ユーザーレビュー 紙魚の手帖Vol.12 円城塔 / 柞刈湯葉 / 小田雅久仁 / 他 書籍のSFアンソロジー「Genesis」が雑誌になったようです。今後は書籍のアンソロジーは出ないのは少し寂しくもあるが、代わりに雑誌を購入するいいきっかけになるのかもしれない。収録作品はどれも面白かった。話が止まっていそうで進んでいる「ローラのオリジナル」(円城塔)、なんとも切ないSFラブストーリー...続きを読む「扉人」(小田雅久仁)と「英語をください」(アイ・ジアン)、リアルさに慄く「冬にあらがう」(宮西建礼)といったところが、印象に残った作品。創元SF短編賞を受賞した「竜と沈黙する銀河」を読めるのもよい。 Posted by ブクログ 午前0時の身代金 京橋史織 【組織で働くとは、その組織の人間を信じること】 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 今回特に印象に残っているのは、新米弁護士小柳が弁護士としての責務である守秘義務や、菜子だけではなくサイバーアンドインフィニティ社(CI社)を守るという自分の置かれた立場と、誘拐事件を解決するために警察に情報を話したい、何か知ってい...続きを読むそうな上司の態度を信用しきれないという思いの間で揺れるところです。 彼は仕事熱心で依頼人思い。過去の出来事から悪行を憎んでいます。そんな彼は上司に従っているだけでは菜子は救えないと考え、尊敬していたはずの上司にも反発し、独自に事件に首を突っ込んでいきます。 対個人であれ企業であれ、一生懸命な人ほど、客に喜んでもらいたい、客の役に立ちたいという一心で要望に独断で応えようとしてしまう。しかしそんなことをしたら、上司や先輩から、店や会社のルールを破るなと注意されるでしょう。かと言って、要求に対してそれはできませんと言えば客から柔軟性が無いと文句を言われ、どうしたら良いかと思い悩む羽目になる、こんな経験を(特に若いうちは)したことがある人は少なくないのではないでしょうか。(かく言う私も経験があります) 弁護士ともなれば法律上の守秘義務が伴い、依頼人が例え怪しがろうが、勝手に契約を反故にするなんてもってのほかでしょう。自分の仕事の範囲でのみ行動すれば、おそらく責任は重く問われない。しかし最終的に事が悪い方向へ進めば、自分は何のために仕事をしているのかと頭を抱えたくなることでしょう。 かと言って勝手な行動をすれば、救える人が出てくるかもしれない反面、ますます被害が拡大するかもしれませんし、何かあったら重い責任を負わされます。 「仕事にも人生にも正解なんてない。あるのは選択だけ」(p181) まさにその通りだなと思いました。 そしてなんらかの組織に所属するということは、そこのサービスや上司を信頼するという決断を下すことでもあるのかなと思いました。 Posted by ブクログ 午前0時の身代金 京橋史織 新倉美里法律事務所の新人弁護士 小柳大樹が奮闘する物語だが、誘拐事件で身代金をクラウドファンディングで調達するという突拍子もない状況の中で、小さな疑問点を心に刻みながら、彼が多くの人たちの支援を得ながら全貌を推理していく過程が楽しめた.誘拐されたのは本條菜子.著名なキャスターが父で母も有名人.菜子自...続きを読む身も犯罪めいた行動をしており、小柳に相談していた矢先の誘拐だった.クラウドファンディングを担当したCI社の顧問弁護士をしている美里の行動に疑問を感じる小柳.CI社の寺岩社長や幹部の動きを詳細に分析する小柳.社内のスパイ、本條の父の画策、意外な結末は驚きもあったが、さもありなんとの感じもあった.雑誌記者の倖田が最終章でまとめた文章が、ストーリー全体を簡潔に記載しており、複雑な過程が把握できる.うまい構成だと感じた.非常に楽しめた. Posted by ブクログ 午前0時の身代金 京橋史織 デビュー作とは思えないほど読みやすかったです。 クラウドファンディングで身代金要求とか、現実ではあり得ないかもですが、小説の中で書かれるとドキドキハラハラしながら読めますね。 弁護士ってこんな感じなんだなーと勉強になりました。 Posted by ブクログ 紙魚の手帖Vol.01 加納朋子 / 近藤史恵 / 櫻田智也ほか 22/1/14 三人書房 22/1/15 セリアス 初めての乾石智子。シリーズの他の作品も読んでみたい 22/1/16 コラムいろいろ 22/6/23 108の妻 22/11/18 フォトジェニック vol.7の『ファインダー越しの、』の前日譚。順番逆で読んでしまったけど、みらいの「好きなものは撮り...続きを読むたくなるでしょ」僕の「なんでこれを見せないかなあ」がよかった。 Posted by ブクログ 京橋史織のレビューをもっと見る