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物語には生をもたらすキスと、死を招くキスがある。青春、恋愛、セックス、暴力、家族。みんなカナグリ生きている。荒々しく吹きすさぶ言葉たちはいつしか紙の上に優しく降り積もり小説となる。表題作「イキルキス」他4編を収録。2編は文庫書き下ろし!
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Posted by ブクログ
単行本には収録されていない「アンフーアンフー」「無駄口を数える。」の二編が良かった。舞城の小説にしばしば登場する、冷静な登場人物たちが好きで、そうした登場人物たちがこの二編でも活躍?している。
出来事→あいつらなんかこうなればいい→でもホントは違うんだ…そうだとしたらあぁなっちゃうし。だからあれなんだ。 むちゃくちゃなようで妙に説得力があるし、実際間違ったことはいってない。 表現そのものより、表現しようとしているものに含まれるメッセージが胸を打つのかもしれない。あと突拍子のないストーリー...続きを読むと設定とテンポ。グルーヴよりのり。 物語としては素人くさい、パンク。オチむりやり。でも読んじゃう。 わかった、作者が一番楽しんでるから、読者も楽しいんだ。 パッきゃらまどうあたりからあきはじめる。話に関係ない話を楽しめなくなってきた。しかし気づくとはまってる、くそぅ。てかほんと、何でこんな風に書けるの?
文庫書き下ろしの アンフーアンフー 無駄口を数える。疾走感抑えめでまた印象が変わるけど、無駄口を〜。好かった。ラスト四行は美味しいシャワーヘッドにも通じていてぐぐっとくる。他は二度目の読み。陳腐さ薄っぺらさ、通俗性も嘘っぽい現実も、芝居も演技もぜんぶひっくるめて人生の本当でした、というオチも、読後は...続きを読む小説っていいなあというより現実っていいなと思える。妙に心がホカホカする。大好きだ。知ってたけど。
「死ぬのと、死ぬって思うのと、死んでることと、どれが一番好きか」「そんなん一番好きとかでねーやろ。どれが一番マシかって感じやろ」「バーカ。生きてんのに死んでるのと変わんねーのが一番最悪だっつーの」 『やばい。いろんなところ触ってもんで、もみくちゃにしてからいろんなふうに折り曲げてのばしてぐるぐるに...続きを読むして、そんでべろべろべろべろ舐めてからちんちんこすりつけたい。やっぱり写真とかテレビで見る女の子とかと違って体温があって呼吸していて匂いがあってワオー!』 『世界は穢れている。何故なら俺たち皆が穢れているからだ。』 『セックスすること、愛すること、生きること、人間が好きな全ては、結局のところ鼻クソご飯だ。子供が鼻クソを好きになるのと同じ衝動が、俺たちをセックスや愛や生きることの全てに駆り立てる。』 「別に慎吾君、優しくない訳じゃないとと思うけどね、とにかく優しさとか素直さとか正直さってのは、性格っていうよりも振る舞いだからね。」 「内田さんってお母さんのこと好き?」 「もちろん」 「どこが?」 「どこがって全部に決まってんじゃん」 「全部ってありえなくない?だって嫌なところとか欠点とか人間あるでしょ」 「嫌なところも好きなんだよ」 「それ矛盾でしょ」 「愛情に矛盾はないんだよ。嫌なところですら好きになるってこと、愛情になら余裕であるんだよ」 『人生の本当は、嘘や偽物もひっくるめて飲み込んでしまって全部合わせたものなのだ。』 「と、どんどん状況が悪くなってんのにパオパオ歌っているこの歌で、昔は何余裕そうに歌ってんだよと思ってましたが、今考えてみるに、一生懸命生きることととにかくとりあえずパオパオ歌ってみることにどういう違いがあるんでしょう?違いはありはしない。僕たちは苦しみ悲しみ泣きながらパオパオパンパンパンと歌って踊るんです。それが一生懸命生きるってことなんです」 『親として、子供のために何かをできないなんてことはあってはならないのだ。不可能と理不尽と意味不明を相手に戦わなければならない。抗わなければならない。』 「いいよいいよこの世のことなんて。俺、大我を失うわけにはいかないし、大我が泣くの見たくないもん。一人息子だぜ?無理無理。』 「俺や他の人をどんなふうに攻撃しても、お前が悪いってのは変わらないよ?人のせいとか他のことに自分のやったことの責任を押し付けようとするのは子供のやり口。と言いながら俺もまだまだだよ。じゃあ、お互い未熟だったってことで、ね。さようなら」 「ねえ、じゃあ…私がもっと成長したら、もう一度会ってくれる?」 「これまであなたにさようならなんて言ったことなかったでしょ?さようならはさようならだよ。俺が今考えてることは、あなたと交わす言葉をどれだけ最小限にできるかってことだけだから」 「いつもお疲れ様」 「えっ?いや、当たり前のことしてるだけだよ。母親だし」 「俺だって仕事してるの当たり前だけど、いつもお疲れさまって言ってくれるじゃん」 「あーそうか」 「おつおつ」 「ありがとう。でも子育てだって和馬一緒にやってくれてるじゃん。私そっちの仕事は手伝ったことないのに」 「俺が仕事してる間、俺はそっちの仕事手伝えないだろ?おあいこだよ」 『私には失いたくない大事な人がたくさんいる。 ただ、私がどう考えてるか、どう感じているか、どう生きているかを誰にでも説明しなきゃいけないとは思っていないだけなのだ。』
「イキルキス」5 「鼻クソご飯」4 「パッキャラ魔道」4 「アンフーアンフー」3 「無駄口を数える」3 63 252
人のままならなさ、自分だけの文脈では世界はわからないということ、そして当たり前だけど他者を操ったり従わせたりは普通はできないよねということが書かれているように思った。 舞城王太郎作品では、そこで暴力が生まれるのかもしれない。人を従わせたいと思って暴力は振るわれるのではなく、なんで従わないんだよと思っ...続きを読むて振るわれるように思う。 「パッキャラ魔道」で慎吾くんがお父さんに「お前らもう少し人に対して優しくなんなさい」と言われて「そんなのお兄ちゃんに言ってよー」と言い返したらビンタされるのとか最高にリアル。だってお父さんの方が正しいもんね。でも、この時のお父さんの行動は間違いなのだ。 「イキルキス」でも「鼻クソご飯」でも、誰かが「相手がこっちの正論に従わない」と思った時、暴走してる。それが「アンフーアンフー」「無駄口を数える。」では主人公が冷静になれてるから、暴力が発生しないのだろう。
久しぶりの舞城王太郎。 相変わらずの言葉の奔流。 設定、無茶苦茶のストーリーが、ほぼ主人公の内心の独白で進む。とてつもないスピード感で。 この感覚は、なかなか他の人では味わえない。
舞城王太郎さんのアニメやマンガとかとても面白かったので一度本を読んでみたいなあって読みましたけど、もう二度と読まないかなと思っていたけど… 結局! ーーー 最後のショートショート「無駄口を数える」めっちゃよかった感動しました!
問題が起き、思慮を廻らせ、自分の中で折り合いがつき、救済がやってくる。そんなストーリーの繰り返しにより短編は紡がれる。「無駄口を数える。」は「微温的」な超短編ながら、言葉にならない言葉を言葉にするという空気感が圧巻。
おもしろかったよ全編よかったよ! 舞城王太郎を読んだ後って良くも悪くも影響されてまうよね。改行をせずにぶぁーって文字を打ちたくなるというか。んで打ってしまってから自分にゃ無理だ、つって圧倒的力の差を痛感するよね。
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