毎朝新聞政治部記者の弓成亮太は、自他共に認める花形記者だ。昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、弓成は日米間にある密約が結ばれようとしていることに気づいた。しかし物証がない。熾烈なスクープ合戦の中、弓成に蠱惑的な女性の影が……。「外務省機密漏洩事件」に材をとり、国家権力に叩きのめされた男の挫折と再生劇として甦らせた、構想10年・毎日出版文化賞特別賞受賞の傑作。ドラマ化原作! 電子版には、この作品に寄せる著者の談話を特別収録。
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Posted by ブクログ 2023年06月16日
真実をいつまでも国民から隠そうとする外務省の役人達へは嫌悪感しかない。もちろん、外交交渉を成功させるためには時には秘密裏に物事をすすめる必要もあろう。沖縄密約についても、秘密裏にすすめたからこそ交渉が成立し、返還が実現した、オープンにやっていたらいつまでも実現しなかった、というのが外務省の言い分であ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月05日
読みごたえは抜群
戦後の自民党の歴史を勉強できる
(本のテーマとは違うが)
どちらかというと わたしはマスコミより政治家のほうが好きで、
マスコミの狂気じみたスクープ合戦やデリカシーの無さ、神経の図太さには嫌悪感しかない
情報過多の現代を生きているからか、スピードより正確性を重視してほしいとか、...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月03日
「西山事件」をもとに書かれた作品です。山崎さんの作品はどれを手にとっても非常に勉強になります。日本のこと、日本人のことを知らなさ過ぎる自分には刺激的なものばかりです。この「運命の人」もそんな感じを受けました。
新聞記者の主人公が公文書、とくに極秘文書を手に入れながら記事を書き、世の中に伝えていく・...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月24日
(一巻から四巻まで合わせたレビューです。)
大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。
沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、
相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。
この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、
昔の自民...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月01日
第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。
どうやって機密情報を入手したかがミソ。
やっぱり、この主人公は好きになれない。
感情移入できないです。
けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子は流石。
三巻、四巻...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月17日
初めて読む、山崎豊子さんの作品。
文体に良い意味で女性らしさがなく、作品の内容に合っています。
沖縄返還協定を巡る政治家の交渉、それに纏わる疑惑を追う新聞記者・弓成を主人公に現代に通じる政治の裏側、巧みながらも誉められるべきではない政治家の手法が描かれています。
1巻は、外務省から漏れた機密文書...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月16日
後藤田正晴氏を尊敬していて、西山事件をその縁で知り、興味を持って読んでみた。なので、登場人物の中では十時推しです。
描かれた時代は自分が生まれるよりもさらに昔のことで、当時の雰囲気は分からないが、同じ日本であるのに沖縄に対して多くの人がどこか他人事だったんじゃないか。だから知る権利が男女の痴情のもつ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月28日
平成21年、第63回毎日出版文化賞特別賞を受賞した巨編小説。文庫では全4巻。
戦後の沖縄返還を巡る密約の内実について描かれている。
ジャーナリストにとって、如何にしてスクープをモノにできるかは人生を左右する大きなことである。しかし、そのスクープがあまりに大きすぎる場合は、どう公にするのかの判断...続きを読む