【感想・ネタバレ】白い巨塔(一)のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年01月17日

かなり以前にテレビドラマでやっていたので、なんとなく手を出さずにいた本。
己の欲望によくもまぁこんなにも正直になれるものだと半ば呆れてしまうくらい濃いキャラクターが続々と出てきます。
改めて顔をしかめるとともに、著者のリアリティへのこだわりに心底感心してしまいます。
いや、すごい小説です。

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Posted by ブクログ 2023年08月15日

国立浪速大学医学部の第一外科助教授・財前五郎。
彼は食道噴門癌(エソファーグス・クレプス)の手術(オペ)を得意とし、マスコミでも脚光を浴びていた。
(胃の噴門部に癌が広がっている場合、その部分を切除したあと食道に繋がねばならず、財前がこの難しい食道・胃吻合手術に特に長けているという説明が、ドラマに比...続きを読むべて詳しかった(p.42))。

東教授の定年退官が翌春に迫る中、財前が「魔術のようなメス、食道外科の若き権威者」などと世間で喧伝されていることが面白くない東は、他大学からの教授移入を画策する。
財前が医学部長の鵜飼、医師会長の岩田、舅で産婦人科医である又一らを味方に付け、票田の獲得を目論むのに対し、東は東都大学の船尾教授に頼み、心臓外科の若き権威者である菊川昇教授を後任者にと考える。
「万一、私が君を推そうにも推せないような突発的な支障が起ったら、どうするかね」
「万一、そんな時には、泣き寝入りしないような方策を考えますでしょう」(p.321)
2人の対立は医局員たちの目にも明らかなものとなり、佃は医局内工作に奔走することになる。

一方、財前と同期で第一内科の助教授である里見脩二は、「綿密な検査」(p.108)にこだわる学究派で、財前とは異なるタイプの芯の強さを持っていた。
「自分の良心を失ってまで教授になりたいとは思わない」(p.336)
真っ向から対立する「人生観の違い」(p.170)がある財前と里見であるが、鵜飼教授が胃癌と診断した患者の膵臓癌を里見が発見し、そのオペを財前が執刀して互いの力倆を称え合うシーン(三章)など、2人の描き方の対比が本当に面白い。

教授選の行方のみならず、自身の退官後の天下り先と娘の佐枝子の結婚相手にも悩む東、教授夫人会「くれない会」で爪はじきにされたことに焦る東の妻・政子、教授選で財前に恩を売り学長選への足固めとしたい鵜飼、さまざまな人物の権謀術数うずまく様が、あまりに見事に描かれていて息つく暇もないほど面白い。

39歳の若さ(連載開始時)でこれだけの小説を書き上げた山崎豊子さんの知識量、取材力、文章構成力にただただ驚嘆させられる。
手術の締めとなる縫合のシーン、「ぷつんと大きな音をたてて糸を切った。生と死の別れ目を告げる音であった」(p.62)
胃潰瘍(ニッシェ)の患者(クランケ)のエックス線フィルムを見、オペの術式について言い争いをするシーン「フィルムが白黒の微妙な明暗を映し出し、それを見る東と財前の心の中の微妙な明暗をまざまざと映し出しているようであった」(p.235)
のような深みのある、真実を突いた表現もとても好きだ。

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Posted by ブクログ 2021年08月01日

他の本と並行しながらですが、2ヶ月弱もかかって読みました!もう全ての語彙力を圧倒的という言葉に置き換えたい所存でございます。去年五話連続でやってたドラマのキャストでイメージして読んだので、財前は岡田くん。里見は松山ケンイチ。ケイ子は沢尻エリカ。東佐枝子は飯豊まりえちゃん。などなどが頭の中で物語を展開...続きを読むしてくれました!
人間の命の尊厳さと地位や権力への欲望の共存する「白い巨塔」。この白い巨塔に敗北したのは里見や地方へ飛ばされた医局員ではなく財前だった。本当に圧巻。実際医学会がここまでのものかは分かはないけど、少なからずこういう風潮はあると思う。
全ての登場人物がこの物語を考えさせるのに必要な人物で、こういう人間がいたらどうだろうと思うキーパーソーンが本当に全て揃ってるなぁと。里見先生がなんだかんだ財前を尊敬してるところがめちゃくちゃ良くないですか??
個人的に1番好きなのはケイ子。最後の方でこの人花森って名字だったんだとかしょうもないこと思ったのはさておき、結局財前のことを一番理解してたのがこの人。自分の語彙力でこのケイ子の凄さを文字で表現できない笑。とにかく聡明で物事の本質を見抜いていた感じがしてカッコ良かった。
あとは里見と東佐枝子の関係。佐枝子があの両親に染まらず純粋で真っ直ぐな里見に惚れるのがいい。でも友人によってできた壁をお互いが意識して、最後は佐枝子の方から会わないと決意するところが切ないけど意志の強さを感じてとても良かった。普通あんな両親に育てられたら、無理してでも地位を築きたいと思うけどなー。意志が本当に強い証拠だと思った。ここもあっぱれ。
またこの小説、里見が財前と正反対で焦点当てられがちだけど、関口弁護士もなかなか逸材というか憧れるべき人だと思った。患者の泣き寝入りを防ぐために、医学に素人な弱い立場にもかかわらず佐々木家族のために、むちゃくちゃ勉強して国平弁護士に立ち向かうところとか。里見が医者としてのあるべき姿を見せつけたなら、関口は弁護士としてのって感じがした。というか、財前側に立たずに証言した方々皆すごいよ。柳原くんもよくがんばったよ。運が悪かったねー。
この小説では医学という人を救うための学問においても人間のいろいろな欲望が絡まり合って、プロとしてのあるべき姿を見失ってしまう設定だけど、医学界以外にももちろん通ずるものがあると思いました。やはり人間。技術があっても人情がなければダメ。逆も然り。本当の意味で敬われる存在になるためには両方兼ね備えないとなと!医学の基礎知識に加えて、医療裁判の難しさ、人間のあり方など多くを学べた最高の小説でした!
里見先生目指します! 

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Posted by ブクログ 2021年05月06日

10代の時に読んだのですが、再読。
先ず一巻は、登場人物の紹介と同時に教授選という、人間の嫌な好奇心が擽られる描写で巧みに翻弄させられる。
ドラマを観て再読したくなったけれど、迫力のある作品です。
医師の世界に時折蔓延っている人間模様が生々しいです。

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Posted by ブクログ 2020年01月25日

偉い人は出世どころか退職するのも大変なんだな。(じゃ偉くならなくていいや)

山崎豊子さんによる、大学の医学部の生々しい出世争いを描いたドクター小説の金字塔です(白い巨塔だけに)。

TVドラマなんかでは若手外科助教授の財前先生が主役を張りますが、小説版である本書で一番存在感があるのはその上司たる東...続きを読む教授です。
名門国立大学の第一外科部長である東先生、誰もが羨む出世コースの頂点のはずなのに、なんだか不遇感が半端ない。
部下の財前教授がメディアでも話題になるなど人気急上昇中。
自らの定年退職と同時に乗っ取られることを阻止せんと、別の後継者候補を立てようとするも、前途多難。
おまけに教授夫人からは尻に敷かれ気味だし、肝心の娘も、大学のうだつの上がらない別の助教授(既婚者)に熱をあげる始末。
いつの時代も、定年前の中年男性は苦労がいっぱいなんだな。

様々な意味での人間ドラマが魅力です。
医学部生にもそうじゃない人にもぜひ読んで欲しい一冊。

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Posted by ブクログ 2019年11月26日

派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。
しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られ...続きを読むているのか、まったくもって飽きません。

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Posted by ブクログ 2019年06月01日

岡田准一のドラマ観たら、また読みたくなって再読。3回目?やっぱり山崎豊子の小説の中でも圧倒的に面白い。やはり原作は濃い!!

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Posted by ブクログ 2019年03月30日

山崎豊子(やまさき とよこ)氏著書『白い巨塔(一)』です。

主人公の財前五郎(ざいぜんごろう)は、食道手術を得意とする国立大学の第一外科助教授で、第一外科の東(あずま)教授の定年に伴い、次期教授の椅子を狙っています。
婿養子として財前家に迎えられ、義父が大学教授になれなかった経緯や自身が苦学生を経...続きを読む験したことから、なんとしても教授選にて勝ち、地位と名誉を手に入れる必要があります。

一方で、東教授は、財前の野心家で我が強い性格や医者としてのセンス、知名度に嫉妬心をいだき、定年が近づくに連れて、本当に次期教授が主人公でよいのか、疑問を持つようになります。

一巻では、財前助教授が教授選に向けて、局員や近親者に働きかけ味方につけていく姿と、東教授の葛藤から決断する瞬間までが描かれています。

なにかを達成しようとするときやチャレンジするときには、障害や壁がつきものですね。本心では、来てほしくないのですが(笑)
財前助教授の場合は人間関係が壁になったように、解決すべき課題は人によって違いますが、必ず自身を成長させるものだと思っています。
本書を通して、私自身も乗り越えていく度に成長し、変わってきたことを思い出しましたし、今も目標に向けて日々楽しんでチャレンジしています。

二巻はどのような展開になっていくのでしょうか(^^)
楽しみです♪

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Posted by ブクログ 2024年04月08日

家族からの勧めで読み始めました。
内容をほとんど知らず、なんとなく医療の話かと思っていたら、教授選!なんて煩わしい世界なんだとうんざりしましたが、その反面、皆が画策している様子は確かに面白い…とりあえず1巻だけ、と思いましたが早く続きが読みたいです。

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Posted by ブクログ 2023年08月14日

国立浪速大学医学部第1外科助教授・財前五郎。
食道癌の専門家として、マスコミからも脚光を浴び、次期第1外科教授として、自他ともに認めていた…

現教授・東は財前を嫌い、自身の出身大学・東都大出身者を自身の後継者として、推薦するのだった。

何としても、教授選に勝ち抜こうとする財前は、義父・財前又一の...続きを読む財力により、OBのバックアップ、医局のバックアップを得ることに成功し、あらゆる手を使っていく…

財前の何としても教授になろうとする権利欲。
貧しく、苦労をしてきたからこそだろう。
実力もあるのだから、何の問題もないと思うのだが…
東もそこまでしなくてもと思う。

東からすると、退官後もそれなりに影響力を残したいのだろうが…
老兵は去り行くのみ。

やはりおもしろい。

ドラマで観ているだけに、唐沢寿明、江口洋介、石坂浩二、伊武雅刀…の顔が浮かぶ…
結末はわかっているのだが。

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Posted by ブクログ 2022年12月28日

全巻感想。

長かったけど面白かった。とにかく財前っていう欲も実力も人以上にあるキャラクターが面白い、嫌な奴だけどラストは痺れた。

医学的知識が殆どない状態からスタートしたとあとがきで書いてあったけど、そこからここまでの話を作った事に驚く。

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Posted by ブクログ 2022年07月10日

再読。

時代の流れを感じさせない筆力。
「文化アパート」があったり、携帯電話の描写がないことから昭和であることは分かるけれど、古い時代の物語という印象はない。

1巻は教授選前半まで。

唐沢・江口ドラマからももう20年くらい経つかな。観たいけれど今のところDVD購入しか方法がない。

※唐沢・江...続きを読む口ドラマは2003年、15年前でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月30日

この作品は、主人公の財前は悪役として、財前を告発した患者さん家族の味方となった里見は正義として描かれているが、実際には、財前はむしろ被害者であって、本当の悪人は里見なのではないか。

物語の序盤、財前は、手術した患者さんの肺転移を見逃す。まわりはそれに気がつきつつ、誰もそれを財前に進言できないままに...続きを読む状態は悪化する。里見もまた、財前に「これは肺転移だ」と進言したはずだけれど、結局生検は行われることなく、患者さんは亡くなってしまう。

患者さんの経過において、もちろん責任者は主治医であった財前だけれど、患者さんは結局亡くなってしまったとはいえ、訴訟を回避できた可能性は無数にあった。肺転移した胃癌に対して、昭和40年代の医療でできることはほとんど無かっただろうから。
ところが『正義の人』である里見があの場所にいたことが、そうした可能性を閉ざしてしまった。

「対等な関係」にある誰かが「正義の人」であったとき、その組織で致命的な失敗が起きる確率は飛躍的に高まってしまう。

ぶっちゃけ、「白い巨塔」の里見という人は、一緒に働くにはけっこう厳しい。

何か問題を発見すると、里見は「これは問題だ。君はこうするべきだ」といったやりかたで問題を指摘する。プレゼンテーションのありかたとして、これは微妙に挑発的で、「売り言葉に買い言葉」的な状況に陥りやすい。

里見の助言は、それを受け入れる側に「ただ負ける」のではなく「大きく負ける」ことを強要する。兵隊の位が異なっているのなら、特に相手が明らかな上役ならば、こうした言い回しは全く問題にならないけれど、対等な関係という、組織においてバランスを保つのが難しい状況において、「大きく負ける」ことを素直に呑むのは難しい。

同じ状況に置いて、里見が常にヘラヘラとした、いっそ財前に「ちゃん」付けで呼びかけるような態度の人物であったら、白い巨塔のような問題は発生しなかった。
財前に見逃しがあって、里見がそれを見つけたとして、「財前、お願いだからこの検査をやってくれないか?」とか言って、財前の肩にでも手をかけながら頭下げていれば、必要な検査が提出されて、問題はそのまま収拾したのではないかと思う。

火が嫌いな人と、火を消すのが好きな人とがいて、同じ「消す」ことを目指しても、問題に対する態度はずいぶん異なる。
火が嫌いな人は真っ先に火を消すけれど、火を消すのが好きな人は、結果的に火を大きくする方向に舵を切ることが多い。
火消しを公言する人は、火が大きくなるまで待ってしまったり、案外放火が好きでもあって、こういう人と一緒にやるのはリスクが高い。
この手のタイプは、公務員、それも学校教員に多い気がする。

大ざっぱに「クズ」と「正義」がいるとして、患者さんの状態悪化を見逃した財前は人間のクズであったのかもしれないけれど、里見も同じようなタイプのクズなら、白い巨塔の物語は成立しない。

「クズ」と「正義」には使いどころがある。対等な関係を作らざるを得ない場所に「クズ」と「正義」を配置すると、たいていろくでもないことになる。対等に組んだ「クズ」同士はうまくいく。同じことを「正義」でやると殺しあいになる。
「正義の人」は、上司と部下しかいない、対等が存在しないところに置いて、上下を「クズ」で挟むと馬車馬のように働いて、組織全体の生産性が向上する。

白い巨塔の物語というのは、財前の失敗ではなく人事の失敗であって、同僚に恵まれなかった財前の物語であったのだと思う。

#読書記録 #白い巨塔 #正義の人 #公務員 #組織内人事

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Posted by ブクログ 2021年07月15日

昔ドラマやってたなぁ、見てないけど。

医者の世界もこんな派閥や出世欲に満ちているのか、、、
人は大人になるにつれてよく深くなっていくものかもしれない。

続きがたのしみ。

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Posted by ブクログ 2021年06月05日

権力争いの描写がこの小説の中で最も面白いところではあるものの、ほんの一部の医者がその権力争いには興味を示さず、確固たる信念の元で真面目で愚直な研究を続ける姿勢が映し出されており、会社生活の人間関係で疲れてるせいか、その姿の方に惹き込まれるところがあった。

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Posted by ブクログ 2021年05月22日

社会派小説で知られる山崎豊子の作品を初めて読んだ。
医学書を読んでいるのかと錯覚するほど専門的であり、医療現場の緊張感までもがリアルに描かれている。徹底した取材による小説といわれる意味がわかった。
大学病院の封建的な人間関係と医療の腐敗に対する痛烈な批判を感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月12日

一度読んでみようと思っていながら、やっと読み始めたところ。
医学部教授戦を巡る選挙戦が始まる。腕は確かだが、名声が却って教授から疎まれる財前。人間の欲があからさまに描かれる。
ちょっと古い関西弁が面白い。
物語のスタートが昭和37年だったとは。

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Posted by ブクログ 2021年02月05日

学生時代からいつかは…と思っていてようやく読み始めました。

駆け引きが凄いです。
ほぼ皆自分の利益しか考えてません。

ドラマも見てなく、どんな展開になるのかわからないので先が楽しみです。
財前助教授はどうやって駆け引きしていくのかを楽しみに続きをいきます。

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Posted by ブクログ 2021年01月13日

病院内の権力争いがまざまざと分かる作品です。

医者といえば花形の職業ですか、この本からも、そして自分の周りにいるお医者様からの話を伺っても、世間のイメージと内情はかけ離れているものだと感じました。

教授になる為の裏工作、時には頭を下げたくない人でも人脈や資金を持っていれば近寄る、昔からある組織は...続きを読むこのような形態を脱しない限り、海外の組織には勝てないのではないかと思います。その時間を研究や患者様の為に充てる方がよっぽど理にかなっている。本の中でもこのようなフレーズが出てきましたが、共感できます。

先が楽しみになる1巻目でした。

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Posted by ブクログ 2019年08月30日

医学界の封建制について、こんなにもドロドロしているのか…と感心してしまった。
そう思えるほどに登場人物一人一人の「自分を大切にしたい」「自分の人生を良いものにしたい」という欲望の描写が丁寧であった。
続きも読みたい。

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Posted by ブクログ 2019年04月07日

これは面白い。国立大学医学部教授の椅子を狙って、一癖も二癖もある面々がドロドロの駆け引きを繰り広げる。羨望の的である「お医者様」も、腹の中では野心と欲望が渦巻いており、一挙手一投足にひりつくような微妙な駆け引きの閃光が走る。

国立浪速大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし...続きを読む、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
しかし、現教授の東(あずま)貞蔵は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父・財前又一の財力とOB会の後押しを受けた五郎は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

登場人物たちがとても人間くさい。燃えるような野心を滾らせる財前五郎。彼の傲岸を嫌い、金沢大学の菊川昇を推薦しようとする、一見紳士な東貞蔵。財前を推すことによって将来の実験を握ろうとする医学部長の鵜飼(うがい)良一。教授戦からは距離を置き、直向きに医療に邁進する里見脩二。
野心、名誉欲、矜恃、嫉妬、見栄…醜い感情どうしがぶつかり合う人間ドラマがつまらないはずがない。

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Posted by ブクログ 2018年12月12日

再々々読。作品の発表が昭和40年というのに、時代を感じさせないことに驚きです。人間の本質とは変わらないものなんだと実感。東教授の嫉妬に端を発した、教授選。周囲の人々の、いかに自分の立場を有利にするか奔走する姿。大学病院とはかくあるものか?一側面ではあるにしても、医学界の閉鎖性、権力争いの構造の問題点...続きを読むが、海堂氏の描くシリーズとも接点があるようです。

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Posted by ブクログ 2019年01月16日

10年ぶりくらいに再読。

1巻ではまだ完全なヒールではない財前助教授。

選挙にまつわる裏工作が静かに始まっていく感じ。

何度読んでも面白いなぁ♪

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

ドラマ化もされている山崎豊子さんの代表作。
敏腕外科医の助教授財前が教授選に向けて陰謀と名誉欲を全開に挑んでいく。
第1巻は財前vs東教授メインの内容。
全5巻の本作。今後の展開が楽しみ。

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Posted by ブクログ 2023年04月16日

人が多くて頭がこんがらがってしまった、、、

人を救うという病院であんなパワーゲームが繰り広げられてるなんて、知りたくないと思いつつ
先輩に勧められて2巻へすすむ!


純粋に助けたいとか、そんなお医者さんばかりではないのかねー。

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Posted by ブクログ 2022年05月18日

1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。
大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。

昭和の金と力の時代を描き切っ...続きを読むた作品。その意味では本編完結までが純粋な作品。
本編の医療ミス裁判の現実社会での反響が大きく、作成された続編では、裁判と主人公の身に起こる異変が並行して進む。結末は裁判と天命により主人公の人生にけりがつけられる一方、単なる悪役ではない誇り高き医療者の一面を示して終わる。

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Posted by ブクログ 2021年10月23日

社内、院内政治とはどういうことかを示す良い例だと思う。山崎豊子の緻密さがすごい。

実力があっても、人間関係の部分が大きいというのが政治。実力があることは前提として、その上でどう立ち振る舞うか。

相手のメリットとこちらのメリットをつなぎ合わせること。財前に票を投じれば、鵜飼教授にとって鵜飼派が一人...続きを読むできるし、今後医師会の支援も得られる。財前が教授になれば、金子は助教授になれる。菊川が教授になれば、東都大の枠が広がる。

自分にツンツンする態度を取ったり、蔑ろにされれば嫌がらせもする。これが人間だよなあ。

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Posted by ブクログ 2021年01月12日

【感想】
山崎豊子の代表作の1つといっても過言でない本作品。
なのに、ドラマも小説も含め、僕は「白い巨塔」を見るのは初めてです。

ドロドロとした人間関係。
出世は確かに大切ですが、本業も疎かになってしまうほどに白熱するものなんですね・・・
「たかが」と言ってしまうと語弊がありますが、そんなに教授と...続きを読むいうポストに拘らなくちゃいけないの?と読んでいて思ってしまいます。
現代の病院人事でも、これくらい壮絶な争いが繰り広げられているのでしょうか?

まだ5分の1が終わった程度なので、正直なところまだどう面白くなるのかはよく分かっておりませんが、今後どのように進んでいくのかとても楽しみです。

ちなみに本文庫が出版されたのは2001年なので、「結構最近の作品なのかな~」と思っていましたが、作品が世に出たのは1963年(昭和30年代)だったんですね(笑)
時代背景や通貨の価値など、現代と比べてかなり乖離がありますが、それも含めて楽しく読めそうです。


【あらすじ】
国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。
食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年02月18日

主人公、国立浪花大学付属病院で外科助教授、財前五郎は引退する師の東教授の後にはいり教授になると自他ともに認めていた。が、活躍し頭角を現す財前教授に東教授は傲慢さをみる。東は次期教授を財前ではなく他大学の人材を推薦しようとした。医局内で次期人事をめぐり様々な思惑が入り混じる物語。

里見さんにがんばっ...続きを読むてほしい。
東佐枝子の結婚相手が気になります。

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Posted by ブクログ 2020年07月15日

人事なんてものは、所詮、こんなつまらぬ些細なことで決まるものなんだ。人間が人間の能力を査定し、一人の人間の生涯をきめる人事そのものが、突き詰めてみれば必ずしも妥当ではない、残酷な、そして滑稽な人間喜劇なんだ。(p.265)

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