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Posted by ブクログ
その題名から内容を推測できない小説こそ面白い。
著者の意図が最後までわからず、シナリオがどう展開されていくのか予想できない。
そんな面白さが秘められていると思う。
この物語の魅力は、「人間くさい」ところ。
特に夢や目標は持たず、なんとなく生きてきた元・刑事の男と、大切な人を守るために全てを敵にまわして逃亡する少年。
「平凡」と「非日常」という、真逆の世界で生きていた二人が、ひょんなことから出会い、ぶつかって、失敗しながらも、変わっていく。
人の世の「悲しさ」と「美しさ」、そして「優しさ」がじわじわと伝わってきて、読み進めているうちに、胸がきゅっとなります。
もう一つ魅力的なのは、著者の福井さんが綴る言葉の美しさ。
登場人物の言葉一言一言に意味があり、それが物語を紡いでいく。全ての言葉や行動が、物語を色づける。だから、一人一人の人間らしさ、個性が引き立てられてくる。そんなことを、読みながら実感させられました。
また、戦争アクション系の小説を多く書かれていることもあって、戦闘シーンの表現がとてもリアル。特に、クライマックスで主人公の二人が戦闘機を操縦するシーンは本当に迫力満点です。
本屋さんの店頭で「おすすめ1位」と書いてあったので、何気なく手に取った本でしたが、あっという間にその世界観に囚われてしまい、最後は一気に読みきりました。
Posted by ブクログ
「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1、足首まで。2、膝まで。3、腰まで。4、肩まで」
これはあなたの情熱度を計るテストで、足首までと答えた人は、あまり情熱のない人。
膝までは、あるにはあるけどいつも理性の方が先に立つ人。
腰までは、なんにでも精力的で一生懸命やる人。
肩までと答えた人は、情熱過多、暴走注意、とな。
そしてこの物語の主人公は何の躊躇もなく「肩まで」と答える2人。
『Twelve.Y.O』に先立つ福井晴敏、既に熱い熱い。
一貫して語るべきテーマに対し、ただ声高にそれを語るだけでなく、男と男、男と女それぞれを描いて深く、そして何よりも《アポトーシス》が走り出した中での市ヶ谷の攻防は圧倒的迫力。
私ゃ、足首までと答える淡白な人間だけど、それでもこういう世界に共鳴するだけの思いは、ある、つもり。
Posted by ブクログ
福井晴敏作品は『亡国のイージス』『終戦のローレライ』『Op.ローズダスト』『ガンダムUC』など一通り読んできたのに、なぜかこのデビュー作だけ未読でした。読んでみたら、大変面白い。
地下鉄テロを思わせる事件を軸に、オウム真理教の一連の出来事を下敷きにした“もしも”の世界を大胆に膨らませていく感じがたまりません。当時の社会の空気を思い出しつつ、反面で少年漫画的なアクションやキャラクター造形が分かりやすくて、重い題材なのに読み味は意外と軽快。解説にある通り、分かりやすさがむしろ魅力になっているタイプの物語でした。
さらに、後の作品につながる組織が登場したり、ガンダム繋がりで0083を思い出すような要素もあって、ファン的にはちょっと得した気分。社会派とエンタメのバランスが絶妙で、得した気分になりました。
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