あらすじ
開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。厳正であるべき“白い巨塔”大学病院の赤裸々な実態と、今日ますます重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった、社会派小説の金字塔の最終巻。
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Posted by ブクログ
現代においても同様かはわからないが、大学病院の封建的な風土や選挙における金の動きに対する衝撃を受けた作品だった。
同作者の他作品と異なり、物語の初めから最後まで、読み手からの主人公の財前五郎、それを取り巻く登場人物への好感、嫌悪の気持ちが正負に揺れ動くところに新しさを感じた。
田舎の貧乏な家庭から医者になった苦労と自負、婿入りした環境と名声欲強い舅や妻から自分への要求、自分の上司に努力を反故にされるような人事、医学部長や医師会・同窓会の損得で繋がった関係、自信を裏付ける手術の才能…それらが絡まり合い生まれた財前五郎という人物に、もちろん嫌悪する部分が大きいが、環境やプレッシャーでそうならざるを得なかった面もあるのではないかという面で同情的な感情も持ってしまった。
裁判においても、財前の行動は自分が患者だったらと思うと財前五郎の態度は到底許容できるものではないと思ったが、自分もなんらかの仕事のプロとして、自分の仕事結果に対し、あれだけの尋問に耐える仕事ができるかは自信がない。
Posted by ブクログ
圧倒的。その一言に尽きる。
各人の心理と謀略を事細かに表現されてある。
財前の手術に東教授が執刀し、開腹した場面で得た感情はどんな言葉を使っても表現できない。
Posted by ブクログ
全編通しての感想。
こんな面白い小説が1965-1969年に完成していたなんて!
里見が財前のことを「可哀想な奴」と表現していたけど、本当にその通りだと思う。
財前は周囲の期待に応えようと必死だったんだ。
最初はお母さんの期待や助けになりたいという思いが、だんだん周りの金と権力に溺れたタヌキ親父たちにいいように使われて…。
途中、「はやく失脚しろ」などと思ってしまったけど、財前はただ必死だっただけなんだと思うとやるせなくなった。
大河内教授への封書は、最期に財前自身が本当に願ったことだったのかな。そうと思いたい。
里見は、善人・ヒーローに見えるけど危うい人だと思った。
行いを否定するものではないけど、山田うめ個人に肩入れしすぎでは?と。
現実問題全ての患者にあそこまで支援出来ないのだから、それに責任を感じると心が壊れてしまいそう。
最後に気になったのはケイ子。
奥さんより愛されてると自負してる節があるけど、多分葬式には出られないし、マンションとか生活費とかどうなるんだ?
ケイ子なら逞しく生きて行くのかなあ。
こんな面白い小説を今まで知らないで生きてたなんて、読んで本当に良かった!