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複雑に屈折した生き方を強いられた隠れ切支丹の姿に、自己の内なる投影を見た作者の魂の表白である表題作など全8編。――裏切り者や背教者、弱者や罪人にも救いはあるか? というテーマを追求する作者が、裁き罰する父なる神に対して、優しく許す“母なるもの”を宗教の中に求める日本人の精神の志向を、自身の母性への憧憬、信仰の軌跡と重ねあわせて、見事に結晶させた作品集。
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Posted by ブクログ
メモ ・母なるもの ・小さな町にて ジラル親父の日記?で描かれる長崎と、今の長崎 「正しい」形式で信仰しないといけないのか?「まことの」信仰とは 父的な厳格さと母的な寛容さ マリアは後者 ・学生 終戦から5年経った昭和25年 フランスへの留学 敗戦国の日本人であるということ 対比:...続きを読む 天正の少年使節団 ヴァリニャーノ神父 「人生とは決して心底まで憎むものではないが、また我々の心をすべて惹きつけるものでもない」 信仰の深さのグラデーション 同じ年頃、同じ性別、同じ国籍、同じ宗教でもひとそれぞれ ・ガラリヤの春 エルサレムへの聖地巡礼と母親の記憶 信仰は母親への愛着とつながっている 信仰への揺らぎ ・巡礼 聖地巡礼 「最もアーメンに縁のないような人間に、なぜアーメンはとり憑いたのだろう」 捨てたら楽になるのに、捨てられない信仰 確かなもの ・召使たち シドッティ、長助、はる ・犀鳥 「人間はには一人になるとなぜか動物だけを友だちにしたい心が起きるんでしょうねえ」 廃教司祭(転び)が飼っていたという犀鳥 ・指 美しくなく、逞しくない人間にも赦しは与えられるのだろう
文庫本は、昭和五十年八月二十五日 印刷。 私が読んだのは、昭和五十四年十二月五日 七刷。 大学二年生ぐらいに読んだと記憶しています。 現在は、潜伏キリシタンと表現されていると思いますが、当時は「隠れ切支丹」という表現で作品を紹介しています。8つの物語の作品集です。 この頃は、安部公房や遠藤周作、松...続きを読む本清張、司馬遼太郎などを読んでいました。 定価240円でした。 古い本を整理・処分するために記録を残した。 2026年8月28日 記録。
再評価されるべき逸材、遠藤周作
遠藤周作は自身の信仰に疑問を持っていた。作家活動は自己肯定感を得るための試行錯誤である。その活動の一里塚たる作品が「母なるもの」ではなかろうか。隠れキリシタンの信仰は、本家バチカンから見たらはるかに程遠いもの。しかし、遠藤は「これで、いいのではなかろうか」と肯定感を見出した。隠れキリシタン信仰の神秘...続きを読む性と隠匿性をもって地域が結束していたをの確認したから。そこから、遠藤は自身の母親との関係にも思いを馳せる。 目に見える成果や舌先三寸の刹那的芸当ばかり持て囃され、そうでなければバッサリ切り捨てられる昨今。遠藤周作のような、人間の弱さを学識と宗教観で試行錯誤して書きたてる作家はもっと再評価されても良い。 その実、彼の代表作「沈黙」が映画化され、封切間近である。洋画のためか、遠藤の関係者との見識に違いもあり、埋まることはなかったそうだ。それでも、遠藤周作の再評価の前途が明るくなったことに相違ない。
これは傑作。 棄教司祭や神経質な神学生を主人公に置き、作者自身も抱える”キリスト者の内なる弱さ”を描写した8篇。 鬱屈とした進行に鋭い表現が刺さる。 史実に基づくエピソードも多く挿入されてて読んでて面白い。
序盤、読み進めることに少し苦労した。何故ならば、主人公が中年以降の男性という設定であり、更に人生に多少の疲労感を持っていたり、どう頑張っても私の人生経験では想像してもし尽くせないほどの深みを秘めていたからだと考えられる。 日本の隠れ切支丹の「痛み」と「母なるものへの祈り」に触れて、隠れ切支丹の祈りを...続きを読む伝承するという精神的難しさについて想像が膨らんだ。また宗教問題から切り離して、「痛み」「母なるもの」に対する心情に個人的共感を少なからず感じた。 『沈黙』など他作品と関連する内容や、主人公描写が著者について、類似性を考えながら読み解くことも興味深かった。
エルサル旅行の友。私は遠藤周作さんの宗教観がとても好きで、日本人にとって宗教とはと考えるとき彼の考えが心にぴったり来る。それは自身が西洋のキリスト教に染まりきれなかった葛藤であり、切支丹の歴史を考え抜いた末の見解であり、亡くした母への後悔の念であり、それでも上手く伝えきれないもどかしさに、なんだかと...続きを読むても惹きこまれるのである。
異端の宗教として政府に抑圧され、拷問にかけられ、転んだとしても罪の意識に苛まれて苦しい生涯を送ることになってしまう そんな背景があるからこそ、厳格な父性よりも赦しと抱擁の母性を求めたのかもしれない
日本のカトリックをテーマにした短編集。いずれも作者自身がモデルとしか思えない人物が出てくるので、私小説風な話ばかりである。『沈黙』などに代表される切支丹時代を舞台にした長編とかぶるテーマが多く、とても興味深く読めた。しかし巻末の解説が、仏教の経典を引用しつつ遠まわしにカトリックを非難する場違いとしか...続きを読む思えない内容で、ちょっと残念な気分になった。
自身と母との関係、自身とキリスト教との関係、そして隠れ切支丹について描かれている。 隠れ切支丹は、今まで過去の一定の時期にのみ存在していたものだと思っていた。隠れとして独自に信仰が進化し、その後宣教師からの改宗を拒み苦悩した人達がいたという歴史を知らなかったので、考えさせらえれるものがあった。 また...続きを読む宣教師達の苦悩も知らなかったので、これを機に色々読んでみたいと思う。
遠藤周作の短篇集。母なるものとは、母なる神、母なる宗教を指す言葉だろう。遠藤の宗教観である。遠藤の思想が端々にまで行き届いたものだと思う。長編のようにプロットを細かく気にしない分、短編は思想的になりやすいだろう。時代背景も、テーマも、人物に至るまで、ああ、遠藤だという感じである。解説は読んでいない。...続きを読む今更もういいだろうと、彼に関しては思う。 12/5/29
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