あらすじ
推理小説の第1集。殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される「張込み」。判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た「一年半待て」。ほかに「声」「鬼畜」「カルネアデスの舟板」など、全8編を収録する。
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Posted by ブクログ
有名な「張込み」はもちろん「顔」と「声」の短編もさすがの秀逸!犯人の追い詰められる心臓の鼓動さえ聴こえてきそうな臨場感とその場に居合わせているかのような場面描写が引き込まれた
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さすが
時代が変わっても全くそんな感じさせない
人殺しは絶対にダメなんだけど
現代のサイコパス的な殺人じゃなくて
人間味がある
1話完結のドラマを見ているようにサラサラと読める
Posted by ブクログ
今更ながら、初松本清張で、当たり前のように面白かった。声を記憶するのに長けた電話交換士の「声」。殺人を犯したにも関わらず俳優として映画出演する「顔」。そして、自分の犯した罪を確認するために、地方新聞を買う「地方紙を買う女」。さすがに隔世の感のある設定のものもあるがそれを差し引いても設定、展開の面白さに圧倒されます。単なる推理もの(「投影」のようなトリックものもあるけれど)ではなく「張込み」「鬼畜」など人間関係について考えさせられるもの、「カルネアデスの舟板」のような刑法(緊急避難の法則)をベースにしたものなど、広くて深い。少しづつ、松本清張の世界に浸りたいと思いました。
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そう言えば、松本清張作品をちゃんと読むの初めてかも。それでよく推理小説が好きとか言えたもんだ、ごめんなさい。
全8編の短編集には映画やドラマ化されて何度も観ているものも多かったけど、やっぱり小説だと訴えかけかたが違うので、別の角度から改めて楽しむことが出来ました。
文字だからこそ感じる恐怖。
「声」「一年半待て」とか好きだなぁ…。
他の短編集も揃えたい。
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松本清張『張込み 傑作短編集(五)』新潮文庫。
松本清張の初期作品8編を収録した短編集。いずれの短編も、ミステリーというよりも普通の人間が内に秘めている業を炙り出しているかのようだ。既読作が多いが、さすがに30年ほど前に読んだ作品なので、細部については忘れている。
『張込み』。強盗殺人犯の石井久一が訪ねたのは今は普通の主婦で、かつて恋仲にあった女だった。石井を逮捕するために張込む刑事の柚木は主婦の暮らしを壊さないことを願うが…ヒリヒリするような緊張感が文章から伝わる。
『顔』。劇団員の井野良吉に銀幕デビューの幸運が舞い込む。しかし、井野には知られてはいけない過去があった…井野良吉と石岡貞三郎の心理描写の対比が面白い。
『声』。前半は結末が解るような単純なミステリーだと思っていたが、見事な仕掛けと捻りに見事に騙された。
『地方紙を買う女』。地方紙に掲載される新聞小説を読みたいという理由で地方紙を取り寄せた東京の女、塩田芳子。ところが、新聞に男女の情死事件が掲載されたのを契機に新聞小説が面白くないという理由で購読を止める。それをいぶかしんだ新聞小説の作者、杉本隆治はその女に興味を持つが…一つの綻びが…
『鬼畜』。映画やドラマにもなった傑作。妻のお梅と共に印刷所を営む竹中宗吉は料理屋のお春と男女の関係になり、3人の子供をもうけるが…終盤にミステリーらしい描写もあるが、基本的には人間の業を描いた作品であろう。
『一年半待て』。現在は良く耳にするDVを下地に、女性の強かさを描いた作品。29歳の須村さと子が夫殺しで被告となったところから物語は始まる。ラストでタイトルの『一年半待て』の意味を知る時…
『投影』。東京の新聞社を辞めて地方紙の記者となった太一が市政に蔓延る悪を暴く。
『カルネアデスの舟板』。この短編もまた鬼気迫る人間の業を描いており、秀逸。
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先日逝去された渡部昇一先生はかつて『書痴の楽園』のテレビ番組の中で、松本清張作品は短編小説が面白いと語っておられました。
丁度、松本清張の『鬼畜』を読んでいた。
物語が進行するうち、かつてテレビドラマで視聴したことがあると感じながらネットで調べてみると、確かにあった。
主演はビートたけし・妻役は黒木瞳がヒットしたが、それ以前に映画化されていたようである。それは主演が緒方拳・妻役は岩下志麻が最初らしい。
何とも悲しくて辛い物語であろうか、犠牲者は妾に産ませた子供3人である。大人のエゴのため、子供たちは順番に処分されていくのです。
決して子供たちは親を恨んでいない、子供たちは親に処分されるのを知っていたのではないかと考えるが故に、胸が詰まる思いがする。
松本清張は、社会派ミステリー作家として数々の作品群を世に送り出している、暗い闇の部分を抉るような作品はどれもシリアスである。
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松本清張にどっぷり。体調不良で重苦しい気分がさらに重苦しくなる。それでもやめられない。麻薬のようなものか。
松本清張の短篇には余計な贅肉のかけらもない。社会派ミステリの真髄。欲望やらなんやらを顕にする人間の所業が実に気持ち悪い。でも、だからこそ止まらない。
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十数年ぶりの再読。短編だが名作ばかり。読んでいて胸が締め付けられるような息苦しさがあって、時々読みたいと思っても読後感を考えるとつい後回しにしてしまっていた。でもそれはもったいないことだったと思う。表題作の「張込み」が特に私には印象深い。
Posted by ブクログ
推理小説8編の短編集でした。
まさかあの「鬼畜」の原作を読めるとは思ってもみなかった。
まだ高校生くらいだったか、映画をたまたまテレビでみて、読んで字のごとし、と絶望した記憶が蘇った。
「投影」が面白かったかな。清張を読んで、初めて少し泣きそうになった。
その他の作品も、男と女、断崖絶壁などなど、安定のお決まりのパターンながら、それぞれ読み応えあり。さすがでした。
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クローズドサークルや館シリーズなどのミステリが好きで読んでいるので、この短編で刑事が活躍するミステリは久しぶりでした。
顔、声では、インフルエンザだとかコロナのときとかに寝汗でビショリとして重くなったパジャマが体に粘着したかのように張り付く不快感を思い起こさせました。犯人の感じた不安や神経質ながらも欲にしたがった行動が過去に自分が犯した後ろ暗さに重なりました。
ページを翻す行為が犯人を捕まえること、自分が捕まることと思うと、冷たい脇汗が体の側面を伝っていきました。
投影の作品の雰囲気や登場人物、正義が好きでした。胸が熱くなりました。終わり方も好きです。
不安を誤魔化しそれに嘘をつき生きていくため、不穏な思いはこびりついて離れません。悪寒に慄きながら我慢を続けるのは苦しいことかもしれない。しかし、その恐怖に耐え忍ぶ誇り高い精神が、勇気が人間にはあると信じたいし、そう生きていきたいと思います。
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人はふとしたきっかけで道を見誤る。そこに気づくのか否か、それとも気づいても引き返せない倫理の欠如か、罪は静かに加速する。松本清張の短編はそれぞれ終盤の畳み掛けが圧巻である。もはやバッドエンドに向かう必至が人の業の深さに通底する。欲は怖さを兼ね備えている。表題以下珠玉の短編集。見とるぞ、見とるぞ…
Posted by ブクログ
うーん面白い。
短編集の構成としては推理小説を集めた巻ということだけど推理小説とも少し違う犯罪小説集。驚きトリック自慢の浅い推理小説とは一線を画す。
どの作品も戦後の社会の中で生きる人の心をバックグラウンドにして職人芸的なお話を作り上げる松本清張の手腕が冴える。「鬼畜」は幼い緒形拳の出ている映画がテレビで放映されていてトラウマ的に怖かったけどこういう原作なんだな。「張込み」の人間ドラマ。「顔」のスリル。「声」のアイディアと偶然のプロット。「地方紙を買う女」の登場人物の個性とトリック。「一年半待て」の法的な組み立てと皮肉。「投影」の正義感とマスコミ。「カルネアデスの舟板」の破綻に至る心の動き。
Posted by ブクログ
大好きな松本清張!初めて短編小説を。一つ一つが短いのにしっかり松本清張感。含みがあって、人間の深層心理というか、、、私が松本清張を読んでいつも思うことが『あぁ、しなくてよかったのに。』だけど今回もしっかりでていた。でもしてしまうのが人なのであるんだなぁと。やはり長編のような読み進めてドカーンはないけどおもしろかった。私は一年半待てが1番好き。
Posted by ブクログ
松本清張氏の傑作短編集第五作。これと第六作は推理小説集である。8つの短編で443ページ。複雑なトリックは無いが、楽しめます。東京から九州に向かう夜行列車、新幹線でも寝台列車でもない、清張作品だなー。
Posted by ブクログ
張込み:山口県、九州に向かう列車はどの列車なのか特定出来なかった。当時の暮らしぶりが何となく分かる。バスも登場し、昭和全盛の頃を思い起こさせる。
顔:山陰線周布駅から浜田駅までの普通列車、昭和22年の時刻表で確認したが当該の列車は確認出来ず。自らの名声を得ようとするが為に周囲を消してゆく、自己中心的な考え方といってしまえばそれで終わりだが、そこには一般市民としての葛藤も見て取れる。最後のいもぼうの場面はちょっと出来すぎとも思いましたが圧巻でした。いもぼう、京都に長年住んでいますが名前だけ知っていて訪問した事無し。
声:2部構成になっている。1部と2部は別の話かと思っていたが最後に結びつくあたり、構成が上手。声を確認する為に落とし穴にはまってしまった。
地方紙を買う女:準急白馬、K市は甲府。毒を仕込んだのは寿司ではなくジュースだった。場面描写が面白い。
鬼畜:真面目な男がここまで転落するのかと思う。しかし女というものは恐ろしい。娘の良子が何とも可哀そうだ。
1年半待て:男をはめるべくうまく仕組みを考えたものだ。
投影:タイトルの意味は最後の結末でようやく分かった。それにしても出来のよい奥さんだ。折角、事件を解決して腕を上げたのだからもう少し瀬戸内海S市で勤務してほしかった。同様の汚職は世間至る所にあるのではないかと思う。
カルネアデスの舟板:内容的にはやや難しかったが芥川龍之介のクモの糸のようなストーリーか、見下していた人に追いつかれるのは何ともつらいものだが受け入れなければならない時もある。元教授はやはり中国地方の人。東京から鉄道で10時間以上、きたない3等車のみで中国山脈に向かう。岡山駅から伯備線か、どこの盆地だろう???土地勘があるのか中国地方はよく登場するなぁ~
Posted by ブクログ
「松本清張」の短篇集『張込み 傑作短編集〔五〕』を読みました。
『聞かなかった場所』、『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』に続き「松本清張」作品ですね。
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推理小説の第1集。
殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される『張込み』。
判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た『一年半待て』。
ほかに『声』 『鬼畜』 『カルネアデスの舟板』など、全8編を収録する。
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以下の8篇が収録されていますが、、、
■張込み
■顔
■声
■地方紙を買う女
■鬼畜
■一年半待て
■投影
■カルネアデスの舟板
『張込み』、『顔』、『声』、『地方紙を買う女』の4篇は短篇集『顔・白い闇』で既読、『投影』は短篇集『危険な斜面』で既読だったので、初めて読んだのは『鬼畜』、『一年半待て』、『カルネアデスの舟板』の3篇でしたね。
ちなみに、『張込み』、『声(映画タイトル:影なき声)』、『地方紙を買う女(映画タイトル:危険な女)』、『鬼畜』の4作品は映像化作品を観たことがありました。
それでも、好みの作品が集まっていたので退屈せずに読めましたね。
(詳細は忘れている部分も多いし… )
『張込み』は、僅か30ページ足らずの作品なんですが、深みのある作品、、、
生活に疲れた女が、犯罪を犯した昔の恋人と再会し、忘れていた(隠していた?)女としての心に火を点けるところが、憎いほど巧く描かれています。
『顔』は、心理描写が巧みな作品、、、
1度見ただけの顔なんて覚えてないですよねぇ。
それに気付いた犯人が安心して大胆な行動に出ますが、そこから綻びが… 顔そのものよりも、仕草であったり、同じ情景であったりという方が記憶が蘇ることもありますよね。
『声』は、声を見分ける能力が仇になってしまう悲しい作品、、、
石炭を使ったトリックが秀逸でしたね。
『地方紙を買う女』は、戦争で夫を失った女の哀しい物語、、、
地方紙を購入した動機が連載小説… 不審に思った作家の推理が見事ですね。
でも、もしかしたら作家の推理は誤っていたのかも… と思わせるエンディングが大好きです。
『鬼畜』は、「ビートたけし」の演技の素晴らしさを感じた作品、、、
テレビドラマで観たのですが、小説のイメージそのままでしたね… 妻のお菊はドラマでは、少し優しくなっていたかな。
男と女の愛憎、愛人の残した子どもへの憎しみ… 人間って、ここまで冷徹になれるもんなんですよね。怖い…
『一年半待て』は、どこかで観たことのなるような作品、、、
もしかしたら、テレビドラマ化されていたのを観たことあるのかも… 夫殺しの原因が、夫の暴力、飲酒(泥酔)、浮気という判断で情状酌量されますが、その裏には一年半に及ぶ計画的な行動が。
怖いけど、面白かった。
『投影』は、「松本清張」作品には珍しくスッキリとしたエンディングで後味の良い作品、、、
帰宅の方向を誤らせるトリックは、現実味が薄い感じがしますが… トラブルから東京の新聞社を辞職した主人公が、地方都市に移り、再就職した地方新聞社での経験により人間的に成長する姿が活き活きと描かれていますね。
『カルネアデスの舟板』は、二人がつかまると沈んでしまう板に、二人の人間がつかまろうして、生き残るために一方を水死させた場合に罪に問われなかったという寓話を扱った物語、、、
邪魔になった恩師を、情婦を使って陥れようとするが… その行為から男女の気持ちに微妙なズレが生じ、計画は破綻してしまう。
既読作品が多かったけど、面白かったなぁ… さすが「松本清張」作品ですね。
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巨匠による推理小説短編集。
トリックなど無い犯罪者と元恋人の心情を描いた作品が入っていたりと純粋なミステリーが集められたものでも無い。全体的にシンプルな筋立てが多いが寧ろ現代ミステリーの源流のような気もする。
『一年半まて』はオチも含めてゾクっとくる面白さで女性の賢さと計算違いが良い。
『声』はヒッチコックの『サイコ』を思わせる意外な展開(筋立てはまるで違うけど)でこの辺もさすが文豪。
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ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。
表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。
●張込み
逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。
●顔
殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。
●声
犯行現場に間違い電話をかけてしまった交換手の女。数年後、夫の同僚の声が犯人の声とそっくりだと気づく…。
●地方紙を買う女
指定した期間だけ地方紙を購入していた女。新聞小説が目的だと言うが、連載途中で購読を打ち切ってしまう。怪訝に感じた小説家が女の謎を追うが…。
●鬼畜
気の小さな印刷屋の主人が情婦との間に子供を三人ももうけるが、商売が行き詰まり生活の面倒が見られなくなる。怒った情婦は子どもを印刷屋に押し付け行方不明に。怒った印刷屋の妻は夫に子どもの処分を指示するのだった…。
●一年半待て
「一事不再理の原則」を利用し、完全犯罪を目論んだ女の話。
●投影
大手新聞社を辞め都落ちした主人公。地方新聞社で現地の汚職事件を告発する。
●カルネアデスの舟板
一つしかないポストを手に入れるために恩師を陥れる大学教授の話。
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清張初期の短篇集。社会派推理小説の影はなく、いわゆる中間小説だが、思いの外面白い。
白眉は丹羽長秀の心中を描いた「腹中の敵」。凡人と才人という対比において、凡人の立場から見る視点は面白い。また、秀吉という人たらしにも興味を覚えてきた。
人物伝風の「菊枕」、「断碑」、「石の骨」、私小説の「父系の指」、社会派推理小説の嚆矢「張り込み」、歴史小説(腹中の敵以外の2作はあまりに通俗すぎ、かつ不用意なオチで失敗だと思う)など幅広い作品を収めているが、やはり彼の主題は「人」であったといえる。
スーパースターや天才鬼才ではなく、日常の生活人たるわれわれが対象だ。それをもっとも如実に表現できるのが、彼にとってはミステリだった、ということなのだろう。
その枠を見つけるまでの、清張放浪時代の作品集である。
Posted by ブクログ
★★★2021年5月★★★
読み終わってからだいぶ経ってしまった。
読書メモと断片的な記憶を頼りに書く。
・張り込み
・顔
・鬼畜
・声
・投影
・一年半待て
・カルネアデスの舟板 ・・・等
「投影」
もっとも面白かったのは「投影」
東京での仕事に失敗し地方の新聞社に都落ちした記者が、その地域での仕事に取り組むうち、新聞記者としての仕事に対する誇りを取り戻していく、というのが大まかな流れ。不正を暴き正義を明かにする、という信念をもった社長が何とも言えぬ味を出している。
事件のトリックそのものは、実におかしい。
殺人の被害者は電灯のあるほうに自転車を漕いでいったらそこは海だったという。
つまり、被害者がいつも向かうのと逆方向に偽装の電灯を仕掛け、そちらに誘い海に落ちるよう仕掛けたわけ。
まず、被害者は電灯を頼りに帰る方向を定めていたのか?という事。電灯に群がる虫じゃあるまいし。
100万歩譲ってそうだとしても、そのまま海に落ちるか?
という突っ込みどころはあるにせよ
物語自体は実に面白い。トリックの事は枝葉末節。
「カルネアデスの舟板」
大学内の勢力争いを描いたえげつない作品だ。
大海原で船から投げ出されたときに漂流する板を見つけた。ああ助かったと思ったら、その板にすがる人物がもう一人、その時あなたは・・・
これがカルネアデスの舟板。
この物語は大学内、学部内で確かな地位を築いた教授が恩師を大学に復帰させたところから始まる。
恩師というのも難しいものだ。
最終的には、二人とも沈んでしまう。もっとうまくいくやり方は無かったものか?
**引用**
海中に突き落とされるのは弱いものであり、枝に残るのは力の強いものか、機転の利くものである。
「顔」
成功したい、上昇志向の強い新進気鋭の俳優が消したい過去。それは殺人。その目撃者を消すために新たな殺人を企てる。その俳優は一度見たら忘れられない個性的な顔をしている。
何故俳優を選ぶ?
Posted by ブクログ
カバー 木村光佑
解説 平野謙
『張込み』
なんか読んでもよくわからなかったけど(私がアホだから)
刑事がずっと張り込みをする話ですね
奥さんが不倫してたっぽい
『顔』
ある劇団に所属する無名の若手俳優の話
彼は過去に、付き合っていた女性を殺した
なかなか女性が別れてくれずに面倒くさくなったのだ
そして、殺しに行った時、一人だけ女性の知人と会ってしまった
その知人に顔を覚えられていると思い込んでいる主人公は、いつ自分の犯罪がバレるかひやひやしている
しかし、俳優として大きな仕事が彼に舞い込む
映画にでて顔が全国に広まれば、あの知人男性に見られるかもしれない
でも、俳優として大成したい気持ちもある
そして彼はついに、その知人を殺すことを思いつくが、当の知人はまったく主人公の顔を覚えていなくて……
主人公の思い込みが結果、どうなるか?
悪いことをしてはいけませんね~
『声』
主人公は、かつて大きな企業の電話番を務めていた。
200人以上の社員の声を聞き分けられる彼女は
会社の中でも一目置かれる存在だった。
しかし、その彼女の良い耳が、悲劇のもとになるなんて。
『地方紙を買う女』
全く自分とは関係のない地方の新聞を買う女の話
新聞を取り寄せるために彼女は「連載されている小説が読みたいので」と嘘を書く
そして、その嘘の事実が小説家本人にも知らされたことから、彼女の不幸は始まる
『鬼畜』
小さな印刷業を営む主人公の男の話
仕事が軌道に乗り始めた男は、とある店の女中と深い中になる。やがて彼女との間に子供が3人も生まれ、8年間妻に隠し通してきたが、経営が傾いたとき全てがバレる。
そして家に乗り込んできた愛人は、子供3人だけを残して実家に帰ってしまう
主人公の妻は、残されていった3人の子供を始末するよう男に命じるのだった
『一年半待て』
一度決まった判決内容は変えられないことを利用したしたたかな女の話。かわいそうなだけでは終わらない、女性の怖さを感じる
『投影』
これはよくわからなかった(おい)
『カルネアデスの舟板』
学者とかつて弟子だった男の話
師と弟子の立場が逆転する?というか、
昔の恩師を大事にしないようなやつは、
偉くなっても大成はしないのかな
自分が忘れないように書いてるんで意味わかんなくてごめんなさい
Posted by ブクログ
松本清張の短編7編が収録。戦中・戦後・高度経済成長前の日本が舞台のためか、物価の違い、世相の暗さは、否めない。とはいえ、いまなおドラマ化される短編も収録されており、時代が変わっても、変わることのない人間の情愛・欲望が描かれている。
Posted by ブクログ
【張込み】【顔】【声】【地方紙を買う女】【鬼畜】【一年半待て】【投影】【カルネアデスの舟板】収録。
映画化された【張込み】【顔】【鬼畜】他、松本清張初期の作品を新潮文庫にて再編成された短編集。
どの作品もミステリー的な仕掛けや目を見張るトリックはありませんが、登場人物のディテールが徹底している為重厚な人間ドラマを堪能することが出来ます。
その典型が【張込み】で、僅か20頁しかありませんが何とも言えない味わいが堪りません。
【顔】はどんでん返し、【声】はアリバイ崩しも楽しめる秀作。その他【鬼畜】や【一年半待て】など粒揃いで読み応え十分です。
Posted by ブクログ
推理小説と呼ぶには文学的だが文学というにはあんまり面白い。入門演習のテキストとして買ったけれど、ほかの本も読んでみたいと思った!一つ一つ面白いんだがタイトルのつけ方が微妙かな…タイトル聴いて内容がぱっと思い出せるのは「一年半待て」くらい…私の記憶力が悪いだけか知らん…orz
Posted by ブクログ
著者の推理小説の出発点と目される表題作を含む8編収録の短編集。昭和30年代の作品が多いため描写はやや古いが、話の展開は面白い。
刑事もの、裁判ものなど、様々な趣向の作品が展開されている。
Posted by ブクログ
有名な「張込み」や「鬼畜」が入ってます。何度か読み返してます。今売れてる作家の文章に読み慣れると、清張の文章には引っかかってしまい、その都度立ち止まってしまいます。名作映画の原作で短編、何度も読んでるわけはそんなとこでしょうか。
Posted by ブクログ
この中の『声』は、随分前にテレビで見たこともあったが、改めて読むと思い出す。国電というの懐かしいなとか、電話交換手は若い人わかるのかしらなど、昭和の好きな時を思い出した。
清張は、本当短編も素晴らしいからいつ読んでも楽しい。