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Posted by ブクログ
ー 私は思うに、巨勢博士の推理と全く同じように一々の細部にピタリと推理された方が四人もあったということは、私がむしろ誇ってよいことではないかと思う。つまり、ピタリと当るように出来ているのだ。探偵小説の従来の公式などは問題じゃない。探偵小説は合理的でなければならぬ。
人間性を不当に不合理に歪めて、有りうべからざる行動を実在させそれを、合理的に解けと云ったって無理である。私は日本のみならず、全世界の探偵小説の99パーセント、否、99.99パーセントぐらいが不合理なものだと思っている。 ー
あの坂口安吾の探偵小説。しかも、探偵小説のための探偵小説。当然、読者への挑戦状付き。
探偵小説のための探偵小説なので、人間描写はさておき、プロットがしっかりしていて面白い。
もちろん、王道の仕上がり。
やっぱり、最後は関係者を集めて推理しないと探偵小説じゃないよな〜。大満足。
Posted by ブクログ
坂口安吾のミステリー。
山奥に人が集められる。夏の長い休暇として、みんなで楽しくお泊り会。とはいえ、参加者にはそれぞれ思惑、事情があって参加するのだろう。そう思って渋っていた主人公も誘いに押し切られて参加を決意。
しかし、参加してみると、予想外のメンバーがいて不穏である。しかも、招待していないはずの人もいるらしい。誰が招待したのだ??
そこで始まる怒涛の殺人。脈絡がなく、不連続に見える。
作者は、発表当時、犯人を当てた人に賞金を渡すことにした。これは読者への挑戦状である。
それもあり、作者が各方面の読者に対して挑発的なコメントを残していて、これも面白い。ただし、犯人が分からないので悔しい。
未読の方は、ぜひ犯人をズバッと当てて坂口安吾の鼻を明かしてほしい。
Posted by ブクログ
かの著名な坂口安吾による本格探偵小説。
日本ミステリー史に輝く名作と謳われるだけのことはある。
タイトルが秀逸。『不連続殺人事件』
何が不連続なのか、非常に興味をそそられるタイトルである。
1947年の夏、県内有数の財閥・歌川多門邸で、
流行作家の望月王仁が殺害される事件が発生する。
歌川家には多数の人物が、
多門の息子である一馬の手紙により招待されていたが、
一馬によればその招待状は偽物であった。
招待客、使用人、家族を合わせ、
総勢29人の人々が滞在していた歌川邸では、
家族のみならず戦争中に疎開していた10人や、
その他の招待客らの間でも乱脈な性関係がなされており、
さらには複雑な憎悪が絡み合い、次々と犠牲者が生まれていく。
とにかく登場人物が多い。むしろ多すぎる。
なので最初は登場人物の把握だけでてんてこ舞いとなる。
が、やはり時代性というか、現代では考えられない思考の数々。
登場人物のほぼ全員がクズなのである。
クズにも様々種類があるが、この話で言えば色欲の方である。
性に関して奔放すぎる人物しか出てこない。
そして、あちらこちらで見受けられる血縁関係。
つまり、当主である多門の腹違いの子供の数々など。
この辺の清々しいまでに倫理観のない登場人物たちに関しては、
時代性というものが大きく関係しているのだなと、
当たり障りなく言えばカルチャーショックのようなものを受けた。
果たして現代の方が生きやすいのか、生きづらいのか、
そんなことまで考え込んでしまった。
とは言え、物語自体は秀逸。
章終わりごとに載せられている作者からの挑戦状。
これが斬新で、面白さの一役を担っている。
勿論、私は見事に的外れな回答を予想していたのは言うまでもなく。
現代のミステリー小説でもやってみてもらいたいものだ。
作者からの挑戦状。間違いなく跳ねるだろう。
それだけの揺るぎない自信を見せた坂口安吾に脱帽である。
巻末に収録されていた短編『アンゴウ』
たまたま手にした古本に残っていた暗号の謎を解く物語だが、
その結末には思わずホロっとさせられてしまった。
Posted by ブクログ
読み始めて、昔、犯人当ての懸賞キャンペーンをやった推理小説があった、ということを思い出した。この本だったのか。合間合間に、読者を煽る坂口安吾のコメントが挟まれていて面白い。
そういうわけで、自分も犯人当てしながら読んで、当てました!ふふん。
推理小説がごまんと溢れる令和においては、そんなに物珍しいトリックではないのかもしれないけど、たぶん日本の推理小説黎明期のこの時期においては、一級の推理小説なんだなと思った。もちろん、今読んでもとても面白い。解説まで読んで、この面白さは、ただトリックや事件がミステリアスな魅力をはらんでいるからだけじゃなくて、人物がひとりひとり際立って魅力的なのだ。だから、人間が引き起こしたミステリーとして、心理的な面白さがある。坂口安吾もそれでこそミステリーだと言っていたそうだ。
一緒に掲載されていた短編「アンゴウ」もとてもよかった。これもやっぱり、一人の男の心理をしっかりと捉えていて、読者にその視点から真実に辿り着かせる構成になってることによって、最後に辿り着く真実に胸をハッとつかれる。
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