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Posted by ブクログ
初読みの作家さん。初の単行本で、3作目となる「狭間の者たちへ」及び新潮新人賞を受賞した1作目の「尾を喰う蛇」の2篇を収録している。
表題作は通勤電車で女子校生の“匂い”を嗅ぐ男が主人公。来店型保険会社で店長を務め、妻も子もある四十男がなぜ……という問いに明確な答えはない。家庭でも社会でも一定の責任を負わされたことが耐えられず、安易な逃げに走ってしまったのか。
「尾を喰う蛇」は、総合病院に介護福祉士として勤める男が、越えてはいけない一線でもがく姿を描く。タイトルが象徴する意味は“悪循環”だろうか。
どちらも閉塞感に満ちた作品で心がひりついた。それでも読み応えはあった。今後も追いかけたい。
Posted by ブクログ
仕事と家庭のストレスから痴漢行為に走る男性を描いた表題作と、病院で介護職に就いていてストレスから次第にある患者を虐待するようになる男性を描いた『尾を喰う蛇』の2作品を収録している。
いやー辛い話だった。どちらの作品も、Twitterとかで女性蔑視思想を垂れ流してそうな有害な男性性を持つ男が主人公で、やってることは本人には自覚が乏しいけど完全なる悪なんだけど、仕事の過酷さ(休めない、ノルマ、介護職の苦労の半端なさ)があって、そういう状況では冷静さや思いやりを持って周囲に対応するのはそりゃ無理だよね…と思ってしまう。半端ないストレスがかかりいっぱいいっぱいになったとき、人は心と身体のどちらかが壊れてしまうものだろう。読む側の心は容赦なく削られていくが、夢中で読んでしまった。
Posted by ブクログ
キモくて金のないオッさん問題。
もう一歩進めると、「能力」もないオッさん問題。
生まれ落ちたら、そこにしか辿りつかない人を、人はどんな罪で磔るのか。
「被害者」はどんな道理と筋で、それを告発、断罪できるのか。
「キモい」。それはイヤな気分だろう。
しかしそこに刃を向けることを許したら、後はグラデーション。どこまで許すかを本当に線引きできるものは存在しない。
男性の生きづらさ、女性の卑怯さ、というような、今の時代、politicalに日の光を当ててはいけないことになっていることがらに向き合う佳作。
この問題を女性筆者が作品にしたことに、相互理解や協力の萌芽を感じた。
しかし。
男女、と大きく捉えると、政治的な、politicalな話として、追い詰められているものに寄り添う必要を感じたりもするが、追い詰められているそれぞれ個々を見ると、嫌悪感が先に立って、いずれに対しても距離を取りたいとしか思えないというものかもしれない。
究極は、全ての人々がほんの僅かの人の間、もしかしたら個人個人の単位でしか、相互扶助の前提となる同一性を感じられない。
それが世界が実態なのかもしれない。
と思った。
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