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Posted by ブクログ
いやぁ、これはすごいなぁ。漱石の語彙力は半端ないです。他の作品でもそういう面がないわけではないですが、この作品は特に描写がねちっこいです。山を見るだけでも、どれだけの言葉が紡がれるのか。右へ行ったり左へ行ったり、上へ行ったり、下に行ったり、ぐるぐると回りまわって主人公の心の内が描かれます。本当に目が字を滑るような感覚が何度もありました。
話の筋的には大したことは起こっていません。いやそれなりに起こっているのかな。とはいえ、そういうことではなく主人公の心のうちに起こるちょっとしたさざ波の、その微妙な揺れ方をこれでもかこれでもかと、手を変え品を変え描き出すその執着というか、こだわりというかなんというか、そういうものに酔うような感覚があります。そしてそれがそのまま主人公の心持であるのかもしれません。
そんな作品なのに坑から出た後は、新鮮な空気がすえるかのごとく、からっとした読み心地に代わります。最後の方は気持ちよく、読後感はいいんですよね。
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