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Posted by ブクログ
今更ながら、初松本清張で、当たり前のように面白かった。声を記憶するのに長けた電話交換士の「声」。殺人を犯したにも関わらず俳優として映画出演する「顔」。そして、自分の犯した罪を確認するために、地方新聞を買う「地方紙を買う女」。さすがに隔世の感のある設定のものもあるがそれを差し引いても設定、展開の面白さに圧倒されます。単なる推理もの(「投影」のようなトリックものもあるけれど)ではなく「張込み」「鬼畜」など人間関係について考えさせられるもの、「カルネアデスの舟板」のような刑法(緊急避難の法則)をベースにしたものなど、広くて深い。少しづつ、松本清張の世界に浸りたいと思いました。
Posted by ブクログ
松本清張『張込み 傑作短編集(五)』新潮文庫。
松本清張の初期作品8編を収録した短編集。いずれの短編も、ミステリーというよりも普通の人間が内に秘めている業を炙り出しているかのようだ。既読作が多いが、さすがに30年ほど前に読んだ作品なので、細部については忘れている。
『張込み』。強盗殺人犯の石井久一が訪ねたのは今は普通の主婦で、かつて恋仲にあった女だった。石井を逮捕するために張込む刑事の柚木は主婦の暮らしを壊さないことを願うが…ヒリヒリするような緊張感が文章から伝わる。
『顔』。劇団員の井野良吉に銀幕デビューの幸運が舞い込む。しかし、井野には知られてはいけない過去があった…井野良吉と石岡貞三郎の心理描写の対比が面白い。
『声』。前半は結末が解るような単純なミステリーだと思っていたが、見事な仕掛けと捻りに見事に騙された。
『地方紙を買う女』。地方紙に掲載される新聞小説を読みたいという理由で地方紙を取り寄せた東京の女、塩田芳子。ところが、新聞に男女の情死事件が掲載されたのを契機に新聞小説が面白くないという理由で購読を止める。それをいぶかしんだ新聞小説の作者、杉本隆治はその女に興味を持つが…一つの綻びが…
『鬼畜』。映画やドラマにもなった傑作。妻のお梅と共に印刷所を営む竹中宗吉は料理屋のお春と男女の関係になり、3人の子供をもうけるが…終盤にミステリーらしい描写もあるが、基本的には人間の業を描いた作品であろう。
『一年半待て』。現在は良く耳にするDVを下地に、女性の強かさを描いた作品。29歳の須村さと子が夫殺しで被告となったところから物語は始まる。ラストでタイトルの『一年半待て』の意味を知る時…
『投影』。東京の新聞社を辞めて地方紙の記者となった太一が市政に蔓延る悪を暴く。
『カルネアデスの舟板』。この短編もまた鬼気迫る人間の業を描いており、秀逸。
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