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Posted by ブクログ
『百の言葉を並べるよりは、素直に「別れたくない。おまえのことが好きなんだ!」と大声で訴える方が効果的だ。でも多くの男どもはそれがわかっていながら、哀れな失言を選ぶ。』
「本当のことを言っていいんだ。子供の特権だ。誰も怒ったりはしない。正直に言ったことで誰かを哀しませることになったとしても、それは正しいことなんだから」
『加奈子は自分に嘘をつけない性分だ。嘘は自分を貶め、心を曇らせる。心に一点の曇りもなければ、誰に対しても堂々としていられる。』
『何が恥ずかしいのだろう? 加奈子は懸命に生きていた。生き抜こうとしていた。子供のために必死になって未来への道を切り開こうとしていたのだ。
俺はその時の加奈子のことを想像すると、愛おしさと尊敬の念を抱かずにはいられない。愛らしく誇らしい。そんな加奈子をみっともないと笑う者がいたら、片っ端からぶん殴ってやる。』
『いつだってマイペース。加奈子はルールに縛られない大人だ。ルールは自分で作る。』
『姑息な手を使いやがる。でもそれでいい。なりふり構わずに勝とうとする意志は大事だ。それがいつか勝利へと繋がる。悟にもそう教え込んだ。』
「軽くても重くても命は一つしかない。自分の命を大事にして」
『「ずっと前に読んだ雑誌なんだけど、『彼氏と喧嘩して気まずい空気になった時は、おっぱいを触らせればすぐに仲直りできる』って載っていたの」
あながち間違いではない。』
『駄目なわけないじゃないか。子供の一途な願いを叶えるのは大人の役目だ。』
『自転車の動力は頑張りだ。力いっぱい漕げば、漕いだ分がちゃんと報われる。自転車は世の中で最も正直な乗り物なのだ。』
「自分と他人の枠を取っ払えるようになったんだ。みんな一緒だ。特別な命なんてない。どれも世界に一つしかない大事な命だ」
「加奈子さんよりも早く出会えていれば、違った人生になっていたかもね。でも有田さんとこうして暮らせたことに感謝している。ありがとう」
Posted by ブクログ
今までに読んだことのないタイプのストーリーだった。
離婚したばかりの28歳の男の家に、いつの間にか透明人間の女が入り込んでいる。存在は感じるが見えない。透明になったり、物を透明にすることのできる人間はとある組織によってコントロール下に置かれることになっているが、彼女はそこから逃げ出してきたのだという。
ツボは、私たちが見えないと思っているから見えなくて、見えると思うと脳が何かを見せようとするってところかな。小説の設定としてだけではなく、実際に脳が認識していないものは目で見ていても見えないということを、私は知っている。いや、透明人間は見たことないけどね。
Posted by ブクログ
白河三兎さんの長編を初めて読む。
小説新潮に載っていた「子の心、サンタ知らず」がよくてずっと気になっていた。
でも、この前読んだ「白紙」が残念で、恐る恐る。
結論、白川三兎さん好きになれそう。
白河さんが描く人物たちにはがむしゃら感があって人間くさい。
共感できるところが多くて、友達になれそうな人たちなのだ。
「今の私では二人を幸せにできないけど、こんな私でも認めてくれた二人の気持ちは無下にできない」と非合理的な選択をする加奈子。
それに対して、「なんて我がままな女なんだ」と思いつつ、加奈子への愛情が爆発してしまうノブとか。
この物語のテーマの一つは、「人それぞれの幸せ」というところにあると思う。
人は、考え方も背景も違う。
誰もが幸せになるということは難しい。
たとえ家族や恋人同士であってもだ。
それを目指すなら、とにかく相手のことを考えて、がむしゃらでも行動してみるしかない。
結末には驚かされた。
Posted by ブクログ
離婚が成立し、一人やけ酒をあおる男の前に
突如として現れた透明人間の女。
声は聞こえるし、触れると感触もある。
しかし目には見えず
おまけに何でも一瞬で消してしまう(透明にしてしまう)特殊な能力を持っている。
いい加減だが正直者の男は
彼女が大きな組合に追われていると知り、
寂しさを紛らわすため
謎の女『タマ』との
奇妙な同棲生活が始めることにするが…。
青春ミステリーの傑作『私を知らないで』でも思ったけど、
まず感じたのは
白河さん、ホンマ文章上手いわ~!
SFチックで、
サスペンスフルな設定を
歌うようにテンポ良く綴る筆致に
ページをめくる指が止まらず
ドンドン引き込まれていく(笑)
突拍子もない設定は
乙一と伊坂幸太郎作品を思わすんやけど、
その伊坂幸太郎のお株を奪うような(笑)
軽妙で遊び心のある洒落たセリフの数々がまた
嘘っぽくも嫌みにも聞こえず
むしろ心地よいんですよ(笑)
(そして心のメモ帳にストックしておきたくなるハッとさせられる名言が多し!)
主な登場人物は
主人公で28歳の派遣会社社員の有田信彦。
元妻でクールなキャリアウーマンの加奈子。
加奈子の連れ子で10才になる
一人息子の悟。
そして透明人間の若い女性タマと
タマを確保しようと躍起になる
謎の『組合』なるものからの
執拗な追っ手たち。
透明人間との切ないラブストーリーだと予想していたら
主人公が離婚した理由や
元妻や血縁関係のない息子との絆などが中盤からクローズアップされ、
家族とは?
血の繋がりとは?を
すごく考えさせられる意外な内容でした。
(『私を知らないで』も家族を描いていたし、白河さんの永遠の共通テーマなのかも)
難を言えば、
序盤は透明人間を守ろうとする少し頼りない主人公と(笑)
透明人間を追う組織との攻防は
謎がなかなか明かされず、
着地点が見えないため
いったいどうなるんやろ?って
時間を忘れて読み進めてしまうし面白いんやけど、
章の間に挟まれる主人公と元家族とのエピソードが
どうしても中だるみを生んで
ちと勿体ない印象かな。
透明人間や透明人間が見える人たちの設定を
そこまで複雑にしなくても
充分に面白いものができたような気がしなくもないです(笑)
本当は見える見えないは
大事なことではないのかもしれない。
現に恋の真っ只中にいる時は
好きな人以外の全ての人間が
透明人間のようなもので(笑)、
眼中に入らない。
逆に言うと好きになると
透明人間であっても
恋に落ちた人にだけは見えるのかもしれないなぁ。
そして解説にあった印象的な引用
『心とは後天的に作られるもの。
育ってきた環境や得てきた情報や
触れてきた映画や音楽や小説が人の心を作る』には共感しきり。
目には見えない『心』というものの存在や動きを
いろいろな言葉を駆使して読む者
に味あわせてくれる
そんな白河さんの小説を読みながら、
自分の心も作られていくのなら
こんな嬉しいことはないと思う。
個人的にまだまだ追いかけていきたい作家です。
(文庫本の帯の解説にもあるように
確かにラストは予測もつかない結末でした笑)
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