あらすじ
命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
「川の深さは」……
タイトルの雰囲気だけ見ると、純文学のような恋愛もののような感じだけれど、中身はバリバリの軍事謀略モノ冒険小説という(笑)。
『問われている』と書き出された巻末解説者の言葉の通り、福井さんの物語はまだ2作しかドクリョウしていないにも関わらず筆者が現代日本に問う強いメッセージ性を感じる。きっと、彼の作品に一貫して流れるテーマなのだろうな、と感じる。
終始閉塞感に包まれて進んだ哀しきストーリーであったが、初出では描かれず本書の出版にあたって加筆されたというエピローグに、救われた。
※さて、本作……実は筆者の“応募作”だとのこと。
“デビュー作”ではなく“応募作”。
最終選考まで残りつつも受賞することなく埋もれていた佳作が、デビューし数年が経ち代表作と呼ばれるような作品を送り出した後に、結局は受賞ならなかった作品が出版される、という点に……
また、それでいてなお高いクオリティが証明されている点に、筆者の非凡さが感じられた。
★5つ、9ポイント半。
2014.02.03.了。
本作が選考に漏れた際の受賞作(野沢尚「破線のマリス」)も以前に読んだ。
しかし、ソレも確かにエンタテイメントと世間への問題提起に満ちた面白い作品ではあったが、どう考えても本作の方が“上”だと感じる……のは、自分だけだろうか???
心理テスト“川の深さは…?”、
自分の答えは、「膝くらい」。
…………当たってる(笑)。
Posted by ブクログ
いやぁ〜面白かった。
オウム真理教の地下鉄サリン事件や、松本サリン事件、坂本弁護士一家殺人事件などを彷彿させる宗教団体の事件に、ランボーを彷彿させる戦闘劇、警察組織内部のゴタゴタに政治、ヤクザの登場にミステリーの要素、しかも純愛など、とにかく盛り沢山の作品。
ここまで詰め込んだのに、きっちりと物語の筋は通り、男の生き様を描いた作品ってかっこよすぎ。
主人公?の桃山は元マル暴の無骨な警備員。
引退してから、まともな生活を送っておらず、巻き込まれていくとんでもない事件には体力や知力、銃の腕前など不安な要素もあるが、そこはもう1人のメインキャラである保がしっかりとカバーする。
この保が愚直なまでに真っ直ぐな青年で、命をかけて葵を守り抜く。
なぜならそれが保の任務だから。
幼少期に不幸な環境で育った保は同年代の少年とは全く異質の存在だが、とにかくかっこいい。
かっこいいと言えば、桃山が刑事時代から付き合いがあり、組の人間でありながらも桃山を助ける金谷も義理堅く、ある意味で聡明でもある。
そんな真っ直ぐに生きる男たちと、ヒロインである葵に涼子が相まってテロ事件に見せかけた国の闇を暴き出す。
東京のど真ん中で世界最強の攻撃ヘリ「アパッチ」が火をふき、日本海では日本が誇る最新鋭のイージス艦とも交戦
するとんでもない内容だが、とにかく男性陣がかっこよすぎ。
説明
内容紹介
命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)
今、最も熱い作家・福井晴敏の感動的原点! 世界を敵に回して、少女を守りぬこうとする少年。その姿にかつての自分を感じた警備員は、彼を匿うことにした。そして、物語は「地下鉄テロ」の真実へと向う……
内容(「BOOK」データベースより)
「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。
Posted by ブクログ
自衛隊管轄の極秘情報機関「DAIS」の前身組織にまつわる壮大な冒険活劇と捕り物…と表現しても良いのだろうか。
渦巻く陰謀や思惑も壮大。少女の騎士たるパーフェクトスキルの少年と自称・冴えない中年男性のコンビはお馴染み感がある。
女性像についてはあまりにも理想的に描かれすぎて突っ込みたくなるものの、まさに長編アニメのような物語で読後は満足感があった。
Posted by ブクログ
地下鉄サリン事件を思わせるテロ事件は市ヶ谷と呼ばれる非公開諜報機関が裏で糸を引いていた。隠蔽しようと関係者を消す組織から少女を守ろうとする少年の話。
作者の一作目であり、亡国のイージスや終戦のローレライの原型。ルックスもよく飛び抜けた能力のある少年が、大きな組織に歯向かい、まともで経験がありどこかお人好しな中年がそれを支える。構図は似てても、面白い。
Posted by ブクログ
なんとなくタイトルに惹 かれて買った。
漫画チックではあったが引き込まれる勢いがあった。
ここまでやっちゃぁ・・・とも思うが、オウム事件じたいそれどころじゃなかったからなしではないな。
ヒロイズム過多で辟易する部分もある、けど一挙に読んだ。 福井晴敏って「亡国のイージス」とか「終戦のローレライ」を書いた人なんだ。今知った。どっちも観てないけど
Posted by ブクログ
話が行ったり来たりしていて少しつかみどころのない感じ。もうすこし一気に読めるような話でも良かったような。
この人の作品では大事なキーマンが死ぬ傾向が高い気がする。亡国のイージスもそうだった、ような。