講談社文庫作品一覧

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  • 死の報酬
    -
    社長令嬢で、元映画女優だった女性の突然の失踪、そして彼女と思われる変死体。同じ日、彼女を愛人にしていたテレビ俳優が、死体となって発見される。が、その死体は何処ともなく消えさってしまう。御存じ私立探偵・佐久と久里十八の名コンビが、男女の死体をめぐって大活躍をする、ユーモア・サスペンスのヒット作。
  • 今朝太郎渡世旅
    -
    奥州の片田舎の上杉藩関村で、水呑百姓として一生を終わるはずだった今朝市は、江戸の商人・信吉のために渡世人・今朝太郎となって、裏街道を歩くことになる。同行するは、デブで醜女だが気立てのよい初体験の相手である飯盛女・おさん、体力も意気地もないイカサマ博奕師の壺振り仙八。奥州街道を江戸へ向って世をはばかる逃避行をする3人の、おもしろおかしい裏街道の道行を描く。奇妙な偶然に翻弄される、快心の異色股旅ユーモア小説。
  • 午後の砲声
    -
    1巻660円 (税込)
    パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部――日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。銃弾の飛び交うベカー高原、火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火……。戦争の悲惨さと人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由と解放を獲得する道を探し求めた。戦火のレバノンで戦う男たちの革命と愛の讃歌!
  • 急行エトロフ殺人事件
    3.0
    世上騒然たる終戦直前、名古屋で開かれたある同窓会の出席者のうち、3人が次々に不可解な死をとげた。ヤング・カップルの可能キリコと牧薩次は、事件の謎を追って、ついに最果てのエトロフへと……。そして彼らにわか探偵たちを待ち受ける恐るべき罠。ホームメイドの時刻表に、SF的手法も盛りこんだ、奇想天外な新・トラベルミステリー長編。新境地を開く傑作!
  • 学校の怪談 百円のビデオ
    3.0
    「百物語」と「七不思議」――不思議と怪異の傑作怪談集。 旅先で買った1本100円のビデオは「鋸」というタイトルだった……(「百円のビデオ」)。ひとり息子の誕生日、ケーキを買って家路を急ぐ男は分かれ道の前で迷っていた。近い方の道には、悲しく辛い思い出があり、できれば通りたくないからだった……(「子取沼(ことろぬま)」)。よりぬきの「こわい話」57編を収録。 ※本書に収録された内容は講談社KK文庫1990年11月刊『学校の怪談』から1996年7月刊『学校の怪談8』までの8冊から選び、構成、加筆したものです。
  • 夏目漱石・美術批評
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 大正1年、夏目漱石は、文部省主催の官設美術展の会場を訪れ、批評「文展と芸術」を残した。それは、漱石の、まとまった形では唯一の、美術批評であって、風雲の時代を背景にして、美術史上、重要な証言であるとともに、諷刺と諧謔にあふれた叙述、作品への誠実な対応とによって、美術に親しむ恰好の案内役となっている。
  • わが家の夕めし
    3.3
    ※本書は単行本版『わが家の夕めし 池波正太郎未刊行エッセイ集3』と同一の内容です。重複購入にはご注意下さい。 変わらない食卓の風景。変化する昭和の街角。人生の達人が綴る、豊かなる暮しの情景。 作家として多忙な日々を送る著者が、毎日、楽しみにしていたわが家の夕めし。子供の頃から好きな冷奴に、ついつい食べ過ぎるとろろ飯……。自作が、テレビドラマになったときの感想のほか、瀬戸内寂聴さんに「マジメ人間にして、大淫乱」と評された話など、暮しの達人が多彩な面を垣間見せる、随筆51編を収録。
  • ルイジアナ杭打ち
    -
    父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を、少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部(ディープ・サウス)に住む異邦人としての非適応感覚を、クールに、しかもユーモアも交えて捉えた意欲作。野間文芸新人賞受賞の表題作に、群像新人賞の「ジパング」を併録。
  • メロンと鳩
    -
    「生と死」をドラマチックに描く短編小説集。処刑を目前にした死刑囚と面接委員との心の交流を鮮やかに描いた「メロンと鳩」、毎月数十人もの自殺者が飛びこむ断崖をひかえた村を舞台に「その瞬間」を警察官の子供の眼からとらえた「島の春」など、吉村昭の多彩な小説世界のエッセンス10編を収録する。
  • それでもしたい?! 結婚
    3.0
    ああ、やっぱりひとりが楽でいい、なんて呟く私。恋をすると、そりゃ胸はときめくけど、20代の頃のようにはいかない。彼が帰ると、ほっとしたりしてね。それでも日曜日の夕暮れどき、結婚したい!って願うときもある。30過ぎると女もいろいろ大変だあ。シングル女性のゆれる胸のうちを本音で綴る愛のエッセイ。30代シングル女性の夢見る究極の結婚とは?
  • スケバンのいた頃
    4.0
    2年10組、42人中、8割方が、暴走族の集会に集まるワルそなやつらばかり。なかでもスケバンのノンコは、女教師に目つぶしを食らわすほど。そんなクラスに産休代理で、新任熱血教師・江(こう)健一が赴任した。もちろんその後は、難儀なことばかり。江の熱い想いは、ノンコや生徒たちに伝わるのか。中場流青春学園小説。熱くて悪いか! スケバンvs.熱血教師。
  • カイジ ファイナルゲーム 小説版
    3.5
    シリーズ累計2100万部を誇るギャンブル漫画の金字塔『カイジ』藤原竜也主演映画化第3弾は、原作者福本伸行自ら脚本に携わり、オリジナルストーリーを考案。全く新しい4つのゲーム【バベルの塔】【最後の審判】【ドリームジャンプ】【ゴールドジャンケン】が登場し、ファン垂涎の手に汗握る展開が繰り広げられる。
  • 和解・小僧の神様 ほか十三編
    -
    透徹した人間観察の眼で、生命観にあふれた独自の世界を築き、格調高い近代日本文学の典型を創造した志賀直哉の初期中短編集。表題作のほか「網走まで」「城の崎にて」など13編を収録。原本に、志賀直哉を正しく理解するための数編の短篇と自筆の絵などを加えた完全版。
  • 夜の虹
    -
    一年に一度だけ、箱根のリゾートホテルに集まる「七夕会」の優雅なメンバーたち。しかし、ある年、そのメンバーが次々と怪死してしまう。すべての事件の発端は、6年前の女子大生暴行事件にあった。恋人同士の俊之と美由紀が、ベッド・ディテクティブで、事件の真相に迫る。都会派本格長編ミステリー!
  • 夢あたたかき 向田邦子との二十年
    5.0
    向田さんと私とは、同志でもなければ、戦友でもなく、かといって師弟でもなく、男と女でもなかった。短いスカートと半ズボンの、お互い膝小僧の見える幼馴染みだった。――そんな忘れえぬ人=向田邦子との思い出を、訣別の意もこめて綴るエッセイ。忘れ物をいっしょに探して歩いてきた向田さんに、さようなら!! 20年の歳月、それは一緒に忘れものを探し歩いてきた時間――。
  • 覇権の構図 ドキュメント自動車再編
    -
    外国資本の上陸を前に、自動車業界再編の覇者を目指し、しのぎを削る男たちの壮絶な闘い。自動車産業の内幕をえぐる経済人必読の書! 「高度成長の申し子のような自動車産業では、国際競争力強化という唯一絶対の錦の御旗を掲げて、昭和四十六年までに九つの再編成劇をくり拡げてきた。それは中原に覇を求める企業の弱肉強食の修羅場でもあった。そしてそこに壮大な人間ドラマを現出させたのである。」(「序文」より抜粋)
  • 冬の時代の管理職
    -
    サラリ-マン社会にいま何が起こっているのか? あらゆるサラリ-マンにとって今ほど生きるのにつらい時代が他にあっただろうか? 配転パニック、昇進うつ病、燃えつき症候群、部下恐怖症……企業社会の「野戦病院」には、病み傷ついた中高年サラリーマンがゴロゴロしている。管理職の3割は余っているといわれ、高齢化社会の到来と団塊の世代の激しいつき上げにあって、中高年サラリーマン総くずれ現象が起きている。大きな仕事のチャンスは減り、中高年ははき出される……。敗者復活のない冬の時代をリアルに描いた、心を打つ話題の作品。
  • 電気紙芝居殺人事件
    3.0
    27年前、天才脚本家とうたわれた男が、奇妙な飛び下り自殺をした。当時のテレビ、映画界を知っている老ルポライターが、ひょんなことから、その事件をあらためて追及すると――。二転三転、意外極まる真相劇を、テレビ草創期の実話をふんだんに盛り込みつつ、重層的に描く、卓抜秀逸な異色の傑作長編推理。
  • 単身赴任
    -
    金銭に細かく、けちで厚顔な徹底した仕事第一主義のビジネスマン。そんな上司の人間味と悲哀を部下の好意の目でとらえた表題作。偏執的なパトロンの籠から翔びたとうとするバーのマダムの重い人生を描いた「三宅坂渋滞」。ほかに、「時雨るゝや」「逃げの平賀」など、男と女の出会いと別れの人生を、著者独特の息づかいの中に描く、全9編を収めた絶妙の傑作短編集。
  • 情熱の断罪
    4.0
    結婚式の最中に、新郎が刺殺された。しかし、被害者の新郎と加害者の間には、何のつながりもない。加害者を犯行に至らせた、驚くべき理由とは? という表題作をはじめ、名門高校の受験をめぐり、不幸の連鎖にずぶずぶとはまってしまった家族を描く「姦の毒」など、人の心の闇を照らしだす、初期発表の傑作短編6編を収録。殺しても、なお続く……負の連鎖!
  • 殺意の接点
    -
    殺されるのに理由なんかいらない! 深夜の寝台車で起きた人気タレント刺殺事件。犯人はいつ乗車し、どこへ消えたのか……という表題作をはじめ、ホテルの特殊性を駆使した「科学的管理法殺人事件」、山岳を舞台にした「高燥の墳墓」など、殺人者の心理、追及者の執念を鋭く抉(えぐ)る、初期傑作推理短編集。全6編収録。
  • 殺意の逆流
    -
    本店から地方支店へ、突然の異動を命じられた銀行マン。そのウラには、不正の調査という極秘の使命を帯びていた……という表題作をはじめ、社内出世競争のドス黒い渦が家庭にまで及んだとき、妻が被(こうむ)る悲劇を描く「派閥抗争殺人事件」、北アルプスで人が消える?「北ア山荘失踪事件」など、初期発表の傑作短編6編を収録。よりによって私が殺されるなんて……極秘指令を受けて、不正の巣窟に単身乗り込んだ銀行員に迫る危機!
  • 湖沼学入門
    3.0
    有名無名の湖に沼。吹雪にうもれた赤城大沼、水の色濃く神秘的な青木湖、多彩な顔をもつ五色沼、茫漠とした尾岱沼、雨にけむる本州北端の十三湖……それぞれの味わい深いたたずまいに浸って、昼は絵筆をとり、夜は酒を酌む。四季おりおりの自然と人情にふれる旅情の中に、人生の味がにじむ紀行エッセイの傑作。
  • 沖縄県営鉄道殺人事件
    3.0
    南国沖縄を訪れた、牧薩次と可能キリコのヤング探偵コンビの前に、難事件が続発する。鍵のかかったホテルの密室で、若い女性が突如奇怪な老婆の姿に変身! さらに大邸宅の庭に、見るも無惨な男の轢死体! 今はない沖縄県営鉄道の謎の大爆発事故を軸に、現代のあいつぐ怪事件を絡ませ、合わせて沖縄案内も目指した、超異色の長編推理。密室と鉄道の怪事件が錯綜する!
  • わが町
    -
    いまは失われた大阪の町並みに道筋に、ユニークな人物がぞくぞく立ち現れる。人間くさく、おかしく、ぶきっちょで、ペーソスにみち、そしてついにいとおしい人間たち。過ぎ去った幼なかりし若かりし季節、そこで出会い別れた愛すべき人々へのいちずな思いをうたって、笑いと涙を呼ぶ人間讃歌。連作長篇の名品。
  • ロマンの寄木細工
    -
    推理文壇の寵児・森村誠一が読者に贈る、待望のエッセイ集。山行を通し旅のロマンを語り、みずからの体験をふりかえり、現代の管理社会を厳しく告発しながら、人生の諸相をさぐる。そこには作家の確かな眼があり、躍動する自由で清新な精神がある。人生の探求者・森村誠一のすべてを盛り込んだ、魅力の書。自作の詩を巻末に併録。
  • レジャーランド殺人事件
    3.0
    レジャーランドのアトラクション内で、自動車セールスマンが刺殺された。犯人を突き止めた刑事が知る、驚愕の真相。という表題作をはじめ、巧妙に仕組まれたワナが圧巻の「“自然”殺人事件」、ホテル業界の熾烈な争いを浮き彫りにした「初夜の陰画」など、人間の醜い欲望を緻密に描く、初期傑作推理短編集の第2弾。殺しても殺しても欲望は消えない! 遊園地のアトラクションで刺殺事件発生。犯人はどこへ消えた?
  • ピラミッド社会の底辺から
    -
    企業組織の力を個人の力として錯覚し、転落するエリート。通勤を急ぐあまり路上の病者を死なせてしまう、群衆という名の殺人者。身分をひた隠しして男性社員との恋を謳歌した、社長令嬢の誤算。――ビジネス社会の残酷な底辺でうごめき、出世や左遷、そして屈辱の日々を送る、サラリーマンの生きざまを考現し、痛烈に描破した、掌編小説集。
  • としみつ
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 おかあさんと「としみつ」チャン。せんせいと「としみつ」くん。「まり子」と「としみつ」……「ねむの木学園」のとしみつチャンが、7年間の間に、宮城まり子さんと交わした、「手紙」と「絵」と「作文」を、1300通をこす中から選び、まり子さんの返事とともに、に小さな画文集にして、あなたの、やさしさに、おくります。「絵」64点&「手紙と文」55編の小さな画集――愛と祈りのデュエット!
  • アイデア漫画館
    -
    とかくこの世は住みにくい。ユメもキボーもすぐ消える。なんとか楽しくやれないものか。おどけ、ユーモア、風刺……四角を丸・三角にみる姿勢が必要だ。そこから豊かな発想も生まれ出る。古今東西のアイデア漫画をよりすぐり、見て驚き読んで笑う珍発想のノウハウを、書き下ろしで公開する。さあレッツ・リード!
  • 作者の家 黙阿弥以後の人びと 〈第一部〉
    -
    河竹黙阿弥の死後、長男をさしおき、娘・糸女が歌舞伎作者の家を継ぐ。相続や著作権をめぐるトラブルに巻きこまれながらも家を守る、生涯独身で謎的な女丈夫だった糸女。そして坪内逍遙の仲だちで、養嗣子・繁俊をむかえることになる。曽祖父・黙阿弥への想いと綿密な考証を重ねつつ、孫として演劇史家として渾身の力をこめ、糸女の「女の一生」と河竹家の歴史を描いた、実感的近代史。読売文学賞受賞の名作。
  • 玲子さんのおしゃれ感覚 春・夏・秋・冬
    -
    おしゃれ上手は心が元気! 新しい季節に、ワクワクします。冬はジョッパーブーツできめようか。夏は無難に逃げず、フクシャピンクに挑戦しようかな。おしゃれ心を止めないで、勇気リンリン、前向きに! 着くずしてこそおしゃれ上級者、計算されたさりげなさが素敵、というイキイキエッセイ。
  • 約束の土地
    -
    5年前に在日朝鮮人の組織を離れ、文筆活動に入った作家・重吉。南北に分断された祖国をもち、二重言語生活者として創作に従事する重吉の苦悩。日本という異国での生活を余儀なくされている困難な状況――。「約束された土地」を求め、祖国統一の日に向かって生きる在日朝鮮人のたぎる想いを描く、入魂の力作長編。
  • 魔球の伝説
    -
    目の前のプレーそのものよりも、記録に残された、あるいは書き残されたものがもつ、もうひとつの野球の魅力を人々は知っている。実現されなかった可能性を残して逝った沢村栄治、幻の盗塁王ビリー・ハミルトン、神話を演じた男・山口高志など、幾多のプレイヤーたち。そして、黒人大リーガーの光と影……。これはボールに命運を賭け、伝説となった男たちに贈る讃辞なのだ! 「もう一つの野球」シーンを追いもとめた、芥川賞作家による入魂の日米野球エッセイ集。かつて野球少年だったアナタへ捧ぐ、白球に賭けた男たちの知られざる人生、夢と挫折!
  • 本田宗一郎 思うままに生きろ
    3.0
    堂々たる人生――本田宗一郎の花と嵐を克明に追う。びっくりするほど痛快で、とてつもなく人間味にあふれ、好きな道を突っ走った男の生涯が、ここに輝いている。ハングリーな鍛冶屋の伜が、エンジン開発に情熱を燃やし、クルマに夢を託した秘密とは何か。実業に徹し世界にアピールした軌跡を明かす。
  • 同行百歳
    -
    安穏で平凡な道を望みつつ、しかし、妻と歩いてきた道は、けっこう波風が立ち、危険に満ちていた。今、よくやったじゃないかと、自分に拍手を送ってやりたいような気がしている――という表題作はじめ、来し方を思いながら、生きることの辛さに涙し、楽しさに心を暖め、人生の意味を探る、味わい深い名品11篇。男の涙の履歴書!
  • 団塊サラリーマンの生き方
    -
    出向・配転に襲われる40代後半のサラリーマン諸君! トップと新人類にはさまれて悩みが深い。家庭と仕事をいかに両立させるか、会社処世もままならぬ。だが負けるな。いまこそ、自分のために生きよ。右顧左眄するな。かけがえのない人生を無駄におくるな。時には会社と対峙せよ。勇気の出る提言に学ぼう。
  • 小樽地獄坂の殺人
    5.0
    遺言状に残された、見知らぬ3人の男女の名前。しかも父は、そのうちの一人を結婚相手に指名していた。23年前の小樽で、父に何があったのか? 3人の消息をたずねて北海道に渡った、一人娘・由紀子の周囲に起こる殺人事件。小樽と京都を結ぶ連続殺人が、せつなく哀しい愛の悲劇を浮かびあがらせてくる。本格長編推理。
  • 十二秒の誤算
    5.0
    ニューヒロイン登場! 不倫調査員・片山由美・27歳。不倫に疲れて会社を辞め、興信所に勤めた由美の初仕事は、主婦の浮気調査だった。夫の依頼で尾行を始めて10日目、妻は愛人と彼のマンションで毒死していた。心中かそれとも……。事件の真相に迫る由美に危険が──。鮮やかな推理で謎を解く、新シリーズ傑作短編集。
  • 婚約
    -
    「弱っちゃった。焦っちゃうの。最後の最後に来てこうですから」とっくに相手と同棲してしまっている息子の結婚を控えて、微妙に揺れ動く父親の心理を、哀歓をこめてユーモラスに描く表題作。筆者の青春に色濃く影響を与えたおでん屋について書かれた「たにし亭ありき」、他にイタリアの画家ボッカッチの絵にまつわる「一枚の絵」など、人生の味わい深い、哀歓と滋味にあふれた傑作短編集。全12編収録。
  • 京都清水坂殺人事件
    -
    古都の陶器店主が絞殺され、現場に砕けた抹茶茶碗が残されていた。失踪した長男、若き後妻と先妻の娘、そして不倫。事件の背景に、様々な愛憎のドラマが浮びあがる。人の心を癒す千年の都で起きた哀しい殺人に、第2の犠牲者が加えられた……。検視官・江夏冬子が事件の謎を鮮やかに解き明かす、本格長篇ミステリ。古都の陶器店主の死の謎、砕けた抹茶茶碗の謎とは?
  • 記憶のなかに
    -
    靖国神社に近い坂道のそばにあった母の美容院。皿の底を頭に叩きつけられて泣く病弱の姉。出征の演説を小さな声で三言しか喋らなかった兄。――戦中から戦後へと、成長する童女の犀利な感性がとらえた、生活の微妙な陰影と心の動きを、詩的な散文に凝結させた表題作のほか、3篇を収録。芥川賞作家の第一創作集。
  • 雨はいつまで降り続く(上)
    -
    元M新聞サイゴン特派員の矢沢建彦のもとへ、シェーというベトナム人から一通の手紙が届いた。ベトナム戦争当時、戦闘中に死んだはずの友人でジャーナリストの叶吾郎が生きているというのだ。叶の行方を探すため、矢沢は急遽バンコクへ向かうが、ベトナムに潜入した矢沢に暗殺者の手が迫る……。ベトナムに生き、愛し、闘った男たちへのレクイエム。<上下巻>
  • バラガキ 土方歳三青春譜
    3.9
    「どんなことをしても勝ちゃいいのさ」と、うそぶく男は、その名も土方歳三。茨のような鋭い棘を持った悪童、さわると棘で怪我をする危ないヤツ、だからバラガキ、と呼ばれている。攘夷が叫ばれる江戸を舞台に喧嘩三昧、そして京の街でもひと旗あげようと勢い込む。ナカバ的解釈の痛快新選組・青春グラフィティ。江戸で大暴れの新選組、京でもひと旗あげてやる!
  • 頼朝勘定
    -
    伊豆・蛭ケ小島に流罪の身の源頼朝は、伊東祐親の娘・八重との間に子をなしたが、祐親の怒りに触れ恋は破れた。失恋に懲りた頼朝が、北条政子との新たな恋でとった策は? 作者は言う、小説の醍醐味は読者の予想の裏をかくことだ、と。大長編の名手・山岡荘八が、その力量・技量を濃密に約集して贈る名短編11編。秀抜で独得な史観でせまる珠玉の歴史短編集。
  • 葉煙草の罠
    4.0
    森麻子は、京都の外国人観光客用ガイドである。フィリピンの貿易商・ベルナスを案内して清水寺にきたとき、英文パンフレットの購入を頼まれた。だが戻って来た彼女が目にしたものは、ベルナスの惨殺体だった。そしてベルナスの右手には、1個の10円玉が握られていた。彼は何を告げようとしたのか? 貿易と政争をからめた、意欲的推理長篇。
  • 復活祭のためのレクイエム
    -
    <言語>と<笑い>にあふれる、群像新人賞受賞作。――窮極のキャッチフレーズ「買って」! これをオカマのセーラちゃんに教えられた、コピーライターの僕。あらゆる言葉になることができたし、あらゆる物になることができ、メタモルフォ-スをくり返す、W1―ダブルワン。そしてオカマに変身してしまった「彼」の、愛と笑いにあふれた物語。一分ごとの笑いの激流におぼれないで、最後まで「読んで」!?
  • 東京ディズニーランド 驚異の経営マジック
    -
    千葉・浦安の海に生まれた「夢と魔法の王国」は、オープンしてから毎年1000万人以上の来園者を集める、超人気の遊園地だ。なぜ魅力があるのか? 王国の生い立ちからアトラクション戦略まで、徹底取材する。ファミリーエンタテインメントが成功する秘密と経営ノウハウを解明し、文化装置産業の未来像に迫る。
  • 少年魂
    5.0
    大切なのは、できごとの数々でなく、そのときどきの状況のなかで、どれだけ自分を伸ばしたか、ということである。それが、明日への活力の基礎になるからである(「まえがき」より)。最高検察庁検事を辞めてボランティアの普及に尽力する道を選んだ著者が、自信の「原点」であると語る「少年時代」を振り返る。
  • 住友銀行経営会議
    -
    熾烈な「金融大戦争」へ万全の臨戦態勢を整えたいま、世界のベストバンクをめざしてフル稼働。その巨大な戦略を具体化するのが、経営会議。すばやい意思決定のもとに、あらゆる舞台に打って出る、大躍進するおそるべきパワー集団のエネルギーは、どこから生まれるのか。人と組織を生かし、躍進するすばやい意志決定の秘密を解く、経営学教科書。
  • 花の寺殺人事件
    -
    宇治平等院の藤棚の下で出会った男との結婚を夢みたハイミス。だが、彼女の前途は決してたやすくはなかった。藤、芙蓉、彼岸花、桜、菊、石楠花、月下美人、桔梗などで知られる京都の古刹を舞台にして、トリックの女王がはなやかに展開させる、本格ミステリーの出色連作集。
  • 一万分の一ミリの殺人
    -
    致命率70パーセント、エイズよりも恐ろしいという、国際伝染病「エボラ出血熱」。その男性の真性患者が、東京で発見された。さらに、疑似患者も次々に出た。第一次感染者と思われる女は、行方不明。国立微生物医学研究所内部の人間による、ウイルス漏出説を探る新聞記者は、殺されてしまう。綿密な取材と完璧なデータに裏打ちされた、俊英の都会派ミステリー。国際伝染病パニックの元凶は、だれなのか? 首都にまき散らしたのは研究者か、赤毛の女か?
  • マラッカの海に消えた
    5.0
    石油会社のOLだった亜木子は、上司・田岡との愛を清算して、社内結婚する。しかし、夫婦間は冷たい。ある日、夫はマレーシアに出張した。孤独をいやそうと夜の盛り場に出た彼女は、なんと異国にいるはずの夫を見かけた。そして翌日には、田岡の死体がホテルの一室で発見され……。東京とペナンを結ぶ、雄大な推理秀作。
  • となりの韓国人 傾向と対策
    4.0
    仕事よりメシが大事な韓国人、完璧なんて望まない韓国人、はっきり言わなきゃわからない韓国人。似てるようでもちょっと違うし、違うところはずいぶん違う。そんな違いに、日本人と韓国人は、いつもつまずく……。20年以上韓国と関わってきた人気女優が解き明かす、ドラマではわからない「隣人」の真相。愛するなら、知ってほしい! 「礼」と「情」にあふれる「隣人」は、お節介で少しワガママ?
  • ソウル マイハート
    -
    私の人生を変えたソウル。ソウル、マイライフ! 韓国の、あるバレーボール選手をひと目見たとたん、むくむくと今まで知らなかった隣国に興味を覚えた。必至にハングルを勉強し、ソウルの街に飛びこんだ。熱くて激しくて陽気なコリアンたちとの出会い。つかの間の旅の出会いも、自分の意志で永遠の出会いに変えることができるんだ。みずみずしい感性でつづる、異文化体験記!
  • ソウル マイデイズ
    -
    「私は本来何者であったのか」……昔の記憶を取り戻しながら、苦しくも楽しかったこの2年を振り返り、またそれ以前の生活へ帰還しようとしている――。アジア初のサッカーW杯を目前に控えたソウル。その地でキャンパスライフを始めながら、東京との二重生活を送った韓国通の女優が、熱き鼓動をリポート。一挙公開! ソウル「ドキドキ生活」。
  • 悪道 最後の密命
    -
    伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統は、影将軍に隠密の護衛役として仕え、幕府の危機を幾度も救ってきた。その影将軍が正統の血筋に返すため、後代家宣に将軍職を譲ることを決意する。だが、幕閣、大奥、御三家と思惑と野心が交錯し、すさまじい抗争が勃発する。闇の世界で刺客と刃を交える英次郎一統は、影将軍の治世を護るため、最後の戦いに向かう。そして英次郎を慕うものの、生き方を異にする天才女医おそでとの結末は!?
  • 恋盗人
    5.0
    美人アナウンサー・細川知子が不倫相手の杉正彦とデート中、杉の妻が何者かに殺される。あわてた二人は、死体をひそかに琵琶湖畔に埋めるが、まもなく、「犯行を目撃した。500万用意せよ!」の脅迫状が……。甘い生活から一転、苛酷な運命に翻弄される知子。衝撃のドンデン返しを秘めた、魅惑的長編推理。美人アナウンサーを翻弄する愛の迷路。愛しあう男女を引き裂き、殺人にまで駆り立てるものは何?
  • 踊る腹のムシ グルメブームの落とし穴
    4.0
    顔にコブのできた有名プロレスラーが、寄生虫博士の研究室にやってきた! 原因は海外で食べた刺身から感染した有棘顎口虫(ゆうきょくがくこうちゅう)。生の食べ物にはキケンがいっぱい! ブタ肉から有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)、地鶏のレバ刺しからイヌ回虫……。グルメブームの日本人に警鐘を鳴らす、面白コワイ、メディカル・エッセイ。その刺身、食べるのチョット待って! カイチュウ博士の仰天エッセイ。<『獅子身中のサナダ虫』改題作品>
  • 葉桜の季節
    3.0
    季節の移ろいとともに、大地の色やにおいが変化するように、いつの日も心のままに生きてきた。……瀬戸内海の光を抱いて過ごした幼い日から今日まで、さまざまな出会いと別れを繰り返した自らの生を、四季の情景に重ねてたどる自伝的エッセイ集。性愛文学の極限を求めつづける著者の愛と生の原点が、ここにある。
  • 夢探偵 SF&ミステリー百科
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    日本のSF創始期から活動を続け、さらに推理小説にも精通した、著者ならではの、貴重なSF&ミステリー・ガイドブック。古今東西の傑作をベースに、バラエティーに富む、興味深いテーマや内容をしゃれた文章でエッセイ風に展望する。巻末に「ミニ推理・SF史」「読書ガイド」収録。<『SF・ミステリおもろ大百科』改題作品>
  • 彼の故郷
    5.0
    幼年の頃、青年の頃の忘れがたい光景……それは「故郷」という地獄である。「浩」と呼ぶ少年の成長の過程を、夢と現実の巧みな交錯の中に描き、硬質な抒情の世界を創る半自伝的短編連作集。「いわゆる生い立ちの時期に自然と注意が集まって行った。で、特に意識させられたことは、自分の奇妙な姿勢であった。幼年期から青年期の始めにかけての記憶と現在との間には遠い距離がある。私は、普通に眺めれば広い視界の、ごく限られた一劃に望遠鏡のピントを合わせ、陽炎のかなたを見ようとして呼吸を整えるといった具合だった。」(後記より)
  • 白い椅子
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    誠実な院主として、檀家に好感を持たれている曜(よう)は、二人の年上の未亡人と関係を続ける一方、拒絶された年下の未亡人に対する想いを断ち切れずにいる。そんなとき、曜は親鸞のいう「宿業」を考える。愛欲と闘った親鸞の苦悩があるか。親鸞の教える生き方をしているか。情欲に溺れる己の非力を痛感し、それを超えようとする青年僧の煩悶を描く、長篇大作。
  • 日本のこころ
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    情緒・学問・信仰・教育など、日本人の原点的な精神生活に深い洞察の眼をむけて、〈春宵十話・すみれの言葉・私の人生観〉など、全21編の多彩な思想を集大成した、異色の随想集。碩学・岡潔博士の、現代におくる生きた思索の書。不朽の名作!
  • 道化の宇宙
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    祝祭的な宇宙=世界を司る道化とは何者か? 「道化は、日常語に属する等身大の思想に対しては、その本来の姿を現さない。……彼は真昼間の世界では錯乱を装い、黒い仮面を通して闇の世界から出現する何者かであったのだ」……近代社会の単一価値的で現実的・合理主義的な世界に、異端として現れる豊饒な存在者を、実例的に分析する、不朽の名著。道化こそが、この一義的で硬直した世界を、哄笑によって救済する!
  • 天の橋立殺人事件
    5.0
    天の橋立に向かう急行の車内で、東京の会社員が殺された。彼は不動産を処分して大金を得て、しかも再婚したばかりだった。新妻や昔の恋人たちが容疑者として浮かぶうち、今度は針供養で賑わう京都法輪寺で新しい殺人事件発生! 連続殺人の謎と時刻表トリック崩しに令嬢キャサリンが挑む、豪華絢爛推理。
  • 地鳴りの家
    -
    瀬戸内海沿岸の浅川村で200年続いた旧家=加納本家の莫大な財産を、二軒の分家の男たちが虎視眈々と狙っていた。莫大な財産をめぐる血塗られた骨肉の争いだ。子宝に恵まれぬ本家の夫婦は、折しも玄関先に捨てられていた女の赤ん坊をりんと名づけ、養女にして財産を継がせようとした。夫婦があいついで世を去り、成長したりんが当主となった時、血の惨劇がはじまった。零落する一方の北加納家の男たちは、その財産を狙うのだが……。――明治の瀬戸内地方を舞台にした野心的長編。
  • 体にいい寄生虫 ダイエットから花粉症まで
    3.8
    寄生虫を愛するあまり、自分の体で飼い始めてしまった、カイチュウ博士。ヒロミちゃんにサトミちゃんと名前も付けて、大まじめに人体実験を試みた結果は? 寄生虫でダイエットに成功した世界的有名人のエピソード、花粉症やアトピーも寄生虫で克服できるという医学的根拠など、ビックリ仰天の面白エッセイ。寄生虫と人間のとってもいい関係……カイチュウ博士がおなかでサナダ虫を飼って人体実験!
  • メロドラマ
    -
    港町・神戸に流れ着き、男ゆえの傷をかくしキザに生きる、謎の男・名倉。その彼を敬愛・崇拝しながらも、やがては追い越そうと狙う、チンピラの若者たち。そして、誘蛾灯のような名倉の魅力にひかれて寄ってくる女たち……。名倉をめぐる人物の相関図が次第に暴いてゆく、彼の謎の過去とは何なのか? 美しい神戸を舞台に、人生を踊る男女を洗練された手法で描く都会のサスペンス・ロマン。
  • 素直な容疑者
    3.0
    目覚めたとき、明の横で、女は息絶えていた。赤くよごれたシーツと、ベッド脇の血をたたえた水槽。逮捕された明が、自ら推理したのちに選んだ運命は? 少女の愛の渇きを見事に捉えたミステリーの表題作のほかに、女性心理の微妙な揺れ、また翳りを描く「窓辺の娘」「犬を飼う男」「街の神秘と憂愁」など全7編。
  • 戦略的「鎖国」論
    -
    無差別に国を鎖せというのではない。無差別に外国に自分を合わせることへの警告である。自己主張を忘れ、ムードや外圧に流された安易な「国際化」に走ることなく、今こそ独自の戦略を選びとるときである。そのためには自分自身を知ることであり、自国の強さと弱さ、本質と枝葉の区別を弁えることである。自己主張を忘れた戦略なき日本への、冷徹な提言。
  • 雪嵐
    -
    北海道・大雪山麓。苛烈な自然と貧困に怯えつつ暮らす、両親と6人の子供。生活の辛さ、女教師への憧れ、淡い性の目覚め、そして何より、自然と人情の美しさの中で、少年は成長していき、人生に目覚めていく。その目は、重い真実と胸底の暗い澱みを見据えながら、爽やかな明るさを失なわない。少年の目に映じた自然と人情の素晴らしさ。まさに、著者が「ぼくの原風景」「文学の原風景」と呼ぶにふさわしい、感動的な長編小説である。
  • 西鶴人情橋
    4.0
    俳諧師から草本作家への転身をはかる井原西鶴。亡父ゆずりの豪剣をふるう磯部信十郎。二人の奇妙な友情を軸に織り成される人間模様の数々。米相場を左右する大阪商人たちの葛藤と幕閣中枢の暗闘には、謎の美剣士がからむ。――剣あり、恋あり、友情ありの、浪花元禄時代絵巻。第3回時代小説大賞受賞作。剣と恋がからむ西鶴と青年剣客の熱い友情を描いた、手に汗にぎる活劇ロマン!
  • 生のさ中に
    -
    先生、世界に夕焼ってものがなくって、或る日急に夕焼が見えたら、みんなよく見るでしょうね。地球が出来てから無くなるまでに、夕焼が一回しかなかったら、その晩には気が狂う人が出るでしょうね。……終末の色に深く彩られた世界を背景に、陰翳に富んだ若く多感な日々の心のゆらめき、血のざわめきを妖しく描く。
  • 森林がサルを生んだ 原罪の自然誌
    3.0
    霊長類は、食物が豊富な森林という楽園で、進化してきた。この生態的背景が、元来は植物食であった霊長類に、肉食獣的性質をも内包するという、二面性を持たせた。この傾向を強くおし進めたのが人類で、草食獣的性質が善の範疇に入る徳性を生み出し、肉食獣的性質が悪の範疇に入る行動を創造することになった。森林を舞台に進化した霊長類ゆえ、人間がサルから背負ってきた悪の原罪とは? 人間、この不思議な生物の進化の源流!
  • 心ひだひだ
    4.0
    気になる動物を3匹挙げて、各々についての印象を3つずつ述べよ。……そうすればあなたの真の姿が分かります。というように、心理テストとともに読み進める、新タイプのエッセイ集。秘めた恋心から子供時代のささやかなトラウマまで。女優がチラリ垣間見た、人の心のひだひだの奥底。ムロイとあなたの本音を比べてみませんか? ムロイと一緒に自分を知る旅へ!
  • 乗ったで降りたで完乗列車
    -
    国鉄全線をはじめ、私鉄も含めて日本の鉄道全線区をついに完乗。汽車旅が好きでたまらず、フリーのレイルウェイ・ライターになった著者が、全線区の乗りつぶしから、鈍行乗り継ぎ、気まぐれ列車の旅、「ORITADEごっこ」、「汽車旅おにごっこ」など、新しい汽車旅の魅力を見つけ出しては楽しんでいる。旅行記の傑作!
  • 小説の如く奇なり
    -
    事実が小説よりも面白い、というのは間違いだ。小説のように面白い、と考えるのが正当ではないか。作家の自負心から、小説という虫メガネで事実をとらえてみたいと志した著者が、札幌の屋台、元横綱の断髪式、温泉場の芸者さん、能古島の愉しい漁師、シンガポールのラッフルズ・ホテルなどをたずね歩いた、出色の読みもの12編。奇なる事実の背後にある小説的なおもしろさを、作家の自負をこめ作家の目で捉え、ユニークな題材に挑んだルポルタージュ!
  • 寂寥郊野
    3.5
    朝鮮戦争で来日したリチャードと結婚して、幸恵がルイジアナ州バトンルージュに暮らしはじめて30年。その幸恵の言動崩壊が始まり、症状は目に見えて進んでいく。夫は妻の鬱病に心あたりがないでもない。国際結婚と老いと孤立を描く、現代文学の秀作。芥川賞受賞作。1997年、「ユキエ」として、脚本・新藤兼人、監督・松井久子で映画化された、名作。
  • 黒い森林
    -
    スターリンの死後から12年たった、1965年のモスクワ。彼の死後も根深く残る、個人の自由を圧迫するスターリン主義は、批判されても、なお厳然、恐怖感とともに残っている。強制収容所帰りの元作家を軸に、社会主義社会・ソ連における非合法の地下出版を描き、人間の原存在を脅かす凌辱を烈しく告発した、井上光晴の異色作。秘密地下出版と強制収容所に焦点をあて、人間性の剥奪を烈しく追究する!
  • 高級官僚 “霞が関帝国”の舞台裏
    -
    官僚再編時代を迎えた今、「霞が関帝国」をめぐる覇権争いは、ますます激しさをましている。水面下で展開される高級官僚の新しい動きと狙いは何か? 許認可権と補助金行政をテコに、日本を裏から操りつつ、天下りと利権の蜜に群がる、新エリート集団の実態をえぐる。背広の下の発想、政官民で築く覇権と利権の動きを、綿密な調査で明かす力作。
  • 個性の時代 ミーイズムのすすめ
    -
    集団の時代から、個性の時代へ。――日本でも、他人に委ねる生活から、自分の足の上に立つ時代がきている。個から生まれるバイタリティが強く求められている。「私」がないところに知的リーダーは育たたない。しかし、個人としての能力は、結局は個人的な生活から生まれてくるものだ。コンセンス社会に身を委ね、主体性を喪失してきた日本人には難しい。自分を持つことは生活のなかから変えてゆかなければなるまい――。「集団」から「個」の確立をいかにはかるかを明晰に述べた名著。「個性的生活」創造のための発想が必要だ!
  • 京都再婚旅行殺人事件
    5.0
    親友ユミの結婚式に出席したのが縁で、麻矢はユミの義兄・杉原太郎と結ばれる。豪華な挙式、京都に1泊して外国へのハネムーン。麻矢は幸せだった。ところが初夜が明けると、太郎がベッドで毒死していた。初めに疑われた麻矢だが、嫌疑が晴れると、自ら探偵役に! だが、夫の過去を探っていくと、連続殺人が……。愛をテーマにした、本格長編推理。
  • 京都愛人旅行殺人事件
    5.0
    独身実業家・沖邦彦の花嫁公募に殺到した若い女性の群れから、最後に4人が選ばれた。平凡なOLの中山美佳もそのうちのひとり。4人は沖と京都へ旅する。第1夜に美佳は沖と結ばれ、幸せにひたるが、他の花嫁候補の身に惨事が起きていた。そしてまた次の犠牲者が……。華麗なトリックをちりばめた秀作集。
  • 灰左様なら
    -
    怪談咄を手に入れるためには、人間の奥深さや恐さを知らねばならない。怪談咄の祖・林屋正蔵のそんな気持ちが、「東海道中膝栗毛」の作者・十返舎一九への好奇心をより強いものにさせていった。一九には、想像もできない奥行きと恐さがある、その正体を暴く必要がある……林屋正蔵の執念を描く、時代小説の傑作。
  • 花嫁は容疑者
    4.0
    秋野夕雨子は推理作家だが、TV「ナイト9」のニュースキャスターとしても活躍している。番組スタッフとバカンスに出かけたグアムのホテルで、新婚旅行中の新郎の墜落死に出会う。事故か事件か? 夕雨子の華麗な推理が真相を解きあすか表題作を始め、トリックと謎解きの醍醐味溢れる本格ミステリ連作集。
  • 暗夜行路
    -
    不義の子として生まれ、父に冷遇され、祖父の家で育てられた主人公・時任謙作が、暗い運命に創作をもって立ち向かう自我発展の経過を、美しい自然描写とともに、明晰な文体で表現。祖父の妾で20も年上の女に恋する謙作の出生の秘密とは? 現代日本文学の記念碑とも称すべき名作長編。17年間を要した著者唯一の長編小説である。
  • シャーロック・ホームズの冒険
    -
    不可思議な謎、卓抜な推理、ユーモア等のあふれる古典的傑作の第一短篇集。詩人鮎川信夫による新訳。霧深いロンドンを舞台に不可思議な事件と対決する、名探偵シャーロック・ホームズ。その卓抜な推理、クールな人間味、脇役ワトソンとのユーモアに富む友情と、推理小説の原型的なトリックを提示して尽きせぬ魅力を有する、傑作処女短篇集。「赤毛クラブ」「まだらの紐」などの名作を収録。詩人・鮎川信夫による名訳。文豪ポオに始まる近代推理小説は、名探偵シャーロック・ホームズの出現によって確立した!
  • 愛の立待岬
    5.0
    京都府警・捜査一課の橋口警部補は、妹・舞子の結婚式のため、北海道・札幌へ向かった。しかし、式の翌朝、花嫁の舞子は突然失踪し、やがて函館の立待岬で死体となって発見される。哀しみに耐え、犯人捜査にのりだす橋口の前に、さらに第2の殺人事件が……。哀愁の立待岬を舞台に、愛と欲望が交錯する、本格長編推理。函館から京都へ……兄の執念が犯人を追い詰める!
  • ヘアデザイナー殺人事件
    -
    京都のホテルで、ディナーショウのために東京からきていた、食品会社の社長夫人が殺された。京都府警・狩矢警部は、遺留品から東京・六本木の有名ヘアデザイナーとの関連を悟る。1週間前にもこのヘアサロンの常連客が殺されていたという……。華やかな美容界の虚飾と愛憎の果ては? おなじみの名探偵キャサリン嬢が活躍する、卓抜の密室トリックの傑作!
  • ぺ

    3.2
    「ペ」は「ペ」であり、「ペ」いがいのなにものでもない。が、それにしても「ペ」とはなにか? 液体、気分? 女、男? 哲学、心象? 食べ物、道具? 天使、野兎? 「ペ」と遭遇したことはありますか? 「ペ」と話したことはありますか? ……卓抜なアイディアと詩人の言葉が拓く小宇宙。「花の掟」「墜ちた男」「エデンの園」「緑色の蝶」など、意外な展開と絶妙の結末がしかけられた、23編のショートショート集。
  • はまなす物語
    3.0
    北の浜辺にひっそりと咲く、はまなすの花。傷つき、こわれやすい生への愛惜をこめた、北国に開いた、静かで、透明な美しさをたたえる、愛の物語。北国の若い獣医、東京に嫁いだ姉、都会に憧れる妹の兄妹三様のひたむきで真摯な人生を、はまなすの花に寄せて、砂地に染み透るようにしみじみと描く。三浦文学の円熟の境地を示す長編恋愛小説。
  • テレビ式 ヒットを生む発想と行動
    -
    時代は嫌われ者が創る! ネアカ人間に時代は創れない! アウトサイダーが集団を生かすのだ! 『笑っていいとも!』『オレたちひょうきん族』で笑いの世界を独占する名プロデューサーが公開する、テレビ式発想のヒント。流れをどうつかむか、才能を引き出す秘訣は? もちろん興味津々のスタジオ裏話もぎっしり。笑いの仕掛人が明かすタモリ、たけしの素顔からヒットのからくりまで。あなたのテレビ中毒をますます重くしてしまう、罪つくりな一冊。オジサンは怒ってる!?
  • キューポラのある街 1 ジュン
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    鈴木ジュンは、キューポラのある街、埼玉県川口市の中学3年生。一家は貧乏な鋳物職人の父・辰五郎、いつも生活費の工面でイライラしている母・トミと、ひねくれ者の弟・タカユキ。そんな生活の中で自我に目ざめ、進学か就職かに悩むジュンの姿を、心とからだの両面から鮮烈に描いた、異色大河小説の第1巻。吉永小百合の主演で映画化もされた、日本児童文学者協会賞受賞、不朽の名作。<全5巻>
  • アリバイ特急+-の交叉
    -
    寝台特急「富士」に乗っている男が、同時刻に他の場所で殺人を犯すことができるだろうか? 日向・札幌・東京で起こった殺人事件の真犯人を追って、黒江壮と笹谷美緒の探偵コンビが、犯人のめぐらした鉄壁のアリバイ崩しに挑む。宮崎→北海道→東京を結ぶ、傑作トラベル・ミステリー長編。
  • 彗星伝説
    -
    30回目のハレー彗星が近づいている! 人の一生に一度やってくるこの彗星は、はたして吉か凶か? 宇宙創造の謎を秘めたこの彗星を巡る、恐ろしくも美しく、そして哀しい「彗星伝説」をメインに、今はやりの遺伝子に組み込まれた転生の神秘を語る「頭ごっつんこ」や、結末の冴えたみごとなショートショート群の「幻想カレンダー」など、ロマンに満ちた8編を収録。奇想卓抜、抒情横溢、珠玉多彩……神秘の星や人生をめぐる、楽しく華麗なメルヘン集。
  • 湾岸線に陽は昇る
    -
    僕が僕であることを見つけるために、ずいぶん遠回りをしてきた。演劇への夢破れ、無為の日々を過ごした青春時代。やがて一念発起、放送作家になって、がしがし働いた。アマゾンへ、インドへ、東欧へ、カンボジアへ……地球の果てまで歩きまわった放浪と再生の日々。〈絶叫詩人〉ドリアン助川の魂の叫びを聴け! 挫折、放浪、再生……ガムシャラに走ってきた「金髪先生」の青春記。僕が僕であること、君が君であること……骨に響くメッセージ!
  • 目こぼし歌こぼし
    -
    下級武士の息子・足柄七十郎は、ふとしたことから、城下の居酒屋「とろろ」で起きた、不可解で恐ろしい殺人事件にまきこまれた。事件の渦中におかれ、謎の古地図をふところに、仇討ちに出た七十郎は、藩の非人間的な搾取のからくりを知る――人間が真に人間らしく生きる自由と平等の問題を追求した、意欲的な長編時代小説。
  • 道づれは好奇心
    5.0
    「やりたいことはかならずやるという厄介な習性。その中心に位置しているのが『好奇心さま』なのだ」という著者が、来(こ)し方を振り返りつつも、若い学生とともに学ぶ沖縄の日々を綴る。そしてその中で気づいた「伝えるべき『知恵』と経験がわたしにもある」という事実。愛に満ちた人生の指針となるエッセイ集。今日も学びながら想う……いま、伝えたいこと!
  • 女性の歴史(上)
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    「火の国」の詩人・高群逸枝が、大正昭和の激動期に、「われらいかに生くべきか」……と、女性解放の学問的寄与を決意して、武蔵野の一隅「森の家」に20年あまり。「母系制の研究」「招婿婚の研究」を基底に、一貫して「母性我」に視点を据え、自然なる原始の「母性我的母権社会」への復権を願い、新しい女の権利獲得運動、戦後現憲法下での男女同権の一応の実現など、婦人の諸問題を分析し、自身の遺書として自らを燃焼し尽した、女性全史。著者の願いが永遠であるごとく、本書の価値も永遠である。〈上下全2巻 上巻〉

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