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Posted by ブクログ
医学部教授選の選考委員会を経て、最終候補は助教授の財前五郎、金沢大学の菊川教授、徳島大学の葛西教授の3人に決まる。
五郎を勝たせるため、舅の又一は「まるで汽車の切符を買うように」(p.32)金をばら撒き、票固めをする。
医師会の岩田を通して鵜飼医学部長を味方に付けている財前陣営は、31票のうち「臨床の票は、ごっそり取れる」(p.46)との見通しをもつ。
(岩田)「大学の教授選での金の出し方は、ちょっと演技がいるのや、金が金と見えんような品位のある演技がな」
(又一)「ほう、品位? そんな一銭にもならんものまで、欲しがりますのんか」
一方の東は菊川を後任に、また娘の佐枝子の配偶者としても、との下心を隠しながら、「本学の発展のために」(p.43)とこちらも周到に事を進めていく。
教授会で十分に議論がなされ、「さあ投票」という段になって、なんと東が棄権!
財前、葛西という2人の愛弟子が闘うのを直視するに忍びないと言うのだ。もちろんそれは東の策略であった。
ちょうどその頃、佃と安西が金沢へ赴き、半ば脅迫のような形で菊川に辞退を迫ったことも合わさり、東と財前は完全に決裂することになる。
「僕と君の人間関係は、どうやらこれで終ったようだ」(p.143)
運命の決選投票は、財前五郎 16票 菊川昇 14票
ここに、浪花大学医学部第一外科・財前五郎教授が誕生した。
「こういう勝ち方をした財前君が、教授として今後、どんな生き方をするか、私はそれを見たい――」(p.203)
教授になったばかりの財前に、ドイツで開かれる国際外科学会からの招聘状が届く。
多忙をきわめる日々のなかで財前は、第一内科の里見から相談された患者・佐々木庸平の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。
愛人のケイ子は言う。「きれいな夜景ね、でもあの宝石のように燦く灯の中に、一つだけ不吉な光を放っている灯があるような気がするのは、なぜかしら」(p.335)
財前が渡航準備に忙しくしている頃、術後の佐々木庸平は呼吸困難に苦しむ。
里見は、術前に見られた胸部の陰影が癌転移のものであり、それが手術によって急激に増殖したことが原因ではないかと考えた。
財前は自身の手術が完璧であったと疑わず、患者の症状を「術後肺炎」と考えて抗生物質(クロラムフェニコール)の投与を担当医・柳原に命じる。
そうして財前は、手術をした患者をその後一度も診ることなくドイツへ発つのであった。
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