小笠原豊樹の作品一覧
「小笠原豊樹」の「火星年代記〔新版〕」「火星の女神イサス」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
『かわいい女』
出会う男性すべてを愛し、依存する女性。その時に付き合った人の思想や生活に疑うことなく染まっていく。自分の意思を持たないことを冷笑しつつも、都度、本気で人を愛する姿はなぜか放っておけないイジらしさがある。
『犬を連れた奥さん』
運命の人に出会うタイミングは残酷である。一緒にいても幸福になることは難しいとお互い理解しながらも、それを口に出さずに、いつか来る終わりまで共に過ごしていくのだろう。
短編だが、とてもよく纏っている恋愛小説。
この物語を読むと、他の恋愛小説が非常に冗長に感じるほど、満足度が高い。細やかな心理描写も美しく、適度な余白も心地よい。チェーホフが短編小説の巨匠とまで言われるのも頷ける。
Posted by ブクログ
あまりSF的なガジェットが登場しない22の短編集。面白くて一気読みしてしまった。翻訳のせいかも知れないが以前読んだことのある『よろこびの機械』に比べると難解でよく意味の解らない話というのはなかった。ブラッドベリというとやはりストーリーよりも、何とも言えないブラッドベリ作品ならではの雰囲気が印象的で、アメリカ中西部の農園の風景や、季節の風の匂い、夜の市街地に響く音などの情景や、真夜中に目が覚めて寝付けなくって部屋の窓から外を眺めた時のような、未知の何かに始めて触れた時のような心情の、詩情あふれる描写が唯一無二の魅力だと思う。ポエティックで童話集のような趣の話が多くほのぼのとはしているが、案外全体としては文明批評や風刺の視点を感じる。誰かからの手紙が欲しいと思う山村に住む老婆が、村の外から遊びに来た甥に代筆と代読を頼んで手当たり次第に会社に資料請求する「山のあなたに」や、自分たちの生活が広告の中の書割として消費されることに異を唱える男を描いた「日と影」が好きだが、これらも文明社会への風刺として読めると思うし、「歩行者」「人殺し」なんかはもっと直截的で、『華氏451度』で感じた著者のそういうものに対する嫌悪がよく伝わってくる。