無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
この本を読んで、さまざまな思いが湧いてきました。
正直に言うと、私は里見先生にあまり共感できませんでした。
一見、誠実で患者想いに見えますが、患者自身の意思を置き去りにしてまで、自分の理想とする医師像を押しつけているように感じたのです。それが、私には偽善のように映りました。
一方で、財前教授もまた、手術の腕は確かでも、人として相手を敬う気持ちが欠けており、尊大な人物に見えました。
法廷シーンや、当時の医師たちの過酷な労働環境など、医療をめぐる社会的な問題が描かれており、考えさせられることが多くありました。
登場人物の中で、私が一番好感を持てたのは大河内教授です。
彼だけが「公正さ」というものを真に持ち合わせていて、その姿がとても印象的でした。
同時に、自分の中にある「事なかれ主義」や「甘さ」にも気づかされました。
正義のために私財を投げ打つような行動は、自分にはできない。だからこそ、この物語はそんな自分を問い直させてくるようにも感じたのです。
次巻がいよいよ最後。
読むのが辛いけれど、それ以上に楽しみでたまりません。
Posted by ブクログ
里見先生が医者としての本懐を腐らせなかったのは素晴らしいと感じた。
前3巻において、正直、医事紛争についてはよくわからないけれど、法律的な知見についてはある程度分かるので、はっきりしているのは、当時の医療で財前を裁くことは難しかったとは思う。のらりくらりと論う財前に対して、弁護士ともども原告が感情的に動くのは良くなかったと思った。裁判所とは、温情や民意の入り込む余地がないからだ。
今回は、財前が粘菌に這い寄られるように、足元から身動きを奪われるような内容だった。
不思議なもので、ちょっと可哀想な気もした。ただただ財前の転落を願うこの作品に。
山崎豊子さん。これはフィクションなのでしょうか?あなたの話を聞きたいです。
Posted by ブクログ
【選挙活動範囲の拡大と控訴審/人を動かすものは結局何なのか。利か、義か】
・物語は大きく3つの方向へ
1.浪速大学病院を辞めた里見は近畿医療癌センターで研究と診療活動を続け、知見を深めながら信頼出来る仲間を増やしていく
2.裁判に勝利した財前は、権力拡大に向けた鵜飼医学部長の思惑もあり、注力研究領域や予算等を議論する日本学術会議への立候補を決め、控訴審と並行して政治活動を進める(*注力分野や予算を議論する「医者の国会議員」に当たる)
3.手術で亡くなった佐々木庸平の遺族は、残された佐々木商店の経営と控訴審の準備に奔走する。経営状況が日々悪化し生活が追い詰められていく中、裁判に勝つことを支えに何とかやりくりする
・医師票を集める為に他病院や医局で積極的に政治活動を展開する財前だが、若い医局員の劣悪な労働環境や経済状況など不満の燻りが明らかになっていく
・控訴審が開始され、被告側は引き続き診断・医療行為に間違いは無かったと主張する。原告は胃癌摘出手術が肺癌進行を早めた可能性、化学療法の可能性などを深堀りすることで更なる誤診の根拠作りを行うが、これは一審同様有罪を確定する論拠としては決定打に欠ける状況
・そんな中、当時の財前の横柄な態度や肺診断を蔑ろにしたことを目撃していた元婦長が、友人の説得もあって(東元教授の娘)、証言台に立つことを決心する
---
・今回の見どころは人間ドラマだと思う。控訴審に向けて、原告側が生活が日々悪化する中で戦い抜く姿や、想いを共有する者が静かに仲間集めに走る姿、最後の最後に人の心が動く姿がはっきり目に浮かぶように感じられた。
・学術会議員選挙は正直そこまで面白いとは思わなかったが(教授選と違って財前の意思が入っていないからかな)、当時の若手医師の置かれた環境や不満について理解が深められた(今でもよく聞く話ではあるし、現在の「チョクビ」問題の背景の一つではあるだろう)
・佐々木庸介を思い出して手術がスムーズに行かない、謎の追加不倫(物語的に意味があったか?読み落とした?)など、財前にも疲れが見え始める。
・元婦長が証言台に立つ展開は胸アツで、今までの物語に無いエンターテイメント性を感じ「山崎豊子さんどうしたの!?」と思った。何かあったのかな。
・裁判も選挙も、どちらも財前側は終始周到な根回しをしているわけだけど、これってどこまで意味があるのだろう?特に利害よりも感情が入り込む裁判においてはどうなのか?と終始考えさせられた。最後はその根回しが財前側の狙いと逆に働いてしまうわけだし。「人は利害で動くもの」という(自身の利の為なら平気で頭も下げられる)財前側の単純な思い込み自身に、最後は足元を掬われるのかもしれないし、掬われないかもしれない。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。