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大阪・十三に戦前からある通称「骸骨ビル」。戦後の混乱期に住み着いて、オーナーの阿部轍正と茂木泰造に育てられた孤児たちを立ち退かせるために三人目の担当者として送り込まれた八木沢省三郎は、一筋縄ではいかなそうに見える彼らの話に耳を傾けるうちに、困難だったであろう日々を思い描くようになる。
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Posted by ブクログ
大阪や日本中に骸骨ビルというものが実在していたのかもしれない。戦災孤児の証言を元に話が進められている。詳しい感想は下巻にて。
戦前に建てられた英国調のビルはGHQに接収され、屋上にアンテナを張り巡らした姿が骸骨に見えると、いつしか骸骨ビルと呼ばれるようになった。 この建物をマンションに建て替えようという話が持ち上がるが、ほぼ孤児院としてそこで育った人々は今も居座っており、主人公の八木沢が彼らを立ち退かせるために送り込まれる...続きを読む。けれどごくごく一般人の八木沢は、その住民たちの生い立ちを聞くうちに次第に感化されただ骸骨ビルで住むだけの人になる。 戦後日本の光と闇が綯い交ぜとなった生活史が興味深くもっと知りたくなる。まだ続きがあるのが嬉しい。 ジャンルはなんなんだろう?他ではあまり経験できない読み心地。犯人がわからない人物から脅されたりとミステリーの要素もある。 ただ、建物の持ち主が語学学校に作り替えようとした夢を諦め、子供たちの生活のためにビルとその庭を改変した話が基礎にあり、暖かい結末が約束されているようで、かなり悲惨な話でも安心して読んでいけるような。
四十七歳でサラリーマンをやめ、第二の人生に向けてある仕事に就いた八木沢省三郎。その仕事は土地開発会社で、大阪に戦前からあるビルに住んでいる人々を荒立てず、穏やかに転居をさせると言うものであった。 そのビルは、妻のある男が建てその夫婦の死後、男の愛人の子・杉山轍正が相続したものであった。彼がフィリ...続きを読むピン群島にて戦争を生き延び、ビルで住み始めた時、そこには戦争により孤児となった姉弟が入り込み、何とかその生を繋ぐように日々を生きていた。彼はパパちゃんと呼ばれながら、長短ありながらも四十人以上もの孤児を、病気で生家からでざるをえなかった茂木と共に育てていった。 だが、一人の孤児の裏切りにより、世間に批判される中で心筋梗塞で死亡する。パパちゃんにかけられた冤罪をとき、世間に知ってもらうべく、茂木やかつての孤児たちは動き、ビルに居住や仕事場を設けているのだった。彼らに対し、八木沢は…。 主人公が大学で師事した、中国古典文学の老教授の言葉。 「優れた師を持たない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘で横着で臆病で倣慢な我が心を師とするしかないからだ。」 先生だけじゃなく、先輩とか友達、同僚にも当てはめられるなあと。様々な師によって、良い人生に導かれている。 骸骨ビルに住むナナちゃん(本名小田勇策、男、でも心は女の美人、43歳)が、おかまバーのママに言われた言葉。 「自分を磨け、磨くのは、見映えと脳味噌だ、…私たちお化けは頭を磨かなきゃどうにもならない。見映えってのは、目鼻のつき具合とは別の問題だ。」 私も感じ入る言葉でした。 パパちゃんが、孤児だった高校生の、人間は何のために生まれてきたのかと言う質問に対して即答・断言した言葉。 「自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」 ここに書いた文だけだと、ありふれたものだけど、そこまでの物語で描かれたパパちゃんや孤児を思うと、あらためて考えさせられる。 心に響く言葉や人物の生きざまが描かれていて、引き込まれる作品。 まだ、下巻が残っている。最後どうなるのか、楽しみ。
大阪の十三というところに戦前から建っていた堅牢でイワクありげな建物「骸骨ビル」の除却という業務に、ひょんなことから関わった主人公が、様々な人間模様、それも戦前戦後のどさくさで、好むと好まざるに関わらず、悲壮的な宿命を負った戦災孤児の人間模様を絡めながら、話は、読者を引き込んでしまいます。 人間置かれ...続きを読むた環境で、様々な職業につかざるを得ない、インフォーマルな世界を作者独特のタッチで書き進む。 主要な登場人物がこのビルの歴史的に背負った背景を語っていくというスタイルだ。 そして、除却を請け負った主人公の心の動くも同時進行で描かれていく。 そして、下巻へと続いていこのである。
広い意味での戦災孤児と、それを育てた二人の男を巻き込んだ事件を、平成の世にヤギショウの聞き語りで進む物語は、初っ端から怪しい雰囲気を醸し出しながら進んでいく。ヤギショウは標準語、骸骨ビルの住人は大阪弁。彼らの語りを慣れない関西弁のイントネーションで読み進めるのは大変だ(笑)さて、ヤギショウと彼の親族...続きを読むは無事でいられるのか? 下巻へ突入だ!
宮本輝、予備校生だった二十年前に出会った作家。模試の国語で『星々の悲しみ』が出題されて以来の付き合い。大学二年くらいまでの間に、当時出版されていた作品の、ほぼすべてを読んだと思う。 それからは数年に一冊、なんとなく手に取り、毎度のようにしっくりと身体に染み込んでくる感覚を味わってきた。 たぶん、森の...続きを読む中の海かなんかを数年前に読んだ、次がこれになった。
「わたしが畑仕事で知ったことは、どんなものでも手間暇をかけていないものはたちまちメッキが剥げるってことと、一日は二十四時間がたたないと一日にならないってことよ。その一日が十回重なって十日になり、十日が十回重なって百日になる。これだけは、どんなことをしても早めることができない。」ナナちゃんの話
教訓的であり、人が誰かのために生きることの尊厳を改めて考えさせられた作品だった。2度読んで2回ともおもしろかった
日曜朝のFM、小川洋子さんのメロディアスライブラリーでこの本を取り上げていた。表紙のバロック風というか不気味なイメージにも惹かれ手に取った。 表紙のイメージとは違って、大阪十三のゴテゴテしたような、侘しいようなビル。かつての孤児達の職業は猥雑さが満載だが、スッキリ書かれているので、いやらしさが無い。...続きを読むそのシーンを想像すると、かなり珍妙な風景も多く、笑ってしまう。女性にはこの本お勧めし辛いな。 戦後捨てられた子供達と子供達を育てた2人の男の物語。主人公はビルの明け渡しのために乗り込んだ中年。肝が据わっているのか、いないのか、良く判らない。彼ら一人ひとりが語りだす話を聴きことが小説の眼目になっている。だから、物語は全然動かない。にもかかわらずジワジワ沁みてくる。 料理を作ったり、庭仕事をすることが、如何にも地に着いた仕事のようで、物語に深みを与えている。 この物語はどう収斂するのかと思いながら読み進める。何か起こったようでもあり、何もなかったような気もする。それでも深い満足を感じながら本を閉じた。 何が言いたいのか判らないレビューになったが、今年一番良かった本になると思う。 これから、茂木が何を求めていたのか、ゆっくり考えてみようと思う。
心に響くお話でした。 すべての登場人物に奥行があって、引き込まれました。 戦争によって、孤児とならざるを得なかった子供たち、 戦地での体験に、心縛られる大人たち、 誰もが必死で生きねばならなかった終戦直後の暮らし。 ただ生きるのではなく、人として崇高に生きる事の大切さ。 魂魄…魂は心だけではなく体に...続きを読むも宿るもの。 自分を変えようと思ったら、何度も何度も挫折を繰り返しながら、それでもなりたい自分を目指して、続けて行く事。 色んな事を考えさせられました。
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骸骨ビルの庭
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宮本輝
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