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傷ついた古家具には、無数の命が仕舞われている。緑生い茂る山の中、ぽつんと佇む「森野古家具店」。そこには、過去の沁みこんだ被災家具たちが、各々の物語をたずさえ集まってくるのだった――。職人見習いの「鴻池さん」が、家具に秘められた当時の記憶に触れる、感性ゆたかな連作短編集。
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Posted by ブクログ
装丁に惹かれて読んでみたのが大正解。 震災などで行き場をなくした家具をリメイクして販売する森野古家具店 出勤するとお店の屋根がなくなっているところから始まる物語に一気に心を掴まれました。 主人公の鴻池さんは、なんだか不思議な感覚の持ち主みたいでゾクゾクぞわぞわするオカルト寄り?なでも全然恐くはない。...続きを読む 素敵に再生されていくからなのかな? この雰囲気、好きです。
古い家具を修復し、仕立て直す職人の話。災害で持ち主がいなくなった家具が多い。家具に縁がある死者が自然に近くに存在していたりする。不思議な雰囲気。
「家具は部屋の時間をその身に記憶している。生活の時間の蓄積が美しく現れている家具は、どこか清潔な気配がある」までは、ふむふむ、さくさく読んでいたが、霊的な話が展開し始めて姿勢を正してしまった。初めての作家だけど不思議な空気感漂わせている。
杉江松恋さんのツイッターで発見。 読んでると、ちょっと不思議で静謐、おまけにフルカラーのショートムービーを見てるような感じになる。 作者は映像作家でもあるらしい。 大震災の経験者が出てくる。 「巣籠り箪笥」のラストはぞわっとした。
キャラクターが良く立ち上がっていて、鴻池さんもどんな女性か想像できるし、イケメンあり、癒しキャラの社長ありです。 ただ家具が蘇って、心温まる話で終わるわけでは無いけど、本当に日本のどこかでこういう話ありそうだなーって思えるお話です。
どこかで好評価を見かけ、調べたら著者の清水裕貴さんは写真家、グラフィックデザイナーとして活躍している方と知って興味を持ちました。 しかし、ダメでした。 震災などで被災した家具を仕立て直して販売する家具店の 職人見習いの女性を主人公にした連作短編集です。過去を背負った家具を相手に、ごく自然な流れでオカ...続きを読むルト的な話に入り込んでいくのですが、どうもそれが不自然に感じられるのです。普通、もう少し驚いたり、怖れたり、原因を探ったりするでしょう。 不思議な世界が嫌いなわけでは無いのです。梨木香歩さんの『家守奇譚』も、川上弘美さん『神様』も、小川洋子さんの『沈黙博物館』も好きです。でも、この物語には入っていけませんでした。
読書備忘録707号。 ★★★。 千葉県の田舎にある「森野古家具店」。 全国から廃棄された家具を引き取り、リメイクして古家具として販売する。 社長の森野さん独特の目利きで"これはっ!"という廃家具を見つけてくる。 リメイクの方法が一風変わっている。箪笥を引き取ったら箪笥としてリ...続きを読むメイクする訳ではなく、一部分だけを使って机として仕上げたりする。 家具職人たちは、倉庫に陳列している廃家具を物色し、ピンときた家具を引き取って、リメイクして納品する。それを社長の森野さんがネットで販売する、という仕組み。 主人公は家具職人見習いの鴻池さん(女子)。 鳴かず飛ばずで9年。ひとつもリメイク家具を完成出来ていない。 物語は、東日本震災や阪神大震災で廃棄された家具と向き合い、鴻池さんが目に見えない速度(笑)で、家具職人として成長としていくというもの。 読む前は、リメイクのテクニックなど、今まで知らなかった世界に誘ってくれるものとワクワクしましたが、読んでいくうちに、災害で廃棄された家具たちが長年溜め込んできた人々の念がオカルト的に見えてしまう鴻池さんの物語であることに気づき若干興ざめしてしまいました。笑笑 オカルトにせず、家具が語りかけてくるような描写が読みたかったぁ。 家具のパーツ同士が組み合わされキメラのように新しい家具を完成させたり、移植手術の様にパーツを組み込まれた家具が拒絶反応を起こさない様な匠の世界を期待していた。 まあでも読むのがしんどかった訳ではないので★3つ。個人的嗜好が合わなかっただけです。
職人見習いの鴻池さんが働く修繕工房「森野古家具店」には 傷ついた古い家具がたくさん置かれている。 リフォームして、新たな持ち主の元へと旅立つ。 彼女は被災した家具から伝わることを静かに受け止める。 「巣籠り箪笥」は少し怖いけれどエピソードに心惹かれる。 震災のシーンを読むとき、ちょっと覚悟のような...続きを読むものも必要だったけれど 鴻池さん以外の登場人物が明るくて救われたかな。 震災で亡くなった人たちの声はこのように 何かの形で受け継がれ語り継がれていくのかもしれない。
古家具にまつわる怪異譚だが、主人公の語りが必ずしも信用できないこと、開示されない情報があることでミステリ的な要素も。 作業場の奥でひっそり眠っていた被災家具が、突然ぬるっと様相を変える。呼び込んだ記憶は、思いのほか水分を含んで生臭くさえあるのに、突き放せない切迫さと愛おしさが、確かにある。
古い家具にまつわる様々な過去が、一人の女性家具職人の目を通して語られる連作短編集。 廃棄されることになった古い家具の背景には、東日本大震災や阪神淡路大震災などの自然災害があり、霊的なものも現れて、薄暗く湿った雰囲気が漂っている。 作者は美大で映像を専門に学んだというだけあって、情景の切り取り方がう...続きを読むまく、印象的な場面の光景は目に浮かんでくる。 その一方で、言葉の使い方や文章は気になるところが多い。会話文で「ですねー」「でしょー」など平仮名の語尾に長音の記号を多用したり、「?」「!」「…」の記号もしばしば出てくる。全体を通してSNSのような軽い表記はかなり違和感があり、最後までなじめなかった。
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清水裕貴
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