小説 - 新潮社 - 笑えるの検索結果

  • 蜘蛛の糸・杜子春
    値引きあり
    3.9
    地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落っこちる『蜘蛛の糸』。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた『杜子春』。魔法使いが悪魔の裁きを受ける神秘的な『アグニの神』。健康で明るく、人間性豊かな作品集。

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  • 暗い旅
    3.7
    他者との自由な関係を認めあった恋の、突然の破綻――“かれ”の失踪。“かれ”を捜しに暗い旅へと出発した“あなた”の心は、失われた愛を求めて過去へ内部世界へと退行してゆく。だが、絶望は次第にイマジネールなものの中に吸収され、最後に“あなた”は一つの小説を書くことを決心する。〈ことば〉の自己繁殖によって反世界の文学空間をきりひらく、倉橋由美子の処女長編。
  • グ、ア、ム(新潮文庫)
    3.6
    北陸育ちの姉妹。長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不穏なムードに……。時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。
  • グッド・バイ(新潮文庫)
    値引きあり
    4.1
    1巻302円 (税込)
    被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆「グッド・バイ」をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白「苦悩の年鑑」「十五年間」、戦前戦中と毫も変らない戦後の現実、どうにもならぬ日本人への絶望を吐露した2戯曲「冬の花火」「春の枯葉」ほか「饗応夫人」「眉山」など。(解説・奥野健男)
  • グッモーエビアン!
    4.1
    1巻440円 (税込)
    私の家族はちょっと変わっている。元パンクスで現役未婚、自称「永遠の24歳」のお母さんと、お調子者で万年バンドマンで、血の繋がっていないお父さんヤグ、そして15歳の私はつき。うちのルールはたったひとつ「おもしろければ、いーじゃん」。そんなぶっ飛んだ家族のキュートでドタバタな日々。おもしろくて心あたたまる新しい家族の物語。

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  • 虞美人草(新潮文庫)
    値引きあり
    4.2
    大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰ったほどの秀才小野。彼の心は、傲慢で虚栄心の強い美しい女性藤尾と、古風でもの静かな恩師の娘小夜子との間で激しく揺れ動く。彼は、貧しさからぬけ出すために、いったんは小夜子との縁談を断わるが……。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く。東京帝大講師をやめて朝日新聞に入社し、職業的作家になる道を選んだ夏目漱石の最初の作品。(解説・柄谷行人)
  • 戯場國の怪人
    3.6
    1巻2,420円 (税込)
    桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立つ江戸市村座。女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講談師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々、虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメの極地!
  • 結婚詐欺師(上)
    3.8
    1~2巻539~605円 (税込)
    橋口雄一郎は40代のプロの結婚詐欺師。カツラ・洋服・職業・車を使い分けて変身、女性の心理を逆手に取る巧みな話術で誘惑し、金をだまし取っていた。東京・小滝橋署の刑事、阿久津は偶然かかわった結婚詐欺の被害届から、プロの匂いを感じ取り捜査を始めた。やがて松川学という前科者が浮上、身元の確認に追われる。一方、橋口はゴルフ練習場で見つけた女性に次の狙いを定めた――。
  • 結婚式
    4.0
    1巻440円 (税込)
    〈男はわたしをもてあましながら少しずつ手放そうとしている……。こっちから別れてもいいのだ〉恋人を捨てる「マリコの選択」。結婚式の前日ひとりヨットに乗り込み結婚を拒絶した男や、花嫁の過去を知りぬいて披露宴で道化を演じる若い夫の心理を描く「結婚式」。ほか、「投げられた指輪」「スペインから」「クール経由サンモリッツ行き」「パティオの月」「オー・イエス・イエス」の、“結婚”の前後にいる男と女の愛と欲望のくい違いを軽妙に描く短編7編。
  • 螻蛄―シリーズ疫病神―
    4.0
    信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は? 人気シリーズ「疫病神」第2弾。
  • 県民には買うものがある
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    滋賀の片田舎に住む私たちは、「JKでヤってない」ってだけでかなり取りこぼしてる。だから廃れたSNSで、ちょうどいい男を探すことに……。都民でも府民でも道民でもない、「県民」の心の底にある揺らぎを掬い取った「R-18文学賞」友近賞受賞作をはじめ、切実すぎるのになんだか残念、でも胸が熱くなる、デビュー短編集。
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)
    4.0
    1巻649円 (税込)
    私はね、心に一つ秘密がある――。伯爵夫人手術時に起きた“事件”を描く『外科室』。眷族を伴として姫路城天守閣に棲む妖姫が、若き武士と出逢う『天守物語』。二つの代表作に加えて、故郷金沢を情感ゆたかに描く怪異譚『霰ふる』。三島由紀夫が絶賛した絶筆『縷紅新草』。そして『化鳥』『高桟敷』『二三羽――十二三羽』『絵本の春』を収める。アンソロジスト東雅夫が選び抜いた、鏡花文学の精髄八篇。(解説・東雅夫)
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)
    4.0
    昭和21年7月。憧れのまっ白な軟式野球ボールを手に入れるため、山形から闇米抱え密かに東京へと向かった国民学校六年生の野球狂の少年たち。その大冒険は、疲弊と混乱の極みに達した東京の街を舞台に、一進一退のシーソーゲームとなって展開していく。眼前に広がる敗戦の実像、しかし人々はなおしたたかに生きている。戦後とはいったい何だったのかを少年たちの視点から繙(ひもと)いた永遠の名作。(解説・井筒和幸)
  • 月光蝶―NCIS特別捜査官―
    3.7
    1巻1,496円 (税込)
    米軍女性広報官の死体が基地内で発見された。同時に基地の外で大量の血痕も見つかり、米海軍犯罪捜査局(NCIS)が捜査を開始する。だが被害者が基地を出入りした痕跡はゼロ。いかにして基地を出て、殺されて戻ってきたのか? 全てのゲートと鉄壁の警備をすり抜けて、二つの死体が移動する! 前代未聞の本格ミステリー。
  • 月曜日の朝・金曜日の夜
    4.0
    1巻770円 (税込)
    中央線に乗って国立駅から東京駅まで通う。沿線に展開する四季折々の風景、車内にみる世相百態など、通勤電車の心とその表情を捉えた「月曜日の朝」。週末にホッと一息ついて行きつけの止り木でピーナツを噛み、寿司屋の床几でコハダをつまむ。わが街のやすらぎの風情を描く「金曜日の夜」。ひとつひとつの挿話に季節感が刻みこまれ、日常生活を再発見する新しい歳時記。
  • 言語小説集
    3.7
    ワープロのディスプレイ上でカギ括弧同士が恋をした。威張り腐った●や■に他の記号たちが反乱を起こす「括弧の恋」。方言学の権威が、50年前自分を酷い目に遭わせた特高の元刑事を訛りから見破って復讐する「五十年ぶり」。ある日突然舌がもつれる青年駅員の悲劇を描く「言語生涯」など言葉の魔術師による奇想天外な七編に加え、抱腹絶倒の四編を新たに収録した著者最後の短編集。
  • 恋に焦がれて吉田の上京
    3.3
    札幌に住む吉田苑美(そのみ)は、23歳にして人生初の恋をする。相手は四十男のエノマタさん。不器用な乙女は「会いたい」と「知りたい」と「欲しい」の本能のまま、想い人を張り込んだ。だがある時彼は上京し、吉田は友人前田の制止(「正気かい?」)を振り切り後を追う。まだ吉田の存在を知らぬ彼に、ちゃんと出会うために。初恋の全てがここにある! 『とうへんぼくで、ばかったれ』改題。
  • 広域指定
    4.0
    一月十日午後九時、未帰宅者の一報を受け柴崎警部は高野朋美巡査らを急行させた。九歳の女児、笠原未希はどこへ消えたのか? 早期保護を目指し指揮を執る綾瀬署署長、坂元真紀。主導権を奪おうとする警視庁捜査一課。未解決事件の悪夢に悩まされる千葉県警。キャリアまでを巻き込んだ事件の捜査の行方――そしてその真相とは。名手が持てる力の全てを注ぎ込んだ、長篇警察小説。
  • 校舎の静脈
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    なかに入るとタイムスリップするという給食運搬用のリフト。毎日屋上からフェンスを越えて飛び降りるとささやかれる安行という謎の男。こことは並行して存在する異世界に思いをめぐらす少女。一見平凡そのものにみえる学校のかげに生じるかすかな綻び……。現実に微妙なズレを感じつつ生きる少年少女達を描く表題作他三篇。
  • 洪水はわが魂に及び(上)
    5.0
    1~2巻627円 (税込)
    50種の野鳥の声を識別する知恵遅れの幼児ジンと共に、武蔵野台地の核避難所跡に立て籠り、「樹木の魂」「鯨の魂」と交感する大木勇魚(いさな)。世界の終末に臨んでなお救済を求めず、自らの破滅に向って突き進む「自由航海団」の若者たち……。世代を異にする両者の対立・協同のうちに、明日なき人類の嘆きと怒り、畏れと祈りをパセティックに描いて、野間文芸賞を得た渾身の純文学巨編。
  • 坑夫(新潮文庫)
    値引きあり
    3.8
    恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。(解説・三好行雄)
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)
    4.1
    差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したという天才はデビュー前から天才だった。ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14篇。ホームレス、老女、淋しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感し、仄暗い祝祭へと昇華させるさまは、作家自身の波乱の生涯を予感させる。明晰な声によって物語を彫琢する手腕の原点を堪能できる選集。(解説・村上春樹)
  • ここは夜の水のほとり
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    生に無頓着なのに、死と隣り合わせだったあの頃。あなたと優しい幽霊、古い一軒家、アトリエ、そして玉川上水のほとりの並木道……。あまりにも完璧な、けれどもどこか曖昧な環境で、かけがえのない人さえ守りきれなかった私たちの、歪でつかみどころのない青春群像。受賞作を含む連作短篇集。
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―
    3.5
    文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に左右されます。「もてない男」に恋愛小説が、そのケのない人に同性愛的文学がわからなくても、仕方のないこと。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか? 読むべきは『源氏物語』か『金閣寺』か? 世界の古典を「大体読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内。

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  • 木精―或る青年期と追想の物語―
    3.8
    1巻671円 (税込)
    ドイツの神経研究所で学ぶひとりの日本人精神科医。彼が遠い異国へやって来たのは、人妻との情事に終止符を打つためでもあった。ドナウ源流地帯、チロルの山々、北国の町々――ヨーロッパを彷徨う彼の胸に去来する不倫の恋への甘美な追憶、そして、作家としての目覚めと将来への怯え。著者自身の若き日の魂の遍歴をふり返り、虚構のうちに再構成した《心の自伝》。『幽霊』の続編。
  • この血の流れ着くところ
    3.4
    1巻1,496円 (税込)
    母のようにだけはなるまい、と心に決めて生きてきた。なのに、気付けば母と同じことをしている自分がいる。この娘も、母や私のようになってしまうのだろうか――。貧困、いじめ、シェアハウス、シングルマザー、そして信仰。我が子の幸せを願うとは、いかなることか? 世の毒親物とは一線を画し、ここに母娘小説は極限を見る。
  • 湖畔の愛(新潮文庫)
    3.7
    1巻649円 (税込)
    今日も一面霧が立ちこめて。ときに龍神が天翔るという伝説がある九界湖の畔で、むっさいい感じで営業している九界湖ホテル。支配人新町、フロント美女あっちゃん、怪しい関西弁の雑用係スカ爺が凄絶なゆるさで客を出迎える。真心を込めて。そこへ稀代の雨女や超美人の女子大生、ついには鳥取砂丘に消えたはずの伝説の芸人横山ルンバも現れて――。文学なのか、喜劇(コント)なのか。笑劇の超恋愛小説。(解説・酉島伝法)
  • 傲慢な婚活
    3.0
    1巻1,496円 (税込)
    職業・前衛音楽家、偶に小説家。ノイズの世界ではドイツで評判が良く、「新潮」の編集者に拝み倒されて書いた小説は日本で一番有名な文学賞の候補になり、本も売れた。が、パトロンを失い、暗転に次ぐ暗転でボンビー暮らしに転落。一寸マジメに婚活したら、俺のファンだという20歳で資産家の娘が嫁にして下さいと出現。とんだハメに……『下妻物語』的コミカルで感動のラブロマンス。
  • 強力伝・孤島
    3.9
    五十貫もの巨石を背負って白馬岳山頂に挑む山男を描いた処女作「強力伝」。富士山頂観測所の建設に生涯を捧げた一技師の物語「凍傷」。太平洋上の離島で孤独に耐えながら気象観測に励む人びとを描く「孤島」。明治35年1月、青森歩兵第五連隊の210名の兵が遭難した悲劇的雪中行軍を描く「八甲田山」。ほかに「おとし穴」「山犬物語」。“山”を知り“雪”を“風”を知っている著者の傑作短編集。

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  • 悟浄出立
    3.8
    おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。
  • 五千回の生死
    4.2
    1巻539円 (税込)
    「一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりする」男との束の間の奇妙な友情(表題作)。トマトを欲しながら死んでいった労務者から預った、一通の手紙の行末(「トマトの話」)。癌と知りながら、毎夜寝る前に眉墨を塗る母親の矜持(「眉墨」)。他に「力」「紫頭巾」「バケツの底」等々、日々の現実の背後から、記憶の深みから、生命(いのち)の糸を紡ぎだす、名手宮本輝の犀利な「九つの物語(ナイン・ストーリーズ)」。
  • 午前0時の身代金
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    新米弁護士の小柳のもとに相談に訪れた女子学生が、その夜、突如失踪した。翌朝、クラウドファンディングで日本中から10億円の身代金を募るという前代未聞の誘拐事件が発覚する――! 斬新な設定、読者を翻弄する展開、抜群のリーダビリティ。デビュー作にしてエンタメ小説の面白さが詰まった、新機軸のノンストップ・ミステリー!
  • 五能線の女
    3.8
    海と森、東北の美しい自然に抱かれる、五能線。私立探偵・橋本豊は、素行調査の報酬を手に、念願の「リゾートしらかみ」号に乗車した。だが、それは罠に他ならなかった! 彼は、青森県警に千畳敷殺人事件の容疑者として拘束されてしまう。橋本を救おうと動いた女性探偵もまた窮地に陥る。十津川警部は、元部下の無実を信じ、現地へ向かった。旅情溢れる、トラベル・ミステリー。
  • 五葉のまつり
    4.2
    1巻2,530円 (税込)
    刀狩り、太閤検地、醍醐の花見など、豊臣秀吉が仕掛けた大事業を縁の下で支えたのは、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながら五奉行と呼ばれるようになった男たち。ぶつかることも多いが互いの才は認め、敵対勢力の横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。『八本目の槍』に次ぐ、石田三成をめぐる歴史お仕事傑作巨篇!
  • ごんぎつね でんでんむしのかなしみ―新美南吉傑作選―(新潮文庫)
    4.6
    わずか29歳で夭逝した新美南吉は、美智子上皇后の胸に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」や「手袋を買いに」など、多くの心優しい童話と詩を残した。不遇な幼年時代だったが18歳で「ごんぎつね」を発表。その後結核に苦しみながらも、創作の情熱は最期まで衰えなかった。生きることの淋しさを抱えつつ、それでも歩もうとする勇気を、繊細な感性で描いた傑作童話11編と数編の詩を収録した。
  • ゴーグル男の怪(新潮文庫)
    4.0
    煙草屋の老婆が殺された夜、ゴーグルで顔を隠した男が闇に消えた ……。死体の下から見つかった黄色く塗られたピン札、現場に散乱する真新しい五十本の煙草。曖昧な目撃情報に怪しい容疑者が続出し、核燃料製造会社をめぐって奇怪な噂が。そしてついに《ゴーグル男》が出現した。巧緻な伏線と戦慄の事件が、ねじれ結ばれ混線する! この上なく残酷で、哀しい真相が心を揺さぶるミステリー。
  • 最後の花束―乃南アサ短編傑作選―
    3.7
    色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった……。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う……。サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!
  • 宰相A(新潮文庫)
    3.1
    揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。
  • 魚は粗がいちばん旨い―粗屋繁盛記―(新潮文庫)
    3.5
    魚の粗(あら)ほど旨いものはない! 築地に日本初の魚の粗料理専門店・粗屋ができた。金目鯛の粗汁、烏賊の腸煮、皮剥の肝和え――通常は捨てられてしまう粗が、魚を知り尽くした店主、鳥海五郎にかかると絶品料理へと大変身。はやる気持ちを抑え、今宵も粗屋の暖簾をくぐる。いったいどんな料理が待っているのか。粗を肴に酒を呑む、至福の時間の始まりだ。『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』改題。(解説・太田和彦)
  • サキの忘れ物(新潮文庫)
    3.6
    自分には何にも夢中になれるものがない――。高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役のゲームブックまで、かがやきに満ちた全九編。(解説・都甲幸治)
  • 咲見庵三姉妹の失恋(新潮文庫)
    3.5
    蔵の町、川越。くず餅が人気の和カフェ・咲見庵を営む美人の長女、花緒。ボーイッシュで夢見がちな次女、六花。そして、二人の姉とは母親の違う十六歳の三女、若葉。そんな高咲三姉妹が暮らす家に、父を亡くした少年、薫が居候することに。姉たちはそれぞれに恋の甘さと苦しみを味わい、同い年の若葉と薫は次第に心を通わせていくが――。めぐる季節の中、姉妹が織りなす優しく切ない恋愛模様。(解説・吉田伸子)
  • 桜の実の熟する時(新潮文庫)
    値引きあり
    3.3
    明治20年代に高輪台の学舎に学んでいた主人公岸本捨吉は、年上の繁子との交際に破れ、新しい生活を求めて実社会へ出て行く。しかし、そこで遭遇した勝子との恋愛にも挫折した捨吉は西京への旅に出る――。作品の行間には少年の日の幸福の象徴である桜の実にも似た甘ずっぱい懐かしさが漂い、同時に恐ろしい程に覚醒した青春の憂鬱が漂う。「春」の序曲をなす、傑れた青春文学である。(解説・三好行雄)
  • さすらい
    4.4
    反政府的な作品のために迫害されて、日本から姿を消した人気作家・三宅。彼が遠い北の異国で客死したという知らせを受けた愛娘の志穂は、遺骨を受け取るため旅立つ。一方、三宅を恐れる政府の要人・中田はその死を疑い、刺客と共に北へ向かう。最果ての地で志穂と中田を待ち受ける思いがけぬ真実。愛と憎しみのもつれが招く新たな悲劇。近未来を舞台に描く、異色のサスペンス・ロマン。

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  • さのよいよい
    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    ロケットマンがロス五輪の会場に降り立ち、「未来」が「現実」となった一九八四年の夏、世田谷では僧侶が伴侶を日本刀で斬りつけ、火が放たれ、盆踊りの終わった夜空を真っ赤に染めていた。三十二年前の放火殺人事件を探るうち、わたしは家族の秘めごとやおのれの不甲斐なさを思い知らされる。シリアスで、ちょっと熱めの長篇小説。
  • さびしい女神―僕僕先生―
    4.3
    苗人の国を襲った大旱魃。その原因は王弁が出会った少女にあった。さびしがり屋で、話し下手で、でも人と触れ合いたい女神「魃」。王弁は枯れゆく国と魃を救うため、神々を探す旅に出る。宇宙に飛び出し、時空をも越え、神仙たちの古代戦争を目撃した王弁を待っていたのは、あまりに残酷な魃と僕僕の過去だった──。救うべきは女の子か、それとも世界か。怒濤のシリーズ第四弾。
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    4.0
    中国から久しぶりに戻った俺を出迎えた友の死。東京、雑司ヶ谷。大都会に隣接するこの下町で俺は歪んだ青春を送った。町を支配する宗教団体、中国マフィア、耳のない男……。狂いきったこのファックな人生に、天誅を喰らわせてやる。エロスとバイオレンスが炸裂し、タランティーノを彷彿とさせる引用に満ちた21世紀最強の問題作。脳天、撃ち抜かれます。
  • サラバンド・サラバンダ
    3.0
    1巻1,408円 (税込)
    差出人にも、故人の名前にも、まったく心当たりのない香典返しの小包が自分宛てに届いた。むろん通夜も葬儀も行っていない。いったい何故、何のために。記憶を整えると、遠い昔に別れた女の名前が蘇り……。老いの入り口に立った男の憂いと怒り、焦燥、絶望、狂気、そしてエロス。芥川賞作家が円熟の筆で描く珠玉の短篇小説集。
  • 百日紅の咲かない夏
    3.3
    1巻1,023円 (税込)
    父の事故死、母の出奔で別々に育てられた姉弟が、十年ぶりに再会した。以来、十七歳の弟は、二十歳の姉を週末ごとに訪ねる。夜、姉の布団で幼子のように身を寄せながら、歳月の重さと互いの愛の深さにおののく二人。その年、北国の町では怪しげな商事会社が暗躍し、孤独な二人に危険な人間関係がからみつく。
  • サロメの乳母の話
    3.7
    ホメロスが謳うオデュッセウスの漂流譚はでっちあげだ! と糾弾する妻ペネロペ。不器用で世渡りが下手な夫を嘆くダンテの妻。サロメの乳母、キリストの弟、聖フランチェスコの母、ブルータスの師、カリグラ帝の馬……歴史上の有名人の身近にいた無名の人々が、通説とはまったく違った視点から語る英雄・偉人たちの裏側。「ローマ人の物語」の作者が想像力豊かに描く短編小説集。
  • ざんねんなスパイ(新潮文庫)
    3.7
    私は73歳の新人スパイ、コードネーム・ルーキー。初任務で市長を暗殺するはずが、友だちになってしまった……。福音を届けにきてペーパーナイフで殺されたイエス・キリスト。泥棒稼業の隣人マダム。うっかり摘発したワリダカ社長の密造酒工場。森で出会った巨大なリス・キョリス!? 一度ハマれば抜け出せない。連鎖する不条理が癖になる傑作ユーモア・スパイアクション。(対談・伊坂幸太郎)
  • 幸せな結婚
    3.0
    1巻1,408円 (税込)
    スタイリストとして成功する妻を横目に、育児に追われる主夫の浩介。家事も育児も手伝わないラジオDJの夫に、いらだちを募らせる恵。渇いた心を持て余す二人は、ある日、公園で知り合う。パートナーには言えぬ想いを抱えて都会を生きる二組の夫婦が直面する、男と女の虚実とは――? インモラルで赤裸々な家族小説。
  • 虐げられた人びと
    4.2
    民主主義的理想を掲げたえず軽薄な言動をとっては弁明し、結果として残酷な事態を招来しながら、誰にも憎まれない青年アリョーシャと、傷つきやすい清純な娘ナターシャの悲恋を中心に、農奴解放を迎え本格的なブルジョア社会へ移行しようとしていたロシアの混乱の時代における虐げられた人びとの姿を描く。
  • シェイクスピアを楽しむために
    4.2
    【シェイクスピア】1564~1616(ひとごろしイロイロと覚えます。謀略・発狂・嫉妬・情死、作品の登場人物は、考えられる限り様々な理由でこの世を去ります)。誕生日と命日は同じ4月23日。欧米の大衆娯楽演劇の原点、ハリウッドで最も売れている脚本家、世界で一番有名な作家です。名前は知っているけど、作品も大体見当がつくけど……、という方のための〈アトーダ式〉解説本。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―
    3.9
    1~7巻781~1,782円 (税込)
    見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発、それがルネサンスだった――フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアと、ルネサンスが花開いた三都市を順に辿り、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、フリードリッヒ二世や聖フランチェスコ、チェーザレ・ボルジアなど、時代を彩った人々の魅力を対話形式でわかりやすく説く。40年にわたるルネサンスへの情熱が込められた最高の入門書。 ※当電子版は新潮文庫『ルネサンスとは何であったのか』を元に制作しています。地図・年表なども含みます。新潮文庫版に収録の「対談 塩野七生×三浦雅士」も掲載しています。
  • 私家版 日本語文法
    4.2
    文部省も国語の先生も真っ青!あの退屈だった文法がこんなに興味津々たるものだったとは。もはや教科書ではつかみきれない日本語の多様なる現実がここにある。一家に一冊話題は無限。古今の文学作品は言うに及ばず、法律文書、恋文、歌謡曲、新聞広告、野球場の野次まで、豊富かつ意表を突く実例から爆笑と驚愕のうちに日本語の豊かな魅力を知らされる空前絶後の言葉の教室。
  • 子規は何を葬ったのか―空白の俳句史百年―
    4.0
    「俳句不毛の時代」とされてきた江戸後期から幕末明治。だが意外にも「名句好句」の数々が! 松山藩家老奥平弾正、最後の幕臣中島三郎助、土方歳三、漂泊の俳人井上井月らの秀句。庶民が詠んだ暮らしの喜び。ミレーの絵画にも似た一瞬の情景……。近代俳句の改革とは何だったのか。子規の功罪を問い、俳句文芸の豊穣を再発見する。

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  • 死者の雨―モヘンジョダロの墓標―
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    パキスタン・カラチで非業の死を遂げた人工知能学者のヒュウガ博士。そして、同時期に世界各地で発見された四博士の不可解な死体。連続死との関係、そして、博士が遺した「アトラスの謎」の真相とは? 京都、シンガポール、イタリア、インドを舞台に完全記憶を持つ孤高の天才数学者、一石豊が人類最大の秘密を暴く!
  • 失格社員(新潮文庫)
    3.6
    1巻781円 (税込)
    嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務──不祥事の元凶がオフィスにはあふれている! サラリーマンが守るべき掟を「モーセの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。秘かに転職を目論む銀行員の心の内は……「二神に仕えるなかれ」、セクハラ対策を担当していながら、生保の中堅幹部はなぜセクハラに陥ったのか……「汝、姦淫するなかれ」など、傑作十篇収録。
  • 師弟の祈り 旅路の果てに―僕僕先生―(新潮文庫)
    完結
    3.6
    全1巻737円 (税込)
    時空を越えた王弁が辿りついたのは、現代日本だった。そこで出会ったのは、妻が消えた男とあの殺し屋……。一方、長安では、王方平がとある女神を復活させ、人間と神仙の戦いを始めようとしていた。王弁は、元の世界に戻れるのか。姿を消した僕僕先生の目的は。人間を滅ぼそうとする神仙と祈りを武器に神仙に抗おうとする人間、そして僕僕たちの最後の旅と戦いがここに決着。感動の最終巻!(解説・小谷真理)
  • 死の枝
    3.6
    途方もなく膨張し、混乱し、錯綜した現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあうさまざまな犯罪。その陰に澱む愛憎と執念――狂気を装い、法の網の目を潜りぬけようとする男、交通地獄という世相の盲点を巧みに利用した殺人、猟奇事件の影に踊る札つきの不法建築業者、北国の闇を引き裂く夫婦殺害事件…。死神に捉えられ、破滅の深淵に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理小説。

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  • しぶちん
    3.4
    “しぶちん”とは大阪弁でケチン坊のことだが、ケチが陰にこもらない開放的な言い方である。19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して財をなした山田万治郎は、“しぶまん”と呼ばれながらも、昭和初年に、商工会議所の議員に推薦される。大阪商人の金銭への執念を捉えた表題作の他、大阪富商の町、船場に憧れと執念をもやした女の一生を描く『船場狂い』など、全5編を収録する。
  • 〆太よ
    4.0
    1巻1,584円 (税込)
    まともなつもりで正気を失った20世紀末の日本で人間のクズを自認するおれと純粋無垢な盲目の青年〆太は本物の友情で結ばれる。究極の遊び人にしておれの麻薬(ドラッグ)の師匠や性交(セックス)を作品と心得るおれの中学時代の女神(マドンナ)との交歓の果て〆太とおれはある邪悪な陰謀に挑むことに……。構想20年。己れが己れであることをめぐる冒険の物語。
  • 写楽 閉じた国の幻(上)
    3.6
    世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヵ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか、誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎──。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは……。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。
  • 周五郎少年文庫 黄色毒矢事件―少年探偵春田龍介―(新潮文庫)
    3.0
    無燃料機関(エンジン)の実験当夜、妹が掠(さら)われ、機密をも盗まれた。龍介は二つの暗号文を解読し、犯人を追う(「危し!! 潜水艦の秘密」)。超爆液の研究所で分析表が盗まれ、次々と所員が殺される。龍介は巧妙な方法で犯人を炙り出す(「黄色毒矢事件」)。若き日の周五郎が旺盛に執筆した血湧き肉躍る少年小説のうち春田龍介ものを七編厳選。(解説・末國善己)
  • 逡巡
    3.8
    1巻1,320円 (税込)
    「自分を見失うな。夢は叶う!」。流行歌の歌詞みたいな助言をしてくる男。困ったことに男は赤の他人だった/「バカ」。私の半生はこのひと言に辿り着くまでの長い前振りだったのか/コレクションを売り払い、いまは有機野菜を栽培して暮らしている……。日常にひそむ危険と諧謔。脱力系文学と自由律俳句の旗手が挑む、新感覚小説。

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  • 消人屋敷の殺人(新潮文庫)
    3.5
    明治初頭、日影一族の棟梁の隠居所だった武家屋敷が官憲に包囲されたが、一族は忽然と姿を消した。奇怪な伝承に彩られ、断崖絶壁の岬の突端に建つこの館を人は「消人屋敷」と呼ぶ。ここに隠遁する覆面作家を訪ねた女性編集者が失踪、三ヵ月後、謎の招待状で五人の関係者が集まった。嵐で巨大な密室となり、また不可解な人間消失が起こる。読者を挑発する本格ミステリ長篇、驚愕の結末!(解説・村上貴史)
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,210円 (税込)
    時は16世紀。ヴェネツィア共和国の若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとイスラムの盟主トルコに挟撃される国難打開の密命を託される。しかし、トルコでマルコを出迎えた旧友で敵国の宮廷深くに通じるアルヴィーゼの瞳にひとたび暗い光が灯ると、世界の命運は激しく変転していくのだった……。愛と陰謀が渦巻くルネサンス時代を描いた傑作歴史小説。『緋色のヴェネツィア』改題。
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)
    完結
    4.0
    全1巻1,320円 (税込)
    国政に復帰したマルコは、再びトルコと対峙する。絶対君主スレイマンが没すると、両国間には戦雲が立ち込め、ついには誰も望まなかった全面衝突に発展してしまう。五百隻が海上で激突し、一万五千人が命を落としたレパント沖での大海戦は、その後の世界をたった一日で運命づけるのだった……。一人の外交官の人生を通して、ルネサンス世界の興亡を壮大に描いた傑作歴史小説、圧巻の完結編。
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    4.2
    芸術家の道を諦めた中年バツイチの正道。心機一転、八ケ岳山麓に移住するが、本場イタリア仕込みの腕を振るった女神像は、あらぬ場所に置かれてしまう。それでも注文には心を込めリアルな彫像を造った。だが耳を疑うことが起きた。喋るというのだ、肖像が……。古刹の訳あり仕事から、亡き両親の像、大胆な裸体彫刻まで、珍現象が巻きおこす人間模様をからりとしたユーモアで笑い飛ばす傑作。(解説・鵜飼哲夫)
  • 食魔 谷崎潤一郎
    3.6
    1巻836円 (税込)
    その食い意地こそが、最大の魅力。「料理は藝術。美食は思想」という哲学を生涯貫き、粋な江戸前料理からハイカラな洋食、京都の割烹、本場の中華まで、この世のうまいものを食べ尽くした谷崎潤一郎。「食魔」とも称された美食経験は数多の名作に昇華され、食を通して人間の業を描いた。「悪い女ほどよく食べる」「蒟蒻とサドマゾ」「東西味くらべ」など、斬新なアングルで新たな魅力を掘り起こす、かつてない谷崎潤一郎論!
  • 知りたがりやの猫
    3.1
    三日後、昔の男の目の前で大きく脚を開いている自分の姿が見える――深夜、夫が寝入った後、二年前に別れた恋人から電話がかかってきた。この男ともし会ってしまったら……きっと乱暴なやり方で私を誘う。無理やり連れていかれる部屋は、CDと本で埋まりそうな1DKのあの部屋で――そしてもう聞くことがないと思っていたいくつかの卑猥な言葉を吐いて――別れた男から誘いを受けた人妻の甘い葛藤を描く「眠れない」など、エロティックに語られる、女たちの11の恋愛短編集。

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  • 白い巨塔(一)
    4.3
    1~5巻693~880円 (税込)
    国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。華麗なるメスさばきでマスコミでも脚光を浴びる彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌悪し、他大学からの招聘を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとするが…。教授選挙に絡む利権をめぐり蠢く人間模様を描いた医療サスペンスの傑作!

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  • 白い服の男
    3.9
    1巻605円 (税込)
    横領、強盗、殺人……こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ――人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた――軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
  • 城の中の城
    3.7
    英文学教授の山田信氏は、去年突然渡仏中にパリで洗礼を受けカトリック信者になった、と妻の桂子(30歳)さんに事後告白をした……。夫君の裏切りに、自尊心を傷つけられた桂子さんは、二人の可愛い子供を思いながらも、棄教か離婚かを夫君にせまり、二人だけの宗教戦争がはじまった! 禁じられた愛や夫婦交換を、キリスト教を背景に描き、現代の知識人家庭を風刺する長編小説。
  • 紳士同盟(新潮文庫)
    5.0
    いんちき臭くなければ生きていけない! 思わぬ運命の転変にめぐりあい、莫大な金を必要としたとき、四人はそう悟った。目標は二億円――素人の彼らは老詐欺師のコーチを受け、知恵を傾け、トリックを仕掛け、あの手この手で金をせしめる……。奇妙な男女四人組が、人間の欲望や心理の隙、意識の空白につけこむスマートで爽快、ユーモラスな本格的コン・ゲーム小説。
  • 新釈遠野物語
    4.2
    東京の或る交響楽団の主席トランペット奏者だったという犬伏太吉老人は、現在、岩手県は遠野山中の岩屋に住まっており、入学したばかりの大学を休学して、遠野近在の国立療養所でアルバイトをしている“ぼく”に、腹の皮がよじれるほど奇天烈な話を語ってきかせた……。“遠野”に限りない愛着を寄せる鬼才が、柳田国男の名著『遠野物語』の世界に挑戦する、現代の怪異譚9話。
  • 新樹の言葉(新潮文庫)
    値引きあり
    3.9
    1巻368円 (税込)
    麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々から立ち直ろうと懸命の努力を重ねていた時期の作品集。乳母の子供たちとの異郷での再会という、心温まる空想譚のなかに再生への祈りをこめた「新樹の言葉」。“男爵”と呼ばれる無垢な男と、昔その家の女中で今は大女優となっている女性との恋愛譚「花燭」。ほかに「懶惰の歌留多」「葉桜と魔笛」「火の鳥」「八十八夜」「老ハイデルベルヒ」など全15編。(解説・奥野健男)
  • 新選組おじゃる
    3.3
    沖田総司の命を狙う、新政府一のワルの正体は、岩倉具視だった! 総司と徳川家を守るため、岩倉が潜む江戸城に乱入する新選組。敵方率いる抜刀隊に負けそう……な危機を助けてくれたのは、ご先祖様のぬらりひょん! 江戸妖怪の総大将と共にオカマのお歯黒べったり、九尾の狐、ろくろっ首や唐傘小僧も参戦。城内で火を吹き剣を操り大騒ぎ。新人隊士・市村鉄之助の戦い、ついに完結。
  • 神仙の告白 旅路の果てに―僕僕先生―(新潮文庫)
    3.6
    劉欣を失った僕僕一行は、長安で静かな時を過ごしていた。だが突然、王弁が眠りに落ちてしまう。僕僕は王弁を助けるため、天馬の吉良と薬丹の材を探しに行く。一方、神仙たちは僕僕捕獲のため始動し、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、関羽までもが行く手を阻む。動きを封じられた僕僕は何を企むか。師弟の完結とは何なのか。二人の最後の旅が今始まる。人界大ピンチのクライマックス直前第十弾!(解説・堀川アサコ)
  • 新潮文庫 20世紀の100冊
    3.0
    文学作品は、時代から独立して存在しているわけではない。その作品が書かれ、受け入れられ、生き残ってきたことには理由がある。与謝野晶子、夏目漱石、森鴎外などの古典から、谷崎潤一郎、三島由紀夫などの昭和の文豪、現代の村上春樹、宮部みゆきまで、1年1冊、合計100冊の「20世紀の名著」を厳選。希代の本読み、関川夏央による最強のブックガイド。

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  • 新東京百景
    3.0
    1巻671円 (税込)
    昔日の面影を失いつつある東京の新スポットを絵筆片手に珍行脚―。あるときは服装チェックで入場拒否するヤングスポットに悲憤慷慨し、またあるときは勇んで乗り込んだ浅草のストリップ劇場で昏倒したり。個性的な同行編集者に乗せられ、いざ出発したはいいけれど、古き良き街並みが破壊され変貌を続ける新東京に、思わず怒りがふつふつ煮えたぎる。怒りと憂いと爆笑の漫遊記。
  • 新任警視(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻935~990円 (税込)
    1999年8月。東大法学部卒の25歳新任警視・司馬達(しばとおる)は、とある県警の公安課長を命ぜられた。67人もの部下は年齢も経験も遥かに上。新米指揮官は日々戸惑うばかり。しかも、着任地は日本最大の武装カルト教団「MN」の本拠地だ。はたして来る大晦日までに、教団本部〈教皇庁〉を攻略し、2000年問題に乗じた未曾有の重大テロを封圧(ふうあつ)できるか。国家の安寧を守る公安警察の死闘の日々が始まった。
  • 新任刑事(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻693~737円 (税込)
    駅前交番から突然、刑事一課強行係に異動となった原田貢(みつぐ)は慌てていた。次々と舞い込む変死体の見分、作成する図面や調書の膨大さ、ツルハシの使い道……。“初めて”だらけの刑事見習いを懸命にこなす中、貢は一本のタレコミを受ける。十年間逃げ続ける指名手配犯「警察官殺しの美彌子(みやこ)」に瓜二つの女が駅前でホステスをしていると。時効完成まで僅か二箇月。刑事らの執念の追及捜査が今始まる。
  • 新ハムレット(新潮文庫)
    値引きあり
    3.8
    1巻368円 (税込)
    デカダンス文学の旗手、太宰のもう一つの面、天稟の文学的才能を存分に発揮した知性的作品群の中から、西洋の古典や歴史に取材した作品を収める。「ハムレット」の戯曲形式を踏みながら、そこに現代人の心理的葛藤と現代的悪の典型を描き込んだ表題作、全作品中もっとも技巧をこらした「女の決闘」、人生の本質的意味を数頁に結晶させた「待つ」ほか「古典風」「乞食学生」の全5編。(解説・奥野健男)
  • 地獄変・偸盗(新潮文庫)
    値引きあり
    4.0
    “王朝もの”の第二集。芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古今襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた「地獄変」は、芥川の一代表作である。ほかに、羅生門に群がる盗賊の凄惨な世界に愛のさまざまな姿を浮彫りにした「偸盗」、斬新な構想で作者の懐疑的な人生観を語る「薮の中」など6編を収録する。(解説・吉田精一)
  • ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―
    3.9
    現代アメリカ文学の父と謳われ、「トム・ソーヤー」「ハックルベリイ・フィン」の物語を生み出した冒険児マーク・トウェイン。その名を一躍世に知らしめた表題作「ジム・スマイリーの跳び蛙」をはじめ、生涯にわたって発表した短編小説、エッセイ、コラム記事の中から、トウェインの真骨頂である活気に溢れ、ユーモアと諷刺に満ちた作品を収録する。柴田元幸が厳選した13編の新訳!
  • 邪眼鳥
    4.2
    顔のあるものがいない…。それが大富豪・入谷精一の葬儀だった。喪主は美貌の後妻・春子。先妻の子供である英作・信子・雅司の三人兄妹弟は、精一の莫大な遺産の出所に疑問を感じ、あるレコードが謎を解く鍵であることを知る。その「夏の初恋」なるSP盤には、奇妙な歌詞が…。富豪の遺族が踏み込んだ時空の迷宮。本格ミステリを凌駕する圧倒的パワー。「RPG試案―夫婦遍歴」併録。
  • じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ
    4.0
    美人だが、手におえないじゃじゃ馬むすめカタリーナが、男らしいペトルーキオーの機知と勇気にかかって、ついに可愛い世話女房に変身──。陽気な恋のかけひきを展開する『じゃじゃ馬ならし』。青年貴族クローディオーと知事の娘ヒーローのめでたい婚礼の前夜、彼女に横恋慕するドン・ジョンの奸計(かんけい)から大騒動がまきおこる『空騒ぎ』。明るい情熱と機知の横溢する喜劇の傑作2編を収録。
  • ジャングル・ブック
    4.6
    森の洞穴に現れた人間の赤ちゃんは、母オオカミ・ラクシャに預けられて、オオカミの群れの中で育てられた。その少年モウグリを主人公に、ヒグマのバルーと黒ヒョウのバギーラ、モウグリをさらったサル族、岩ニシキヘビで知恵者のカー、人間を恨みモウグリの命を奪おうとするトラのシア・カーンなど、「ジャングルの掟」とともに厳しく生きる者たちを描く永遠の名作、新訳で復活!
  • 雀荘迎賓館最後の夜
    4.8
    1巻1,980円 (税込)
    雀荘「迎賓館」には並外れた技量の打ち手が集まる。枯淡の老経営者、飲食チェーン取締役、広告会社局長代理、記憶システムが異様な高校教師。仲間内のゲームに飽き足らず、敢えて鉄火場に挑んだ国立大生・結城は、強者達の雀卓を凌げるのか。勝負の果てに、彼らは何を失い、何を得るのか。ギャンブル小説の新たなる金字塔。
  • 十三匹の犬
    4.0
    1巻1,584円 (税込)
    物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、愛らしい犬だけでなく、臆病な犬、凶暴な犬、殺された犬、様々な犬たちが紡ぎ出す、その犬の一生と家族の歴史。十三章からなる長編小説。
  • 12月の向日葵
    4.3
    1巻1,584円 (税込)
    警察と極道。高校柔道部の同期生・慎二と一は卒業後、対極の道に進んだ。互いの仕事と一人の女性をめぐり危うく交錯しながらも、絆を保ち続ける二人。だが、それぞれの世界で伸し上がっていく果てに、決定的な局面が待っていた……バブル期から暴対法施行までのアングラ社会を背景に、友情と愛憎渦巻く物語が疾走する圧倒的長編!
  • 樹液少女
    4.0
    1巻1,408円 (税込)
    失踪した妹を捜す男が迷い込んだのは、磁器人形(ビスクドール)作家の奇妙な王国。雪に閉ざされた山荘に招かれた4人のコレクターの前で、無残な遺体が発見された。誰が何のために? 次の標的は? 鍵を握るトランプコードの秘密を知ってしまった者の運命は……。平成生まれの新鋭による新潮ミステリー大賞受賞後第一作。
  • 情事
    3.2
    若い女性と燃えあがるような情交を愉しむ。妻の体の奥底まで追求する。男は会社を退き、都市と故郷を往復する気ままな暮しをおくっていた。或る日、河内亜紀と出会う。どこか謎めく女。その躯に惹かれ、逢瀬を重ねた。自宅には、ビジネスの世界で活躍する妻・治子が待つ。彼女も、夫に応じ、開かれてゆく。田園と都会、愛人と妻の間を揺れ動く日々。そして、一片の疑惑。渾身の長編小説。
  • 女子芸人
    3.6
    1巻1,232円 (税込)
    女子に“お笑い”は向いてないの? 人前で話すことが苦手なのに、なぜか漫談家コトリになった琴音。芸も恋も苦難の連続、すべてに行き詰まった彼女に、師匠の一言から大きな転機が訪れる……講談師として活躍中の著者が悲喜こもごもの芸人の世界を描き、選考委員・三浦しをんさんも笑いの渦に巻き込んだエンタメ成長小説!

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  • 女子的生活(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    おしゃれして、好きなインテリアで部屋を飾って、(ブラックだけど)アパレル勤務。みきは憧れの〈女子的生活〉を謳歌していたが、ある日、マンションの部屋の前に不審な男が。「あの、ここに小川って奴が住んでるって聞いたんですけど――」マウンティング、モラハラ、毒親。次々現れる強敵に、オリジナルな方法でタフに立ち向かうみき。読めば元気が湧いてくる痛快ガールズ・ストーリー。
  • 人生の親戚
    4.2
    人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るのか。肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は? 魂の癒しを探り、生きることへの励ましに満ちた感動的な長編小説。第一回伊藤整文学賞受賞作。
  • 人生は驚きに充ちている
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    キラびやかな才能を思い切り無駄遣いしてもう50歳。「私の体験した、希有な心霊現象を記す術」を探求する小説、古井由吉氏との文学問答、3・11後の福島で廃墟の声を聴き、コロナ禍で都市封鎖寸前のフランスにて無観客ライブ……多彩な顔を持つミュージシャン/作家が非情の国々を疾走し、世界を脱臼させつつ放つテキストの遊園地!
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)
    4.2
    ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく「水中都市」、コモン君が、見馴れぬ植物になる話「デンドロカカリヤ」。安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原型となった「闖入者」や「飢えた皮膚」など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮び上がらせた初期短編11編を収録。(解説・ドナルド・キーン)
  • スイミングスクール
    4.1
    1巻1,232円 (税込)
    父の不在。愛犬の死。不妊の疑い。実家の片付け。神社の縁日。そして謎のカセットテープ。離婚した母とその娘との、繊細で緊張感ある関係を丁寧に描き出した表題作。死の淵にいる娘を為すすべもなく見守る父の苦悩を描く第155回芥川賞候補作「短冊流し」を併録。圧倒的描写力と研ぎ澄まされた想像力で紡ぎ出す新鋭の飛翔作二篇。

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