清水裕貴のレビュー一覧

  • 海は地下室に眠る

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    洋館の地下から不気味な絵が見つかり、それが祖母とリンクしていく……というお話。美術館で働く学芸員の主人公に感情移入しちゃった。過去の謎解きモノ大好きなんだけれど、面白くて一気読み。

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    2025年05月06日
  • 花盛りの椅子

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    ネタバレ

    『被災した古家具に宿る想いに心を寄せて…』

    被災し使えなくなった古家具を集めリメイクする『森野古家具店』で家具職人見習いとして働く鴻池さん。東日本大震災、伊勢湾台風、関東大震災、阪神淡路大震災を題材として、独特の世界観を描き出すファンタジー!?

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    2022年09月06日
  • 花盛りの椅子

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    ネタバレ

    「小説すばる」2月号だったかに書評、というか対談が載ってて、どうも設定に聞き覚えがあると思ったら、やはり2021/8号に最終回が載っててそれを読んでいたらしい。最終回だけぼんやりと覚えている状態で、一章から読み直すというのはなかなか得難い経験。
    まあ、短編集に近いものなので一章ずつ読んでも違和感はないが、それでも主人公のバックストーリーや他の登場人物との関係性も最終話だけではわからないので、なるほど、と思いながら改めて楽しめた。

    全体としては、本のタイトルの「花盛りの椅子」が一話でいきなり終わってしまってちょっと面食らったが、章立てのような短編集のような形だった。第一章は特に不思議なことはあ

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    2022年03月27日
  • 海は地下室に眠る

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    千葉の歴史、絵にまつわる記憶、本当に美しい対比だった。儚いのに楽しそうなのが妙にリアル。舞台となる千葉市美術館も稲毛の建築群もしっかり今もあるのがまたリアル。
    ふと手に取って読んでみましたが、これはどういう気持ちの時にもおばあちゃんや親族の話を聞いているような不思議な高揚感がある物語でした。

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    2024年10月07日
  • 海は地下室に眠る

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    明治の実業家の別荘を利用した施設の地下から絵が見つかった。
    赤いドレスを着た女が描かれ
    学芸員のひかりは鮮やかな深紅に息を呑む。
    あるとき、祖母のインタビュー記事が載る一冊の本を手にする。
    そこには歴史に残る人物も登場する。
    「髪結いの玉子」のエピソードが興味深い。
    戦争に翻弄される人々。
    ひかりは祖母が生きた時代に思いを馳せる。
    一枚の絵から放たれる熱情が皆を引き寄せる。

    情景描写も美しく、深紅の絵が頭の中で蘇る。
    写真家、グラフィックデザイナーとして活躍する
    清水さんらしい小説となっている。

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    2023年04月15日
  • ここは夜の水のほとり

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    「蚊の視界は上下が逆さまになっている。我々の目に天と映るものが下にあり地は上にある。蚊にとって上昇とは我々にとっての下降であり、だから飛行も難しくないのだ」という話を読んだ記憶がある…ずいぶん前なので真相は定かではないが。
    ものの見方捉え方が全く異なるということもあるらしい。

    見たままを克明に捉えれば画は写実的になるはずだが
    描く人によって表現が変わるということは、描く人それぞれにとって見え方は違っているのだろう。


    川沿いにある美大とそこに携わる人々を描いた短編集。

    描く人・見る人の視点だけでなく描かれる側・見られる側の視点からも表現があって、丸いドームの中にいるような立体的な構造とい

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    2023年04月11日
  • 花盛りの椅子

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    装丁に惹かれて読んでみたのが大正解。
    震災などで行き場をなくした家具をリメイクして販売する森野古家具店
    出勤するとお店の屋根がなくなっているところから始まる物語に一気に心を掴まれました。
    主人公の鴻池さんは、なんだか不思議な感覚の持ち主みたいでゾクゾクぞわぞわするオカルト寄り?なでも全然恐くはない。
    素敵に再生されていくからなのかな?
    この雰囲気、好きです。

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    2023年02月18日
  • 花盛りの椅子

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    古い家具を修復し、仕立て直す職人の話。災害で持ち主がいなくなった家具が多い。家具に縁がある死者が自然に近くに存在していたりする。不思議な雰囲気。

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    2022年10月11日
  • 花盛りの椅子

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    「家具は部屋の時間をその身に記憶している。生活の時間の蓄積が美しく現れている家具は、どこか清潔な気配がある」までは、ふむふむ、さくさく読んでいたが、霊的な話が展開し始めて姿勢を正してしまった。初めての作家だけど不思議な空気感漂わせている。

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    2022年06月26日
  • 花盛りの椅子

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    杉江松恋さんのツイッターで発見。
    読んでると、ちょっと不思議で静謐、おまけにフルカラーのショートムービーを見てるような感じになる。
    作者は映像作家でもあるらしい。
    大震災の経験者が出てくる。
    「巣籠り箪笥」のラストはぞわっとした。

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    2022年06月23日
  • 花盛りの椅子

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    キャラクターが良く立ち上がっていて、鴻池さんもどんな女性か想像できるし、イケメンあり、癒しキャラの社長ありです。
    ただ家具が蘇って、心温まる話で終わるわけでは無いけど、本当に日本のどこかでこういう話ありそうだなーって思えるお話です。

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    2022年03月19日
  • 花盛りの椅子

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    記憶を紡いでくれる物たちの存在。
    短編集がそれぞれの震災と当時の家具たちをテーマにしていて、どれだけ壊れても、時間が経っても、その時の使われていた様子を家具は刻んでいるんだと心温まりながらも少し悲しい物語でした。
    どれだけ廃れてもそこに存在している限り、人が忘れてしまうような長い年月を静かに語りかけているような家具たちを見て、ものを大切にしようと思えます。
    そして、古家具屋で新たな命を吹き込まれてまた誰かの元へ流れて時を刻んでいく素敵な流れだなぁと。
    しかもその家具たちからのメッセージを感じる時が、また不可思議な光景が見えたり、鴻池さんには綺麗に見えていたり不思議体験な感じが神秘的でした。

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    2025年05月03日
  • 花盛りの椅子

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    どこかで好評価を見かけ、調べたら著者の清水裕貴さんは写真家、グラフィックデザイナーとして活躍している方と知って興味を持ちました。
    しかし、ダメでした。
    震災などで被災した家具を仕立て直して販売する家具店の 職人見習いの女性を主人公にした連作短編集です。過去を背負った家具を相手に、ごく自然な流れでオカルト的な話に入り込んでいくのですが、どうもそれが不自然に感じられるのです。普通、もう少し驚いたり、怖れたり、原因を探ったりするでしょう。
    不思議な世界が嫌いなわけでは無いのです。梨木香歩さんの『家守奇譚』も、川上弘美さん『神様』も、小川洋子さんの『沈黙博物館』も好きです。でも、この物語には入っていけ

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    2024年03月19日
  • 海は地下室に眠る

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    うーむ…。どう受け止めればいいのだろう。なんかスッキリしない。集中して一気に読めば、楽しめたのかなあー。

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    2023年03月25日
  • 花盛りの椅子

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    読書備忘録707号。
    ★★★。

    千葉県の田舎にある「森野古家具店」。
    全国から廃棄された家具を引き取り、リメイクして古家具として販売する。
    社長の森野さん独特の目利きで"これはっ!"という廃家具を見つけてくる。
    リメイクの方法が一風変わっている。箪笥を引き取ったら箪笥としてリメイクする訳ではなく、一部分だけを使って机として仕上げたりする。
    家具職人たちは、倉庫に陳列している廃家具を物色し、ピンときた家具を引き取って、リメイクして納品する。それを社長の森野さんがネットで販売する、という仕組み。

    主人公は家具職人見習いの鴻池さん(女子)。
    鳴かず飛ばずで9年。ひとつもリメ

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    2023年01月06日
  • 花盛りの椅子

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    職人見習いの鴻池さんが働く修繕工房「森野古家具店」には
    傷ついた古い家具がたくさん置かれている。
    リフォームして、新たな持ち主の元へと旅立つ。
    彼女は被災した家具から伝わることを静かに受け止める。

    「巣籠り箪笥」は少し怖いけれどエピソードに心惹かれる。
    震災のシーンを読むとき、ちょっと覚悟のようなものも必要だったけれど
    鴻池さん以外の登場人物が明るくて救われたかな。

    震災で亡くなった人たちの声はこのように
    何かの形で受け継がれ語り継がれていくのかもしれない。

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    2022年09月05日
  • 花盛りの椅子

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    古家具にまつわる怪異譚だが、主人公の語りが必ずしも信用できないこと、開示されない情報があることでミステリ的な要素も。
    作業場の奥でひっそり眠っていた被災家具が、突然ぬるっと様相を変える。呼び込んだ記憶は、思いのほか水分を含んで生臭くさえあるのに、突き放せない切迫さと愛おしさが、確かにある。

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    2022年06月17日
  • 花盛りの椅子

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    古い家具にまつわる様々な過去が、一人の女性家具職人の目を通して語られる連作短編集。

    廃棄されることになった古い家具の背景には、東日本大震災や阪神淡路大震災などの自然災害があり、霊的なものも現れて、薄暗く湿った雰囲気が漂っている。
    作者は美大で映像を専門に学んだというだけあって、情景の切り取り方がうまく、印象的な場面の光景は目に浮かんでくる。

    その一方で、言葉の使い方や文章は気になるところが多い。会話文で「ですねー」「でしょー」など平仮名の語尾に長音の記号を多用したり、「?」「!」「…」の記号もしばしば出てくる。全体を通してSNSのような軽い表記はかなり違和感があり、最後までなじめなかった。

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    2022年06月01日
  • 花盛りの椅子

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    震災などにより傷ついた家具をリメイクしている「森野古家具店」で働く「鴻池さん」。彼女自身、東日本大震災により家族が犠牲になっている。
    家具を使用している人はもとより、家具自体にも歴史や思いが込められている。それがリメイクされ新たな人の手に託され、人生と同じように家具も巡り巡りながら生きているのだなと思った。
    全体的に静に丁寧に話が進んでいくことから、家具にも癒すための時間が必要なのでしょうか。 

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    2022年03月12日
  • 花盛りの椅子

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    森野古家具店では、災害などで損傷した家具を回収し、家具職人がその中から作り直して販売している。そこで働く職人見習いの鴻池は、様々な人や家具と出会うことで、気持ちに変化が訪れる。


    人と共に家具にも歴史ありということで、背景にある天災がもたらした人々の心情には心苦しかったです。
    東日本大震災や阪神大震災など、そこで生き残った家具達が職人の手によって再生されていくということで、考え深いなとも思いました。

    「女による女のためのR−18文学賞」で受賞された清水さん。時々男女の描写で、エロい場面ではないのに艶かしい表現をされている所があったので、一瞬ドキっとしました。

    全体的には、ゆったりとした時

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    2022年03月04日