小説・文芸 - 新潮社作品一覧

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  • ノモレ(新潮文庫)
    4.3
    遥か昔、ペルー・アマゾンの奥地。白人に奴隷化された先住民イネ族の男が主人を殺し、仲間と逃げた。全滅を避けるため二手に分かれ、それきりに。密林で語り継がれた別れの記憶と再会の願い。「森で別れた仲間(ノモレ)に会いたい。友(ノモレ)を探してくれ」――。百年が過ぎ突如現れた未知の先住民と接触したイネ族のロメウは、彼らがノモレの子孫ではないかと感じ始める。人間の存在を問う圧巻の記録。(解説・東畑開人)
  • のらねこ風俗嬢―なぜ彼女は旅して全国の風俗店で働くのか?―
    -
    デリヘル嬢となったシズカが、日本各地の風俗街で働き始めて2年が経とうとしている。現在、30歳。一つの店で働くのは最短で一週間、長くても一カ月。そして次の県へと向かう。彼女は、どうしてそのようにしてしか生きられなくなったのか――。「新潮45」の人気連載に著者撮り下ろしのカラー写真を収載、元優等生の「こころ」と「カラダ」の軌跡を辿る魂のルポルタージュ、完全電子書籍化!
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    4.2
    1巻1,408円 (税込)
    河川敷で猫と暮らす柳さんは、アルミ缶を集めて生活費とキャットフード代を稼いでいる。あちこちでホームレスが増えてきたある日、「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見つける。やがて国ぐるみで野宿者を隔離しようとする計画が……。ほんの少しだけ未来の日本を舞台に、格差、貧困、差別の問題に迫る新鋭の力作。
  • 乗合船―慶次郎縁側日記―(新潮文庫)
    3.0
    根岸の酒問屋に寮番の身で隠居する森口慶次郎のもとには、今日も様々な事件が持ち込まれる。かつて「仏」と呼ばれた腕利き定町廻り同心は、最愛の娘を不幸な事件で亡くした傷を心に隠し、今日も江戸の市井の人々の苦しみに耳を傾け、解決のみちすじをさりげなく示すのだった。そんな慶次郎の元に、婿養子の晃之助が急襲されたとの一報が届くが……。畢生の傑作シリーズ、ついに最終巻!
  • 乗り遅れた女
    -
    新幹線に乗り遅れたと、東京駅から新潟までタクシーを飛ばした女は、好物のはずの夕食の蕎麦をなぜ残したのか?──「乗り遅れた女」。深夜タバコを買いに出、交通事故に遭った男の妻とその犯人は、なぜ監察医に会いに行ったのか?──「三分のドラマ」。もしかしたら犯人は私だったかもしれない……。身近で緻密なミステリー6編。快いミスリードをお楽しみください。

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  • 暢気眼鏡
    4.0
    疑うことを知らぬ天真爛漫な若い新妻との貧乏暮しを爽やかな筆に綴った名作「暢気眼鏡」。祖父母と父の最期を語る「父祖の地」。胃潰瘍による大出血から辛うじて生還するまでの顛末「こおろぎ」。ほかに「猫」「芳兵衛」「擬態」「玄関風呂」「痩せた雄鶏」「華燭の日」「退職の願い」。生の苦渋と辛酸を、著者の虚飾ない善意と誠実さに巧まずしてにじみ出すユーモアに包んで描いた、ふくよかな心境小説の佳品全10編を収めた。
  • ノンちゃんの冒険
    5.0
    1巻330円 (税込)
    上京して女子短大英文科に籍を置くこと一年余、はたちにもならないノンちゃんに、子供ができた。父親たる哲学君は、“世界が暮れ落ちる今、ぼくらは旅立つのだ”と呟やいて家を出たまま、行方が知れない。生むべきか、生まざるべきか……? 終末観ただようこのアスファルト・ジャングルで、生き難い世を生き続けるすべての人々に、スリリングで心暖まる、都会のメルヘンを贈る。
  • ノーラ・ウェブスター
    4.3
    夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
  • はい、泳げません
    3.8
    超がつく水嫌い。小学生の時にプールで溺れて救急車を呼ばれた。大人になっても、海・湖・川などたくさんの水を見るだけで足がすくむ。なのに、なぜか水泳教室に通う羽目に。悩みながら、愚痴りながら、「泳げる」と「泳げない」の間を漂った2年間。混乱に次ぐ混乱、抱腹絶倒の記録。史上初、〈泳げない人〉が書いた水泳読本。泳げるようになって、人生変りましたか、ヒデミネさん?
  • 徘徊タクシー(新潮文庫)
    3.3
    徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。ボケてるんだろうか。いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ! 認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を立ち上げた恭平と老人たちの、時空を超えたドライブを描く痛快表題作と、熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」など、三編を収める新編集小説集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。
  • ハイ!こちらぬいぐるみ病院です。
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 患者もナースもお医者さんも、みーんなぬいぐるみ! ここはケガをしたり、痩せてしまったぬいぐるみが集まる病院。初めて訪れたうさぎのすももさん、ちょっぴり不安な面持ちで入院しますが……。実在する病院を舞台にした、大切なあの子をぎゅっとしたくなる“ぬいぐるみ版トイ・ストーリー”。お子様の読みきかせにも。
  • はい、こんにちは―Chim↑Pomエリイの生活と意見―
    4.5
    1巻1,980円 (税込)
    広島の空に「ピカッ」という文字を飛行機雲で描くなど、アートシーンの最前線を疾走するChim↑Pomのフロントウーマン・エリイ。新しい「にんげん」を子宮からドゥルンと送り出して母になるとき、この世の光が見えてくる。芸術家のたった一度しかない体験を躍動することばでとらえた鮮烈なドキュメント!
  • 廃市・飛ぶ男
    3.8
    誇り高い姉と、快活な妹。いま、この二人の女性の前に横たわっているのは、一人の青年の棺。美しい姉妹に愛されていながら、彼はなぜ死なねばならなかったのか……? 夏雲砕ける水郷に茜の蜻蛉の舞い立つとき、ひとの心をよぎる孤独と悔恨の影を、清冽な抒情に写した秀作「廃市」。ほかに「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」「影の部分」「未来都市」「夜の寂しい顔」の7編を併録。
  • 背進の思想(新潮新書)
    3.5
    ただひたむきに前を向いて「前進」するだけが、生きることではない。いつの時代も、人は何万年もの記憶の集積の上に今を生き、自分もまた忘れがたい過去の集積体なのだ。雑事に追われる日々の中に、無意識の声、遠い過去からの足音が聞こえてくる。変わり続ける世相の中にも、予測しえない未来がふと浮かぶ。ときに反時代的であっても、後ろを向きながら前へ進む――混迷と不安の時代を生き抜く「背進」の思想。
  • 背徳者
    3.6
    ジッドがアフリカに旅して病気になり、回復後に生命の喜びを見出した当時の魂のありさまを、告白的に小説として描いたもの。一考古学者がアフリカに新婚旅行に出かける途中大病にたおれて、一時は死に瀕するが、ようやく回復期に至ったとき、生きる喜びを知り、彼の心に一大革命が起る。既成のモラルや組織に安住できぬ魂の苦悩を綴った、ジッド最初の物語作品。一九〇二年作。
  • ハイドラ(新潮文庫)
    3.8
    出会った瞬間から少しずつ、日々確実に、発狂してきた――。有名カメラマン新崎の専属モデルを務める早希は、私生活でも密かに彼と同棲している。付き合って三年を過ぎ、セックスの時以外は体に触れてこない新崎。不均衡な関係に深い倦怠感を覚えるなか、ずっと早希のファンだったというバンドマンの松木と出会う。ひずみのない愛を求めては傷つく女性の心理に迫る、傑作恋愛小説。
  • 敗北からの芸人論
    3.9
    次々と後輩に追い抜かれて酒と競馬に明け暮れた加藤浩次が掴んだ思考法、長い下積みを経て今売れまくるオードリーの瞬発力、爆発的ブレイクのかまいたちが覚醒した理由――。どん底から這い上がった21組の生き様を、ノブコブ徳井が熱を込めて語る! 連載時累計700万PVを突破した、誰もが共感できるお笑いエッセイ。
  • 敗北からの芸人論 無料お試し版
    無料あり
    5.0
    次々と後輩に追い抜かれて酒と競馬に明け暮れた加藤浩次が掴んだ思考法、長い下積みを経て今売れまくるオードリーの瞬発力、爆発的ブレイクのかまいたちが覚醒した理由――。どん底から這い上がった21組の生き様を、ノブコブ徳井が熱を込めて語る! 連載時累計700万PVを突破した、誰もが共感できるお笑いエッセイ。本編から「東野幸治」「吉村崇」「千鳥」「渡辺直美」「EXIT」の各章を収録した無料お試し特別版!

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  • 廃炉―「敗北の現場」で働く誇り―
    4.3
    東日本大震災から10年。福島第一原発では40年かかる廃炉作業が今日も続く。最先端技術と使命感を胸に、数多の困難を乗り越える技術者。それを裏で支える救急医や食堂スタッフ。福島を離れまいと異動を拒むキャリア官僚。「加害者」になることを厭わず、東電を選んだ新入社員――。逆境の中、しんがりを務める彼らの想いを紡ぐ。
  • ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商―
    3.8
    19世紀からアメリカに進出し、日本美術品を大量に販売した骨董商・山中商会。20世紀初には清朝崩壊で大量放出された中国美術の大オークションをニューヨークやロンドンで開くが、日米開戦で莫大な資産を失い、所蔵コレクションは全て売り払われる。歴史の荒波に揉まれて消えた、世界的美術商の知られざる六十年。

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  • 覇王の譜(新潮文庫)
    4.5
    「お前は一流にはなれんよ」。七年間、C級2組から這い上がれない直江大に剛力英明王座はそう言い放つ。旧友との目も眩むような格差。だが、天才少年との邂逅、“孤剣”の異名を持つ師の特訓が、燻っていた直江を覚醒させる。彼の進む道の先には運命の対局が待ち受けていた。元奨励会会員、将棋を深く知る著者が青年棋士の成長と個性あふれる棋士群像を描く。魂震わす将棋エンターテインメント。(解説・西上心太)
  • 墓が語る江戸の真実(新潮新書)
    3.5
    なぜそこにあるのか、誰が建てたのか、並び方の意味は……。墓は歴史を知り、その真実を浮かび上がらせる。悪女と恨まれた側室と藩主の絆(鹿児島・福昌寺)、後継ぎの兄よりも弟の自分を愛してくれた母への強い思い(高野山奥の院)、死後も将軍家を見守ろうとした乳母の執念(湯島麟祥院)、百万石の安泰をもたらした不遇の兄への気配り(金沢・野田山墓地)……。墓が語る、江戸時代の愛憎と恩讐の物語十話。
  • 博士の本棚
    3.8
    図書室で夢中になった『秘密の花園』『小公子』、でも本が無い家だったので愛読書はなんと『家庭の医学』だった。13歳で出会った『アンネの日記』に触発されて作家を志す。オースター、ブローティガン、内田百けん、村上春樹……本への愛情がひしひしと伝わるエッセイ集。思わぬ出会いをたくさんもたらしてくれた『博士の愛した数式』誕生秘話や、愛犬の尻尾にふと白毛を見つけた感慨なども。
  • はかぼんさん―空蝉風土記―
    4.0
    風に揺れる枝垂れ柳が美しい京都の高瀬川で、少年が自殺した。白衣白袴という異様な姿で。死の背景には、旧家に伝わる謎の儀式があった(「はかぼんさん」)。身を持ち崩した一人の男を救ったのは、海辺の漂着物だった(「夜神、または阿神吽神」)。緑豊かな信州に嫁いだ女性。夜半、婚家に「鬼」が訪れる――(「鬼宿」)。各地を訪ね歩いて出逢った、背筋が凍り、心を柔らかく溶かす奇譚集。
  • 鋼の魂―僕僕先生―
    3.7
    唐、吐蕃、南詔の三国が支配を狙う雲南の国境地帯。この地を訪れた一行は、孤児を引き取って暮らす男女、宋格之と呉紫蘭に出会う。やがて大国の争いは激化し、子ども達に危機が迫る中、僕僕らは村に伝わる守り神「鋼人」の封印を解くため、湖底へと向かう。迫りくる軍勢。進まぬ国家間の和解。裏で糸を引く「胡蝶」。戦争前夜の狂騒を前に、王弁は何を思う? 緊迫のシリーズ第六弾!
  • 鋼のメンタル(新潮新書)
    3.7
    他人の目が気になってしかたがない、悪口に落ち込む、すぐにクヨクヨする、後悔を引きずる、人前であがってしまう……そんな悩みを抱える人は多いでしょう。でも大丈夫。考え方ひとつで、誰でも「精神の強さ」は鍛えられるのです。マスコミ、ネットで激しいバッシングを受けても、へこたれず我が道を行く「鋼のメンタル」は、どのように形成されたのか。著者初の人生論にして、即効性抜群の実践的メンタルコントロール術!
  • 吐きたいほど愛してる。
    4.1
    1巻572円 (税込)
    凍えるような二月のある夜、僕のアパートのドアの前に座り込む女性がいた。黒く長い髪。透けるような白い肌。壊れそうな細い腕。彼女の名は「まゆか」――。可憐な美少女が味わう生き地獄、迷惑な妄想逆ギレ男の勘違い愛、夫の帰りを正座して待ち続ける壊れた妻、非道の限りを尽くして虐待される寝たきり老人……。ここにあるのは、異常と狂気。でもこれも「愛」! 自己の中心で叫んだ、残酷なまでに強烈すぎる四つの過激な「愛」。

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  • 白雨―慶次郎縁側日記―
    4.6
    滝のような夕立に、江戸が白く煙る午後、木綿問屋の宗右衛門が軒先に飛び込んできた。飯炊き寮番の佐七は煎餅をふるまって、老いの孤独な境遇を語りあう。普段は慶次郎だけが示してくれる優しい気遣いに触れ、佐七はうれしさを抑えがたいが、それを聞いた蝮の吉次は胸騒ぎが収まらない……。老境の日々を照らす小さな陽だまりを描く表題作ほか、江戸の哀歓を見守る慶次郎の人情七景。
  • 薄桜記
    3.7
    愛する妻の過ちから左腕を失って浪人し、はからずも非業の運命を生きることになる当代一の使い手・丹下典膳。高田馬場の決闘で一躍名をあげ、素浪人の身の上から浅野の家臣となる闊達な正義漢・中山安兵衛。かの〈忠臣蔵〉事件にまきこまれた二人は、互いに友情を抱きながら、やがて敵味方に別れてゆく――泰平の元禄の世を揺るがした赤穂義挙の裏話として無類の面白さを放つ時代長編。
  • 伯爵夫人(新潮文庫)
    3.9
    ばふりばふりとまわる回転扉の向こう、帝大受験を控えた二朗の前に現れた和装の女。「金玉潰し」の凄技で男を懲らしめるという妖艶な〈伯爵夫人〉が、二朗に授けた性と闘争の手ほどきとは。ボブヘアーの従妹・蓬子(よもぎこ)や魅惑的な女たちも従え、戦時下の帝都に虚実周到に張り巡らされた物語が蠢く。東大総長も務めた文芸批評の大家が80歳で突如発表し、読書界を騒然とさせた三島由紀夫賞受賞作。(解説・筒井康隆 黒田夏子 瀬川昌久)
  • 白痴
    3.9
    白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。

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  • 白蝶花
    4.0
    傾いた家のために財閥の妾となった泉美、貧しさ故に芸妓として売られた姉妹の菊代と雛代、奉公先で書生の子どもを身籠る千恵子、豪奢な屋敷で愛に飢える県知事令嬢の和江。人生を選びとることも叶わず、女は明日死ぬかも判らぬ男を想うしかなかった時代──戦前から戦後の不自由さを吸い上げ、荒野の日本で美しく野性的に生を全うした彼女たちが咲かす、ドラマティックな恋の花。
  • 白髪の唄
    4.0
    「白髪というものは、時によって白く見えたり黒く見えたりするものですね」―知りもしない唄をゆるゆると、うろ声を長く引いて唄うような気分。索漠と紙一重の恍惚感…。老鏡へ向かう男の奇妙に明るい日常に、なだれこむ過去、死者の声。生と死が、正気と狂気が、夢とうつつが、そして滑稽と凄惨とが背中合せのまま、日々に楽天。したたかな、その生態の記録。毎日芸術賞受賞。
  • 薄妃の恋―僕僕先生―
    3.9
    あれから5年目の春、ついに先生が帰ってきた! 生意気に可愛く達観しちゃった僕僕と、若気の至りを絶賛続行中の王弁くんが、波乱万丈な二人旅へ再出発。さっそく道中の漉水のほとりで、男女の熱愛現場に遭遇した一行。しかしそれは、人間の男と、すでにこの世のものでなくなった女との、悲しい恋の目撃だった──新しい旅の仲間も増えて、ますます絶好調の僕僕シリーズ第二弾!

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  • 覇権なき時代の世界地図(新潮選書)
    -
    米中の拮抗、G7主導体制の後退、権威主義や独裁国家の台頭、ウクライナやパレスチナの戦争、影響力を増すグローバルサウス――「自由・民主主義・法の支配」が脅かされる危機の時代に、日本が採るべき道と果たすべき役割は何か? 国連・JICAでの経験を通じて世界の現実を見た国際政治学者が提唱する地政学的思考!
  • 烈しい生と美しい死を
    5.0
    かつて女は闘った。平塚らいてう、田村俊子、岡本かの子、伊藤野枝、管野須賀子……。「青鞜」と大逆事件の時代、百年前の女性たちは因習に立ち向かい、烈しく恋と革命に生き、命を燃やし尽くして潔く美しい死を選んだ。翻って、現代を生きる女性は本当の自由を勝ち取ったのだろうか――。九十歳を迎えた著者が波乱万丈の己が人生と重ね、渾身の筆で描き出す百年の女性賛歌。
  • ハゲとビキニとサンバの国―ブラジル邪推紀行―
    3.0
    燦燦と降り注ぐ太陽、ビーチに寝転ぶ「イパネマの娘」、カーニバルでサンバを踊り、路上でサッカー。そんなエキゾチックなイメージが無限増殖する国、ブラジル。しかし、はるばる地球の裏側に足を運んでみると……。なぜか愛されるハゲ、小さなビキニの秘密、日本人のトホホな扱い、カトリックの下心など、当地の文化や風俗は意外なことばかり。生まれも育ちも京都の学者が、W杯や五輪開催で注目のブラジルから日本を考える。

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  • 箱とキツネと、パイナップル
    3.4
    1巻1,760円 (税込)
    大学を卒業し、引っ越した先はレトロな名前の一見普通のアパート。だけど、しょっちゅう届く大家の回覧板メールに、個性豊か過ぎる住人たち、更に怪現象が続き、新生活はのっけからてんやわんや。しかも、お稲荷様に祟られているなんて、一体ここはどうなってるの!? 新潮ミステリー大賞選考会を紛糾させた話題作が登場!
  • 箱根 愛と死のラビリンス
    2.7
    殺害されたトラベルライターが遺した箱根の観光地図には「一つ二つで、人殺し/三つ四つで、仇討ち…」という奇妙な文句が記されていた。しかし殺人犯と目された男は撲殺死体となって大涌谷で発見される。その文句が、時価数億円という幻の名画の行方に関係していることを掴んだ十津川警部と亀井刑事は、事情を知る美術評論家を訪ねるが…。箱根・奥湯河原に展開する白熱の追跡劇。
  • 方舟を燃やす
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよ――。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
  • 破婚―18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間―
    3.8
    『残酷な天使のテーゼ』『淋しい熱帯魚』で人気の作詞家がトルコ人元夫との超劣悪婚の全てを赤裸々に告白。金の亡者となった彼に買ったものは、マンション、車、ホテル。そして旅行会社までも設立する羽目に。愛を信じて結婚したのに、やはり愛だけでは足りないのか。ダメージラブから脱出したいあなたに贈る究極のバイブル。
  • 破獄
    4.1
    1巻616円 (税込)
    昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和22年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

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  • 葉桜の日(新潮文庫)
    3.8
    1巻561円 (税込)
    ナイーブな少年の感性をもちながら裸で大人の世界に一歩を踏みだす青年たちを、生き生きと爽やかに描く。表題作のほか、「果実の船を川に流して」(三島由紀夫賞候補作)を併せて収録。
  • 狭間の者たちへ
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    保険営業所に勤める藤原は、通勤電車で見かける少女に日々「元気」をもらっていた。ある日、同じ少女を盗撮する男との奇妙な交流が始まり――。痴漢加害者の心理を容赦なく晒す表題作と、介護現場の暴力を克明に刻む新潮新人賞受賞作を収録。愚かさから目を背けたいのに一文字ごとに飲み込まれる、弩級の小説体験!
  • はしからはしまで―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    4.4
    看板娘のお瑛と兄の長太郎が営む三十八文店の「みとや」。のんきで憎めない兄が仕入れる品々は、毎度ちょいとした騒動を巻きおこす。その日も長太郎は、仕入れの荷も解かずに、笑顔で出掛けていったのだが……。残された板紅や水晶に込められた優しい思いとは。かけがえのない思い出と喪失を胸に、それでもお瑛は生きていく。兄と始めた、小さいけれど大切なこの店で。シリーズ第三弾の六編。(解説・大矢博子)
  • 橋下徹継父の「闇金融、保険金詐取疑惑」
    -
    橋下徹・大阪市長の実母とその再婚相手のもとに、2013年夏、一通の内容証明郵便が届いた。彼らが経営していた朝日新聞拡張団に対し、元団員が保険積立金の返還請求をしたものだったが、その内容を仔細に分析してみると、驚くべき事実が浮び上がってきた。その拡張団は何年にも渡って闇金融を行い、また保険金詐欺を繰り返してきた形跡があったのだ。
  • 走れメロス
    4.0
    1巻440円 (税込)
    人間の信頼と友情の美しさを、簡潔な力強い文体で表現した『走れメロス』など、安定した実生活のもとで多彩な芸術的開花を示した中期の代表的短編集。「富士には、月見草がよく似合う」とある一節によって有名な『富嶽百景』、著者が得意とした女性の独白体の形式による傑作『女生徒』、10年間の東京生活を回顧した『東京八景』ほか、『駈込み訴え』『ダス・ゲマイネ』など全9編。

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  • 恥も外聞もなく売名す
    4.0
    主従身分は当座のこと。もののふなれば、己れの主を己れのみと定めるべし。時は関ヶ原の大乱直後。藤堂高虎家中にあっても媚びずなびかず、「恥知らず」と罵られても、名を上げることに命を燃やした渡辺勘兵衛。乱世を生きる意地と矜持、反骨と覚悟を交錯させ、「真のもののふ」と仰がれた生涯を鮮烈に描く大注目の武将物語!
  • 破船
    4.3
    1巻528円 (税込)
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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  • 旗本退屈男
    -
    頃は元禄、花のお江戸の夕まぐれ、宗十郎頭巾のその裏に、眉間の傷をば隠しつつ、悠々然と現われるのは、御存じ旗本退屈男! 喧嘩口論、悪人成敗、命のやりとり、白刃くぐり、退屈凌ぎの荒事あれもこれも、万事引受け候と、京、三河、身延、仙台、日光を旅して回り、はては伏魔殿なる千代田城に乗り込んで、演じてみせるは火花散る大剣戟、これぞ三河武士の気をしたたかに吐く。
  • はだかのゆめ
    5.0
    1巻2,090円 (税込)
    東京から遁走して着いた四万十川の辺は、生死の境を越えた聖なる空間だった。――流される日々の中でみた夢。祖父が晩酌の時間にこぼす愚痴。母の洗濯物を干す音。父の風呂場から聞こえてくる音痴な歌。十数年の生死の記憶が詩的な言葉で鮮やかに蘇る。青山真治が「最後の映画作家」と激賞した逸材が放つ心を揺さぶる世界!
  • 八月十五日の夜会
    3.5
    1巻550円 (税込)
    最後まで聴き終わったとき、僕は長い旅から戻ったような気がしていた……。大学生の秀二に渡された3本のテープ、生々しい肉声。一発の砲弾も撃ち込まれなかった「平穏な」伊是名島で、何が起きたのか。真夏の闇、敗残兵たちの影、島民のスパイ疑惑、無意味な死。「秘められた戦争」に迫り、人間の真実と生への励ましを伝える力作長編。

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  • 八月の博物館
    4.2
    1巻1,001円 (税込)
    小学生最後の夏休み。少年トオルは、偶然に見つけた不思議な建物「THE MUSEUM」で、謎の美少女・美宇に出会う。あらゆる時代と場所へ、時空を超えて移動することが可能なこの建物の中で、過去のエジプトへ飛んだ二人。しかしその冒険は、長く封印されていた邪悪な力を召喚し、大人になった未来の自分自身さえも呼び寄せてゆく。壮大なスケールで展開する、物語のワンダーランド。

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  • 8月の果て(上)(新潮文庫)
    完結
    4.0
    全2巻935円 (税込)
    日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへ押し上げる。
  • ハチミツ
    3.7
    1巻1,144円 (税込)
    三七歳の澪、二七歳の環、一七歳の杏。歳の離れた三姉妹だけどそれなりに仲良く暮らしている……はずだった。しかし次女、環の望まぬ妊娠をきっかけに、姉妹に転機が訪れる。やっと大切なものがわかりはじめた三人が選んだ、それぞれの道とは? 女子なら誰でも覚えのある悩みや迷いのあれこれを、暖かく包み込むガールズ長編。

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  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)
    4.2
    岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋。「旧石器の神様」と呼ばれた考古学者、芹沢長介。日本人の根源を辿る考古学界において、歴史を変えたその新発見は激しい学術論争、学閥抗争を巻き起こす。やがて沈殿した人間関係の澱は、日本を震撼させた「神の手」騒動に流れ着き――。微に入り細を穿つ徹底取材が生んだ骨太ノンフィクション。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』改題。
  • 発酵野郎!―世界一のビールを野生酵母でつくる―
    3.8
    戦国時代創業の老舗餅屋から始まった快進撃の原動力は、幼い頃からの「微生物」好きだ。伊勢の森で野生酵母を採取、単離し、ビールに仕上げる途上で博士号まで取得する情熱と凄腕ぶり――とは裏腹に、失敗続きのトンネルを抜けたのは40代になってから。好きこそものの上手なれ! これぞ「研究開発型」人生、新たな働き方のかたち。
  • はつ恋
    3.9
    16歳のヴラジーミルは、別荘で零落した公爵家の年上の令嬢ジナイーダと出会い、初めての恋に気も狂わんばかりの日々を迎えるが、ある夜、ジナイーダのところへ忍んで行く父親の姿を目撃する……。青春の途上で遭遇した少年の不思議な“はつ恋”のいきさつは、作者自身の一生を支配した血統上の呪いに裏づけられて、無気味な美しさを奏でている。恋愛小説の古典に数えられる珠玉の名作。

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  • 初夏の色
    3.8
    1巻1,232円 (税込)
    震災後の日々をともに過ごす同棲中の二人、震災の直前に九十一歳で逝った謹厳な父、被災地に暮しつづける酪農一家の、言葉少なにたがいを思いやる姿……。日常の細部と感情のディテールをリアルに描きだし、それぞれの胸に宿る小さな光、生きる意志を掬いとる。大地震を経て生きる日本人をつぶさに見つめようとする短篇集。
  • 果ての海(新潮文庫)
    -
    階段の下で息絶えた男。愛人の鶴野圭子は、全てを捨てて逃げることを決めた。出会い系で知り合った元ホストの鈴木の伝手で整形し、美貌と偽名を携え福井の芦原(あわら)温泉へ。だが仲居やコンパニオンとして働く中で厄介な人間関係に巻き込まれ、頼りの鈴木も音信不通となった。東尋坊での自死が頭をよぎるが、圭子には生きて逃げ続けなくてはならない理由があり――。女の生き様を描く傑作サスペンス。(解説・原武史)
  • 波止場にて
    4.5
    1巻2,024円 (税込)
    関東大震災後の横浜に生まれた異母姉妹の慧子と蒼。ミッションスクール、ジャズ、ダンスなどのヨコハマ文化を楽しみ、恋を知る二人。しかし戦争の暗雲が港町を覆い尽くす。3・11以降の日本で書かずにいられなかった、戦争と平和、生きることの歓びと哀しみ。
  • 花あらし
    -
    「一度会いに来るよ」――愛しい夫の言葉を頼りに、夫の故郷を訪ねた妻が満開の桜の中に見たものは……。美しく妖しい味わいの表題作ほか、白い蜘蛛とも、白い蟹とも、白い手首とも見えるものが、月光の下を這いまわる不気味な感触の「白い蟹」など、新鮮なアイデアと巧妙な仕掛けが生きる12編。きっと泣ける純愛ホラー。達人アトーダの名人芸をたっぷりお楽しみください。

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  • 華岡青洲の妻
    4.2
    世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
  • 花探し
    3.6
    イケよ、と綿貫は命じた。「我慢しないでイケよ」――男が射精するのをこらえるように、舞衣子は別のことを考える。だって男に命じられるのは好きじゃない。男を選ぶのは私――。舞衣子は不動産王に磨き上げられた愛人のプロ。美しく洗練された容姿を高級ブランドに包み、ベッドではテクニックの限りをつくす。そんなある日、舞衣子は新たな「男」を探すことを決意する。とにかく金を持っている男。それを惜しみなく女に遣う男を――。SM趣味の御曹司、一夜に何度もイカせる有名作家……秘密の館で、ホテルのベッドで、官能と欲望の日々がはじまる。果たして次の「男」は……

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  • 花散る里の病棟
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれ――。現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く感動作完成!
  • 花に埋もれる
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。
  • 花匂う
    3.6
    幼なじみの多津が嫁ぐ相手には隠し子がいる。それを教えてあげようとして初めて、直弥は自分が多津をずっと愛していたのだと気づく。そうであるからには隠し子のことは告げるわけにはいかない。中傷になるから…。その後の二人のたどる歳月を通し、人生の深い味わいを感動的に語りかけた表題作。ほかに「矢押の樋」「愚鈍物語」「椿説女嫌い」「蘭」「渡の求婚」など全11篇を収める。

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  • 花に眩む
    5.0
    1巻220円 (税込)
    私の肌には赤い花が咲く。彼女と出会った夜も、彼の去った朝も――。出会った次の日、しまは私のアパートに転がり込んできた。しまといると、まっすぐに求められる。しまに求められると、なにもかもを叶えてあげたくなる……。大好きな高臣さんには、しまが来てから、一週間も電話をかけていなかった。この人におやすみを言って貰わなければ眠れなかったのに。でも高臣さんの低く甘い声を聞くと、途端に、ど、と体の内側があたたかく濡れた。かきまぜられたときのあの感覚を思い出して……独特の世界観で描かれる、第9回R-18文学賞読者賞受賞作。

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  • 花になるらん―明治おんな繁盛記―(新潮文庫)
    4.0
    皆が信用する、そんな逸品だけを揃えましょう――智恵も回るし手も早い、京の呉服商「高倉屋」の御寮人(ごりょん)さん・みやびが目指したのは、皇室御用達の百貨店になること、そして世界を相手に日本の工芸美術の素晴らしさを知らしめることだった。女だてらにのれんを背負い、幕末から明治を生き抜いて、皇室御用達百貨店「高倉屋」の繁栄の礎を築いた、破天荒な女主人の波瀾の人生を描く一代記。(解説・久坂部羊)
  • 花盗人
    4.0
    「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったものは、私のすべて」――。自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった……。表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。デビュー当時から直木賞受賞第一作まで、乃南アサの幅広い作風が楽しめる文庫オリジナル短編集。
  • 華のかけはし―東福門院徳川和子―(新潮文庫)
    -
    1巻1,045円 (税込)
    家康の孫娘、和子(まさこ)は「徳川の血を引く天皇の誕生」という悲願のため、後水尾天皇のもとに入内した。二度と、江戸の土は踏めぬ――。一触即発の朝幕関係、待望した皇子の夭折(ようせつ)、夫帝の突然の譲位。次次と襲いかかる荒波を持ち前の天真爛漫(てんしんらんまん)さと芯の強さで乗り越え、彼女は両家の対立を超えた存在となってゆく。歴史上唯一、皇后となった徳川の姫の、稀有(けう)な生涯を描いた大河長編。『華の譜』改題。(解説・近藤サト)
  • 華の血族
    3.0
    平安時代から脈々と続く堂上華族・梅渓家の娘として生まれた〈私〉は、やがて日本最古にして最大の華道流派池坊の家元に見初められて結婚するが――。その華やかさ故に、さまざまな毀誉褒貶にさらされながらも、幾多の波瀾を乗り越え、衆議院議員を経て今振り返る、あたかも小説のような〈女の一生〉。

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  • 花のれん
    3.9
    船場に嫁いだ多加は頼りない夫を立ててよく働くが、夫は寄席道楽に耽って店を潰す。いっそ道楽を本業にという多加の勧めで場末の寄席を買った夫は、借財を残したまま妾宅で死亡する。多加のなりふりかまわぬ金儲けが始まった。金貸しの老婆に取入り、師匠たちの背中まで拭い、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜く──。大阪商人のど根性に徹した女興業師の生涯を描く直木賞受賞作。
  • 花のワルツ
    4.0
    踊子としての天分に恵まれた友田星枝。星枝の奔放さに苛立ちながらも良きライバルとして切磋琢磨する早川鈴子。洋行から5年ぶりに帰国した男性舞踊家・南条が松葉杖をついているのを目にしたとき、2人がとった行動とは……。表題作のほか「イタリアの歌」「日雀」「朝雲」の3編を収録。

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  • 花祭
    -
    中学生の「僕」は、成績不良のため、先生が住職をしているお寺に「入院」させられる。環境の変化に期待と緊張をつのらせる「僕」を、待っていたのは相変らず退屈な日常だった。倦怠の中で無気力な日々を送る「僕」。だが、その体に不思議な変化が訪れようとしていた――。性にめざめてゆく思春期の少年の、不安やとまどい、焦りや憧れを、独特のユーモアで描破した書下ろし長編。
  • 鼻眼鏡
    -
    1巻330円 (税込)
    汽車の中で見かけたハーフのような顔立ちの少年を気にかけながら、つまらない日々を学校で過ごす主人公。卒業してから五年も経ったある日、偶然向こうから「彼」が歩いてきて……さわやかな読後感を残す表題作ほか「RちゃんとSの話」「私とその家」「或る小路の話」「セピア色の村」「煌ける城」「WC」の6編を収録。
  • 花も刀も
    3.5
    没落した家運を剣によって再興しようと淵辺道場に入門した平手幹太郎(造酒)は、稽古おさめの試合で筆頭代師範を破るが、その夜、破門を命じられる。強い自負心と出世への野望を秘め、酒も飲まず女遊びもせずに剣ひと筋に励みながら、その努力が空回りし、ついには意味もなく人を斬るまでの失意の青春を描く『花も刀も』。ほかに『枕を三度たたいた』『源蔵ヶ原』など全8編を収める。

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  • 花森安治伝―日本の暮しをかえた男―
    4.0
    全盛期には100万部を超えた国民雑誌『暮しの手帖』。社長・大橋鎭子(しずこ)と共に会社を立ち上げた創刊編集長・花森安治は天才的な男だった。高校時代から発揮した斬新なデザイン術、会う人の度肝を抜く「女装」、家を一軒燃やした「商品テスト」。ひとつの雑誌が庶民の生活を変え、新しい時代をつくった。その裏には、花森のある決意が隠されていた――。66年の伝説的生涯に迫る渾身の評伝。 ※新潮文庫に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 花宵道中
    4.3
    どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。あの日、あんたに逢うまでは――初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。R-18文学賞受賞作。映画化!
  • 「母親に、死んで欲しい」―介護殺人・当事者たちの告白―
    4.4
    今、日本では2週間に一度「介護殺人」が起きている。老老介護、多重介護、介護離職……高齢化ニッポンで避けては通れない「介護」。肉親への献身から始まったはずが、なぜ悲劇へと変わり果てたのか――。全国で起きた事件から見えてくる、決して他人事ではない、当事者の口から赤裸々に語られる「終わりなき介護」の実態!
  • 母親になって後悔してる
    3.8
    もし時間を巻き戻せたら、あなたは再び母になることを選びますか? この質問に「ノー」と答えた23人の女性にインタビューし、女性が母親になることで経験する多様な感情を明らかにする。女性は母親になるべきであり、母親は幸せなものであるという社会常識の中で見過ごされてきた切実な想いに丁寧に寄り添った画期的な書。
  • 母親病(新潮文庫)
    3.0
    1巻693円 (税込)
    女は、旦那様に一生愛されるのがしあわせなのよ――。珠美子にそう語っていた母・園枝が急死した。有毒植物が体内から検出されたという。事故か自殺か、それとも。困惑のなか遺品整理に出向いた珠美子だったが、そこに端正な顔立ちの若い男性・雪仁が訪ねてくる。園枝の死を知った彼は震えて嗚咽した。良妻賢母の見本のような園枝と雪仁の関係は……。すれ違いながら衝突する母娘を描く連作集。(解説・三宅香帆)
  • 母なるもの
    3.9
    複雑に屈折した生き方を強いられた隠れ切支丹の姿に、自己の内なる投影を見た作者の魂の表白である表題作など全8編。――裏切り者や背教者、弱者や罪人にも救いはあるか? というテーマを追求する作者が、裁き罰する父なる神に対して、優しく許す“母なるもの”を宗教の中に求める日本人の精神の志向を、自身の母性への憧憬、信仰の軌跡と重ねあわせて、見事に結晶させた作品集。
  • 母の味、だいたい伝授
    3.7
    結婚もした、両親も看取った、私に残ったのはいよいよ〈あの欲望〉だけだ――。懐かしい母の味を再現しようと奮戦し、動脈硬化を注意され、好物の牡蠣に再三あたり、でも食欲と好奇心は相変わらずの日々から生まれた風味絶佳のおいしいエッセイ集。コロナ禍の最中に逝った母をおくった、話題の「リモート葬儀顛末記」を附す。
  • 母の介護―102歳で看取るまで―
    3.8
    宝塚一期生のスターだった母。あんなにプライドが高く、かくしゃくとしていたのに、寝たきりになったとたん、「わがままな老婆」に成り果ててしまった。際限なく続く夜の拷問、減り続けるお金、家事と仕事のやりくり。すべては一人娘の私の肩にのしかかってきた。それでも九十六歳の母は「長くない」と思っていたのだが……。先の見えないトンネルの中で過ごした六年の記録。

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  • 母の影
    3.5
    1巻484円 (税込)
    青山にある大病院の娘に生れ、斎藤茂吉と結婚した輝子。お嬢様として育ち気丈で破天荒な性格の彼女と、癇癪もちでワンマンな茂吉が、夫婦として折り合うはずもない。家にはいつも嵐が吹き荒れ、四人の子らは右往左往。そんな斎藤家の次男である著者が幼少時代の記憶を辿り、文学にめざめた頃を反芻しつつ、母への愛惜、父への尊敬、そして二人の死を綴る。追慕溢れる自伝的小説。
  • 母の母、その彼方に
    -
    四方田柳子という見覚えのない名前をきっかけに始まった過去の探索。しだいに明らかになるさまざまな事実。女子大時代に学んだ理想主義的な児童教育に心血を注いだ柳子。広大な屋敷を管理することに情熱を捧げた美恵。日本舞踊と西洋音楽を同時に学び、生涯にわたって労働とは無縁だった昌子。著者が発掘した一家の歴史。
  • 母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。
    4.3
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「あんたもワテが産んだ傑作やでねぇ、なんも心配しとらんよ」。かつて僕が白血病になった時、母はこう笑い飛ばした。今度は僕が母を救う、そう決めたはずだったのに。死が近づく闘病の日々と、母を失った日常で僕が知った、最愛の存在がいない世界とその死の本当の意味。死後1年、母から届いたスペシャルな贈り物とは。特別編も収録!
  • ハムレット
    3.9
    城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる――。恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。
  • 原節子の真実(新潮文庫)
    4.2
    14歳で女優になった。戦前、戦後の激動の時代に112本の作品に出演、日本映画界に君臨する。しかし42歳で静かに銀幕を去り、半世紀にわたり沈黙を貫いた。数々の神話に彩られた原節子とは何者だったのか。たったひとつの恋、空白の一年、小津との関係、そして引退の真相――。丹念な取材により、伝説を生きたひとりの勁(つよ)い女性の姿を鮮やかに描き出す決定版評伝! 新潮ドキュメント賞受賞。(解説・ヤマザキマリ)
  • 原っぱ
    4.4
    劇作家・牧野は俳優の市川扇十郎から旧作を再演したいという申し出をうける。牧野にはとても30年前の舞台は再現できまいと思われてためらうのだが……。人の心も町並みもすっかり変わり果てた中で、再演に情熱を傾ける人々。そこになお残っている昔ながらの気遣いや市井の営みを描きつつ、滅びゆく東京の街への惜別の思いを謳ったものとして、著者の遺言ともいうべき現代小説。
  • 張込み―傑作短編集(五)―
    4.2
    推理小説の第1集。殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される「張込み」。判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た「一年半待て」。ほかに「声」「鬼畜」「カルネアデスの舟板」など、全8編を収録する。

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  • ハリネズミの願い
    3.5
    ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? ――臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。
  • ハリネズミは月を見上げる(新潮文庫)
    4.0
    あなたも最低。許せない――。高校二年生の鈴美は逆上した痴漢から守ってくれた比呂に感謝するが、予想外のきつい言葉を返され戸惑う。周りから浮くことを恐れる鈴美は、独りでも毅然とふるまう比呂と接するなかで次第に変化してゆく。だが比呂もまた、誰にも言えない悩みを抱えていて……。両親の離婚、中退した幼馴染み、壊れてしまった心。まばゆい出会いが胸に響く青春小説の新たな傑作。(解説・藤田香織)
  • 春朧(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    岐阜県・長良川河畔で老舗の旅館を営む日野家の嫁、沙衣子は、主婦業に専念していたが、夫が急死したため、素人同然の身で若女将となった。悩みの種は姑の松乃。伝統や格式にこだわり、客よりも旅館側の都合を優先する松乃の考え方は、沙衣子とは相反するものだった。やがて沙衣子は、理想のもてなしができる旅館を新たにつくろうと決意するが、その道のりは遠く険しかった……。
  • はるか(新潮文庫)
    4.0
    賢人は小さな頃、海岸で一人の少女と出会い恋に落ちる。彼女の名は、はるか。大人になり偶然再会した二人は結婚するが、幸せな生活は突如終わりを告げた。それから月日は経ち、賢人は人工知能の研究者として画期的なAIを発明。「HAL‐CA」と名付けられたそのAIは、世界を一新する可能性を秘めていた――。『ルビンの壺が割れた』で大反響を呼んだ著者による、更なる衝撃が待つ第二作。
  • 遥かなインパール
    4.0
    太平洋戦争末期、劣勢の戦局を挽回すべく、ビルマから東インド・インパールへの侵攻作戦が強行された。多くの人命の損失を招き、日本陸軍史上有数の悲惨な戦いとなったインパール作戦を枠組みに、主力部隊・祭兵団歩兵第六十連隊の行動に焦点をしぼって、その軌跡を忠実にたどる。風化してゆく戦争の現実と、激戦地におかれた兵士たちの人間的真実を描きとどめた入魂の戦場小説。
  • 遙かな国 遠い国
    -
    1巻539円 (税込)
    頭は弱いがとびきり素直で力持ちの正太少年が、オンボロ漁船に雇われて、船員たちにからかわれながらも、飯焚き雑役に大奮闘。あげくに船は沈没、凍える海に放り出され、ソ連に抑留されて……北国の空の下、おおらかな恋人たちに眼を見張る。純朴な少年の眼を通して、遠い魂の故郷への憧憬を物語る表題作ほか、初期の珠玉作『三人の小市民』『埃と燈明』『為助叔父』『友情』を収録する。
  • 遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス―
    4.1
    「一応ノーベル賞はもらっている」こんな学者が闊歩する伝統の学府ケンブリッジ。家族と共に始めた一年間の研究滞在は平穏無事……どころではない波瀾万丈の日々だった。通じない英語。まずい食事。変人めいた教授陣とレイシズムの思わぬ噴出。だが、身を投げ出してイギリスと格闘するうちに見えてきたのは、奥深く美しい文化と人間の姿だった。感動を呼ぶドラマティック・エッセイ。
  • 遥かなるゲバラの大地
    4.0
    敬愛するチェ・ゲバラに導かれバイクに跨がり、56歳で駆け抜けた南米大陸30000km120日間の旅。何故、この齢になってこんな苛酷な旅を続けるのか?―その答えは、旅の中にある。

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