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私的応答
記憶なんかは幻なんやから、自分の好きな角度速度で眺めたらよろしい。 自然を許すとはどういうことか。 されたことは消えないし、許していかないと自分の心に害が及ぶ。 でも、許すことは、考えないこと、忘れることとは違って――。 ☆☆☆☆☆ 『ここはとても速い川』で野間文芸新人賞、『この世の喜びよ』で芥川賞、『無形』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞! 早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞も受賞した純文学界のニュースター、待望の最新長編! ☆☆☆☆☆ 1995年、その時、まず驚きだけがあった。母と娘の厚美と三人で暮らす銅子を襲った地震。開けた場所に皆で布団にくるまって感じた恐怖、倒れたミシン、昨日とは違う景色、避難所の体育館、シャワーを浴びにいった梅田……。震災から幾年月、銅子と厚美の日常は続いていくが、あの経験を忘れるということはなく――。 芥川賞作家の静謐な筆致が紡ぎ出す、昭和から令和、母娘三代に流れる「時間」と震災の「記憶」の物語。 -
不動産奇譚 神憑み之函
ウチに遊びに来ませんか? 友人の茅ヶ崎恵は不動産屋で働いている。 わたしは彼女に誘われるまま、不穏な家へ立ち入ることとなる。 住人が消えた貸家と、空っぽの家のぬいぐるみ。窓が塞がれた家に偽者の両親。箱が詰まった家と金盃。 不可思議な家には不可思議なモノが残されていて──。 そして、まるで同調するように恵は「家」に不可思議なものを集め始める。 カクヨム発、京女ふたりが巡る家系ホラー。 「こわいことは、なにも、おこりません」 ●目次 第一話 貸家 第二話 水たまり 第三話 猿の手 第四話 二〇一号室 第五話 時計部屋 第六話 袋小路の家 第七話 形見分け 第八話 歯の小指 幕間 キャンプ場 第九話 壁の中 第十話 右袖 第十一話 箱屋敷 第十二話 途切れた橋 第十三話 神さまの音 第十四話 拾い神 最終話 彼女の家 ●著者 藍内 友紀(あいうち ゆき) 2012 年にササクラ名義で、講談社主催の第五回BOX-AiR 新人賞を受賞し『緋色のスプーク』にてデビュー。 2017年の第五回ハヤカワSFコンテストにて、藍内友紀の名義で「スターダスト・レイン」を応募。同作が最終候 補作となり、改題し『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』としてハヤカワ文庫JA から刊行。 著書に『アジュアの死神』(講談社)、『芥子はミツバチを抱き』(KADOKAWA)、『天使と石ころ』(早川書房)がある。 -
人生最高ごはん
大晦日。仕事でくたくたに疲れて帰宅した瞳を迎えたのは、がらんとした室内。同棲をしていた彼氏が家を出たことを悟り、年末の人混みをかき分けるようにして駅へと向かう。彼氏の姿はもちろんなく、途方に暮れ泣き出す瞳。そんなとき、オレンジ色をまとった女性・乃果から声をかけられる。 「おいしいもの食べに行こう」。突然の誘いに戸惑う瞳だが、つらいときこそ食べなきゃ、と、太陽のようなあたたかい笑顔に思わず頷いてしまう。連れられて入ったレストランで出てきたごま豆乳鍋。その熱さと濃厚な旨さに、またどんどん涙がこぼれていく。こんなにも悲しいのに、ごはんがおいしいなんて――。そして、瞳は思った。「私、生きている」 大晦日に出会ったどん底の二人が「人生最高」のごはんでトラブルを乗り越える! やさしくおいしいご自愛ごはん小説 -
アンソロジー 極彩色の後宮
人気作家夢の競演! その大陸では、帝俊という神が崇められている。 帝俊は鳥の姿で世に現れ、泥の海から山河を造り、生きとし生けるものを生みだした。 帝俊はまた、五つの卵を産み落とした。五色の卵であった。卵から生まれた子らが、五つの国の境界を定めて、治めることとなった。王たちは、自らが生まれた卵の色を国の名に冠し、その色を貴んだ。 これは、五色を身に纏う者たちが繰り広げる、五つの後宮の物語である。 玉座を疎む青年王と破天荒な妃との出会いが国を動かす〈黄の国〉 敵対する部族間で育まれた絆は究極の選択を迫り…〈白の国〉 寵愛を一身に集めた妃の、死の真相とは〈青の国〉 貧しい村育ちの少女は、後宮で運命と出会う〈黒の国〉 皇后を目指す少女が出会ったのは他国のさえない文書係で…?〈赤の国〉 -
ここにいるよ
中日新聞、東京新聞など連載で感動を呼んだ話題作! 痛みよ、希望よ、届け 「能登は遅れている」――いわれなき非難に押し込められる小さな声。 「比べたら、あかん」教師・小野寺は、被災地の小学校で子どもたちやその親たちが抱える、苦悩と希望に向き合い続ける。 2024年1月1日16時10分――。巨大地震が能登半島を襲った。 その時、元教師・小野寺徹平は、かつての教え子が女将をつとめる旅館に滞在していた。おとそ気分は吹き飛び、恐怖と不安の中で迎えた「最初の夜」、小野寺はこれから始まる被災地の日々を思い、心が沈んだ。 阪神・淡路大震災で家族を失い、東日本大震災で応援教師として被災地の子どもたちを励ましてきた小野寺には、能登半島で被災した人々の長い苦悩の道が痛いほど分かったからだ。 つらく苦しい非日常との闘いが始まる一方で、社会からの関心は徐々に希薄になり、過去の震災の被災地と比べられ、「復興が遅い」「無気力」と責める声すら上がる。 小野寺は再び被災地で、子どもたちと向き合う決意をする。 -
京都くれなゐ荘奇譚
「二十歳までは生きられない」――という呪いをかけられてしまった長野の女子高生・澪(みお)。彼女の生家・麻績(おみ)家は代々、蠱師(まじないし)の一族であった。長野から出ることを禁じられていた澪だったが、家族に内緒で京都へ。そこで邪霊に襲われ、窮地に陥ったところを、なぜか澪のことを知っている様子の高校生・高良(たから)に助けられる。澪を心配して京都に駆けつけた従兄の漣(れん)とともに、蠱師ゆかりの下宿屋「くれなゐ荘」にたどり着いた澪だったが……。高良のことが気になる一方で、自らの呪いを解く鍵が京都にあると考えた澪は、長野から移り住む決意を固める。邪霊はなぜ澪を襲ったのか? そして澪と高良の関係は? 京都を舞台に、運命にあらがう少年少女たちの姿と、次々起きる不思議な事件の謎解きを描く、「後宮の烏」シリーズで人気の著者による呪術幻想ミステリー。 -
spring another season
HALの祭典、ふたたび。 シリーズ累計11万部 2025年本屋大賞にノミネートされた恩田陸の新たな代表作、 傑作バレエ小説『spring』への熱いアンコールに応えた待望のスピンオフ! けれど今、こうして僕らは一緒に踊っている。戦っている。 互いを理解するために、対話するために。 二人の神に近づくために。 本編『spring』では描ききれなかった秘められし舞台裏に加えて、深津、ヴァネッサ、ハッサン、フランツ、そして萬春自身はもちろん、永遠の師匠ジャン・ジャメやエリック・リシャールの教師コンビ、ロシア留学を果たした滝澤美潮など様々なキャラクターたちの気になる過去と未来を描く全12章の小説集。中編「石の花」ほかたっぷりの書き下ろし&『spring』刊行時に期間限定で公開された幻の一篇「反省と改善」をはじめ、これまでに明かされた『spring』のストーリーを余すことなく完全収録。 【電子書籍版には紙書籍版に収録されている「パラパラ漫画」は付きません】 -
ぼくには笑いがわからない
ナイチンゲールダンス ヤスさんから熱いコメントが到着! 「大学お笑いの解像度が高すぎる。 全員いた。 やっぱこれくらい拗らせとかなきゃ。」 朴念仁で惚れっぽい、でもめっぽう頭はいい京都の大学生・耕助は、 想いをよせる芸大生・百合子に自分が書いた論文を渡して気を惹こうとするが、 好きなタイプは「おもしろい人」「わたしのこと、笑わせてくれる人」と言われて撃沈。 おもしろいとはなにか、ぼくにはまったくわからないのだ―――。 百合子は学生漫才注目株のコンビ・ミーレンズが好きだと知り、 耕助は幼馴染の将吉とコンビを組んでM-1を目指すことにする。 まずは芸能養成所に入ろうとするが、苦学生で学費の支払い能力がないとみなされ落ちてしまう。 悩んで入った餃子屋で、副店長が売れない芸人だと知り弟子入りするが――。 -
ひとり旅日和
プライベートが充実してくると、仕事への影響も、周りの目も少しずつ変わってくる。 ある日、事務用品の販売会社で働く日和は、鳥取で行われる見本市にアシスタントで行ってほしいと頼まれた。 翌日そのまま鳥取に残れることになったが、仕事のプレッシャーから、旅の計画はほぼゼロで――。 ひとり旅を始めて5年。初めて一人で行った熱海で、ひとり旅の魅力に取りつかれ、どんどんと行動範囲を広げていった。 パワースポットを巡り、土地のおいしいものに舌鼓をうち、旅を重ねるたびに自信がついて、心が大きく成長していくのだった。 日和は、企画切符で福島を訪れたり、遠距離恋愛中の蓮斗に会う前にひとりで長崎・佐賀を満喫したり、 まだ出会えていない絶景とご当地グルメを求めて旅に出る! 今回の旅先は福島、佐賀、長崎、鳥取! -
警視庁強行犯係・樋口顕
捜査本部より速くSNSで犯人特定? 遺体を発見したのは南アジア国籍の男性。 インターネットでは彼の写真や住所が晒され、 犯人だと断定して死刑を求める声まで上がる。 情報が錯綜するなか、捜査員たちは――。 ヒーローは必ずしも一匹狼じゃない! 同僚とも家族とも絆が深い名刑事を描く傑作警察小説。 東京の世田谷区の工事現場で刺殺体が見つかった。第一発見者は、そこで働く南アジア国籍の男性。警視庁捜査一課の樋口班が捜査を進めるなか、SNSでは彼の実名が晒され、外国人であることを理由に犯人ではないかと疑う書き込みが投稿される。サイバー犯罪対策課と連携して投稿者の特定を急ぐ樋口。だが、それを嘲笑うかのごとく、発見者の顔写真と現住所まで投稿されてしまい、さらには逮捕や強制送還を望む意見まで出てくる……。かつてなく外国人排斥の風潮が強まり、フェイクニュースがあふれるなか、等身大の刑事・樋口は真実を掴むことができるのか。 -
哀を飲む
大ヒット作『二人一組になってください』、『神に愛されていた』…… ベストセラー作家・木爾チレンのデビュー15周年記念作品! 愛を失くした女子たちの、性と生についての痛切な短編集。 苦しくも美しい、哀と狂気を召し上がれ。 水のように無味無臭で掴めない男との日々「水みたいな人」、 明けない夜、名前も知らない恋人との関係に耽る「ジンジャーエールに似ている」、 私の体に飽きてきた彼氏に感じる切なさ「ぬるいラムネ」、 死んだ夫の骨を飲む妻の物語「骨を飲む」……など、全7話収録。 デビュー当時から現在へと繋がる、小説家・木爾チレンの軌跡を感じる珠玉の作品たち。 愛を手に入れた時の高揚感、そして愛を手放した時の喪失感、哀しみを飲み込む辛さなど、本書には恋愛が持つ美しさと苦悩と痛みが、瑞々しく描かれている。 これは、木爾チレンが描く「究極の愛と狂気」。 人生のほんのひとときくらいは、 哀しみを味わうのも悪くない。 ――飲み込んだ哀しみは、いつかあなたを生かす血肉になる。 【著者・木爾チレンさんからのメッセージ】 何かを失った哀しみというのは、飲み込んだところですぐに消えるわけじゃない。けれど、いつかは体のなかから出ていく。 だから、人生のほんのひとときくらいは、哀しみを味わうのも悪くないのかもしれない。 そんなことを考えながら、この短編集を編みました。この本が、誰かにとっての「生きる薬」になることを願っています。 ----木爾チレン -
私労働小説 負債の重力にあらがって
Don‘t Blame Yourself! セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。 ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。 ホールスタッフ、激安量販店の店員、屋敷の掃除人にローンの督促人etc. 「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々のシット・ジョブを軸に描く、自伝的小説にして魂の階級闘争。 「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」 だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。 店員やケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。 他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。 働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。 数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。 みんな誰かに負債を返すために生きている。それこそが、闇だ ■面倒を避け続ける職場では、いいことは悪いことになり、悪いことがいいことになる。 ■上から目線の人々は、あまりに視線の位置が高すぎて、その位置から下の人間の姿が見えてない。だけど、なんとなく下のほうに人がいる気配がするので、とりあえず声はかけておくが、相手の姿は見えないし声も聞こえないのだ。 ■嫌と言えない理由があるから貸すのであり、返さなくてもいいという暗黙の了解もあるのだ。こういう特殊な取り決めが成り立つ関係を、家族と呼ぶのだろうか。 -
さよならの保険金
就活の最終面接の日、青森で漁師をしている父の船が遭難したという連絡が入った。家族と就職先を一度に失った桐ケ谷麻海は、東京で暮らす叔父・響介のもとに転がり込むことに。 居候としてなにか仕事をさせてほしいという麻海に、響介がかけた言葉は「掃除も洗濯も料理も別にやらなくていいから、俺の仕事をちょっと手伝って」。 響介の職業は、保険調査員。保険会社から依頼を受け、保険金を支払うにあたって不正や問題点がないか調べる仕事だ。 麻海は見習い調査員として詐欺が疑われる事案の調査をするなかで、生と死、お金にまつわる様々な家族の思いにふれていく。 -
祈りからさらに遠い町
この町では、誰もが何かを隠している。ほのかに希望が灯る、「再生」のダークファンタジー。戦後の復興から取り残されたある町の、“幽霊屋敷”と噂される家に、ある事情から引っ越すことになった、少女チィメイとその一家。トラウマから人とうまく馴染めないチィメイだったが、新しい学校ではアイリンという友達ができる。だが、町の人々は一家を不吉な存在として避け、家にも言いようのない不気味さが漂っていた。母であるメイは悪夢にうなされ、チィメイも奇妙な出来事に巻き込まれていく。ある日、チィメイは、アイリンと同級生のピンとともに、町と“幽霊屋敷”に隠された謎を暴こうとするが……。「火狩りの王」シリーズで大人気の著者、最新作! -
総理にされた男 第二次内閣
累計15万部突破! “替え玉総理”が政治を大胆に動かしていく人気小説第2弾! 売れない舞台役者・加納慎策が、病に倒れた内閣総理大臣・真垣統一郎と瓜二つの容姿と精緻なものまね芸を併せ持つという理由で、真垣の“替え玉総理”を秘密裏に務めることになって2年。素人ながらも忖度のない発想と国民に寄り添った熱意あふれる言動で海千山千の政治家たちを凌駕し、世論を味方につけてきた。そんな政府にとって喫緊の課題は長らく低迷する経済問題だった。打開策を考える中、そこへ追い打ちをかけるように降りかかるパンデミック、自然災害、五輪などの難局の数々。さらに極東地域での緊張が急速に高まったとき、慎策と日本にとって最大の試練の時が訪れる――。 国民目線で一切の忖度をせずに真っ向から政治家たちに立ち向かい、山積する政治問題などに切り込み解決していく姿が「爽快!」と読者の反響を呼んだ前作。舞台役者の慎策が、国民の思いを胸に熱く呼びかける演説と、手に汗握る展開と“どんでん返し”はまさに著者の真骨頂。累計15万部突破の人気ポリティカル・エンターテインメント小説、待望の続編! 【内容】 VS 経済 VS 感染症 VS 災害 VS 五輪 VS 有事 -
オリエンド鈍行殺人事件
この中に名探偵は…いません! 笑いと殺意とどんでん返しの傑作短編集 折田~遠藤間を結ぶローカル線、通称〈オリエンド鈍行〉の緊急停止した車内で死体が発見された! 居合わせた7人の乗客は犯人探しを開始する……が、かの名作とは違い、名探偵不在の車内で犯人が見つかるはずもなく、なぜか事件と無関係な問題ばかり解決されていき――。表題作「オリエンド鈍行殺人事件」他、笑いあり涙ありどんでん返しありの短編&ショートショート全10編。面白さ最上級! 【目次】 タイムスリップ・リアリティ 勇者たちのオフ 君のためなら死ねる ファーブル昆虫記を読んで オリエンド鈍行殺人事件 〈ショートショート〉 過保護 猫じゃらしとマイクロチップ 流れ星 こっくりさん 崖 -
冷蔵庫探偵
冷蔵庫を見れば、持ち主のすべてがわかる――。 ミステリー史上、もっともクールで生活感のある探偵、登場! 新人刑事の涼は思慮の浅い行動ばかりして上司に叱られっぱなし。「次に問題があればクビ」と言われて失意のなか、友人の小川が主催するホームパーティーへ参加する。だが、その場で突然小川が倒れてしまう。誰かが意図的にアレルゲンのそばを混入させたようだ。全く手がかりがつかめず途方に暮れる涼だったが、ケータリング業者として来ていた怜子が、冷蔵庫を見てプロファイリングし、たちまち謎を解いてしまう。 その深い洞察力に涼は感銘を受け、彼女に弟子入りを志願するのだった。 二人は仕出し先で次々と事件を解決し、やがて怜子が過去にパワハラの濡れ衣を着せられ退職した「スワンビューティーカンパニー」の闇に挑む! 第1話 ニンジンフライの正体 第2話 不屈のレモンおむすび 第3話 おからケーキの秘密 第4話 ピザ・カプリチョーザの選択 第5話 再生のラタトゥイユ -
店長がバカすぎて
カリスマ書店員・谷原京子は、長いスランプが続いていた。そんな中、「おもしろい本の話と店長のグチを言い合える」唯一無二の元同僚・磯田さんの結婚式が行われた。京子の心配をよそに、マイクを握りしめ、颯爽と燕尾服を脱ぎ捨てた山本店長が高らかに歌う――その一週間後、磯田さんが京子を訪ねてきた。「谷原さんにはこれからもちゃんと戦い続けてもらわないと困るんです、書店を守ってもらわなきゃ」という彼女の言葉に、京子は複雑な気持ちに駆られる。ぶっ飛んだ店長や書店を取り巻く厳しい状況と日々闘いながらも、自らの人生と書店の未来を切り開いていこうとする京子だが…… -
いまこそガーシュウィン
シリーズ累計180万部突破! 暗殺者の標的はコンサート会場に! 流れるのは憎しみの血か感動の涙か。 石塚真一さん(漫画家/『BLUE GIANT』) 音楽と人生の接点のドラマ、それ自体が音楽みたい……。 怒涛のラストはジャズのソロのようだった。 菊池亮太さん(ピアニスト・作曲/編曲家・YouTubeクリエイター) 想いは人種-ジャンル-を超え、重なり合う旋律となる。 それぞれの人生が交差する展開はセッションのよう。 【著者について】 中山七里 なかやま・しちり。一九六一年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて第八回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し二〇一〇年デビュー。ほかの著書に『いまこそガーシュウィン』『連続殺人鬼カエル男』『総理にされた男』『護られなかった者たちへ』『境界線』(以上、宝島社)、『能面検事』(光文社)『氏家京太郎、奔る』(双葉社)、『棘の家』(KADOKAWA)、『ヒポクラテスの困惑』(祥伝社)、『作家刑事毒島毒島の暴言』(幻冬舎)、『彷徨う者たち』(NHK出版)など多数。 -
松籟邸の隣人(一) 青夏の章
明治時代の湘南といえば、大磯だった! この地には、明治20年代後半から、伊藤博文、大隈重信、陸奥宗光などの大物政治家や、岩崎弥之助など経済人が別荘を建て、そこを目指して多くの人が集まるようになった。また大磯は、日本初の海水浴場として、老若男女が集う一大リゾート地だったのである。本書は、この地をこよなく愛し、後に宰相となる少年・吉田茂と、謎の隣人・天人(あまと)の二人が、別荘地で起きる様々な事件を解決していく連作活劇ミステリー。茂が少年時代を過ごした吉田家の別荘は、父・健三によって「松籟邸」と名付けられていた。一方、隣人・天人が住んでいたのは、瀟洒な洋館。アメリカ帰りとも思えるこの若者は、一体何者なのか。そんな天人によって人間性を育まれた茂は……。『天離(あまさか)り果つる国』で注目を集めたエンタメ作家が、虚と実を巧みに織り交ぜて紡ぎ出した「明治浪漫」。 -
情熱
情熱と分別のあわいに揺れるあなたへ。 40年ぶりに再会を果たした同級生のカメラマンとスタイリスト――「兎に角」 「ボケたら関係解消」が条件で、生活をともにする70代ホストと美容師――「ひも」 遅咲き小説家と、過去をあかさぬ女性大学教授――「情熱」 ほか、全6編。 直木賞受賞作『ホテルローヤル』、中央公論文芸賞受賞作『家族じまい』に連なる、静かな大人たちの物語。 【著者略歴】 桜木紫乃 さくらぎ・しの 1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞受賞。07年同作を収めた『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第149回直木賞、20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。ほかに『ブルース』『裸の華』『緋の河』『ヒロイン』『谷から来た女』『青い絵本』『人生劇場』など著書多数。 -
笑う四姉妹 ひとつの庭と四つのおうち
読後、きっとこの笑顔に涙する。 「ゆずのお母さんたちってドラマチックじゃん。この世知辛い東京で、一つの土地に、四人姉妹がそれぞれ家を建てて住んでたんだよ?」。幼馴染みの稲葉亜子に問われ、そんな大げさなと返す信濃ゆず。 漫画家の亜子は最近仕事に行き詰まっており、ゆずの母と三人の伯母たちの話を聞きたいらしい。すると、二人のそばにいた老女がにっこり笑い、ゆっくりと四姉妹の過去を語りだし――。 父の失踪、巨額の借金、仕事と結婚、そして老い。人生はままならないが、四姉妹はいつも笑っていた。七十年以上の時をこえ描かれる家族の物語に涙が止まらない、著者渾身の感動作。 -
無気力探偵 ~面倒な事件、お断り~[完全版]
「事件らしいけど、俺は早く家に帰りたい」 無気力な高校生探偵が難解な謎に挑む青春ミステリ! 高校生の霧島智鶴はたぐいまれな推理力を持ち、どんな無理難題も解決できる天才。だが、めんどくさがりな性格から無気力に過ごしていた。ある日、彼は殺人事件の第一発見者に。そして落ちこぼれ刑事・熱海の推理を聞き、思わず口を出したことで、協力するはめに……。やがて、明かされる切ない過去とは――。 いま注目のミステリ作家の伝説的デビュー作が、加筆修正、さらに書下ろしの番外編も追加した完全版として復活! ●目次 プロローグ 第一章 ダイイングメッセージはいつの時代もY 第二章 割に合わない壺のすり替え 第三章 限りなく無意味に近い誘拐 第四章 どことなく無謀なハウダニット 第五章 霧島智鶴のコールドケース 番外編 答えのない日常の謎 単行本版のためのあとがき ●著者 1998年、富山県富山市生まれ。埼玉県在住。高校在学中に、『無気力探偵 ~面倒な事件、お断り~』(小社刊)で商業出版デビュー。 著書に『案山子の村の殺人』(東京創元社)、『ルームメイトと謎解きを』(ポプラ社)、『家政夫くんは名探偵!』(小社刊)がある。 -
恋の収穫期
心がふるえる青春(恋愛)小説が生まれた。 近未来を舞台にした全く新しい青春(恋愛)小説が誕生した! 22世紀になって科学技術は東京だけに一極集中している。 ここ軽井沢では通信機器は使用不能。 私が通う高校に東京から転校生(未来人?)がやってきた。 恋をまだ知らない私は彼に言った。 「私と恋をするんでしょう? それは、一緒に戦うってことだよ!」 「人の中には、白く光る星のようなものがあって、 みんなそれを守っているのだと、そのことを信じられたら、 愛も友情も決意も一人きりの誇りも すべてがその星からあふれた光だと思えるから。 なんだって、できる。きみの目を、私として、見つめていられる。」 ……あとがきより -
桜風堂夢ものがたり
「会いたかったひとに会える奇跡」があるなら、あなたは誰に会いたいですか? 小さな町の書店と、そこに関わる優しいひとびとの姿を描く、本屋大賞ノミネート『桜風堂ものがたり』シリーズ! 月原一整がいる桜風堂へ向かう道。それは「会いたい人に会える」、という奇跡の起こる道。今回も「温かい涙」が流れます! ●第一話「秋の怪談」桜風堂に月原一整がやってきたことで救われた少年・透。彼は友人たちと、町外れにある「幽霊屋敷」に冒険に出かけるのだが…… ●第二話「夏の迷子」一整のかつての上司、銀河堂書店の優しい店長・柳田。彼は桜風堂書店を訪ねた帰り道で迷子になる。不安に襲われた彼に語り掛けてきた声とは。 ●第三話「子狐の手紙」一整のかつての同僚、三神渚砂は桜風堂へ向かう途中、両親の離婚でもう何年も会っておらず、今は病床にいるはずの父と出会う。 ●第四話「灯台守」かつて家族と哀しい別れをして天涯孤独の一整。しかし、彼と暮らす猫は、ずっと一整のことを見守っている人物の気配に気づいていた。 -
ジャクソンひとり
東京のジムで働くジャクソンは、QRコードから拡散されたポルノ動画の男と噂される。真相を探り始めると自分そっくりな3人の男に出会い…第59回文藝賞受賞、芥川賞作家デビュー作。解説=島本理生 芥川賞作家・安堂ホセ 文藝賞受賞のデビュー作、待望の文庫化! スポーツブランドの社内ジムで働くジャクソンは、着ていたTシャツのQRコードからポルノ動画が拡散され、その動画に映 る男ではないかと噂される。真相を探り始めると、自分そっくりな3 人の男に出会い……東京に生きるブラックミックスたちの鮮やかな逆襲劇。 解説=島本理生 \絶賛の声、続々!!/ ジャクソンが口にする「俺に気分があっちゃダメですか?」という台詞は物語を超えて読み手に問いかける。相手の立場がマイノリティーであるほど、私たちは一貫した主義主張と正しさを求めていないかと。 ――島本理生(文庫解説・第59回文藝賞選考委員) 他者を個人として扱えば「はっきり敵とみなす勇気」が持てず、でも集団として見なせば容易に憎め、蔑め、殺すこともできる。それが私たちの生きる社会だと実感させられた。 ――角田光代(第59回文藝賞選考委員) こんなふうに分裂と統合を繰り返す快感と恐怖を同時に味わえる小説を、他に知らない。 ――金原ひとみ 身体によって安易にカテゴライズされながらも、自分自身のその身体で生きて他者と出会うことが、痛みから生み出される言葉で描かれている。 ――柴崎友香 ゲリラ戦を思わせる活劇の中で、増殖するジャクソンたちの意識の流れがリズムよく絡み、ドライブ感を高めてゆく。 ――島田雅彦 本作が切り拓いた日本語文学の新しい可能性をこそ、私は評価したい。 ――平野啓一郎 からっと明るい文章の中には浸食するような絶望があって、苦しい気持ちにさせられる。偏見に鋭く切り込んだ内容もさることながら、その描き方も面白い。 ――斜線堂有紀 凄い小説で、本読みに強くおすすめしたい。「今までこんな話読んだことなかった!」と、「なぜ今までこんな話を読むことができなかったのか(その理由の背景に自分もいるはずじゃないか)」という思いでぐるぐるになる。 ――王谷晶 -
古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象
斉藤勇魚と斉藤真魚。男女の双生児でともに二十歳の大学生。二人の人生は、年の離れた弟の誕生で一変した。 広島の大学に通う勇魚は親友に恋人を奪われ荒んだ日々を送り、北九州の実家で暮らす真魚も最愛の人に突然捨てられ世界に絶望する毎日。 そして二人は、奇しくもそれぞれの隣人との奇妙な交流に救いを求めていく……。 やがて気付いてしまった家族の真実。親子、恋人、親友――すべての日常が絶望と綯い交ぜとなった双子の青春の行き着く先とは? 大人になることの「痛み」をリアルに描き、第31回電撃小説大賞で《メディアワークス文庫賞》《川原礫賞》をW受賞した、ままならない愛と青春の物語。 -
ありか
愛はここにある。 幸せはここにいる。 「これまでの私の人生を全部込めたと言い切れる作品を描きました」 ――瀬尾まいこ 母親との関係に悩みながらも、一人娘のひかりを慈しみ育てる、シングルマザーの美空。 義弟で同性のことが好きな颯斗は、兄と美空が離婚した後も、何かと二人の世話を焼こうとするがーー。 「子育てをしながら自分が受けた恩を思い知って、親に感謝していくのだと思っていた。それが親になった途端、さっぱりわからなくなった。この日々のどこに恩を感じさせるべきところがあるのだろう」 (本文より) 本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』、ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待&日本アカデミー賞優秀作品賞原作『夜明けのすべて』など、人々のかけがえのない関係性を紡ぎ続けた瀬尾まいこが描く、あなたの小さな、でも確かな支えとなる感動の物語! 大丈夫、忘れているだけ、見えていないだけ。 柔らかく折り重なった言葉が語りかけてくる。 そう、希望の鳥はすぐそばにいる。 ――津田健次郎(声優・俳優) 今、部屋で一人涙をこらえるあなたに読んでほしい。 しんどい人生をそっと優しく肯定してくれる傑作です! ――三宅香帆(文芸評論家) 【著者紹介】 瀬尾まいこ(せお・まいこ) 1974年大阪府生まれ。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。2020年刊行の『夜明けのすべて』は映画化され、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に正式出品されたほか、数々の映画賞を受賞するなど、大きな話題となった。他の作品に『図書館の神様』『強運の持ち主』『優しい音楽』『あと少し、もう少し』『傑作はまだ』『私たちの世代は』『そんなときは書店にどうぞ』など多数。 -
もの語る一手
将棋は、決断のゲームである。無数の選択肢から、一手を選ぶ。 将棋は、明快なゲームである。残酷なまでに白黒がはっきりとつく。 しかし、単純な「結果」にたどり着くまでの間に、無数の思いが凝縮されている。 だからこそ、将棋は物語の宝庫なのだーー。 超豪華執筆陣による「決断」をテーマにした傑作将棋小説アンソロジー。 青山美智子「授かり物」 「俺、東京に行く。漫画家になるんだ」 二十歳の天才棋士と同じ日に生まれた、平凡な我が子。初めて知る息子の夢に戸惑う芳枝だったが――。 葉真中顕「マルチンゲールの罠」 将棋の強さにだけは自信があった。 思い出話をきいてくれ。 あの日、俺は頼まれたんだ。 「天才」かもしれない少年を、この道場から追い出してほしいと――。 白井智之「誰も読めない」 名人戦、第五局。一日目の対局が終わり、ひと息ついた挑戦者が、 拉致された。連れ去った人物は、挑戦者に頼んだ。 ある殺人事件の犯人を見つけてほしい――、と。 橋本長道「なれなかった人」 元・天才棋士の青柳は、アマチュアとしてプロ棋戦を勝ち上がってきた段という男と対局する。彼は、青柳が三十年前に奨励会から蹴落とした相手だった。因縁の再戦を前に、二人がした約束とは。 貴志祐介「王手馬取り」 「両家の父が結婚式に来なかった」 井上家で未だに残る謎を解決するのは、元真剣師を名乗る老人で―― 芦沢央「おまえレベルの話はしてない(大島)」 奨励会員の息子を持つ男性が自己破産申請にやってきた。担当する弁護士の大島は自分も元奨励会員で事情もよく分かり、あと一歩のところまで順調に手続きが進んでいたが――。 綾崎隼「女の戰い」 「朱莉さんって銀みたいな人ですよね」 数少ない女性奨励会員として奮闘する倉科朱莉の、苦悩と成長の日々。 奥泉光「桂跳ね」 菅原香帆の日録に記された、将棋を通じた友との交歓の日々。 桂跳ねに込められた、友人の悲愴な決意とは。 -
バックミラー
宝の持ち腐れのような袋小路に、僕はいた――。シニカルな笑いと冷徹な観察力で、都会の人々のままならぬ人生を写した、令和の《没落小説》、爆誕! 日常版「滅びの美学」――麻布競馬場推薦。 「宝の持ち腐れのような袋小路に、僕はいた。」 元ストーカーと暮らしながら他人のストーカーを覗き見る、落ち目のミュージシャン 極度の無駄嫌いで、ビジネスのため東京駅至近の高層マンションに住むM&A会社社長 緑豊かな公園前の低層マンション生活を送るも、突然樹木伐採が始まり困惑する女…… 麻布競馬場(作家)、 推薦!。 “日常版「滅びの美学」――極限まで乾燥したユーモアが、人生の空虚を容赦なく照らし出す。” シニカルな笑いと冷徹な観察力で、都会に生きる人々のままならぬ人生を写す、令和の《没落小説》爆誕! 『バックミラー』発売記念 著者コメント 初の短編集です。厳選した12作の中には、名刺がわりにしたい作品が幾つもある一方、「これは見られたくない」という、作家や人間の恥部そのものを表出させつつ、思わぬ角度から光を当ててくる作品もあり――。結果的に、代表作と思える一冊になりました。 -
絵馬と脅迫状
医者、患者、病気、医学部、医学研究、医療。 生まれてから死ぬまで、人は病院と医者から離れられない。 「医」と「病」をめぐる6篇の傑作短編小説集。 学生時代に自殺した親友と瓜二つの男が、新人医師として自分が勤務する病院で働きだした。以後、不可解な事件が頻発する。彼は誰なのか?(「「爪の伸びた遺体」」)著書はベストセラー、新聞の人生相談も好評、患者からの信頼も厚い女性精神科医のもとに「二度と人前に出られなくしてやる」と差出人不明の脅迫状が届いた(「悪いのはわたしか」 )。信心がまったくない医学信奉者の内科医が、病院の近所にある神社で同僚外科医の絵馬「手術が無事に終わりますように」を誤って割ってしまった。以降、降りかかる悲劇 (「絵馬」 )。突如として髪が増え始め、若返った元教員・泉宗一(68)の数奇な体験 (「リアル若返りの泉」)など全6篇。 -
しずかなパレード
私はあの人と付き合うとるとよ。 あの人を好いとると。 そう言い残して、一人の女が姿を消した。 失踪したのか、死亡したのか――。 圧倒的な「不在」がもたらす感情を炙り出す、 不穏でミステリアスな物語。 誰にでも自分だけの神様がいるのかもしれない。 だとすれば、その神様は私の味方であるはずだ。 東京から佐世保の和菓子店に嫁ぎ、娘を育てながら若女将として生きる、晶。誕生祝いの夜、夫から贈られたエルメスのバングルを手首に巻きながら、好きな人がいる、その人のところへ行くと告げ、いなくなった。残された夫・伸吾の怒りと嘆き、愛人・武藤の不審と自嘲、捨てられたと感じながら成長する娘・結生……。「不在」の12年間を、さまざまな視点から綴る長編小説。 -
泡の子
【21世紀生まれ初受賞/第48回すばる文学賞受賞作】 危険な小説だった。それでも、ここにある描写が好きだ。――田中慎弥氏(選評より) 新宿駅東口。退廃的で無秩序。 私はこの現実で、彼女のために何ができる――? 『王』と自称する男が捕まった時、七瀬は「あ」と言った。 私は、その幽かな叫び声を隣で聞いた。 ここはつまらない奴らばっかりがいる場所だけど、七瀬だけは違う。 だから、彼女の隣にいても息苦しさは感じなかった。 薬で強制的に引きずり込まれた夢の中でも、七瀬は現れる。 もしかしたら私は、彼女とこの場所に、まだしがみついているのかもしれない。 これは、2007年生まれの若き著者が贈る、 終わってる世界で生きている「私たち」の物語。 【著者略歴】 樋口六華(ひぐち・りっか) 2007年生まれ。茨城県在住。 2024年「泡の子」で第48回すばる文学賞を受賞しデビュー。 -
つぎはぐ、さんかく
【選考員満場一致!第11回ポプラ社小説新人賞を受賞作、待望の文庫化!】 惣菜と珈琲のお店「△(さんかく)」を営むヒロは、晴太、蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に中学校へ出かける。 しかしある日、蒼は卒業したら家を出たいと言い始める。ヒロは、激しく反発してしまうのだが、三人はそれぞれに複雑な事情を抱えていた― -
※個人の感想です
無責任な言葉とわかっていても、振り回されずにいられないのが私たち。切れ味抜群、なのに愉快でクセになる全4編。 ――― not for me(is myself) フィットネス系YouTubeチャンネル「かなめジム」を運営するインフルエンサー・かなめは、読者モデル時代の同期の穂乃花から、信者のような熱量のおかしい人がコメント欄にいるから気をつけた方がいい、と忠告を受ける。いつでも正直に、ただ、伝え方に気を配って、優しく明るく発信をしてきたのに……。 純粋に疑問なんだけど 大好きな小説の編集部から「ノンフィクション部門 ネットメディア班」に異動し、インフルエンサーの書籍を担当するようになった若手編集者の野村。異動後はじめて出版のオファーをしたYouTuber・はしゆりは破天荒で、彼女のやることなすことすべて、野村にはわけがわからない。 「なんで怒らないんですか?」 「世間ずれしていない関さんの新鮮な感覚が必要」。衛星放送の番組制作も手がけるNPOで契約職員として働く関は、いまの職場環境に満足している。四十にもなって専門技術もない「平凡な主婦」を重宝して、新たな仕事まで任せてくれるのだ。ところがインターンに来ている大学生の小田嶋さんは、まったく異なる思いを抱いているらしい。 人の整形にとやかく言う奴ら アイドルオーディション番組に参加して、ファイナル一歩手前で落ち、韓国の事務所を辞めて日本に戻ってきて五年。「ダンスクイーン」由良すみれは今、地元の学習塾で事務職をしている。普通の生活を取り戻せて本当に良かったし、同時に応援してくれたファンの人たち全員を今も愛している。愛と感謝を伝えるために残しているSNSアカウントに、この頃不穏な空気が漂い始めた。 -
CF
元総理への凶弾と宗教問題。 刊行時に予言的作品とメディアを揺るがせた超問題作! 書評続々掲載! 読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞、共同通信、週刊文春、文學界etc. 脳が侵され、やがて全身が洗脳されていく。 人間とは、かくも弱い生き物なのか! (芳林堂書店高田馬場店 江連聡美) 超巨大企業・Central Factory(通称CF)は加害の責任、被害者の苦しみを取り除く「無化」を行い、人々を平穏な世へ導いてくれている。だが、人類最高のシステムに疑問を持つ男がひとり。男はCFへのテロを計画していた。なぜ男は夢の世界を壊そうとしているのか。その時、理想郷を壊されようとされている人々は……。予言的作品と話題を呼んだ物語が待望の文庫化。 -
夏の匂いがする
【電子版巻末には岩倉しおり先生によるカバー用写真をそのまま収録!】 恋とも友情とも言えない同性に強く焦がれる気持ちを描く、 少女たちのひと夏の物語――。 「制服を着ているときにしか聴こえない夏の音や、大人にも子供にも見えない夏の映像を、私たちはちゃんと日々感じながら生きていた。」 ――瑠璃色を着ていた 「ねえ白、人はみんな、半分で生まれてくるのかもしれない。そしてその半分を、必死で埋めようとしている。」 ――植物姉妹 ……ほか、R-18文学賞優秀賞を含む、初期短編五篇を収録。 著者自らそれぞれの作品コメントも書き下ろしたファン必携の一冊。
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