【感想・ネタバレ】白い巨塔(五)のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月25日

最後泣けた
呆気なかった
財前が権力へなびきながらも、時折不安になったりするところが細かく描かれていて、里見派か決め難かったな

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

今も何度もテレビで再放送されており、以前買ってあった原作を読みたくなり手にとった。
やっと5巻まで全て読み終えた。
財前が主人公だが、里見のどんな困難があっても
自分の信念を曲げない生き方が好きです。
特に4巻からは夢中になって読みました。
なお4巻5巻は読者の声によりできた続編だそうです。
題名の...続きを読む白い巨塔とは患者の死の経緯について正しい証言をしたものが大学病院を追われ、患者の診察に誤りを犯したものが、大学病院の名誉と権威を守るという美名のもとに、大学のあらゆる力を結集して誤診を否定し、大学にとどまる不条理とのこと。3巻より。

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Posted by ブクログ 2024年02月21日

五巻に及ぶ長い小説が遂に完結。
胸が締め付けられる。なんとも言えない辛い気持ち。
気づいたのですが、財前教授に感情移入し過ぎて、もっと活躍して欲しい。もっともっと困難に打ち勝って自信に満ちた物語を見せて欲しい。そう願いながらこの小説を読んでいたようです。
最期まで誇り高い態度で人生を駆け抜けた財前五...続きを読む郎に本当に感動した。
ありがとうございました。

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Posted by ブクログ 2023年08月18日

控訴審となった財前の誤診をめぐる裁判。
原告側弁護人・関口や、里見の努力によって、財前は窮地に…

控訴審に、学術会議選挙に、追われる財前に病魔の影が…

結局、財前がちゃんと診察していれば…ということなんだろうが。
本当にそうなんだろうか。
財前だからこそ、初期噴門癌を見つけて、手術することができ...続きを読むたはずでないか。
佐々木庸平に死をもたらしたものは、財前だけによるものではないはずだ。

医者としてあるべき姿は、里見なのかもしれない。
が、財前のように教授がひとりひとりの患者にまで細かい目配りができるだろうか…
里見のようにすべての患者に同じように寄り添うことができるだろうか…

控訴審で原告側勝訴となるが、財前の言う様に、医師が訴えらることを恐れ、医学の進歩を阻むことになるかもしれない。

財前には最後まで戦って欲しかった気がする。
もう一度這い上がる財前を見たかった…

癌が不治の病と言われ、情報が少なかった昭和40年代に、50年以上たった今、読んでも違和感を感じない作品を書いた山崎豊子の取材力の凄まじさを感じる。

4巻、5巻は『続 白い巨塔』だったのか…
3巻までの社会的反響が大きすぎたことを受けての、続編だったのか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年05月06日

圧倒的。その一言に尽きる。

各人の心理と謀略を事細かに表現されてある。

財前の手術に東教授が執刀し、開腹した場面で得た感情はどんな言葉を使っても表現できない。

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Posted by ブクログ 2023年03月31日

通勤途中の電車内で読んでいたので、眠い日や飲み会があったりして遅々と進まなかったけど、この巻は勢いよく、外出時は早めに家を出て現地で読んだりしていた。
今読んでも全然面白かった。
タイトルが白い巨塔とあったので、大学病院の医療関係者の権力争いの様なものが中心だと思ったが、加えて医事紛争裁判がその割合...続きを読むを大きく占めていた。
裁判は互いの主張も理解出来るので良い悪いでは簡単に片付けられないけど、原告は進める過程で嘘偽りなく事実を事実として証言し、被告は名誉や権力を得るために事実を捻じ曲げる証言をするが、自分だったらどうだろう。
この様な選択は多くはないけど何度かあった。
普段の生活でも思いもしていない事を言い忖度する事もあった。
子供の頃に両親からいつも言われてた「人に迷惑を掛けてはならん」を思い出す。
今は定年を迎えたので全てが昔の話だ。

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Posted by ブクログ 2021年08月21日

医事裁判では、新しい証言が語られ、徐々に真実に迫っていく。患者の家族が苦労を乗り越えて戦う姿を通して、命を蔑んだ医者に対する家族の怒りが伝わってくるようだった。
庶民こそ、命の重さを知っているのかもしれない。白い巨塔の後半は「生命の尊厳」が大きなテーマだと感じた。
しかし、患者の命が失われた後の争い...続きを読むだということが切ない。家族が裁判に勝ったとしても、真実が認められたとしても、患者の命は戻ってこない。
命の重さを、存在の大切さを、本当の意味で知ることができるのは失った後なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年08月11日

なかなか読み進みるのが厳しい展開でしたが、最後はさすがの読み応え。白い巨塔、というと、医者に対する悪イメージが先行しがちですが、そんなのではない人間の生き様、プライド、色んなものが迫ってくる、そんな読書体験でした。

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Posted by ブクログ 2021年08月01日

他の本と並行しながらですが、2ヶ月弱もかかって読みました!もう全ての語彙力を圧倒的という言葉に置き換えたい所存でございます。去年五話連続でやってたドラマのキャストでイメージして読んだので、財前は岡田くん。里見は松山ケンイチ。ケイ子は沢尻エリカ。東佐枝子は飯豊まりえちゃん。などなどが頭の中で物語を展開...続きを読むしてくれました!
人間の命の尊厳さと地位や権力への欲望の共存する「白い巨塔」。この白い巨塔に敗北したのは里見や地方へ飛ばされた医局員ではなく財前だった。本当に圧巻。実際医学会がここまでのものかは分かはないけど、少なからずこういう風潮はあると思う。
全ての登場人物がこの物語を考えさせるのに必要な人物で、こういう人間がいたらどうだろうと思うキーパーソーンが本当に全て揃ってるなぁと。里見先生がなんだかんだ財前を尊敬してるところがめちゃくちゃ良くないですか??
個人的に1番好きなのはケイ子。最後の方でこの人花森って名字だったんだとかしょうもないこと思ったのはさておき、結局財前のことを一番理解してたのがこの人。自分の語彙力でこのケイ子の凄さを文字で表現できない笑。とにかく聡明で物事の本質を見抜いていた感じがしてカッコ良かった。
あとは里見と東佐枝子の関係。佐枝子があの両親に染まらず純粋で真っ直ぐな里見に惚れるのがいい。でも友人によってできた壁をお互いが意識して、最後は佐枝子の方から会わないと決意するところが切ないけど意志の強さを感じてとても良かった。普通あんな両親に育てられたら、無理してでも地位を築きたいと思うけどなー。意志が本当に強い証拠だと思った。ここもあっぱれ。
またこの小説、里見が財前と正反対で焦点当てられがちだけど、関口弁護士もなかなか逸材というか憧れるべき人だと思った。患者の泣き寝入りを防ぐために、医学に素人な弱い立場にもかかわらず佐々木家族のために、むちゃくちゃ勉強して国平弁護士に立ち向かうところとか。里見が医者としてのあるべき姿を見せつけたなら、関口は弁護士としてのって感じがした。というか、財前側に立たずに証言した方々皆すごいよ。柳原くんもよくがんばったよ。運が悪かったねー。
この小説では医学という人を救うための学問においても人間のいろいろな欲望が絡まり合って、プロとしてのあるべき姿を見失ってしまう設定だけど、医学界以外にももちろん通ずるものがあると思いました。やはり人間。技術があっても人情がなければダメ。逆も然り。本当の意味で敬われる存在になるためには両方兼ね備えないとなと!医学の基礎知識に加えて、医療裁判の難しさ、人間のあり方など多くを学べた最高の小説でした!
里見先生目指します! 

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Posted by ブクログ 2021年07月31日

最後はなんかやるせなかった。

良い人も悪い人も必死に生きているということを伝えている。

この小説の時代では富と権力が人間の幸福であるという背景が濃い。今の時代では幸福とはなんだろう。

医療は神の祈りである。

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Posted by ブクログ 2021年03月11日

まさかの終わりかたでした。
それまでの内容もすごく面白かったです。これが当時の日本で反響を呼んだのもよく理解できます。
小説を書くまでの下調べにかけた時間は計り知れないなと思いました。
ものすごい人間ドラマでした。
とにかく、一度は読んで欲しい作品です。

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Posted by ブクログ 2021年02月22日

【感想】
さて、ついに長編「白い巨塔」を読み終えました!!
かなりの話題作でありながら、これまで1回も本作品に触れてこなかった自分にとって、とても新鮮味のある作品でした。

前半は、単なる財前のサクセスストーリー。
教授になるための競争や根回しに明け暮れ、かなり消耗しながらも無事教授の椅子をGETし...続きを読むました。
この時代ならではだったかもしれませんが、、、
医局の封建性や各々の権力者たちの利害関係のドロドロさ、総じて大学病院という組織の教授選挙の生々しさを描く作品で終始するのかな~と思っていましたが、話は中盤から誤診裁判へと変わっていきます。
(ちなみにこの誤診裁判は、一審こそ病院側の勝利で終え、連載当初はそれで一旦完結したらしいのですが、読者からの「これじゃやりきれない」等の厳しいクレームにより、続編を書かざるを得なかったと筆者は語っています。)

裁判やさらなる権力争いなどに消耗し、徐々に財前の歯車狂っていきます。
終盤は財前の凋落の様子が如実に書かれており、証言者である部下の報復によってついに誤診裁判で敗北、そして最後には自身が末期の癌患者になってしまっていたという皮肉たっぷりの結末に・・・
そして終末が近づくにつれ、財前の意識は混濁してゆき、医者という腕も確かでありながら、権力を追い求めた財前という人間の人生は一体何だったのか?と読んでいて考えさせられてしまいました。
ただ、最期は医者としての素晴らしさ、後世の医学に役立つよう自身の体を解剖してほしいと手紙に残したあたり、財前は強烈な個性こそありましたが、医者として医道に反した人間ではなかったのだなという事を感じさせられました。

名作という名に違わぬ、あとがきや解説まで非常に読み応えがある作品でした。

ちなみに・・・
本書で「白い巨塔」に激ハマリしましたので、現在は唐沢寿明・江口洋介主演のドラマ版「白い巨塔」を視ています(笑)
既に6話まで視ましたが、こちらもとても面白そうですね!!


【あらすじ】
開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。
そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。
厳正であるべき“白い巨塔”大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった、社会派小説の金字塔。


【メモ】
p206
「でも、向こうには里見さんがついてるわ。一度口を聞いただけだけど、あの人は凄い人やわ。私みたいにどんな一流会社の社長にも有名人にも体を張って、操縦しようと思えば出来ないことのない人間でも、あの人だけはどうにも歯が立たへんわ。」
「あんたも誰に勝っても、最後は里見さんにだけは勝てないのと違うかしら」

ケイ子はさり気ない口調で言ったが、財前の胸に鋭く突き刺さった。
それは、財前自身が無意識のうちに心の底に持っている里見という人間への畏れのようなものだった。


p282
「江川、君は!君までが!」
法廷であることを忘れ、財前は大声で叫んだ。
絶対服従で将棋の駒の如く自在に動かすことの出来た医局員が、こともあろうに、柳原一人のみならず、また一人、自分に向かって反逆の弓を引き、法廷にまで出てくるとは…


p311
「今回の判決は、今後の医事裁判に一つの方向を示す社会的に極めて有意義な判決です。しかも封建的、ギルド社会ともいうべき白い巨塔に鋭いメスを入れ、診療・研究・教育の指導にあたる国立大学の教授なるが故に、厳しく責任を追求された点、まさに会心の判決だと思います」


p333
「君からではお願いしにくいのなら、僕から東先生にお願いしてみようか」
「うん、頼む…」
財前は感謝するように頭を下げ、あとは人目を憚るようにそそくさと廊下を歩き、足早に立ち去っていった。
その後ろ姿を見送りながら、里見は、人間的には多くの欠陥を持ちながらも、癌専門の外科医として優れた才能を持っている財前が、皮肉にも早期に癌を発見する時期を逸してしまった怒りが激しく込み上げてきた。
なぜもっと早く検査を受けなかったのだ、検査さえ受けておればもっと早期に見つかっていたのに!


p342
かつてこの同じ手術室の手術台で、何百人もの癌患者の手術をし、成功した財前が、どう救いようもない状態で横たわっている。

手術台を取り巻いている教授たちは、万策が尽きたことを知った。
「縫合・・・」
最後の断を下すように東が言うと、金井助教授をはじめ三人の弟子たちは眼に涙を滲ませ、手を震わせながら、切開した財前の腹部を閉じ合わせた。


p391
「里見くん、胃癌なら胃癌だったと言ってくれ。そしてそれが手術可能だったものか、それとも不能のものか、真実を教えてくれ。僕は医者だ、しかも癌専門医だ。その僕が、自分の症状の真実を知らずにいるのは、あまりに残酷だ!」
財前はベッドの中から哀訴し、取り縋るように言った。
里見はこれ以上嘘をつくことの白々しさと無駄を悟った。


p405
・あとがき
昭和39年の連載当時は、現実的視点のもとの専門的な指導の結果、誤診事件にもかかわらず、医師側勝訴、患者側敗訴のどうしようもない非情な裁判を描いた。
が、判決について、多くの読者から「社会的反響を考えて、作者はもっと社会的責任を持った結末にすべき」という声が多数寄せられた。
そこで、既に完結した小説の続きを書くに至ったのだ。

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Posted by ブクログ 2021年02月05日

判決を言い渡されるあたりはドキドキしながら読みました。

最後100頁ほどはあんなに憎かった財前が可哀想になりました。

そして何よりケイ子さんのいい女っぷりが素敵でした。
泣けました。

読み終わりもよく、久しぶりに面白い長編が読めました。

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Posted by ブクログ 2020年12月05日

いやぁ~。ほんとうに時間がかかった。最近加齢のせいか(なんでも加齢のせいにする悪い年の取り方の例)集中力が持続せず、しかも、集中できる数少ない環境である通勤電車に乗らなくなり、チビリチビリ。途中全く読まない日が何日も続いたり、学術会議選挙の票読みや難解な〇▲教授の見解のあたりは斜め読みであったがとに...続きを読むもかくにも読み終えた達成感はほかのどの小説よりも高かった。テレビドラマ(唐沢バージョン)と重なる場面は映像が浮かび脚本も難しかっただろうなぁなどとよこしまなことを考える。
作者自身のあとがきにもあったが、これほどの小説を完成させるにどれほど綿密で膨大な取材と時間を要したことであろうか。まったくすごい小説である。
ラスト、財前自身が手の施しようのないガンに侵され決死の大河内教授宛手紙で目が潤む。
「なお自らがん治療の第一線にあるものが早期発見できず手術不能のがんで死すことを恥じる」
ドラマでは黒木瞳演ずるケイ子との情愛の場面が小説よりももっと深いもののように思えていたけど、5巻、五郎のガンを悟ったケイ子がひとりで思い出の場所に行き嗚咽を漏らす描写がより訴えるものがあった。
また、ドラマで財前危篤を知って病院に向かう里見に妻が「財前さんはあなたの親友ですものね」と送り出すシーンがやたら印象的だったが小説にはなかった。
それよりも小説最後に里見がなんとしてでも「親友」財前の命を永らえようと苦悩する姿がしみた。
傲慢で嫌な奴としか見えない財前に、ケイ子の前でだけ垣間見せる弱さや故郷の母へ仕送りするときだけがささやかな楽しみであるというあたりに、全くの悪ではないのだと、ホッとする。
なんだろう、人間の「業」とは。

また当時の東ドイツの情勢、黒部ダムなどの自然も丁寧に描かれていておのずと引き込まれた。

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Posted by ブクログ 2020年09月03日

大学病院を舞台にして繰り広げられた権力闘争、医療過誤の法廷闘争の幕が降ろされる最終巻。あとがきによると本当は三巻までで終わっていたはずが、読者からの反響の大きさにより続編として書かれたのが四、五巻に当たるという。前半だけで終わっていたら、これほど静かな読後感があったかどうか。
法廷闘争第二審の最中、...続きを読むあまりの財前の横暴ぶりにそれまで偽証を繰り返していた証人が自分の言を撤回する。しかし物証がないため信頼性に欠けるとされた時、「シヨウコアル」との電報が届くシーンは心揺れた。
悪逆を尽くした財前だったが、最後の最後は医者としての本分に立ち戻る。あらゆる面で遅かったのだけれど。
初読時は、医療過誤についても財前が絶対的に悪いと感じていた。でも読み返してみると、これで医者が悪いとされたらやりきれないかも、と思うことも。
もしも財前が手術後に一回でも患者に面会し、家族にも優しい言葉を掛けていれば訴えも起こらなかった気もする。実際家族も、「患者に対して不誠実な、人間味のない診察しか」しないことを一番問題視していたわけだし。
第二審結審後からの急展開、最後のページまでは他の用事が一切できないほど夢中に読んだ。名作。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月27日

白い巨塔1ー5巻を読んで。
最後のシーンは泣けた。無念すぎて泣けた。もしかしたら、財前は患者を疎かにした、その報いを受けた。みたいな感じで捉える捉え方もあるかもしれないけど、正直それでも日本の医学会が失った人材の大きさ、これから財前が成し遂げられたはずのこと、財前の親のことを考えると無念で仕方がなか...続きを読むった。
やり方に問題はあっても、財前の実力を認める人はたくさんいたし、結局人の死はどんな形であれ悲しい
いろいろと感情がごっちゃになって泣いてしまったけれど、どうして泣いたのか要素分解できてないからまた反芻しようと思う作品だった。

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Posted by ブクログ 2019年11月26日

派閥を経験したことがないので、内部に対してこれだけの力量を使う事が無駄に感じてしまうのが、率直な感想です。その分外部に使えば、どれだけ世の中に貢献できるのかと考えられるのは、今が恵まれた環境で働いているからかもしれませんが。
しかし、こういったドロドロ感満載のテーマを緻密な取材をされた上で筆を取られ...続きを読むているのか、まったくもって飽きません。

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Posted by ブクログ 2023年09月29日

実際には、40年ほど前の新潮文庫、白い巨塔(上・下)、続白い巨塔を本棚から取り出して再読。

映画やドラマで何度も公開されて好評だった名作だが、原作は大阪の国立浪速大学医学部を舞台にした医事紛争裁判を深く抉った社会派小説。
大学医学部の医局内での派閥争いや医学界におけるドロドロとした内情などの中で翻...続きを読む弄される患者の運命。
医療技術の進歩により、原作当時(昭和37年前後)の医療知識や治療法とは隔世の感があるのは否めないが、癌というものに対して初見時には深い感情を抱かなかったが、癌というものを身近に感じる年齢になった今、ちりょおうや手術、解剖の場面などは身につまされる思い。

主人公の財前五郎をはじめ、同僚で裁判では対立する里見助教授、鵜飼医学部長、病理の大河内教授、担当医の柳原、弁護士の関口、死亡した患者の佐々木とその妻で告訴人の佐々木よし江など、他にも登場するすべての人間の感情が生き生きと描かれており、素晴らしいヒューマンドラマでもある。
数ある山崎豊子作品の中でも代表される名作。

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Posted by ブクログ 2023年09月21日

シリーズ全体を通して思ったことは、特に4巻以降は裁判の話が多くて正直なところ冗長に感じてしまった。その疲れによって読み進めるペースが落ちたのは事実。しかし、解説によれば当初は3巻までの想定で作られたもので、読者からの批判を勘案して4.5巻を追加したようだ。確かに分量としては3巻までがちょうど良いと感...続きを読むじたし、それ以降の展開が5巻まで想定して作ったにしては何か違和感があると感じた。著者の言う植林小説ということになるだろう。そこから昭和40年代の小説に対する一般人の熱量を感じ取ることができたし、小説といえども作ったら終わりではなく、常にフィードバックを受けて変化する生き物のようなものと思える。そのスタンスをとっている著者は直向きであると思う。

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Posted by ブクログ 2023年05月07日

一気読み。

財前の孤独が際立った最終章。
権力にら執着して、結局残ったものは何なのだろうか。

遺書が少しだけ救いというか、
医者としての尊厳みたいなものを感じられた。

根っこの部分は癌の究明だったろうにどこからこうなつてしまったのか。

作者のものすごいエネルギーを感じた。

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Posted by ブクログ 2022年07月10日

圧倒的な筆力。
4、5巻が続編であったと解説にあったが、以前読んだときには見落としていた。続編なしにはここまでの満足感はないように思う。

財前の手術シーンの見事な表現、絶望的な状況が頭の中に映像として浮かび上がる。さすがとしか言いようがない。

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Posted by ブクログ 2021年09月15日

結末のバックにベートーヴェンの『荘厳ミサ』が湧き上がるように書き込まれてあり、救われた気がした。

解説にもあるようにそこに作者の意思もあるのだろう。

一人の人間として悪者といえども心の震えはあり、いつ滅びるかと不安にさいなまれている生き物なのだと。

当時(「白い巨塔」が連載されていた頃)、社会...続きを読む派小説は流行っていて私は松本清張氏を多く読んでいて共感や憤りを経験していたにもかかわらず、今回はまいった、あまりの臨場感に。

どろどろした人間関係に憤慨して読んでいると、胃がん手術のリアルさ、医師の頭の下がるような執刀の様子。かと思と法廷の緊迫したやりとり。大阪の商人のドラマチックな展開。

悪人の代表のような財前五郎、ヒューマニズムの、あるいは神のような存在の里見脩二。わかりやすい描きかたに舌を巻く。うーん、その他の登場人物もしかり。

「生み坊主のようにぬるりと頭をひからせた」財前の舅の又一。「鶴のような痩身」の解剖の大河内教授などなど。まるでアニメのようといってもいい。

しかし、作者山崎豊子氏は取材、予習と大変苦労された。だから内容に齟齬がないのだろう。また、一旦、第一審までで筆をおき、二年後続編を書いたということは、読者の反響、社会的影響によるという。

やはりすごい小説だ。大反響だったことは知っていたが、やっと私が読めた感。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月30日

何も知らずに、ベートーベンのミサ・ソレムニスを(初めて)聴きながら、最終章を読んでいたら、ラストで里見にこの曲が聞こえてきたとの描写があり、驚いた。

財前のことは好きになれないが、あらゆる手段を講じて名声を得ようとし、裁判に勝とうとする姿勢は、欲望に素直とも言え、憎み切れない。

それにしても、こ...続きを読むの裁判は多くの人を巻き込んで誰も幸福にしていない。関口弁護士も罪な人だ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月29日

ドラマは観たのでストーリーは全て分かっていましたが、それでも十二分に面白かったです♪全部で2000ページ以上ありましたが思いのほかすんなり読む事が出来ました☆

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Posted by ブクログ 2021年01月30日

最後の展開は読めなかった。

けど、財前五郎が最終的には医者の使命を全うしていたのは感動した。

財前五郎を囲んだ人間模様も最後の方のが味が出ている。

本当に良い作品でした。

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Posted by ブクログ 2020年03月26日

全五巻の感想。

人を蹴落としてでも野心剥き出しで叶えていく人、身の回りにいると思うので、登場人物を身の回りの人間に当てはめて読むと、感情移入の度合いが変わります。

里見のように生きていきたいものです。

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Posted by ブクログ 2024年02月15日

最後は怒涛の展開だった。
学術会議選挙に勝ち、医療裁判や学内の政治に多忙な日日を送る財前に遂に病魔が…
最後は本作らしい結末だった。

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Posted by ブクログ 2022年05月18日

1-3巻が元の"白い巨塔"、4-5巻が"続・白い巨塔"。
大学病院内での教授の座をめぐる権力争いとその渦中で起こる医療ミスをめぐる裁判を描く。教授選挙の決着と医療ミス第一審判決までが本編、学術会議会員選挙と控訴審判決までが続編。

昭和の金と力の時代を描き切っ...続きを読むた作品。その意味では本編完結までが純粋な作品。
本編の医療ミス裁判の現実社会での反響が大きく、作成された続編では、裁判と主人公の身に起こる異変が並行して進む。結末は裁判と天命により主人公の人生にけりがつけられる一方、単なる悪役ではない誇り高き医療者の一面を示して終わる。

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Posted by ブクログ 2021年10月27日

選挙の勝利。
裁判の敗北。

柳原にも、里見にも正義はある。
それが実った結果と言えるが、大学教授という多忙な中で、どこまで診察しなくてはいけないのか、ものすごく重たい投げかけだと思う。

僕はエンジニアなので、開発中はバグがよく出る。たくさんバグが出た時、納期が短ければ顧客と交渉してできる範囲で行...続きを読むう。
だが、医者はそれができない。治るか死ぬまで、全力でみることを求められる職業。

そして、患者が来るときはすでに何らかの症状が出ている負け戦であることが多い。

とても過酷な仕事だと思う。

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Posted by ブクログ 2021年10月03日

文庫本5冊目。思ったより早くたどりつけた。
医者として天才的な才能があるし野心もある財前。大学病院でのし上がるには政治力と金が必要。
医者として患者を救うため病気の研究に力を注ぐ里見。対照的な二人が信頼しあってるところがいいと思う。
裁判では、権力に負けそうになるがお金や圧力に気づいた人が証言すると...続きを読むころがスッキリする。
時代が変わっても共通するところは多くあると思う。

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