無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
・括弧の恋
・極刑
・耳鳴り
・言い損い
・五十年ぶり
・見るな
・言語生涯
・決戦ホンダ書店
・第惨事人体大戦
・親銭子銭
・質草
---
括弧の恋を見て、バカリズムのライブを思い出した。
記号や言葉、無機物を単なる表現の手段としてではなくあたかも生きているかのようにとらえた作品が印象的。(決戦ホンダ書店、親銭小銭)
後は言語障害に関わる作品も多い印象。(言い損い、言語生涯)
タイトルがタイトルなだけに、いずれも切り口は違えど言語に関わる話。
ふっと思いついた一見くだらない言葉遊びを何とも面白く小説として成立させてしまった、そんな印象の短編集。
Posted by ブクログ
ワープロの上で暴れ始める記号たち、ある日突然舌がもつれて落魄する元青年駅員、古書店で繰り広げられる小説と映画の仁義なき戦い…。
本書は言葉にまつわる、そんな奇想天外な物語を集めた短編集。
実は恥ずかしい話、井上ひさしの小説を読んだのは今回が初めてで、代表作のひとつで読売文学賞を受賞した「吉里吉里人」も、直木賞受賞作の「手鎖心中」も未読。
いつか読みたいと思いつつ、まず取っつきやすい短編集から手に取った次第。
全部で11編収められており、どの作品も巧みな構成と描写、それにどこか黒いものを感じさせるユーモアで、小説を読む醍醐味を存分に味わわせてくれます。
私は「極刑」が最も気に入りました。
劇団に所属する男二人(主人公の「私」と座付作者で演出家の北条)と女一人(加代)の三角関係を描いた作品です。
ここからはちょっとネタバレなので、これから読もうという方はご注意いただきたいですが、タイトルの「極刑」は北条が脚本を書いた演劇作品のこと。
北条はヒロインに加代を抜擢しますが、加代は北条を裏切った女。
そこで北条は脚本で、加代のセリフをまったく日本語の意味をなさないセリフばかりにして、ついに加代を体調不良、降板に追い込んで復讐を果たします。
その意図が最後に明らかになって戦慄しました。
いや、それも驚きましたが、それより何より言語について深く考えさせられました。
私たちは、意味をなさない言葉の連なりに多大なストレスを覚えるようです。
「どの台詞も意味をなしていないから、彼女は頭の中に意味の骨組をつくることができなかった。意味の骨組がないかぎり台詞をからだに滲み込ませることは不可能である。加代は腸をこわした。」
いや、抜き差しならない作品ですよ、これは。
あと、読んでいて何度か既視感を覚えました。
私が大ファンの筒井康隆さんとユーモアの感覚が似ているのですね。
解説はその筒井さん。
なんと贅沢な本でしょう。
Posted by ブクログ
先日読んだ『十二人の手紙』が非常に良かったので、別の作品に手を出してみる。
タイトルから想像していたけど、なるほど、筒井康隆の香りもするなぁと思っていたら、まさかの御本人が解説で、笑ってしまった。
「括弧の恋」
ワープロの機能不調。
カギカッコ閉じるを押しても出てこないタイムラグの裏には、記号たちの織りなす世界があった。
このテーマ、ウェブ世界にも応用出来ないかな。
そうすれば、パソコンが重いことの裏には、こんな記号世界があるのかもと笑っていられるのに。
「極刑」
アクバル大帝の言語実験を劇にする話。
赤ん坊に対し、ある者はきちんとした言葉で話し、ある者は文法的には合うが通じないことを話し、ある者は何も意味をなさないことを話す。
人間にとって言葉を与えられないことは「極刑」と同じであり、この実験の酷さに気付いた三人の乳母は、言葉の教育を始めるが、アクバル帝によって舌を抜かれてしまう。
これは劇のあらすじなのだけど、この劇を演じる演者たちへの影響が面白い。
「言い損ない」
後に出てくる「言語生涯」と同じテーマ。
母親を通した異性への恐怖から、女性を前にすると激しい言い間違いをしてしまう男の話。
これも、言葉が伝わらないことへの恐怖があって、そういう意味では吃音とも重なるのでは。
焦るほど、上手くいかなくなってしまう男の心理が辛いなぁと思って読んでいたけれど、最後に、とある希望が見出されて、嬉しかった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。