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国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。華麗なるメスさばきでマスコミでも脚光を浴びる彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌悪し、他大学からの招聘を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとするが…。教授選挙に絡む利権をめぐり蠢く人間模様を描いた医療サスペンスの傑作!
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「白い巨塔」
2019年5月22日~26日 テレビ朝日系 出演:岡田准一、松山ケンイチ、沢尻エリカ
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Posted by ブクログ
かなり以前にテレビドラマでやっていたので、なんとなく手を出さずにいた本。 己の欲望によくもまぁこんなにも正直になれるものだと半ば呆れてしまうくらい濃いキャラクターが続々と出てきます。 改めて顔をしかめるとともに、著者のリアリティへのこだわりに心底感心してしまいます。 いや、すごい小説です。
国立浪速大学医学部の第一外科助教授・財前五郎。 彼は食道噴門癌(エソファーグス・クレプス)の手術(オペ)を得意とし、マスコミでも脚光を浴びていた。 (胃の噴門部に癌が広がっている場合、その部分を切除したあと食道に繋がねばならず、財前がこの難しい食道・胃吻合手術に特に長けているという説明が、ドラマに比...続きを読むべて詳しかった(p.42))。 東教授の定年退官が翌春に迫る中、財前が「魔術のようなメス、食道外科の若き権威者」などと世間で喧伝されていることが面白くない東は、他大学からの教授移入を画策する。 財前が医学部長の鵜飼、医師会長の岩田、舅で産婦人科医である又一らを味方に付け、票田の獲得を目論むのに対し、東は東都大学の船尾教授に頼み、心臓外科の若き権威者である菊川昇教授を後任者にと考える。 「万一、私が君を推そうにも推せないような突発的な支障が起ったら、どうするかね」 「万一、そんな時には、泣き寝入りしないような方策を考えますでしょう」(p.321) 2人の対立は医局員たちの目にも明らかなものとなり、佃は医局内工作に奔走することになる。 一方、財前と同期で第一内科の助教授である里見脩二は、「綿密な検査」(p.108)にこだわる学究派で、財前とは異なるタイプの芯の強さを持っていた。 「自分の良心を失ってまで教授になりたいとは思わない」(p.336) 真っ向から対立する「人生観の違い」(p.170)がある財前と里見であるが、鵜飼教授が胃癌と診断した患者の膵臓癌を里見が発見し、そのオペを財前が執刀して互いの力倆を称え合うシーン(三章)など、2人の描き方の対比が本当に面白い。 教授選の行方のみならず、自身の退官後の天下り先と娘の佐枝子の結婚相手にも悩む東、教授夫人会「くれない会」で爪はじきにされたことに焦る東の妻・政子、教授選で財前に恩を売り学長選への足固めとしたい鵜飼、さまざまな人物の権謀術数うずまく様が、あまりに見事に描かれていて息つく暇もないほど面白い。 39歳の若さ(連載開始時)でこれだけの小説を書き上げた山崎豊子さんの知識量、取材力、文章構成力にただただ驚嘆させられる。 手術の締めとなる縫合のシーン、「ぷつんと大きな音をたてて糸を切った。生と死の別れ目を告げる音であった」(p.62) 胃潰瘍(ニッシェ)の患者(クランケ)のエックス線フィルムを見、オペの術式について言い争いをするシーン「フィルムが白黒の微妙な明暗を映し出し、それを見る東と財前の心の中の微妙な明暗をまざまざと映し出しているようであった」(p.235) のような深みのある、真実を突いた表現もとても好きだ。
他の本と並行しながらですが、2ヶ月弱もかかって読みました!もう全ての語彙力を圧倒的という言葉に置き換えたい所存でございます。去年五話連続でやってたドラマのキャストでイメージして読んだので、財前は岡田くん。里見は松山ケンイチ。ケイ子は沢尻エリカ。東佐枝子は飯豊まりえちゃん。などなどが頭の中で物語を展開...続きを読むしてくれました! 人間の命の尊厳さと地位や権力への欲望の共存する「白い巨塔」。この白い巨塔に敗北したのは里見や地方へ飛ばされた医局員ではなく財前だった。本当に圧巻。実際医学会がここまでのものかは分かはないけど、少なからずこういう風潮はあると思う。 全ての登場人物がこの物語を考えさせるのに必要な人物で、こういう人間がいたらどうだろうと思うキーパーソーンが本当に全て揃ってるなぁと。里見先生がなんだかんだ財前を尊敬してるところがめちゃくちゃ良くないですか?? 個人的に1番好きなのはケイ子。最後の方でこの人花森って名字だったんだとかしょうもないこと思ったのはさておき、結局財前のことを一番理解してたのがこの人。自分の語彙力でこのケイ子の凄さを文字で表現できない笑。とにかく聡明で物事の本質を見抜いていた感じがしてカッコ良かった。 あとは里見と東佐枝子の関係。佐枝子があの両親に染まらず純粋で真っ直ぐな里見に惚れるのがいい。でも友人によってできた壁をお互いが意識して、最後は佐枝子の方から会わないと決意するところが切ないけど意志の強さを感じてとても良かった。普通あんな両親に育てられたら、無理してでも地位を築きたいと思うけどなー。意志が本当に強い証拠だと思った。ここもあっぱれ。 またこの小説、里見が財前と正反対で焦点当てられがちだけど、関口弁護士もなかなか逸材というか憧れるべき人だと思った。患者の泣き寝入りを防ぐために、医学に素人な弱い立場にもかかわらず佐々木家族のために、むちゃくちゃ勉強して国平弁護士に立ち向かうところとか。里見が医者としてのあるべき姿を見せつけたなら、関口は弁護士としてのって感じがした。というか、財前側に立たずに証言した方々皆すごいよ。柳原くんもよくがんばったよ。運が悪かったねー。 この小説では医学という人を救うための学問においても人間のいろいろな欲望が絡まり合って、プロとしてのあるべき姿を見失ってしまう設定だけど、医学界以外にももちろん通ずるものがあると思いました。やはり人間。技術があっても人情がなければダメ。逆も然り。本当の意味で敬われる存在になるためには両方兼ね備えないとなと!医学の基礎知識に加えて、医療裁判の難しさ、人間のあり方など多くを学べた最高の小説でした! 里見先生目指します!
10代の時に読んだのですが、再読。 先ず一巻は、登場人物の紹介と同時に教授選という、人間の嫌な好奇心が擽られる描写で巧みに翻弄させられる。 ドラマを観て再読したくなったけれど、迫力のある作品です。 医師の世界に時折蔓延っている人間模様が生々しいです。
偉い人は出世どころか退職するのも大変なんだな。(じゃ偉くならなくていいや) 山崎豊子さんによる、大学の医学部の生々しい出世争いを描いたドクター小説の金字塔です(白い巨塔だけに)。 TVドラマなんかでは若手外科助教授の財前先生が主役を張りますが、小説版である本書で一番存在感があるのはその上司たる東...続きを読む教授です。 名門国立大学の第一外科部長である東先生、誰もが羨む出世コースの頂点のはずなのに、なんだか不遇感が半端ない。 部下の財前教授がメディアでも話題になるなど人気急上昇中。 自らの定年退職と同時に乗っ取られることを阻止せんと、別の後継者候補を立てようとするも、前途多難。 おまけに教授夫人からは尻に敷かれ気味だし、肝心の娘も、大学のうだつの上がらない別の助教授(既婚者)に熱をあげる始末。 いつの時代も、定年前の中年男性は苦労がいっぱいなんだな。 様々な意味での人間ドラマが魅力です。 医学部生にもそうじゃない人にもぜひ読んで欲しい一冊。
派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。 しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られ...続きを読むているのか、まったくもって飽きません。
岡田准一のドラマ観たら、また読みたくなって再読。3回目?やっぱり山崎豊子の小説の中でも圧倒的に面白い。やはり原作は濃い!!
山崎豊子(やまさき とよこ)氏著書『白い巨塔(一)』です。 主人公の財前五郎(ざいぜんごろう)は、食道手術を得意とする国立大学の第一外科助教授で、第一外科の東(あずま)教授の定年に伴い、次期教授の椅子を狙っています。 婿養子として財前家に迎えられ、義父が大学教授になれなかった経緯や自身が苦学生を経...続きを読む験したことから、なんとしても教授選にて勝ち、地位と名誉を手に入れる必要があります。 一方で、東教授は、財前の野心家で我が強い性格や医者としてのセンス、知名度に嫉妬心をいだき、定年が近づくに連れて、本当に次期教授が主人公でよいのか、疑問を持つようになります。 一巻では、財前助教授が教授選に向けて、局員や近親者に働きかけ味方につけていく姿と、東教授の葛藤から決断する瞬間までが描かれています。 なにかを達成しようとするときやチャレンジするときには、障害や壁がつきものですね。本心では、来てほしくないのですが(笑) 財前助教授の場合は人間関係が壁になったように、解決すべき課題は人によって違いますが、必ず自身を成長させるものだと思っています。 本書を通して、私自身も乗り越えていく度に成長し、変わってきたことを思い出しましたし、今も目標に向けて日々楽しんでチャレンジしています。 二巻はどのような展開になっていくのでしょうか(^^) 楽しみです♪
再読。 ドラマもみたことがあるし、筋は覚えていて、新鮮味はないが、人間関係と欲の複雑な絡まり具合が面白い。 見栄と欲の塊。 私には、登場する医者たちの多くが、権力を食らおうとするずるい獣のように見える。 こわいなあ。
家族からの勧めで読み始めました。 内容をほとんど知らず、なんとなく医療の話かと思っていたら、教授選!なんて煩わしい世界なんだとうんざりしましたが、その反面、皆が画策している様子は確かに面白い…とりあえず1巻だけ、と思いましたが早く続きが読みたいです。
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山崎豊子
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