【感想・ネタバレ】ケシゴムは嘘を消せないのレビュー

あらすじ

離婚届に判を押しアパートに帰りひとりで「離婚式」を敢行中、突然空気の塊が横切る。男は姿の見えない人の形を手のひらで確認し「暇なら飲まないか」と誘い、二人は意気投合する。透明で姿の見えない女は、大きな「組合」に自分が追われていると告げ、二人の奇妙な同棲生活が始まる。一行先も予測不可能、「せつなさの魔術師」による傑作ファンタジック・ラブストーリー。

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Posted by ブクログ

離婚が成立したばかりの主人公のところに、とある組織に追われている透明人間がやってくる話。白河さんは「プールの底に眠る」とこの本が突出して好き。

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2015年03月24日

Posted by ブクログ

『百の言葉を並べるよりは、素直に「別れたくない。おまえのことが好きなんだ!」と大声で訴える方が効果的だ。でも多くの男どもはそれがわかっていながら、哀れな失言を選ぶ。』

「本当のことを言っていいんだ。子供の特権だ。誰も怒ったりはしない。正直に言ったことで誰かを哀しませることになったとしても、それは正しいことなんだから」

『加奈子は自分に嘘をつけない性分だ。嘘は自分を貶め、心を曇らせる。心に一点の曇りもなければ、誰に対しても堂々としていられる。』

『何が恥ずかしいのだろう? 加奈子は懸命に生きていた。生き抜こうとしていた。子供のために必死になって未来への道を切り開こうとしていたのだ。
俺はその時の加奈子のことを想像すると、愛おしさと尊敬の念を抱かずにはいられない。愛らしく誇らしい。そんな加奈子をみっともないと笑う者がいたら、片っ端からぶん殴ってやる。』

『いつだってマイペース。加奈子はルールに縛られない大人だ。ルールは自分で作る。』

『姑息な手を使いやがる。でもそれでいい。なりふり構わずに勝とうとする意志は大事だ。それがいつか勝利へと繋がる。悟にもそう教え込んだ。』

「軽くても重くても命は一つしかない。自分の命を大事にして」

『「ずっと前に読んだ雑誌なんだけど、『彼氏と喧嘩して気まずい空気になった時は、おっぱいを触らせればすぐに仲直りできる』って載っていたの」
あながち間違いではない。』

『駄目なわけないじゃないか。子供の一途な願いを叶えるのは大人の役目だ。』

『自転車の動力は頑張りだ。力いっぱい漕げば、漕いだ分がちゃんと報われる。自転車は世の中で最も正直な乗り物なのだ。』

「自分と他人の枠を取っ払えるようになったんだ。みんな一緒だ。特別な命なんてない。どれも世界に一つしかない大事な命だ」

「加奈子さんよりも早く出会えていれば、違った人生になっていたかもね。でも有田さんとこうして暮らせたことに感謝している。ありがとう」

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2014年11月25日

Posted by ブクログ

白河三兎さんの長編を初めて読む。
小説新潮に載っていた「子の心、サンタ知らず」がよくてずっと気になっていた。
でも、この前読んだ「白紙」が残念で、恐る恐る。

結論、白川三兎さん好きになれそう。

白河さんが描く人物たちにはがむしゃら感があって人間くさい。
共感できるところが多くて、友達になれそうな人たちなのだ。

「今の私では二人を幸せにできないけど、こんな私でも認めてくれた二人の気持ちは無下にできない」と非合理的な選択をする加奈子。
それに対して、「なんて我がままな女なんだ」と思いつつ、加奈子への愛情が爆発してしまうノブとか。

この物語のテーマの一つは、「人それぞれの幸せ」というところにあると思う。
人は、考え方も背景も違う。
誰もが幸せになるということは難しい。
たとえ家族や恋人同士であってもだ。
それを目指すなら、とにかく相手のことを考えて、がむしゃらでも行動してみるしかない。

結末には驚かされた。

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2020年10月07日

Posted by ブクログ

透明人間のお話
人や物を消せる能力
透明人間を見ることができる能力
そんな力をもった人たちがいる世界

離婚したばかりの男が透明人間の女と出会い
物語は展開する

この著者の作品に出てくる登場人物は一癖二癖ある
人ばかりだなと感じる
そこは好き

ストーリーも楽しめているので好きです

でもなにかもうちょっと欲しいなと感じてしまう
こともあります

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2019年10月05日

Posted by ブクログ

透明人間はゴーストや幽霊が溢れた今にとっていかにもセフティなチョイスだが、後半の能力説明の無闇さは仄かの矛盾が感じたような……先生はやはり洒落会話をたっぷりサービスしたらなによりです。PS:最後透明女の正体はちょっと。。。。。

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2015年02月03日

Posted by ブクログ

離婚が成立し、一人やけ酒をあおる男の前に
突如として現れた透明人間の女。

声は聞こえるし、触れると感触もある。
しかし目には見えず
おまけに何でも一瞬で消してしまう(透明にしてしまう)特殊な能力を持っている。

いい加減だが正直者の男は
彼女が大きな組合に追われていると知り、
寂しさを紛らわすため
謎の女『タマ』との
奇妙な同棲生活が始めることにするが…。


青春ミステリーの傑作『私を知らないで』でも思ったけど、
まず感じたのは
白河さん、ホンマ文章上手いわ~!

SFチックで、
サスペンスフルな設定を
歌うようにテンポ良く綴る筆致に
ページをめくる指が止まらず
ドンドン引き込まれていく(笑)

突拍子もない設定は
乙一と伊坂幸太郎作品を思わすんやけど、
その伊坂幸太郎のお株を奪うような(笑)
軽妙で遊び心のある洒落たセリフの数々がまた
嘘っぽくも嫌みにも聞こえず
むしろ心地よいんですよ(笑)
(そして心のメモ帳にストックしておきたくなるハッとさせられる名言が多し!)


主な登場人物は
主人公で28歳の派遣会社社員の有田信彦。

元妻でクールなキャリアウーマンの加奈子。

加奈子の連れ子で10才になる
一人息子の悟。

そして透明人間の若い女性タマと
タマを確保しようと躍起になる
謎の『組合』なるものからの
執拗な追っ手たち。

透明人間との切ないラブストーリーだと予想していたら
主人公が離婚した理由や
元妻や血縁関係のない息子との絆などが中盤からクローズアップされ、
家族とは?
血の繋がりとは?を
すごく考えさせられる意外な内容でした。
(『私を知らないで』も家族を描いていたし、白河さんの永遠の共通テーマなのかも)

難を言えば、
序盤は透明人間を守ろうとする少し頼りない主人公と(笑)
透明人間を追う組織との攻防は
謎がなかなか明かされず、
着地点が見えないため
いったいどうなるんやろ?って
時間を忘れて読み進めてしまうし面白いんやけど、
章の間に挟まれる主人公と元家族とのエピソードが
どうしても中だるみを生んで
ちと勿体ない印象かな。

透明人間や透明人間が見える人たちの設定を
そこまで複雑にしなくても
充分に面白いものができたような気がしなくもないです(笑)


本当は見える見えないは
大事なことではないのかもしれない。

現に恋の真っ只中にいる時は
好きな人以外の全ての人間が
透明人間のようなもので(笑)、
眼中に入らない。

逆に言うと好きになると
透明人間であっても  
恋に落ちた人にだけは見えるのかもしれないなぁ。

そして解説にあった印象的な引用
『心とは後天的に作られるもの。
育ってきた環境や得てきた情報や
触れてきた映画や音楽や小説が人の心を作る』には共感しきり。

目には見えない『心』というものの存在や動きを
いろいろな言葉を駆使して読む者
に味あわせてくれる
そんな白河さんの小説を読みながら、
自分の心も作られていくのなら
こんな嬉しいことはないと思う。

個人的にまだまだ追いかけていきたい作家です。
(文庫本の帯の解説にもあるように
確かにラストは予測もつかない結末でした笑)

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2014年08月27日

Posted by ブクログ

離婚が成立して,ひとりやけ酒を呷る男.そんな男の部屋に,透明人間が侵入する.何でも消してしまえるという,その女は謎の組織から追われる身.男と透明人間との秘密の同居が始る.前作以上に面白い!!まったく想像できないストーリ展開.ジャンルはミステリ?SF?恋愛?どれにも当て嵌まるし,当て嵌まらないかな.ただただ心が温かくなる素敵な一冊でした.

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2014年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリー要素もSF(というかファンタジー?)要素もふんだんにあるんだが、俺はこの本を父親の小説として読んだ。物語の冒頭、ダメ亭主として(おそらく意図的に)描写された主人公ノブが話が進むごとに変わっていく変遷の味わいがよい。

そう、男ってのはこういうダメなところが、多かれ少なかれ何がしかあるもんだ、こじらすとアル中になったりDV走ったりするんでアカンねんけど、パーフェクトを目指す女性から見たら「なんと情けない」と思われてしまう要素を持ってしまってる性なんやと。

その「なんと情けない」を背負いつつ、子供との関係や恋人とか配偶者との付き合いを進めて行くうちに光ってくる何かがある。背負ってるもんのしんどさがイヤになったり、逃げ出したくなったり、呆れてみたり…

白河さん、少々荒さが目につくものの、さすがの人間描写。透明人間と組合のゴタゴタ劇に家族小説の味わいをぶっ込んでくるあたり、器用さだけじゃない強引さも感じる。そういうのキラいじゃないけど、細部をもうちょいやすりがけしてなめらかにしてくれたらもっと良かったかな。

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2016年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

離婚をしてやけ酒を飲んでいると、突然目の前をなにかが横切ったような気がした。思わず手を伸ばして掴むと女性の手首の感触だった。話しかけると女性の透明人間で、なんでも消せる能力をもち、透明人間の組織に追われているという。寂しかった彼は透明人間の女性を匿うことにした。料理上手の透明人間との奇妙で妙に居心地いい生活は次第に組織の包囲網により追い詰められていく。

荒唐無稽も過ぎるという感じだけれど結構楽しんで読んでしまいました。でもちょっと辻褄が厳しいので理屈っぽい心を麻痺させる必要はあると思われます。

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2016年05月03日

Posted by ブクログ

問題を抱えた人達が前に進もうと足掻く中に不思議が普通に入り込んでいるという。
よくありそうでありえない話。
母親の心の傷と子供の健気さに心が痛み、元夫の優しさがしみます。
よくもまあこんな繊細な心の傷を不思議の中に盛り込んだというか だからこそ設定が生きたお話というか。
結末が気になって一気に読まされてしまいました。
後味も悪くなく、この作家さんの別の本も呼んでみたくなりました。

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2016年03月27日

Posted by ブクログ

離婚が成立し、自宅でひとりやけ酒をあおる男の元に姿の見えない女が現れた。
男は「暇なら飲まないか」と誘い二人は意気投合する。
女は大きな「組合」に追われていると言い、男は彼女を匿い、守ることにした。
奇妙で不思議な同棲生活の行方は・・・。

白河作品はどの作品も、なんだか地に足がついていないようなふわふわとした読み心地がします。
たぶんそれは、終盤に明かされる真実を隠すために、わざと登場人物達の心の動きが読めないようにしているせいなんだと思います。
それが、登場人物たちのつかみどころのないちぐはぐな言動に現れ、独特のフェイク感を醸し出してるんですよね。
面白くないこともないのですが、他の作品も毎回そんな感じなのでちょっともやっとします。

親子の愛情、仕事と自己実現などといった誰もがぶつかるテーマを描いているので読みごたえもあったのですが、透明人間の設定がどうしても緊迫感を削ぐというか、コメディっぽく感じられて集中できませんでした。

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2016年02月01日

Posted by ブクログ

白河さんの作品はどれも非常に読みやすい。が少し期待外れました。「透明人間」という設定には予想外で面白かったけど、ラストが普通過ぎました。これはハッピーエンドと捉えてイイんでしょうね・・・

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2015年08月12日

Posted by ブクログ

「私を知らないで」や「プールの底に眠る」などの作品で、個人的に注目している白河三兎の作品。今回も、ところどころに秀逸な設定や心理描写がみられるけれど、全体的には技巧に凝りすぎている印象。透明人間モノは、光学的な観点や、ヒトの認知能力に関わる難しい問題を避けて通れないし、何らかの設定を導入したとして、物語がその設定と矛盾せずに進行しているのかどうかを読者がチェックしなくてはならないので、負担が大きい。それでも、最後の最後まで結末が分からない白熱した展開には満足したし、まさかのラストシーンには驚かされた。今後もしばらくは白河三兎を追いかけねばなるまい。

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2014年05月18日

Posted by ブクログ

”ケシゴムは嘘を消せない”白河三兎著 講談社文庫(2014/01発売)
(2011/01発売 講談社ノベルス”角のないケシゴムは嘘を消せない”の改稿文庫版。解説:大原まり子)

・・・離婚が成立して一人やけ酒を呷る男の部屋に、女性の透明人間が侵入する。体が見えない上、何でも消してしまえる特殊能力を持つ女は、謎の「組合」に自分が追われていると男に助けを求めた。奇妙で不思議な同棲生活の行方と「見えない」恋の結末は?

・・・とありますが離婚した前妻やその子供との関わりを見ると”透明人間いらないんじゃないか”と思いましたし、
透明人間中心に見ると”前妻と子供の話いらないんじゃないか?”とも思いました。
それぞれ良い印象の話だっただけに少し残念。

・・・ノベルス版は主人公と恋人が突然消えた主人公の妹(文庫版未登場)の話が交互に綴られる話。
そちらの方が面白そうかも。(笑)

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2014年02月12日

Posted by ブクログ

私を知らないで で白河さんいいな、と思い購入。

相変わらずの言葉選び使い方は好きです。
読んできた著者の中ではトップ。

内容は個人的にそこそこ…でした。

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2014年01月19日

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