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父の事故死、母の出奔で別々に育てられた姉弟が、十年ぶりに再会した。以来、十七歳の弟は、二十歳の姉を週末ごとに訪ねる。夜、姉の布団で幼子のように身を寄せながら、歳月の重さと互いの愛の深さにおののく二人。その年、北国の町では怪しげな商事会社が暗躍し、孤独な二人に危険な人間関係がからみつく。
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Posted by ブクログ
十年ぶりの再会をした姉弟。会うたびにお互いへの愛の深さに慄く。しかし、そんな二人に危険な人間関係が絡みつく。 清くて、切なくて、終始重苦しい雰囲気だけれどさらりと読める。ああ〜〜好きです…。比佐と砂夫は心の奥底では男女の気持ちでお互いを見ているけれど、最後まで姉弟の関係を貫いた。あのラストは今なら古...続きを読む臭いと感じるけど、これが書かれたのは20年近く前だからね。何にしろ好きです。ただ、鳥子の父親はもうちょっと娘の身を案じよう??これ鳥子の父親がもうちょっと藤夫対策をしてくれればあの結末にはならなかったと思う…。
読み終わった、と言うか、途中まで読んで、まどろっこしくなって一飛びに最後数ページまで飛ぶという荒技をしてしまった作品。 もともと不幸な姉弟が最後まで救われない、と言うかむしろあの方法でしか救われないのが辛い。 最後の日なんて最早悲壮感が無くて、肩の荷が下りた後の爽快感さえ感じる。 でも哀しい。こんな...続きを読む決断をしてしまうこの姉弟が、ただただ哀しい。
2011.04.26. 印象的なタイトル。激しい姉弟です。ついつい読ませる力あり。三浦さんといえば「ユタ」のイメージが強いけど、雰囲気が違います。解説は、石井好子さん。
すごいおもしろかった。たぶん三浦の言う北の悲劇に該当する話なのだろう。当たり前なのだが現代小説として読んでいけるその当たり前さに、この作家が生涯現役で作家として居続けた事実をおもわずにはいられない。昔の作品を読んでいる、ないし今の時代でないものを読むときの硬さがなく、それでいて作家性をかんじる。僕は...続きを読む今まで三浦を読む時に、「忍ぶ川」や「白夜を旅する人々」のような彼の根底にあるテーマ性と直結したところで読みがちだったが、この小説はただただ読めた。すごくいい意味として。つい最近、「愛しい女」を読んでから、あそこに出てくる登場人物のことを時折ふとおもいだす。そうだそうだ、小説ってこんなだったかも、と忘れかけていた感覚を呼び起こしてくれた。本作も何日か後になって作中の彼らを思い出しそうである。
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