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Posted by ブクログ
ミシェル・ビュトールの『心変わり』に倣って、二人称を用いてストーリーが説かれる形式をとった作品です。
とつぜん失踪した婚約者のミチオをさがし求める「あなた」は、東京を出発して「第一つばめ」に乗車し、京都へ向かいます。そこで「あなた」は、叔母の元夫でフランス文学を講じる佐伯に出会い、彼と関係をむすぶとともに、婚約者の消失を受け入れます。
著者は作品の末尾に付されている「作者からあなたへ」という文章のなかで、二人称小説という形式を採用した理由について、「これはあなたを遠隔操作するための装置ともいえます。あなたはこれまでのように作者から一方的にある物語を語りきかされるかわりに、小説のなかに招待され、参加することになるでしょう」と述べています。著者が読者を招き入れる世界は、耽美的な文章で構成されているものの、美しいものばかりが集められているわけではなく、どちらかといえば不愉快な気持ちにさせられる出来事もあります。
「あなた」は、失踪した婚約者が書きのこしたあらゆることばを蒐集し、「かれの断片を綴りあわせてかれの全体を構成すること、かれの《書かれなかった小説》を書きあげること」を決意するにいたります。婚約の解消という出来事を受容するとともに、その出来事がことばによる再構成への道筋が示されることで、読者は著者によって招き入れられることになった、あまりたのしいとはいえない世界が、創作の宇宙へと開かれていくのを体験することになります。
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小説・文芸
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