作品一覧

  • 海は地下室に眠る
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    稲毛海岸近くの古い洋館・伝兵衛邸の地下から、正体不明の絵画が発見された。ドレスを翻し踊る女を描いたその絵は、過去にこの地域で流行っていた“赤いドレスの女”の怪談を思い出させるという。 学芸員のひかりは、絵について調べようとしていたところに映像作家の黒砂からある資料を預かる。千葉一の花街として栄えた蓮池にまつわるインタビューを集めたその資料では、ひかりの祖母が”流転の王妃”として知られる嵯峨浩との戦前戦中期の交流について語っていた。 地下室の絵画と祖母の過去、そして“赤いドレスの女”の怪談。欠片をひとつずつ紐解くと、運命に翻弄された女たちの秘められた過去が明らかになる――。
  • 花盛りの椅子
    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    傷ついた古家具には、無数の命が仕舞われている。緑生い茂る山の中、ぽつんと佇む「森野古家具店」。そこには、過去の沁みこんだ被災家具たちが、各々の物語をたずさえ集まってくるのだった――。職人見習いの「鴻池さん」が、家具に秘められた当時の記憶に触れる、感性ゆたかな連作短編集。
  • ここは夜の水のほとり
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    生に無頓着なのに、死と隣り合わせだったあの頃。あなたと優しい幽霊、古い一軒家、アトリエ、そして玉川上水のほとりの並木道……。あまりにも完璧な、けれどもどこか曖昧な環境で、かけがえのない人さえ守りきれなかった私たちの、歪でつかみどころのない青春群像。受賞作を含む連作短篇集。

ユーザーレビュー

  • 海は地下室に眠る

    Posted by ブクログ

    洋館の地下から不気味な絵が見つかり、それが祖母とリンクしていく……というお話。美術館で働く学芸員の主人公に感情移入しちゃった。過去の謎解きモノ大好きなんだけれど、面白くて一気読み。

    0
    2025年05月06日
  • 花盛りの椅子

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『被災した古家具に宿る想いに心を寄せて…』

    被災し使えなくなった古家具を集めリメイクする『森野古家具店』で家具職人見習いとして働く鴻池さん。東日本大震災、伊勢湾台風、関東大震災、阪神淡路大震災を題材として、独特の世界観を描き出すファンタジー!?

    0
    2022年09月06日
  • 花盛りの椅子

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「小説すばる」2月号だったかに書評、というか対談が載ってて、どうも設定に聞き覚えがあると思ったら、やはり2021/8号に最終回が載っててそれを読んでいたらしい。最終回だけぼんやりと覚えている状態で、一章から読み直すというのはなかなか得難い経験。
    まあ、短編集に近いものなので一章ずつ読んでも違和感はないが、それでも主人公のバックストーリーや他の登場人物との関係性も最終話だけではわからないので、なるほど、と思いながら改めて楽しめた。

    全体としては、本のタイトルの「花盛りの椅子」が一話でいきなり終わってしまってちょっと面食らったが、章立てのような短編集のような形だった。第一章は特に不思議なことはあ

    0
    2022年03月27日
  • 海は地下室に眠る

    Posted by ブクログ

    千葉の歴史、絵にまつわる記憶、本当に美しい対比だった。儚いのに楽しそうなのが妙にリアル。舞台となる千葉市美術館も稲毛の建築群もしっかり今もあるのがまたリアル。
    ふと手に取って読んでみましたが、これはどういう気持ちの時にもおばあちゃんや親族の話を聞いているような不思議な高揚感がある物語でした。

    0
    2024年10月07日
  • 海は地下室に眠る

    Posted by ブクログ

    明治の実業家の別荘を利用した施設の地下から絵が見つかった。
    赤いドレスを着た女が描かれ
    学芸員のひかりは鮮やかな深紅に息を呑む。
    あるとき、祖母のインタビュー記事が載る一冊の本を手にする。
    そこには歴史に残る人物も登場する。
    「髪結いの玉子」のエピソードが興味深い。
    戦争に翻弄される人々。
    ひかりは祖母が生きた時代に思いを馳せる。
    一枚の絵から放たれる熱情が皆を引き寄せる。

    情景描写も美しく、深紅の絵が頭の中で蘇る。
    写真家、グラフィックデザイナーとして活躍する
    清水さんらしい小説となっている。

    0
    2023年04月15日

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