在に着脱できる人形男がどこまでも追ってくる! 目的は、自分の生みの親である博士にもう一体動く人形(ゴーレム)を作らせること。これに対し少年探偵隊は、唯一の弱点である頭部内の「命を生む紙」を入手しようとする。しかし、ようやく目にしたのは聞いたのとはまったく違う文字だった! 周到な論理によって構築された極限状況ミステリ。
  • イーヨくんの結婚生活
    3.9
    五人兄弟の長男をとつぜん亡くした夏目家の通夜に、長男の婚約者を名乗る妊婦が現れた。親代わりに五人を育てた伯父夫婦の苦肉の策は、どんな頼まれごとでも「いいよ」と引き受ける末っ子・伊代太との無茶ぶりすぎる結婚! 圧倒的人気「猫弁」シリーズ著者真骨頂、涙と感動のラストがあなたを待つ。
  • 津波と原発
    4.7
    被災者の肉声を横軸に、現地の歴史的背景を横軸に紡ぎ、各メディアから高い評価を得た東日本大震災ルポルタージュの傑作を文庫化。あの未曾有の大災害の、一週間後に津波に襲われた被災地各所を、一ヶ月半後には福島第一原発周辺の立ち入り禁止区域内を緊急取材した筆者が見たものとは――。「あのとき、何が起きたのか。何が問題になっているのか。佐野さんにしか表せない、骨太な文章に心を打たれた」(解説・菅原文太)
  • ダライ・ラマとの対話
    4.3
    「利他的な社会はあり得るか」「私たちの人生において1番大切なもの」「怒りは悪か」「心の科学としての仏教」「慈悲の実践」「愛と執着の区別」「利己主義と自己嫌悪」「他者依存と悟り」……。仏教を、宗教として、というよりも、より良く生きるための「智慧」「哲学」として学びたい人へ、激しくも熱い対論集。
  • 密封 奥右筆秘帳(一)
    3.6
    立花併右衛門は江戸城の書類決裁に関わる奥右筆組頭。権勢を誇った田沼意次の孫意明の死亡届を見て、12年前の田沼意知刃傷事件に疑念をはさむ。その帰路、何者かの襲撃を受け、隣家の次男柊衛悟を護衛につけるも、2人はすでに幕政の闇の渦中にあった。読み応え抜群、気鋭の新シリーズ開幕。2009年この書き下ろし時代小説がすごい! 第1位。(講談社文庫)
  • 待ってる 橘屋草子
    3.3
    「藪入りには帰っておいで。待ってるからね」母の言葉を胸に刻み、料理茶屋「橘屋」へ奉公に出たおふく。下働きを始めたおふくを、仲居頭のお多代は厳しく躾ける。涙を堪えながら立ち働く少女の内には、幼馴染の正次(しょうじ)にかけられたある言葉があったが――。江戸深川に生きる庶民の哀しみと矜持を描いた人情絵巻。
  • 迎え猫 古道具屋 皆塵堂
    3.5
    幽霊が見えるが猫が苦手の太一郎と、猫好きだが長屋では飼えない巳之助。巳之助の知り合い、幸七の仲間がなぜか次々と首を括った。祟りに怯える幸七に、鴨居の前で何を見たのか、太一郎が態度を急変させる。その理由は? 騒動のたびに皆塵堂の猫が増えていく。猫に囲まれて暮らしたい巳之助は、その野望実現が目の前に!? 怪異と猫の皆塵堂に集うのも祟られたり呪われた者ばかり。ひとり呑気なのは、釣り三昧の主・伊平次だけ?
  • ソングス・アンド・リリックス
    3.0
    1巻704円 (税込)
    人気作詞家zoppの書き下ろし小説。学校帰り、明は渋谷で路上ライブをしている同級生の里美と出会う。彼女が見守る中、初めて作った歌詞で文化祭の舞台に立つが大失敗。成績も低迷し、見かねた親に行かされた留学先のアメリカで、明は作詞の魅力を再発見する。夢へと向かう作詞家のたまごに人気作詞家が自身の思いを込めて綴った青春音楽小説。
  • 嶽神列伝 逆渡り
    4.3
    あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとして――。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。<老渡り>月草は殺戮の山野に独り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは思いがけない善意と信じ難い我欲。大人気「嶽神」シリーズ中、屈指の感動作。『逆渡り』改題。
  • 存在しない小説
    4.0
    アメリカ、ペルー、マレーシア、日本、香港、クロアチア……。世界のさまざまな場所から『存在しない小説』というウェブサイトに届いた小説は、それぞれ見知らぬ土地の風土が匂い立つような文体で、そこに生きる人々のドラマを鮮やかに描き出していく。「存在しない作家」たちによる、魅力あふれる世界文学。
  • 私がいないクリスマス
    3.3
    家族だから、嘘をつく。突如として宣告された進行癌。三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。終始ツキのなかったこれまでの人生。朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた父親のことを思い出す。嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。現代版「クリスマス・キャロル」がここに。泣ける、笑える、面白い!すべてを堪能できる作家、それが加藤元。
  • 新装版 北斗の人(上)
    4.3
    私の志は、剣を磨くだけではなく、一流を興すこと。北辰一刀流を興すには他流と優劣を競い打ち負かした上で、他流よりも優れているという世評を確立しなければならない――。江戸末期、最強の剣豪といわれた千葉周作が、若き日の野望を現実のものとするまでの修行、戦い、心理を克明に描く傑作時代長編。
  • 新装版 播磨灘物語(1)
    3.6
    黒田官兵衛。戦国時代末期の異才。牢人の子に生まれながらも、22歳にして播州・小寺藩の一番家老になる。だが、「この程度の小天地であくせくして自分は生涯をおわるのか」という倦怠があった。欲のうすい官兵衛だが、「広い世界へ出て、才略ひとつで天下いじりがしてみたい」という気持ちは強かった。
  • 幻想探偵社
    3.6
    「自分」を見つけたいときは、この探偵社へ。ただし、幽霊限定ですーー。野球部を休部中の中学二年生、海彦は落とし物をした同級生のユカリを追いかけて「たそがれ探偵社」にたどりつく。そこは幽霊専門の探偵社で、海彦とユカリは、ヤンキー姿の幽霊、大島の頼みを解決することに。ふたりの通う中学校のある伝説も気になりはじめーー。やんわり恐怖&癒しファンタジー、待望の4作目。
  • 見てきたように絵で巡る ブラッとお江戸探訪帳
    3.0
    身の丈に合った経済圏で生活を営むかたわら、花見や宴会、旅も楽しんだ江戸時代の庶民たち。当時、好んで読まれた娯楽小説=草双紙や名所図会に描かれた日常の図版を、ふんだんに掲載。知恵と工夫にあふれた意外に快適な暮らしぶりを、旅するようにご案内! 『江戸っ子は虫歯知らず? 江戸文化絵解き帳』改題
  • 美都で恋めぐり
    3.0
    彼氏と同じ大学を目指しながらも、受験に失敗し、従叔父(いとこおじ)のいる大阪の大学に入ることとなった友恵。挨拶へ赴くと、従叔父は「黒衣」と呼ばれ、大学教授の「殿下」、女装の大学生「サカイ」と、たこ焼きパーティをしていた。その3人らと大阪ミナミ、京都・東寺の弘法市などを巡った友恵は、美男子で頭脳明晰だが、やけに無愛想なサカイのことが気になっていく……。
  • 希土類少女
    3.7
    高純度のレアメタルを生成する能力を持つ冴矢。症状が発見された少女は、産業を潤わせる一方、25歳までしか生きられない。そんな冴矢の絶望的な日常は施設職員・江波との出会いで変わり始める。だが、やがて二人はコミュニティ全体の命運を左右する決断を迫られるのだった――。限られた時間を生き、運命と対峙する少女の、儚くも美しいSF長編。
  • 家族写真
    3.5
    ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。
  • 蔵盗み 古道具屋 皆塵堂
    3.6
    小間物屋の大店の手代だった益治郎は、若旦那を差し置いて跡継ぎにと期待されるほどだった。だが盗みの濡れ衣を着せられ追放され、その恨みにつけこんだ盗人甚左に仲間になることを約束する。甚左は皆塵堂の"開かずの蔵"に目をつけ、益治郎は皆塵堂に入り込む。ところが幽霊やら憑きものばかりの皆塵堂で、呑気な伊平次たちのペースに益治郎は巻き込まれていく。そんな益次郎を心配する娘がいるのだが!? 快調人情怪談騒動記。
  • 光る牙
    3.7
    厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き、険しい山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺され事件は一件落着したかに見えた。しかし、噛み跡はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛隊の、期待の大型新人による傑作山岳小説。
  • 古道具屋 皆塵堂
    3.8
    跡取りとされた弟の急死で、浅草の道具屋に呼び戻された太一郎。道具屋をやり直すには年を食いすぎている太一郎は、深川の古道具屋皆塵堂で修行することに。太一郎には、幽霊が見えるという人に言えない秘密があった。だが皆塵堂にあるのは、首吊りや夜逃げのあった家から持ち込んだ、いわくつきの品ばかり。見たくもない幽霊と向き合う日々が始まった。そして向島の猫屋敷で、太一郎は封印していた幼い日の記憶をよみがえらせる。
  • ロカ
    4.0
    長らく文庫化されなかった、中島らも、最後の小説。天才が予見した自らの未来は。作家・小歩危ルカ、六十八歳。巨額の印税を得て以来、新宿のホテルで一人暮らし。相棒はWネックのギター「ロカ」。あとは酒と大麻と鮟鱇鍋。「IQが185もあると予知能力が備わる。だから私の予知したことは、ほぼ、九十六パーセント当たるんだ」。著者が急逝直前まで書いていた、問題の近未来の私小説。
  • びっくり館の殺人
    3.5
    あやしい噂が囁かれるお屋敷町の洋館、その名もびっくり館。館に住む少年と友だちになった三知也たちは、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののくが……クリスマスの夜、ついに勃発する密室の惨劇! 悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!? ミステリーランド発、「館」シリーズ第8弾、待望の文庫化。
  • マドンナ
    3.9
    人事異動で新しい部下がやってきた。入社4年目の彼女は、素直で有能、その上、まずいことに好みのタイプ。苦しい片思いが始まってしまった(表題作)ほか40代・課長達の毎日をユーモアとペーソス溢れる筆致で描く短編5編を収録。上司の事、お父さんの事、夫の事を知りたいあなたにもぴったりの1冊。(講談社文庫)
  • 向こう側の遊園
    4.0
    廃園になった今も、無数の花が咲き乱れる街はずれの遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人々。せめて最期の言葉を交わせたら……。ひとと動物との、切ない愛を紡いだミステリー。
  • 天女湯おれん 春色恋ぐるい
    4.0
    人気戯作者のストーカーとなってしまった後家の恋煩いを治したり、義理の父親から虐待を受けていた娘を救ったり。はたまた、湯屋の中に拵えた知られちゃまずい男女密通の隠し部屋に忍び込まれたり。天女湯の女将おれんは、今日も大忙し。そんな、おれんにも久しぶりの恋の予感が。艶と人情の七編を収録。
  • 泣き虫しょったんの奇跡 完全版 サラリーマンから将棋のプロへ
    4.7
    中学選抜選手権で優勝した男は、年齢制限のため26歳にしてプロ棋士の夢を断たれた。将棋と縁を切った彼は、いかにして絶望から這い上がり、将棋を再開したか。アマ名人戦優勝など活躍後、彼を支えた人たちと一緒に将棋界に起こした奇跡。生い立ちから決戦まで秘話満載。(講談社文庫)
  • ボクの彼氏はどこにいる?
    4.0
    アイドルの女の子を好きなふりをしたり、気になる男子の名を寝言で呼んだらどうしようと修学旅行で眠れなかったり――著者がゲイであることに悩み、認め、周りにカミングアウトしていく、さわやかで感動を呼ぶ青春記。同性愛の人はもちろん、異性愛の人にも勇気と希望を与えてくれます。(講談社文庫)
  • 春疾風 見届け人秋月伊織事件帖
    4.3
    市井の噂話から千代田のお城の秘密まで。硬軟とりまぜた事件の顛末を情報として商っている「だるま屋」の秋月伊織は、関所を破って江戸に入った女のその後を調べるため、岡場所へ向かった。苦界に生きる女の矜恃と、思いもよらぬ大事とは? 心に迫る表題作他4編、人気沸騰の文庫書下ろしシリーズ第2弾。(講談社文庫)
  • 星と輝き花と咲き
    3.7
    「竹本綾之介は天からの授かりもんだ」大阪で生まれた美少女は、竹本綾之助を名乗り、浄瑠璃で明治の日本中を魅了した。錦絵は即日完売、ファンの書生は人力車を“追っかけ”回し、芸能記者はスキャンダルを書きたてる。孤独と引き換えの栄華を手にした綾之助の傍には、いつも母お勝がいた。そんなある日訪れた突然の初恋。彼女の下した衝撃的な決断とは? 直木賞作家が実話をもとに描く、可憐な元祖アイドル半生記!(講談社文庫)
  • 空を見上げる古い歌を口ずさむ
    3.5
    20年前、兄が言ったんだ。「誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい――」。みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く<サクラバ>や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作。(講談社文庫)
  • 十津川警部 姫路・千姫殺人事件
    2.5
    姫の化身が死を招く!? 呪われたお伽話か。十津川、謎の美女を追う。運命に翻弄された姫の化身か。千姫の末裔だという美女が、骨董鑑定番組に打かけを出品したところ、問い合わせが殺到。だが彼女に近づく者は次々と不可解な死を遂げた。再び懐剣をもって出演すれば、さらに恐ろしい事件が……。気品あふれる美しさの陰に何があるのか。十津川が暴いた哀切きわまる真相とは。(講談社文庫)
  • バラ肉のバラって何? 誰かに教えたくてたまらなくなる“あの言葉”の本当の意味
    3.5
    「超ど級のど」」「シーザーサラダのシーザー」「くだを巻くのくだ」「セピア色のセピア」「サニーレタスのサニー」「ダービーマッチのダービー」「まな板のまな」「ごり押しのごり」「チキンナゲットのナゲット」「ワイシャツのワイ」――日常的に使っているごくありふれた言葉の、そもそもの意味を調べてみたら、意外な発見の連続だった。
  • 竜が最後に帰る場所
    4.0
    しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった――(「夜行(やぎょう)の冬」)。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。日常と幻想の境界を往還し続ける鬼才による最重要短編集。 (講談社文庫)
  • 大江戸リサイクル事情
    4.1
    人口100万を数え、近世では世界最大の都市といえる江戸。膨大な日常消費は草の根レベルの活発なリサイクルで支えられていた。藁、竹、灰、みな太陽エネルギーの有効利用でよみがえる。現代では忘れられ、失われてしまった江戸庶民の合理的でムダのない暮らしの知恵を描いた「大江戸事情」シリーズ第4作。(講談社文庫)
  • 「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法
    3.9
    「11歳の時、私はなぜ、“この作品には何かがある”と直覚したのだろう。最近になってやっと、その正体が見えてきた」。『赤毛のアン』には、「幸福(しあわせ)」とは何か、その秘密が隠されている。「仮想」「受容」「奇蹟」「ひたむきさ」「偶有性」「セレンディピティ」……。茂木健一郎が読み解く「幸福論」(講談社文庫)。
  • 夢幻地獄四十八景
    4.0
    バスの中で老人が隣席の若い男に話しかける――わたしは遠くで話す人間の唇が読めますが、この前も男女が心中の相談をしているので警察に知らせたところ、男女は俳優でした、芝居の稽古なのですよ、うっかり信じこめませんな、ですから今し方見た恐るべき相談も本当かどうか……。いろは48文字をタイトルに、才気溢れるショートショート集。
  • スイス時計の謎
    3.7
    2年に一度開かれていた“同窓会(リユニオン)”の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失! いったいなぜか……。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存じ国名シリーズ第7弾、これぞ本格だ!
  • 子産(上)
    4.1
    信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
  • 決闘の辻
    4.3
    死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない――。宮本武蔵の最後の戦い、神子上典膳の師の後継を争う決闘。柳生但馬守宗矩の野心のための斬り合い。諸岡一羽斎、愛洲移香斎など、歴史に名を残す名剣客の決闘シーンを、剣の一振り、刃光の閃きまでもリアルに描く剣客小説。
  • 影の核心
    3.0
    情報オンラインシステムの秘密をめぐって、不可解な自殺事件が続き、ソフトウェア技術者の桂木の周囲にも怪しい人物が現れる。巨大な陰謀とえん罪事件の真実は・・・! コンピュ-タ会社を舞台にした社会派本格推理。
  • 超巨人・明の太祖朱元璋
    -
    明の太祖・朱元璋――信長・秀吉・家康の三大英傑をひとりで演じた男の、波乱万丈の生涯。その面白さは三国志を凌ぎ、太閤記もはるかに及ばない。ダメな組織にいても、成功するには! 不利な状況の中でも、勝ち抜くには! 超巨人・朱元璋の思想と行動が、あらゆる現代人に大きな勇気と多くの知恵を与える。
  • 小説都市銀行
    -
    金融スキャンダル。銀行・証券・大蔵を撃つ! ――ワンマン会長に懸命に抵抗する頭取、銀行離れをしようとする大企業に必死に食らいつく法人営業部……。厳しい環境下で喘ぐ巨大銀行の内幕を描く。不良債権の回収に振りまわされる支店長の悩み、融資をめぐるライバルとの苛烈な競争など、生き残りに賭ける都市銀行のリアルな実態を浮きぼりにした経済小説。
  • 神聖の鯱
    -
    鬼と称する正体不明の敵が、鯱四人組に宣戦を布告した。鬼は飛騨高山に火を放ち、一日にして壊滅させた。鬼を率いる美少女・ゼロは、十樹吾一を自在に操る。聖なる狼を連れて帰国した仙石文蔵に、ゼロと十樹が襲いかかる。鯱四人組を分断させたゼロの狙いは!? ラストで明かされるゼロの衝撃の真相。
  • おやつストーリー
    4.0
    究極のスウィート・メモリー、美味しく懐かしいお菓子大コラム! きっとあなたも好きだった、嬉し懐かし美味しいお菓子。泉麻人が甘味に挑戦します! ――セブン‐イレブンやニコマート、あるいは町のお菓子やさんの戸を開けた瞬間、遠足の前の日みたく、胸がワクワクときめいてしまう。そんな気持ちを忘れないすべての人に捧げる、嬉し懐かし、とっても美味しいお菓子大コラム。ミルキー、つくんこ、おっとっと……etc.。いっぱい詰まった、究極のスウィート・メモリー。
  • 古寺再興 現代の名工・西岡常一棟梁
    -
    伽藍の修理・造営に情熱を注ぐ男の棟梁人生。ひとりの男が、己れの仕事に渾身の力を傾けて挑み成し遂げていく姿を描く! ――強固な信念に生きる、一人の日本人の生き方。宮大工として、古代工人の技能と魂を今に受け継ぎ、伽藍の修理・造営に渾身の力を傾ける、名工・西岡常一棟梁。法隆寺の「昭和の大修理」に携わり、今、薬師寺の白鳳復元に命を注ぐ! その稀有な棟梁人生を描いて、日本の心と伝統を見つめなおす、話題のノンフィクション。
  • 今日も銀座へ行かなくちゃ
    -
    ビギン・ザ・ギンザ! まずは、銀座を気ままに泳いでみる。ちょいと足をのぼして、築地市場、月島もんじゃストリート、レインボーブリッジへ……。都市で遊ぶ、都市(まち)を遊ぶ<東京の達人>が、大好きな銀座と、その周辺を歩いて綴る、小粋なコラム集。忘れていた都会人の息づかいが、ちょっぴり懐かしい、しなやかな東京本。
  • 片翼だけの天使
    -
    「愛してるんよ。あんたはトクベチュな人よ」――40代半ばの独身中年作家が、ふと遊びに出かけたソープランドで出会った、天使のような明るい韓国人女性。作家は、彼女の舌足らずのしゃべり方や、全身で愛情を表現してためらうことのない一途な性格に魅せられていく。現代では稀有な「純愛」を描いて、熱い共感を呼ぶ大人のための「名昨」恋愛小説。ひたむきで純朴な女性とのめくるめく恋の熱い日々!
  • 未来妙法蓮華経
    -
    宗教と科学を巡って描く壮大な人間ドラマ――釈尊が妙法蓮華経で説いた教えから、人間は何を学び、何を学ばなかったか――。人類がスペース・コロニーへ移住ができるほどに科学的進歩を遂げつつあるとき、はたしてその心と、とりまく自然は、どうあるべきか? 科学に宗教の視点を交錯させ、人間の真の幸せとは何かを鋭く追究する、壮大な傑作異色長編小説。<『SF妙法蓮華経』改題作品>
  • どっこいショ
    -
    戦争の傷痕がいまだに疼き、おどおどと人生を送っている父親と、そんな父親に反抗する戦争を知らぬ世代の息子。誤解と断絶から生まれる様々なトラブルを通して人間らしさの真実を追求した、ペーソスあふれる長篇小説。
  • 虹列車の悲劇
    3.3
    金沢で寝台特急「北陸」に乗った男が、上野駅に着いたときには白骨死体となっていた。人間は本当にたった八時間で白骨化してしまうものなのか? 越美北線の運転士が、山峡の線路上空に見た妖しく光る緑色の虹! 互いになんの関連もない異様な出来事を結びつけるものは何! そして牛深警部の謎の行動は? (講談社文庫)
  • 大砲松
    -
    神田和泉橋の五兵衛店(だな)に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応4年、背中の傷(いれずみ)を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが……。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。(講談社文庫)
  • 魔都 恐怖仮面之巻
    3.5
    今夜もまた、深い霧―。ぼくは霧が好きだ。とくに、あのことがあってからは・・・。そう、ぼく武智小五郎が迷いこんだ明治47年の幻想の魔都・東京。そこでぼくは乱歩の世界さながらに連続殺人鬼・恐怖仮面との華麗な対決をくりひろげるんだ。そして素敵な恋にもめぐりあう不思議な霧の夜のこと・・・。(講談社文庫)
  • ホテルウーマン
    2.0
    コロンビア大学でMBAを取得した柊子は、熾烈な競争をくり広げる日本のホテル業界に挑む。華やかな巨大ホテルの内側は厳しい男性社会であり、秘密を抱えて入社した彼女には、プライベイトな苦悩も絶えない。画期的なプロジェクトの実現を目前に、恐ろしい破滅の予感が……。長編企業サスペンスの傑作。
  • 朱の絶筆
    3.0
    人気作家の篠崎が軽井沢の山荘で殺された。同宿者は秘書、編集者、作家志望者など七人で、篠崎の日頃の傲慢ぶりを考えるとそれぞれ恨みを抱いていたとしてもふしぎはない。捜査陣が七人を調べる中で、次々殺人が発生する。真犯人の巧妙アリバイに挑む名探偵は貿易商星影龍三。本格の巨匠による会心長編。
  • 戌神はなにを見たか
    -
    くぬぎ林の中でカメラマンが死体となっていた。手がかりは、外国人の顔を彫ったレリーフと胃中の風変わりな瓦せんべい。捜査の進行に伴い、日本の推理小説史に関係深い証拠品とわかり、それなりに容疑者も浮かんだが、その人物には鉄壁のアリバイ。推理小説ファン垂涎の設定で本格派の巨匠が書き下ろした長編ミステリー。
  • 誰彼 新装版
    値引きあり
    3.9
    謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた! そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。死体は教祖なのか? なぜ首を奪ったのか? 連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは?
  • 罪の声
    値引きあり
    4.3
    「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、本屋大賞第3位。圧倒的な取材と着想で、昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編小説。「これは、自分の声だ」――京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品からカセットテープとノートを見つける。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。
  • そして二人だけになった Until Death Do Us Part
    値引きあり
    3.7
    とてつもなく大きな橋を支える巨大コンクリートの塊の中に、国家機密とされるシェルタがあった。現代の最高技術で造られたこの密室に滞在することになった六人が、一人ずつ、殺される。痺れるような緊張感の中、最後に残った二人。そして世界が反転する――。謎、恐怖、驚愕。すべてが圧倒的な傑作長編ミステリィ。
  • ロスト
    値引きあり
    4.5
    「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく会社。なぜ、1億円。なぜ、100人も必要なのか。警察と"関係者"たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく。「罪」に期限はあるのか――乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く、受賞後第一作、大藪賞候補の文庫化。
  • シュークリーム・パニック
    値引きあり
    3.8
    「絶食って、何も食べちゃいけないんですか」―体質改善セミナーに参加したメタボな男性4人組。インストラクターの無慈悲な指導によって、耐え難い空腹感が行き場のない怒りへと変わっていく中、冷蔵庫のシュークリームが盗まれる事件が発生する。ミステリマニアの受講者、四谷は探偵役に名乗りを上げるが―!?爆笑必至の「限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件」はじめ、ひと味違う本格ミステリ作品を全6編収録。 ※本作品は 2017年9月14日まで販売しておりました講談社ノベルス電子版『シュークリーム・パニック ―Wクリーム―』と『シュークリーム・パニック ―生チョコレート―』の2冊を1冊にまとめた文庫電子版となります。 本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
  • 名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇
    値引きあり
    3.8
    新本格ミステリの牽引者・法月綸太郎が生んだ同名の探偵・法月綸太郎が型破りな謎に父・法月警視とともに挑む。その選りすぐりの短編集。会心の鉄道ミステリ「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」、オカルト現象の裏側の犯罪劇「世界の神秘を解く男」、日本推理作家協会賞受賞の傑作「都市伝説パズル」、全6篇を収録。監修・解説/巽昌章。
  • 封印再度 WHO INSIDE
    値引きあり
    3.8
    50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。
  • 変身願望 新装版
    値引きあり
    -
    上野公園でホームレスの男が凍死した。その年のはじめての凍死者と新聞が報じたことから、男の素性が判明する、 なんと大臣経験もある有力な代議士だった。彼はなぜ身をやつさねばならなかったのか。 十津川警部は真相を求めて、捜査を開始する。 短篇の妙を存分に味わえる秀作集。
  • ゴリラ裁判の日
    値引きあり
    3.9
    満場一致のメフィスト賞受賞作にしてデビュー作がいよいよ文庫化。まさかゴリラに泣かされる日がくるとは――数多の作家、書評家、書店員の度肝を抜いた全人類必読のミステリー!  「ダ・ヴィンチ」プラチナ本! 読書メーター「読みたい本ランキング」1位! 京極夏彦さん、宮部みゆきさん、宮内祐介さん、五十嵐律人さん、斜線堂有紀さん、宮島未奈さん、QuizKnock河村拓哉さんなどが大絶賛!! カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。 ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解し「会話」もできる。彼女は運命に導かれ、アメリカの動物園で暮らすようになる。そこで出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係となった。 だが ―― 。その夫ゴリラが、人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。どうしても許せない。 ローズは、夫のために、自分のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む! 正義とは何か? 人間とは何か? アメリカで激しい議論をまきお こした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。

最近チェックした作品からのおすすめ