Posted by ブクログ
2022年05月12日
昭和42年といえば…まだ小学生になったばかり…
働き始めた20歳のころにはすでに組合運動は下火になり始めていた。勤音と同じような音楽鑑賞団体があったような気もするが、労使間にさほどの緊張状態はなかったように思う。(若輩で何も知らなかったのではあるが…)
古い本棚にこの本を見つけて、なぜか急に読んで...続きを読むみた。たぶん若いころ一度は手にしたはずで、その時にも現実感なく流し読みしたと思う。
ただ、働き始めた当時、組合活動に積極的だった何人かの同僚の顔を思い浮かべるきっかけを得た。
1人1人はとてもいい人で、新人の私が何か困っていないか、上司はきちんと配慮しているか、配属先は妥当かなど目配りしてもらっていたと思う。
でも、何とかの集会がある、勉強会があると言われてもいったい何を学ぶのかイメージできず、また親しい先輩も変に顔をしかめて、「そこまで付き合う必要はない。」と言い、本当に何も学ばず、だから何も疑問に思うことなくのほほんと仕事した。
古いといえばとても古く、今の社会とあまりにもかけ離れた小説ではあったが、この時、こんなふうに活動していた人たちがいたんだと再認識し、当時の活動家たちの今を思って、何となくしみじみ…した。
また、流郷の側からではなく、活動家からの視点があれば、無知な私にももう少し状況が理解できるかもしれないと、今更山崎豊子さんに求められないのは残念。
解説を読み、山崎さんのデビュー作「暖簾」を手に取った。