【感想・ネタバレ】川の深さはのレビュー

あらすじ

命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

元マル暴刑事が主人公。傷ついた少年を介抱したことからとてつもない大きな事に巻き込まれていく。読みながらにスケールの大きな映画を観てるような気がしてきた。オウム事件をベースにしながらも、その背景にある国家間の思惑などが妙に説得力があって面白かった。アクションシーンも中々いい。最後は少し切ないけどその余韻が良かった。

0
2016年05月08日

Posted by ブクログ

初めましての作家さん。
処女作で、このレベルの高さは何ですか??
ある事件をきっかけに警察をやめて、
グータラ警備員をきめこんでいた主人公の桃山剛。
そこに飛び込んできたのが葵と保。
その出会いによって桃山の世界は一変する。
そこから物凄い勢いで物語はばく進します。
いつでもどこでも緊張が居座っていて、展開が早い。
権力、陰謀、裏切り、策略、報復、理不尽で無情で
密度の濃い人間ドラマに何度も泣きそうになる。
戦闘シーンですら、ウルウルしてしまう。
最後の余韻の残し方も最高でした。

0
2015年10月25日

Posted by ブクログ

その題名から内容を推測できない小説こそ面白い。
著者の意図が最後までわからず、シナリオがどう展開されていくのか予想できない。
そんな面白さが秘められていると思う。

この物語の魅力は、「人間くさい」ところ。
特に夢や目標は持たず、なんとなく生きてきた元・刑事の男と、大切な人を守るために全てを敵にまわして逃亡する少年。
「平凡」と「非日常」という、真逆の世界で生きていた二人が、ひょんなことから出会い、ぶつかって、失敗しながらも、変わっていく。
人の世の「悲しさ」と「美しさ」、そして「優しさ」がじわじわと伝わってきて、読み進めているうちに、胸がきゅっとなります。

もう一つ魅力的なのは、著者の福井さんが綴る言葉の美しさ。
登場人物の言葉一言一言に意味があり、それが物語を紡いでいく。全ての言葉や行動が、物語を色づける。だから、一人一人の人間らしさ、個性が引き立てられてくる。そんなことを、読みながら実感させられました。
また、戦争アクション系の小説を多く書かれていることもあって、戦闘シーンの表現がとてもリアル。特に、クライマックスで主人公の二人が戦闘機を操縦するシーンは本当に迫力満点です。

本屋さんの店頭で「おすすめ1位」と書いてあったので、何気なく手に取った本でしたが、あっという間にその世界観に囚われてしまい、最後は一気に読みきりました。

0
2015年06月19日

Posted by ブクログ

江戸川乱歩賞の歴史上、話題をさらった受賞作は数あれど“受賞しなかったこと”が大きな話題となった作品はこの一作だけでしょう。
「亡国のイージス」「終戦のローレライ」の著者、福井晴敏の実質的なデビュー作にして、必要なものは全部詰まってる傑作。
気づけば同氏の著書の中で最も読み返している本になっています。

0
2014年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「川の深さは」……
タイトルの雰囲気だけ見ると、純文学のような恋愛もののような感じだけれど、中身はバリバリの軍事謀略モノ冒険小説という(笑)。


『問われている』と書き出された巻末解説者の言葉の通り、福井さんの物語はまだ2作しかドクリョウしていないにも関わらず筆者が現代日本に問う強いメッセージ性を感じる。きっと、彼の作品に一貫して流れるテーマなのだろうな、と感じる。

終始閉塞感に包まれて進んだ哀しきストーリーであったが、初出では描かれず本書の出版にあたって加筆されたというエピローグに、救われた。


※さて、本作……実は筆者の“応募作”だとのこと。

“デビュー作”ではなく“応募作”。
最終選考まで残りつつも受賞することなく埋もれていた佳作が、デビューし数年が経ち代表作と呼ばれるような作品を送り出した後に、結局は受賞ならなかった作品が出版される、という点に……

また、それでいてなお高いクオリティが証明されている点に、筆者の非凡さが感じられた。

★5つ、9ポイント半。
2014.02.03.了。

本作が選考に漏れた際の受賞作(野沢尚「破線のマリス」)も以前に読んだ。
しかし、ソレも確かにエンタテイメントと世間への問題提起に満ちた面白い作品ではあったが、どう考えても本作の方が“上”だと感じる……のは、自分だけだろうか???



心理テスト“川の深さは…?”、
自分の答えは、「膝くらい」。
…………当たってる(笑)。

0
2015年09月30日

Posted by ブクログ

「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1、足首まで。2、膝まで。3、腰まで。4、肩まで」
これはあなたの情熱度を計るテストで、足首までと答えた人は、あまり情熱のない人。
膝までは、あるにはあるけどいつも理性の方が先に立つ人。
腰までは、なんにでも精力的で一生懸命やる人。
肩までと答えた人は、情熱過多、暴走注意、とな。
そしてこの物語の主人公は何の躊躇もなく「肩まで」と答える2人。
『Twelve.Y.O』に先立つ福井晴敏、既に熱い熱い。
一貫して語るべきテーマに対し、ただ声高にそれを語るだけでなく、男と男、男と女それぞれを描いて深く、そして何よりも《アポトーシス》が走り出した中での市ヶ谷の攻防は圧倒的迫力。
私ゃ、足首までと答える淡白な人間だけど、それでもこういう世界に共鳴するだけの思いは、ある、つもり。

0
2020年10月25日

Posted by ブクログ

かなり話が大きくなっていって驚いた。
政治やミリタリー系が得意だったらもっと面白かったのかな。
桃山と保、葵の一瞬のささやかな暮らしは本当に貴いものでそれぞれの胸に残り続けていてほしいなあ、なんてことを思った。

1
2017年09月21日

Posted by ブクログ

●福井さんの著作には、自身を犠牲にしても大切なものを守ろうという不屈の魂がある。「川の深さは。誰にもある。終着点を目指して流れ続ける川の深さは。どんなに汚されても、流れ続ける川には未来がある。」不遇の時でも、明日は開けると、言わんばかりに‼️

0
2021年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁ〜面白かった。

オウム真理教の地下鉄サリン事件や、松本サリン事件、坂本弁護士一家殺人事件などを彷彿させる宗教団体の事件に、ランボーを彷彿させる戦闘劇、警察組織内部のゴタゴタに政治、ヤクザの登場にミステリーの要素、しかも純愛など、とにかく盛り沢山の作品。

ここまで詰め込んだのに、きっちりと物語の筋は通り、男の生き様を描いた作品ってかっこよすぎ。

主人公?の桃山は元マル暴の無骨な警備員。
引退してから、まともな生活を送っておらず、巻き込まれていくとんでもない事件には体力や知力、銃の腕前など不安な要素もあるが、そこはもう1人のメインキャラである保がしっかりとカバーする。

この保が愚直なまでに真っ直ぐな青年で、命をかけて葵を守り抜く。

なぜならそれが保の任務だから。

幼少期に不幸な環境で育った保は同年代の少年とは全く異質の存在だが、とにかくかっこいい。

かっこいいと言えば、桃山が刑事時代から付き合いがあり、組の人間でありながらも桃山を助ける金谷も義理堅く、ある意味で聡明でもある。

そんな真っ直ぐに生きる男たちと、ヒロインである葵に涼子が相まってテロ事件に見せかけた国の闇を暴き出す。

東京のど真ん中で世界最強の攻撃ヘリ「アパッチ」が火をふき、日本海では日本が誇る最新鋭のイージス艦とも交戦
するとんでもない内容だが、とにかく男性陣がかっこよすぎ。



説明
内容紹介
命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)


今、最も熱い作家・福井晴敏の感動的原点! 世界を敵に回して、少女を守りぬこうとする少年。その姿にかつての自分を感じた警備員は、彼を匿うことにした。そして、物語は「地下鉄テロ」の真実へと向う……
内容(「BOOK」データベースより)
「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。

0
2020年01月01日

Posted by ブクログ

もっと堅い文章かと思ったら、割と読みやすかった。
アパッチと高速トラックが併走するシーンが笑えた。
朝高サンド食べたい。

0
2017年06月25日

Posted by ブクログ

登場人物がみんな魅力的で、スリリングなストーリー展開がまるで映画を見ているように、テンポ良く進んでいく。臨場感あふれる小説。

0
2015年05月13日

Posted by ブクログ

「Twelve Y.O」、「亡国のイージス」そして福井敏晴氏のデビュー作である「川の深さは」に通奏低音のように流れる「この国の安全とは」という問いかけは、読み物としての面白さと裏腹に結構深く突き刺さる・・・。

特にデビュー作では、この問いかけの側面が他の2作より色濃く滲み、結構ヘビィでさえある。

読後感にある種の満足感が残る作品である。

0
2014年01月18日

Posted by ブクログ

地下鉄サリン事件を思わせる事件、また教団が作中に登場します。起こった事件には、表面化された事実だけが真相なのではなく、その裏に隠されている真相があるんじゃないかと考えさられる内容でした。物事の現象は、多面的に見る必要があると、改めて思い知らされました。情景が思い浮かばないシーン(ヘリでドンパチやってるところ)も多々あり、読みづらい箇所もありましたが、人間の感情の動き方など、全体的には読んでて面白かったです。

0
2013年12月17日

Posted by ブクログ

重厚な文章ですがスラスラと読み進められて、時折り、ものすごく緩い様をサラッと織り交ぜて全体の重さを拭って行く上手さは脱帽です。文章が上手すぎるからか登場人物に殺伐とした印象が薄く、緊迫感漂う部分でも最後は丸く収まっちゃう気がしながら読んでた…誰が生き残ってどう言う結末かが想像出来たからか、なんとも言えぬ出来レースをすごく楽しんだ印象が面白かったですね。素晴らしい作品でした。

0
2013年12月07日

Posted by ブクログ

 福井作品は長編やシリーズものが多いですが、これは初期の一冊本ですし、手にしやすいです。
 公安や北朝鮮やカルト宗教団体や自衛隊や、もういろんなところで戦闘があり、ノンストップアクションムービー的で映画にすごく向いています(お金がかかりそうですが…)
 タイトルの『川の深さは』には、主人公の内面的な葛藤が込められているのですが、それが次第にあきらかになるうちに、感動の度合いが増す展開はすごくうまいと思います。

0
2017年08月15日

Posted by ブクログ

構成や言い回しが私には難しく、読むのにかなり時間がかかった…
警察についても全く詳しくなく、イメージがしづらかったことも要因。
ただ最後の最後で「なるほど…」となって救われた。

0
2024年11月04日

Posted by ブクログ

久しぶりにこの手の本を読んだので新鮮に感じた。何だかんだで主要な登場人物にとって丸く収まる結末だと思った。少し前の時代に書かれた物なので、フロッピーディスクに機密情報が保存されてる設定に現代との違いを感じる。
前半は状況がイメージしやすくサラサラ読めたが後半の戦闘シーンはイメージしづらく読みとばした箇所も多い。
世界で起きてる事件や紛争のニュースを聞いても実際の裏事情なんか一般人には届いてないんだろうなと思った。
あと、「川の深さは」の問いを答えを知らずにされたら、私は淡白な回答をする気がした。

0
2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自衛隊管轄の極秘情報機関「DAIS」の前身組織にまつわる壮大な冒険活劇と捕り物…と表現しても良いのだろうか。
渦巻く陰謀や思惑も壮大。少女の騎士たるパーフェクトスキルの少年と自称・冴えない中年男性のコンビはお馴染み感がある。
女性像についてはあまりにも理想的に描かれすぎて突っ込みたくなるものの、まさに長編アニメのような物語で読後は満足感があった。

0
2022年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地下鉄サリン事件を思わせるテロ事件は市ヶ谷と呼ばれる非公開諜報機関が裏で糸を引いていた。隠蔽しようと関係者を消す組織から少女を守ろうとする少年の話。
作者の一作目であり、亡国のイージスや終戦のローレライの原型。ルックスもよく飛び抜けた能力のある少年が、大きな組織に歯向かい、まともで経験がありどこかお人好しな中年がそれを支える。構図は似てても、面白い。

0
2020年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとなくタイトルに惹 かれて買った。
漫画チックではあったが引き込まれる勢いがあった。
ここまでやっちゃぁ・・・とも思うが、オウム事件じたいそれどころじゃなかったからなしではないな。
ヒロイズム過多で辟易する部分もある、けど一挙に読んだ。 福井晴敏って「亡国のイージス」とか「終戦のローレライ」を書いた人なんだ。今知った。どっちも観てないけど

0
2020年02月12日

Posted by ブクログ

日本の小説らしからぬランボーっぷりになかなか痺れる。施設がどうとか北朝鮮とか、そこらへんの流れが時代を感じるし、まさか北朝鮮がばかすかミサイル撃ってるとは思いもよらず、そのおかげでテロなんてしなくても日本はじわりと進んでいて。まさに事実は小説よりなんとやらってやつか。
まぁそんな感じの時代の流れのせいでイマイチぱっとせんのよね、しょうがないか。スーパーエージェントが一人でまさのランボーしてるのもリアリティがなぁ。って一般人のおまえが言うなって話ではあるけどもね。

0
2019年03月31日

Posted by ブクログ

「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。

0
2018年06月16日

Posted by ブクログ

福井晴敏の処女作とのことで読んでみたが、たしかに福井さんのカラーが処女作から前面に押し出されてる、映画化された「亡国のイージス」と同じような匂いのする作品。硬質な文章、読者を引き込む展開の妙、処女作からかなりの熱量を感じる出来栄え。

元警察官のグータラ警備員が、ひょんな事から少年と少女を匿ったことから始まる物語。某新興宗教団体の地下鉄テロ事件をバックボーンに、国歌の暗部に迫る内容は、「なるほど、こういう切り口で書いてきたのか!」と興味深く読むことが出来た。

序盤から中盤にかけては、秘密組織やヤクザなどとの追跡劇とも言える展開で、ページをめくる手も休む事なくすすむ。それが、防衛庁の地下での爆破やらドンパチ(銃撃戦)のあたりにくると、さすがに現実感が乏しく感じた。
さらに、いくら特殊な訓練を受けてるとはいえ、少年が元警察官を戦闘ヘリに乗せて日本海へと向かうとなると・・・。
ましてやイージス艦と戦闘・・・。
ここまでくると、もはや劇画の世界。マンガを読んでる感覚になってしまった。

国家間の謀略戦の匂いをさせながら、結局は日本国内の組織間の争いに物語が収束してしまうのも好みじゃないんだよなぁ。

☆3個

背表紙~

「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。

良くも悪くも劇画的な小説だった。映画にすれば面白いかもしれないけど、この物語をすべて文章で追うとなると、なかなか厳しいんじゃないかなぁ。
でも、ラストは、未来に希望を持たせる描写で好感。

0
2016年06月03日

Posted by ブクログ

「亡国のイージス」などでブレイクした作者の処女作なのだとか。
処女作はその作家の全てをあらわす、というから、おそらく他の作品もこんな雰囲気なのだろう。
ぐいぐいと人を引き込んでいく筆の勢いは、心からこの作品を書きたいのだ、このテーマを書きたいのだ、という意志の強さの現れと思われる。人物設定に少々難があるが、それも許せてしまう勢いのある作品。


ただし勢いがあるため読めるが、正直言ってそんなに面白いとは思わない。
同じような話なら、やっぱりどうしたってフォーサイスやラドラムを読み続けてきたわたしとしては、そちらの作品のほうが面白く感じてしまう。当たり前だけど。
テーマとしてもよくありがちなものだし(とはいえ、ありがちだから面白くない、といっているわけではない)、もっと租借すれば面白くなったのではないかなあという感じがする。北朝鮮をテーマに持ってきたのは、きわどいところで面白いかなと思ったが、そこのところの掘り下げ方も今ひとつ。北朝鮮じゃなくても別によかったんじゃない?という感じ。国家間の戦争というよりは日本の組織間の争いの話に終始してしまったあたり、ちょっと勿体無いかな。
物語のケリのつけ方も、まあありがちなものだ。ありがちだけに、じんと胸に来るものがあるともいえるのだが。

こうやって処女作を読んで面白くないと決め付け、気づくといまや大作家様って作者はわたしの場合多いので、今後もこの人の作品は追いかけていこうと思う。
※2015年現在、まったく追いかけてません(笑)

0
2015年07月25日

Posted by ブクログ

再読です。
前回読んだのはもう十年近く前で
そのときはもっとすんなり解かった気がしたんですけど
今読み返してみると
ありえなさそうな設定がどれぐらい現実的なのかとか
余計なところに気を取られてしまって読み進めるのが遅くなりました。

特別な組織で特別な訓練を受けた少年と
彼が守ることを使命としているひとりの少女が
元刑事のぐうたら警備員の元へ偶然転がり込みます。
それは世間を揺るがした宗教テロ事件や
さらに大きな政治的背景の闇の核心に触れるとても危険な出会いで・・・。

多くの方が
この本のジャンルをミステリーやサスペンスに分類されているようでしたが
あたしは敢えてハードボイルドを選択。
なんとなくそのほうがぴったり収まる気がして。
命を賭して任務を遂行しようとする少年。
見ていて清々しいのに息苦しいです。
モテるだろうけれど幸せとは縁遠い感じで
自分の息子があんな風に育ってしまったら寿命が何十年も縮まりそう(笑)
でもその少年と主人公のやりとりは
これがもし大和魂と呼べるようなもので
どの男性の中にも隠されている情熱だとするなら
日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思えると思います。
「川の深さは」というタイトルも秀逸。

ストレートに読んだら
日本という国に絶望するかもしれないし
警察を信じる気になれなくなるかもしれない危険性を孕んだ小説ですが
メッセージ性をポジティブに捉えることができるタイプで
漢字だらけの軍事&政治絡みの物語がお好きな方には
お勧めできる一冊です。

0
2014年08月04日

Posted by ブクログ

このミスベスト10、2001年版10位。この人のはだいたいコミックの原作っぽい。派手なアクションが売りかも知れないけどなんか飽きる。気楽に読み進めるので、エンタメとしては及第点と思います。

0
2014年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話が行ったり来たりしていて少しつかみどころのない感じ。もうすこし一気に読めるような話でも良かったような。

この人の作品では大事なキーマンが死ぬ傾向が高い気がする。亡国のイージスもそうだった、ような。

0
2014年05月16日

Posted by ブクログ

初めは状況説明の言葉の多さに、なかなか入り込めず苦労したが、主要人物の桃山に感情移入してからは、本当に引き込まれて読み応えもあった。
風化しかけた地下鉄テロ事件に隠されたこの国の暗い部分がメインではあるものの、タイトルに秘められた、人の心の奥底の部分が何よりも琴線に触れる作品だと思った。
★は4に近い3

0
2014年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「任務完了」はともかく「命なんて安いものだ、特に俺のはな」ってとこで完全にヒイロじゃねーかとツッコミを入れたい

0
2013年12月01日

Posted by ブクログ

 ところどころに挟まれる人間性の描写が何とも言えず好き。後半は話が壮大になりすぎてついていけなかった。

0
2022年11月20日

「小説」ランキング